でも、劇場版にできるような短いエピソードってないと思うんですけどねえ。
ヤマトとかガンダム、ガルパンみたいなシステムを取るんだろうか?
男性陣を置いてって、女性陣だけで向かう。
本来は私の護衛でもある猗窩座様とか、阿修羅に山坊主の誰かは連れてくるべきなんだろうけど、まあ累君のテリトリーであるこの山の中だったら、何かが入った瞬間に感知できるんだろう。…累君達は、きっと!
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
うん、会話はない。
最初は何かしら質問とかしてたんだけど、そうです、どうでしょう、すみませんと、返しの一言だけで終わり、会話はまるで膨らまない。
まあ、ビクビクオドオドを見る限り、私が怖いんだろう。
…というか、十二鬼月が怖いんだろうな。
累君からの扱いがわかるってものだ。
家族ごっこをしている割に、どうなんだろうと思わなくはない。けど…
「…まあ、私が…ねえ…」
家族について何か言うなんて、それこそ冗談にもなりはしない。
「…そう、これこれ」
木からぶら下がっている繭のような糸の玉を触りながら、確かめる。
確かな弾力を返すそれは、針金のような鋭さはない。弾力があり、柔らかく、でもすぐに切れそうな弱さは感じない。…実に良い感じだ。
「これ、あなたの血鬼術なんだよね?」
累君のお姉さんに声をかける。
「はい、そうです」
「どんな能力なの?」
「…えっと、溶解の繭と言いまして、獲物を繭の中に閉じ込めて、溶解液でどろどろに溶かします」
なかなかにエグい能力だった。
「なるほどね、液状にして食べやすくして、それに、保存も効くのかな?」
「はい」
食が細い女の鬼には、なかなか適した能力と言えるね。糸自体は、借り物の能力なんだろうけど、うまく使いこなしているんじゃないかな。
…まあ、ここで確かめたかったのは、そんな能力の中身について、じゃないんだけどね…
「…これ、球状にしなくても、作れるかな?」
「…と言いますと?」
「えっとね、こんな風に…」
そう言いながら、枝で地面に図を描いていく。
「…木と木の間に糸で張って…」
海外の船なんかで使われる…ハンモックみたいなのを、サラサラとなかなか上手に描けたと思う。
「こんなのできないかな?」
「…多分、できると思います」
お姉さんの答えに、ホッとする。
「良かった~。じゃあ、あのあばら家の周りの良さそうなところに、二つ作ってよ」
さすがにあのあばら家では、寝られないからね。
「…いいですけど、何に使うんですか?」
「そりゃ、寝るのに使うんだけど」
「…寝るんですか?」
「あー、うん。私と長子ちゃんは、寝るタイプの鬼なんで」
「…はぁ」
お姉さんの微妙な反応も、さもありなん。
寝るタイプの鬼の数は少ない。…というか、私と長子ちゃんの他には、十七子ちゃんくらい…えっと、こないだ死んだ私の影武者の子なんだけど…三体しか知らない。
多分、血を吸うタイプの鬼…いや、人間を食べない鬼は、代わりに寝るんじゃないかと思う。
はっきり言って、そんな鬼は長生きできない。
まず弱い。よわよわだ。人間を食べないと、鬼の力はほとんど成長しない。大抵の鬼殺隊士には、会った瞬間に殺されるだろう。
次に、寝るということは、すごく無防備な姿をさらすということだ。その無防備な姿を隠すしっかりとした拠点があるか、周囲で護ってくれる仲間でもいないと話にならない。
最後に、そんな鬼を、無惨様は許さない。弱くて、群れてて、それをよしとしているような鬼を、あの方が許すわけがない。
そんな訳で、寝るタイプの鬼は、現状私達二体だけだと思われる。…まあ、なんとか大目に見てもらってるんだろう。
でも、意外とこういう特殊な個体から、何かが起こる可能性って、馬鹿にならないと思うんだけど…
まあ、めっちゃ切れられるだろうから、言わないけどなっ!!
禰豆子や炭治郎は日光を克服できた鬼になりましたが、果たしてそれは竈門家の血のせいだったのか?
人間を喰らってない、眠るタイプの鬼…人間に近い鬼だったからではないのか?
…などと思ってみたり。
だとしたら、無惨様の鬼の育て方コンセプトとは真逆すぎて、道理で千年も生まれなかったわけだと…