零余子日記   作:須達龍也

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ちょっと前までは、本は紙派だったのですが…

字が見にくい(老眼)、目当てのが見当たらない(部屋が汚い)、同じのを二冊買う(物忘れ)

以上の三重苦から、電子書籍派に転向しました。

今では、なぜあんなに紙にこだわっていたのか、わからないw


那田蜘蛛山5

「ここは、あなたの縄張りだったんですか?」

 

「久々に会ったのに、挨拶もないのかな?」

 

「私とあなたは、そんなに仲良しでしたっけ?」

 

「これから仲良くできたり、しないかな?」

 

 私のその言葉に、彼女の頬がピクリと動くのを見とめる。

 

「前の貼り付けたような笑顔はどうしたのかな? ほーら、笑顔笑顔」

 

 応対する彼女が笑みを浮かべる。わぁーお、怖い笑顔だ。

 

「…あなたと仲良くできるとは思えませんけどね、下弦の肆さん」

 

「…ふふふ、仲良くできないから殺すのかな、鬼だから殺すのかな、一体どっちなのかな?」

 

「…………」

 

 もう話すことはないと言わんばかりに黙る。

 

「…それって、何の言い訳なのかな?」

 

「……」

 

 

「…ああ、違うか。…誰かへの、言い訳なのかな?」

 

 

「…殺す」

 

 

 …瞬間、間合いを詰めて来た!

 

 

 

 …蟲の呼吸…蜂牙ノ舞…真靡き(ほうがのまい まなびき)…

 

 

 

 …間一髪で間に入ってくれた山坊主の胸を、高速の突きが貫いた。

 

「っ!! …抜けないっ!」

 

 そこに、二刀をもって、阿修羅が即座に斬りかかる。

 

 日輪刀を手放し、即座に距離をあける。

 距離を詰めるのも速ければ、突きの速さも、距離を取るのも速いし、何よりも判断が早いね。

 

「…その二本とも、日輪刀!?」

 

「そうだよ。もちろん、今回徴収したわけじゃないよ。ちょっと前に、それなりに強かった隊士から頂戴したものだよ」

 

 青い…水の呼吸の剣士が使っていたものと、緑色の…風の呼吸の剣士が使っていたものの二本を、今は阿修羅が使っている。

 阿修羅は鬼から方相氏の体になってるから、使えるのは二本までだ。…でも、手数は減ったけど、力と速さが上がっているので、六本の頃よりもずっとずっと強い。

 

「…山坊主、ちょっと抜かせて」

「おう」

 山坊主の胸に突き刺さっている日輪刀を引っこ抜く。

 方相氏の体にこれだけ突き入れられるんだから、かなりの力と速さだ。…でも、引っこ抜くには力が足りなかったようだね。

 

 不思議な日輪刀だ。軽くて、刃がほとんどついていない。突きに特化した形状をしている。

 

「…先端に溝があるね」

 

 溝に液体が少し残っている。もちろん、山坊主の血であるわけがない。

 

 …ぺろ…

 

「…あは、やっぱり毒だ。藤の花を使ったやつだね、この間のよりも毒性が濃いね…」

 

 ニヤリと笑ってやる。

 

 

「…でも、想定の範囲内だ…」

 

 

「…くっ」

 

「…日輪刀は盗られた。しかも、そもそも毒も効かない。もちろん、山坊主と阿修羅にも当然効かない…」

 

 

 …負ける要素が、どこにも見当たらない。

 

 

 

「…やっちゃえ、阿修羅、山坊主」




うちの零余子ちゃんは、すーっぐに調子に乗ります。
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