「…あっ」
つい声が出た。
「…どうかしたのか?」
聞かれたので、応える。
「今、兄さんがやられた。…なんて言ってるうちに、父さんもやられたみたいだ」
零余子を見送って、それほど時間が経たないうちに、事態が動き出した。
「…同じ相手だったのかはわからないけど、ほぼ出会い頭に一撃でやられてるみたいだから、それなりの相手なのは間違いないかな」
先に来た二十人とは格が違う相手が、一人ないし二人いるということになる。
「…面倒だな。とりあえず零余子と合流するか」
「…いってらっしゃい」
僕のその言葉に、ため息をつかれた。
「…お前を置いていくわけにもいかない。…それに、お前は母や姉の場所がわかるんだろう? 案内役を頼む」
「まあ、それなら…」
とりあえず、母さんの方に向かいながら、姉さんの位置も母さんの方に向かって動いていることに気付く。
「…姉さんも、母さんの方に向かっているな。…零余子と合流したのかな?」
「そういうのは、力を分け与えているからわかるのか?」
そう問われたので、頷く。
「…お前は、あんまり強くなろうとはしないんだな」
「…そう、…かも、しれない」
肯定するのもどうかとは思ったが、否定もできないのでそう答えた。
「…そうか」
呆れられてしまっただろうか? …まあ、だからと言って、どうするわけでもないけれど。
そこで気付く。
前方から、まっすぐにこちらに向かってくる人間…鬼殺隊…ゆらめく羽織の、左右の柄が違うな。
「…僕が」
迎撃しようとする猗窩座様にそう声をかけ、両手の指に力を籠める。
父さんか兄さん、あるいはその両方をやったかもしれない剣士、それなりの対応はしてやろう。
指から最硬度の糸をつむぐ…
「…血鬼術、刻糸輪転(こくしりんてん)…」
ギュルギュルと音を立てて高速で回転…螺旋を描く糸が、奴へと襲い掛かる。
…全集中・水の呼吸…拾壱ノ型……凪(なぎ)…
「!?」
「…ほう」
何だ? 何をした? 奴の間合いに入った途端、糸がばらけた。
一本も届かなかったのか? 最硬度の糸を……斬られた?
そんなはずはない。もう一度…
「…えっ?」
ギィンッ!
「…静かで深い。いい闘気だ」
気づいたら、僕の後ろで、奴と猗窩座様が刀と拳を合わせていた。
「…上弦の…参」
「…水の柱か」
…破壊殺・乱式…
…水の呼吸…拾壱ノ型…凪…
「…見たことがない技だ。以前殺した水の柱は使わなかった」
刀で受け流しているのか? 猗窩座様のあのすさまじい拳打までも?
…水の呼吸…参ノ型…流流舞い(りゅうりゅうまい)…
流れるように振るわれる刀を、猗窩座様が拳打で全て打ち払う。攻守の切り替わりが速すぎる。目で追いきれない。
…これが柱。…これが、上弦の鬼!
ぎゆしの、どっちも逆の方に行っとけばって感じですが…
げ、原作通りだし(震え声)