零余子日記   作:須達龍也

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とりあえず、今回で那田蜘蛛山編は終了です。

なんというか、まとめようとしたら、グダグダと伸びてしまいました(苦笑)

この後、ちょろっと柱合会議を入れようかなと思ってます。



那田蜘蛛山10

 べべんっ!

 

 

 鳴女さんの琵琶の音が響くと、大半の者がそこから消えていた。それぞれの場所に行ったんだろう。

 

 …そして、残されたのは…

 

「…猗窩座様」

「…なんだ?」

 累君が猗窩座様に声をかけてる。

 

 

「僕の兄さんになってくれませんか?」

 

 

「…え゛っ?」

 

 累君から、キラキラとした期待の眼差しを受けて、猗窩座様が変な声を出してる。

 しかし、この私を差し置いて、なんという交渉をしているのかね、累君は!

 

「ほっほーう、猗窩座様をお兄さんにね。なるほどなるほど!」

「…なに?」

 累君が、面倒なのが来たって目でこっちを見てくる。…ちょっと表情が豊かになってるね。良いのか悪いのかわかんないけど。

 

 

「なら、私のことは、お義姉さんと呼んでもいいわよ!!」

 

 

「……それはいい」

 

 累君が、も~~んの、すんごーーーっっく、イヤそうな顔をしてそう言った。

 

 ちょっと、表情が豊かになりすぎじゃない!? あんたそんな顔できたんかいっ!!

 

「なんでよっ!」

「…零余子が姉……ありえない」

 

 なんでじゃー、こらーーー!!!

 

「猗窩座様が兄なら、私は義姉でしょ!」

「…そうはならない」

(義がついてるのは、おかしいです)

 

 むっきーーーー!!!!

 

 

「家でやれ!!」

 

 

 …無惨様に怒られました。

 

 

 

 

 

 その後、無惨様のお誘いでお茶をする。

 

「今日は… いいきんつばが… 手に入った…」

 

 黒死牟様が買って来て下さったきんつばをお茶うけに、無惨様が点ててくれたお抹茶をいただく。

 

 私が甘味を食べれるようになったことを知り、無惨様が興味を持たれ、うちの実験室…もとい手術室でいじくった雑魚鬼を取り込み、ご自身で改造された。

 なんでも、脳の一個をいじくって、甘味を食べれるように改造したとのことで、脳が一個じゃないんかい!…と、びっくりしたものだ。

 その後、黒死牟様の改造も、無惨様がされた。

 猗窩座様と累君も、私がやらないか?って誘ったんだけど、固辞された。

 ついでに、鳴女さんにも遠慮された。

 

 一人で食べるのも味気ないからと、それなりにお呼ばれしてたりする。大体月一くらいで。…なんというか、もう慣れた。

 

 今回も、無惨様が女性の姿だったので、あるかなと予想はしていた。

 甘味は女性の姿の方が、美味しく感じるとのことだ。私は男性になったことがないので、よくわからないんだけどね。

 

 黒死牟様は、全国各地を歩き回って、美味しい和菓子をよく持ってきてくれる。

 洋菓子も好きらしいんだけど、洋菓子店に入るのには抵抗があるらしい。

 

 代わりに私は、洋菓子をよく持ってくる。それに合う紅茶探しにも余念はない。

 

 無惨様は、舶来ものをよく持ってきて下さる。

 そして、合わせるのはコーヒーが多かったりする。

 …そう、苦味を感じるのは無惨様ご自身で発見されたようで、それを参考に私も改造したんだけど、苦味よりは甘味だなあ、私は、うん。

 

「…軍のほうは、どんな話だ?」

 

「…大戦争では、合衆国の参戦がほぼ決定したみたいですね。欧州で始まったのが、日本だけでなく、アメリカにまで広がるんですねえ」

 最近の話題は、欧州で始まった大戦争についての話が多かったりする。

「あのような所まで… 戦争に… 行くのだな……」

 イギリスとの同盟で、日本も戦争に参加したという話では、黒死牟様はすごく驚かれたようだった。…まあ、世界の反対側だもんねえ。

「こんな小さな島国で、世界に張り合おうとするとは、愚かなことだな」

「まあ、たとえ虚勢だとしても、欧州列強と張り合わないと、日本も植民地になってたかもしれませんからねえ」

 無惨様はバカにされるけど、私はよくやってると思いますよ。

「これだけ遠いと… なかなか… 聞こえてこないな…」

「まあ、都合が悪いところは、伏せてますしね」

 市井の人間は、新聞報道を鵜呑みにするしかなく、私のように軍のお偉いさんから直接聞くのとは、大きく違う。

 

「無惨様は、世界に打って出るんですか?」

 

 国内での無惨様のこだわりは、もう鬼殺隊くらいなもんで、それからの展望はどうなるのか。

「…正直、あんまり考えてはいないな。Uボートというのは、面白そうだとは思うが」

 海に浮かぶ船でなく、海の中を進む船というのに、無惨様は興味をひかれたみたいだ。鹵獲は無理でも、図面くらいは欲しいって無茶を言われてたりする。

 

 

「…上弦の零、というのはどうだ?」

 

 

 いきなりぶっこんで来た。

「…嫌ですよ。入れ替わりの血戦で、黒死牟様に斬られるのも嫌ですし、あんにゃろうに喰われたりするのは、絶対に嫌です!」

「いやいや、入れ替わりの血戦の対象外にするから、大丈夫だ」

 最近の無惨様は、すぐに私を上弦にしようとする。ちょっと勘弁してほしい。

「一応、十二鬼月っていうハッタリは欲しいですけど、あまり実力以上の地位だと、しんどいです。…主に胃痛で。甘味が美味しく頂けなくなります」

「…まあ、今更か」

 

「あんにゃろう… と言えば…」

 

 黒死牟様が話を変えてくれる。

「酒を… 飲みたい… と…」

 

「( ´_ゝ`)ふーん」

 

 どうでもいい話だった。

「くくくっ、どうでもよさそうだな」

「…そうですねえ。…正直、お酒を飲んだことがないので。無惨様はどうですか?」

「…私も、言われてみれば、酒を飲んだことはないな」

 私の問いかけに、無惨様がそう答えられた。

「…人間の頃は、苦い薬を飲んでた記憶しかないな。

 …食事というのは、ただ生きる為に必要なもので、そこに楽しみや喜びを見出すという発想はなかったな」

 しみじみと感慨深そうに、そう言った。

 

「…きんつば、もう一つどうですか? …ちょっとかじってますけど」

 

「いや、そんなのを渡そうとするな」

 ちょっと嫌そうな顔をされてしまった。

「…実際、うちの研究者がお酒を飲むことについては研究してるんですけどね。

 どうも、味のついた水を飲んでるとしか感じられないらしくって、なかなか大変みたいです」

「そうか… 残念だ…」

 黒死牟様もお酒が飲みたかったのかな。

「…そうですねえ、酔うっていう感覚を再現するのが難しいみたいで…」

 

「…そういう稀血でもいれば、再現できるかもしれないですね」

 

 あははー…と、適当なことを言っておく。

「…味覚というのは、奥深いものだな」

「…ですねえ」

「確かに…」

 三人でしみじみと頷く。

「実際、苦味を覚えた後の方が、甘味が際立ったように思う」

「それはありますね!」

 単純に甘いというだけでなくなったのは、非常に大きい。

「…となると、あとは辛味とか、塩辛さとはまた違うのかな」

「だしの… 旨味…… 懐かしい…」

「そういうのは、人間がいないとな。零余子に任せるしかないか」

 

「はい。お任せください」

 

 

 なんだかんだで、最後はそういう話になる。

 

 

 

 食道楽? …いいねえ、名誉な称号だよ!




鳴女さんは、無惨、黒死牟、零余子のお茶会を、首脳陣による定例会議だと思ってます。
そこに参加しないかと誘ってきた零余子には、そんなものに呼ばないでと遠慮しました。
…あながち間違ってないというw

お茶会で話題に出た「大戦争」は、第一次世界大戦です。
第一次世界大戦は、1914年7月から1918年11月まで続いた戦争で、ドイツを中心にした中央同盟国を、数の暴力でボコった戦争になります。うん、そんな感じ(爆)
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