零余子日記   作:須達龍也

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いい加減、完結詐欺にも程があるとは思ってますが、次話投稿します。

オリジナルの新キャラが登場です。鬼殺隊の戦力アップになるか!?


最終選別試験1

 今、俺の前で二人の弟子が十メートル程の間を空けて、相対している。

 

「それでは、これより合わせ稽古を始める!」

 

 二人の背格好はほぼ同じ、何の因果か二人共が娘っ子だ。

 

「まずは、壱ノ型!」

 

 二人共が姿勢を落とし、居合の体勢になる。

 

 

「始め!!」

 

 

 

 …雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃(へきれきいっせん)…

 

 

 

 二人の間合いは即座に潰れ、中央で木刀ではありえない轟音を鳴らして、打ち合わされる。

 

「戻れ!」

 

 俺の指示に合わせ、即座に同じ場所へと戻る。

 俺から見て右側…黒髪を後ろに束ねた少女、八神 鳴(やがみ めい)の表情が少し硬い。姉弟子ゆえの緊張感が見て取れる。

 

「次は、弐ノ型!」

 

「「シィィィィ」」

 

 二人が再び前傾姿勢を取る。呼吸音がここまで聞こえてくる。

 

 

「始め!!」

 

 

 

 …雷の呼吸 弐ノ型 稲魂(いなだま)…

 

 

 

 ガ…ガ…ガ…ガ…ガァン!!!

 

 

 互いの五連撃が連なり、激突音が一つに重なる。

 

「戻れ!」

 

 再び元の位置へと、互いに相手を見据えたまま、後ろ足三歩で戻る。

 左側…肩で切りそろえられた白髪が、さらりと揺れる少女、わずか半年前に弟子入りしたばかりとは思えない落ち着きようだ。

 その紅の瞳で、姉弟子を静かに見据える。

 

「次は、参ノ型!」

 

 次は雷の呼吸の中でも、互いに合わせるのが一番難しい技だ。わずかでも遅れた方が、一身に連撃を喰らってしまう。

 

 

「始め!!」

 

 

 

 …雷の呼吸 参ノ型 聚蚊成雷(しゅうぶんせいらい)…

 

 

 

 互いに位置を入れ替えるように回りながら、連撃を繰り出す。

 

「戻れ!」

 

 両者が元の位置…とは、入れ替わった場所へと移る。

 

「鳴、腕を上げたな。参ノ型までよく習得した!」

 

 俺のその言葉に少し苦笑した後、こちらに目を向けて来た。

「姉弟子の矜持…と言うのも、追い抜かれた後では、胸を張れませんが」

 鳴は数年前に引き取った内弟子で、光るものはあったが、あまり熱心とは言えなかった。

 流行り病で両親を亡くした後、引き取られた伯父の家での扱いは、あまり良いものではなかったようで、伯父夫婦が鬼に殺された際にも、あまり悲しくはなかったようだ。

 育手になりたてだった俺が、半ば無理矢理に弟子にしたようなものだったので、仕方がなかった面もある。

 

「続きは師匠がお願いします。声かけは私が」

 

 実力ではもう追い抜かれてしまった妹弟子を、それでも優しいまなざしで見つめて、そう言った。

 鳴の妹弟子…俺の新たな弟子は、ひょっこりと現れ、なんとはなしに気付けば弟子になっていた。

 記憶を無くし、過去も、名前すら持たなかったその娘は、まぎれもない天才だった。

 鋭敏な五感に加え、身体能力も極めて高く、呼吸法すらもわずか数日で覚えた。

 

「わかった」

 

 声に出して褒めてやることはしないが、それでもしっかりと鳴の成長は認めている。

 妹弟子に追い抜かれまいと努力した一か月を…それよりもなお、追い抜かれた後も腐らずに追い続けた五か月を、認めないはずがない。

 

「次は、肆ノ型!」

 

 俺が居た場所に立った鳴が、そう言葉を発する。

 鳴が居た場所に立った俺は、数メートル先に立つ少女を見つめる。

 

 白い髪に、白い肌、紅の瞳、記憶と名前を持っていなかった少女だが、おそらくあまりいいものではなかっただろうと思われる。

 

 

「始め!!」

 

 

 

 …雷の呼吸 肆ノ型 遠雷(えんらい)…

 

 

 

 こちらは片足だけの踏み込みだったとは言え、ほぼ中央にて木刀を打ち合う。

 

「戻れ!」

 

 よく練り込まれていると、驚嘆せずにはいられない。

 わずか半年前には全集中の呼吸を、まるで知らなかったとは思えない。時透無一郎もかくやと言わざるを得ないだろう。

 

「次は、伍ノ型!」

 

 俺が育てたとは、おこがましくて言えやしない。

 誰が育てても、この少女は同じように成長しただろう。

 

 

「始め!!」

 

 

 

 …雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷(ねっかいらい)…

 

 

 

 互いに飛ばした斬撃が、中央で衝撃と音を巻き散らかす。

 

 桑島の爺さんには、会うたびに弟子を自慢されているが、俺の弟子だって負けていない。

 柱の数は足りているが、次の鳴柱になるのは、うちの子に間違いない!

 

「次は、陸ノ型!」

 

 雷の呼吸は全部で六つだ。つまり、これが最後の技。

 

 

「始め!!」

 

 

 

 …雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟(でんごうらいごう)…

 

 

 

 無数の斬撃を飛ばしながら、斬り込み、打ち払い、鳴らし合う。

 

 足を一本失い、一線を退いたとは言え、元柱の俺とここまで打ち合えるのは、鬼殺隊士でも数えるほどしかいないだろう。

 

 それが、まだ試験すら受けていない見習いであるなど、誰が信じられようか。

 

「…見事だ、未来(みらい)」

 

 

 成宮 未来(なりみや みらい)…名前と過去を失った少女に、俺が贈った名前だ。

 

 

 

「鳴と未来、二人共、次の選別試験に挑むことを許可する!」




成宮未来、一体誰なんだ!?…とか言ってみる。

零余子→無過去→未来、安直と言われても構わない。
いつまでも雑魚鬼なのもなんなんで、少しパワーアップ!
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