今日も今日とて、お茶会です。
黒い着物の無惨様、黒い着物の黒死牟様、朱い着物の私、でも、頂いているのはエクレール・オ・ショコラで、合わせるのはコーヒーです。無惨様が用意してくれました。
エクレールはフランス語で稲妻って意味だったはずで、今日の日にはなかなかにピッタリで面白い。
和やかな雰囲気で始まったんですが、私の一言で、変な空気になりました。
「一週間後にある今度の最終選別試験、受けることになりました」
「…はぁ?」
こいつ何言ってるんだって顔で、無惨様が小首をかしげた。
「…どういうことだ? 最終選別試験とやらで産屋敷の者から、本拠地を探るって話だったと思うが、受けるというのは、初めて聞いたぞ」
「えぇっと、私も受けるつもりはなかったんですけど、たまたま昔魅了した隊士が、育手…剣士を育成する立場になってまして、そいつの弟子になれば真正面から最終選別試験に臨めるなと思い、そうしてみました」
えっへんと胸を張ってそう言うと、無惨様が若干あきれています。
それにしても、会ったから思い出したけど、自分自身にまで暗示をかけれたとは思わなかったねえ。
まあ、あの頃は、無惨様に心読まれたら死ぬって状況だったから、ただただ必死だったんだろうけどさ。
「…なんというか、お前は相変わらずだな」
…相変わらず…すごい? …頑張ってる? …まあ、褒めてくれてますね!
「何の… 呼吸… なんだ…?」
「雷の呼吸です。どうかなって思ったんですが、私にはなかなかあってたみたいです。私は電気を操る血鬼術も使ってたんで、それも良かったのかな…なんて思ってます」
パチッ…
五センチくらいに離した両手の人差し指の間で、放電させます。
普通は大気は電気を通しませんが、非常に電圧を上げると抵抗値の高い空気であっても、電気を通します。
雲の中で溜まりに溜まった電気が、大気を強引に通って地面へと到達するのが、雷という現象です。
そういう意味では、親和性があったのかもしれません。
「雷の呼吸… 力よりも速さを尊ぶ…… 女性向き… やもしれぬな…」
「速くなるのはいいですよね。逃げるのにも、もってこいです」
「…なるほど。相変わらずだな」
…褒めてます、よね?
「まあ、見ていてください。かーるく、合格して来ますから」
ふふん…とそう言う私に、やれやれと言う感じで、無惨様が左右に首をふります。
「いやいや、私ってばすごいって、滅茶苦茶褒められてるんですよ。元鳴柱の師匠が言うには、霞柱の時透無一郎に並ぶほどの天才って話なんですよ!」
「…いや、あのなあ…」
「霞柱… 時透無一郎… とは…?」
何か気になったのか、黒死牟様がズイっと聞いてこられた。
「えっと、わずか数年で柱に就任した天才剣士で、何でも…ヒの呼吸の使い手の子孫だって、言われているそうですよ」
「………… ほう…」
「…どうでもいいが、目的は忘れていないだろうな」
「ちゃんと、合格しますよ?」
ジロリと睨み付けられた。
「…わかってますよ。産屋敷の者には、ちゃーんと接触して、”印”を付けます。鬼殺隊の本拠地は、必ず突き止めます」
「…ならいい」
ただ、それはそれとして、だ…
「私専用の日輪刀、絶対に欲しいです」
これは、譲れないね!
エクレール・オ・ショコラはエクレアです。当時の日本ではまだなじみは薄いですが
無惨様が輸入してきたら、取り寄せるのは多分大丈夫なはずですw