零余子日記   作:須達龍也

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説明回ですな。


最終選別試験4

 さて、すぱっと切り替えよう。

 

 今回、産屋敷の者は来ない。鬼殺隊の本拠地は見つけられない。終わったことを気にしてもしょうがない。

 別に今回が最後の機会というわけでもないだろう。

 まず、この最終選別試験を合格する。そして、鳴ちゃんも一緒に合格する。これが最低条件。

 鬼殺隊士になった後、コンビを組むことも多いと聞く。それなら鳴ちゃんが一番都合がいい。

 さくさくと邪魔な雑魚鬼を倒して、階級を上げて、なんだったら適当な下弦でもぶっ殺して、柱になるというのも良いかもしれない。

 柱合会議というのがあるらしい。柱になったら、間違いなく本拠地へと乗り込める。

 師匠の話では、目隠しして連れていかれるそうだが、別の鬼に私を監視させておけば問題ないだろう。

 

 鬼殺しの本拠地に連れていかれるのは、怖くないのかって?

 

 確かに、昔だったら、泣き叫ぶくらいに嫌だったのは、間違いない。

 柱が集まる場所に、たった一人で行くなんて、死にに行くようなものだって、思ったことだろう。

 

 でも、今の私が鬼だとバレることは、絶対にないと断言できる。

 

 そもそも、人間と鬼の違いはなんだろうか。

 まずは見た目、外見が大きく違う。

 ただ、明らかに人外な形状をしている鬼は別だが、見た目については、擬態で割とどうとでも誤魔化せる。

 

 目の次の感覚器としては、耳になる。

 ただ、これについても、心臓が二つあるとか、呼吸をしないとか、よほど変でない限りは、まずバレない…というか、根拠にならない。ちょっと常人と違う音してるとか、どんな理由だ。意味がわからん。

 

 その次の感覚としては、嗅覚になる。

 これなんだけど、鬼と人だと、実は匂いにすごい違いがある。

 鬼になったばかりだと、ほとんど差はないんだけど、人を喰った鬼は、なんというか、非常に言葉にしづらいんだけど、鬼の匂いになる。血の匂いがするというか、死の匂いがするというか、表現が難しいんだけど、はっきりと違うのだけは間違いない。

 そしてこれ、私に関しては問題ない。

 自慢じゃないが、私はこれまで人を食べたことがない。だから、この人を喰った匂いというのは、私からはまったくしないと言える。

 

 ただ、鬼の匂いとは、この人を喰ったことがあるかどうか、それだけじゃないのだ。

 

 無惨様の血の匂い、これが一番大きかったりする。

 私は鬼の居場所と、その鬼の大体の強さを、この無惨様の血の匂いで判断している。簡単に言うと、無惨様の血の匂いが濃ければ濃いほど強い。

 この無惨様の血の匂い、どんな匂いかと聞かれると、これまた表現が難しい。個人的嗜好が大きく反映されるというか…私はそんなに嫌いじゃないですよ、ええ。

 そして、無惨様の血の濃さも、これまた単純に、どれだけ血をもらったかによる。

 そういうわけで、私が無惨様の血をどれだけもらったかなんだけど、これがまあ、かなりもらっていると思う。おそらく下弦では飛びぬけてるだろうし、下手したら上弦の下の方よりも多い可能性もある。

 

 じゃあ、匂いでバレるんじゃないのかって?

 

 その問題を解決しているからこそ、最終選別試験なんかに参加できているんですよ。

 

 私の体には、無惨様の血を専用に貯めておく内臓器官があったりする。…というか、後から作った。もう、ただただ、その為だけの器官なんだけど、私には必須の重要器官だったりする。それこそ、心臓や脳よりも、ずっとずっと重要な器官だ。

 なぜなら、無惨様の血は多すぎると、私の体が崩壊してしまうくらいやばいものだ。

 だから、まずはこの器官に貯めておいて、ちょっとずつ、無理が出ないくらいに、私の体に吸収するようにしている。

 無惨様の血に適応できず、どろっどろに溶けた鬼を見たことがある。あれは怖い。怖すぎる。

 そんなわけで、無惨様から頂いた血の大半…というか、九割くらいはここに貯めたままになってたりする。だって、ホントに怖いんだから、仕方がない。

 

 でもまあ鬼の状態では、この貯めたままの無惨様の血の匂いをふんだんに出すようにしてたりする。

 それが威圧感として、雑魚鬼をびびらせるのに非常に使える。

 下弦の肆という立場に加え、上弦にも匹敵する威圧感、その九割がハッタリでも、謎の強者感がすごく出ていて、とっても気持ちがいいのだ。

 

 逆に人間に擬態する際には、この器官を完全に切り離して、別の器官で包み込む。

 臭いものには蓋をする…ではないけれど、この器官から匂いが外に出ないようにして、更に魅了の応用で、別な香りで誤魔化すようにしている。

 その別な香りなんだけど、最近は甘いものばかり食べているせいか、あま~い香りがするようになってしまった。鳴ちゃんにも、ケーキみたいな甘い匂いがすると言われてしまった。

 人間に擬態している時には、絶対にあんにゃろうと出会ってはいけない。本当に喰われかねない。

 

 ただまあ、ぐだぐだと言ってきたけれど、もっと単純に、鬼だとは絶対にバレない理由がある。

 

 

 それは、太陽の光だ。

 

 

 鬼の弱点は、太陽の光。これはどんな下っ端の鬼殺隊士だって、どんなに頭の悪い雑魚鬼だって、知っている。

 だからこそ、この鬼の弱点はそのまま、鬼の定義にすらなっている。

 

 

 鬼は、太陽の光に、焼かれて死ぬ。

 

 

 転じて、太陽の光に、焼かれて死なないのは、鬼じゃあない。

 

 

 つまり、少々変なところがあっても、多少違和感があっても、太陽の下で普通に過ごしていれば、絶対に鬼だとバレることはないのだ。

 

 いや、もっと言えば、バレるバレないの話じゃない。連中にとっては、そんな鬼が居てもらっては困るのだ。

 

 

 

 だから、絶対に私が鬼であるなどと、認められない。そんなことを認めることなど、到底できるはずがないのだ。




とりあえずの零余子理論です。
いろいろ穴はあいてますが、「私は常に正しい」とか言う無惨様理論よりはマシw

無惨様は、鬼への褒美は血って方なので、零余子ちゃんは下弦ではありえないくらい血をもらってます。
無惨様も、最初は死なれると困るので、恐る恐るあげてたんだけど、零余子ちゃんが割とピンピンしてるので、最後は気にせずにドバドバあげてます。
実は、九割使えてないことよりも、一割も使えていることがすごかったりします。

無惨様の血を、全部吸収できるようになったら、強さでも上弦の零を名乗れるでしょう。

今のペースだと、百年くらいはかかりますけどね。
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