…いやあ、やりすぎちゃったね。
静電気でふわふわと浮き上がる髪を撫でつけながら、反省する。
特に、首を斬った後、頭を四分割にしたのは、ちょっとやりすぎだ。
雑魚だったんだけど、的だけは大きかったので、ちょっおぉっと調子に乗り過ぎてしまったようだ。反省反省。
「成仏しろよ!」
消えゆく雑魚鬼に、哀悼の意を示す。
パリッ…バチッ…
師匠や鳴ちゃんと違い、私が本気で雷の呼吸の技を使うと、全身が帯電する。
多分、あの二人と比べて足りない部分を、無意識に血鬼術で補っているんだろう。
でも、ちょっと、あれだ…
…すごくない?
いやいやいや、調子に乗っているのは、認めるよ。でもさ…
…すごいって、絶対っ!!
「むふーーー!! 零余子ちゃん、つよーーーい!!」
腰に手を当てて、高笑いをしてしまうのも、しょうがない、しょうがない!
「こらー! 未来ー! 一人でずんずん行くなー!!」
おっと、鳴ちゃんがもうやって来た。
避難してもらってた、女の子二人も後ろにいるね。
「どうよ、鳴ちゃん! すごくなかった?」
「はいはい、すごいすごい」
すっごい雑に、鳴ちゃんが褒める。
「いやいや、もっと心を込めて褒めてよ!」
憤慨してそう言う私に、へっ…て顔をする。鳴ちゃんの私に対する扱いが、段々雑になっている気がするね。
「すごかったです!!」
肩を貸している方の女の子が、キラッキラした目で褒めてくれる。
「んふー、でしょーー!」
「本当に、すごかったです! 雷神の化身のようでした!」
盛大に褒めてくれる。うんうん、愛い奴じゃー!
「むふん、君はなかなか見る目があるね」
「あっ、私は、氷雨 雪(ひさめ ゆき)って言います。水の呼吸で、でも全然で、本当にありがとうございました!」
雪ちゃんというその子は、バタバタと手を動かしながら、ぺこりと頭を下げて来た。
なんというか、子犬のようだ。ほほえましいね。
「ありがとうございます、おかげで助かりました。私は夏木 薫(なつき かおる)。風の呼吸の剣士です」
あの鬼に握りつぶされそうになっていた子は、薫ちゃんというそうだ。
落ち着いた、どこかお姉さんのような雰囲気を持っているね。まあ、私程じゃあないけどね!
それで、名前と呼吸名を言うのが、鬼殺隊の自己紹介の定型文なのかな?
「私は成宮未来。雷の呼吸の天才剣士さ!」
胸を張ってそう名乗ると、鳴ちゃんが呆れたようにため息をつく。
「私は八神鳴。その子の姉弟子…まあ、保護者みたいなものかな」
お姉ちゃんぶりたい年頃なのか、鳴ちゃんはすーぐに、お姉ちゃん風を吹かすんだよね。間違いなく、私の方が年上なんだけどねえ。
「ま、自己紹介も終わったし、みんなで一緒に行動しようか?」
私のその提案に、二人が目を丸くする。
「それは、ありがたいんですが…」
「…いいんでしょうか」
おずおずと、そう聞いてきた。
「この試験、群れてちゃ駄目なの?」
わからなかったので、鳴ちゃんに聞く。
「うーん、そんな禁止条項は、特になかったと思う」
柱二人も、そんなことは言ってなかった。駄目ならあそこで言うべきだろう。
「ですが、そんな寄生するみたいなのは…」
薫ちゃんは真面目だねえ。怪我をしてて、一番助けが必要だと思うのに、そんなことを気にするんだな。
「柱の人も言ってたよね。鬼を倒すことよりも、生き残ることを優先しろってさ」
「…成宮さん」
「せっかくだし、四人で、合格しようよ!」
にっこり笑って、そう提案した。
零余子ちゃんに、手を握ってあげる優しさはない。手鬼死すべし、慈悲はない!
零余子ちゃんは、異形の鬼はあんまり好きじゃないです。
可愛い女の子の方が好きですw