零余子日記   作:須達龍也

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登場しない主人公の代わりに、零余子ちゃんが手鬼討伐しました。




最終選別試験6

 …いやあ、やりすぎちゃったね。

 

 静電気でふわふわと浮き上がる髪を撫でつけながら、反省する。

 特に、首を斬った後、頭を四分割にしたのは、ちょっとやりすぎだ。

 雑魚だったんだけど、的だけは大きかったので、ちょっおぉっと調子に乗り過ぎてしまったようだ。反省反省。

 

「成仏しろよ!」

 

 消えゆく雑魚鬼に、哀悼の意を示す。

 

 パリッ…バチッ…

 

 師匠や鳴ちゃんと違い、私が本気で雷の呼吸の技を使うと、全身が帯電する。

 多分、あの二人と比べて足りない部分を、無意識に血鬼術で補っているんだろう。

 

 でも、ちょっと、あれだ…

 

 

 …すごくない?

 

 

 いやいやいや、調子に乗っているのは、認めるよ。でもさ…

 

 

 …すごいって、絶対っ!!

 

 

「むふーーー!! 零余子ちゃん、つよーーーい!!」

 

 

 腰に手を当てて、高笑いをしてしまうのも、しょうがない、しょうがない!

 

 

「こらー! 未来ー! 一人でずんずん行くなー!!」

 

 おっと、鳴ちゃんがもうやって来た。

 避難してもらってた、女の子二人も後ろにいるね。

「どうよ、鳴ちゃん! すごくなかった?」

「はいはい、すごいすごい」

 すっごい雑に、鳴ちゃんが褒める。

「いやいや、もっと心を込めて褒めてよ!」

 憤慨してそう言う私に、へっ…て顔をする。鳴ちゃんの私に対する扱いが、段々雑になっている気がするね。

 

「すごかったです!!」

 

 肩を貸している方の女の子が、キラッキラした目で褒めてくれる。

「んふー、でしょーー!」

「本当に、すごかったです! 雷神の化身のようでした!」

 盛大に褒めてくれる。うんうん、愛い奴じゃー!

「むふん、君はなかなか見る目があるね」

 

「あっ、私は、氷雨 雪(ひさめ ゆき)って言います。水の呼吸で、でも全然で、本当にありがとうございました!」

 

 雪ちゃんというその子は、バタバタと手を動かしながら、ぺこりと頭を下げて来た。

 なんというか、子犬のようだ。ほほえましいね。

 

「ありがとうございます、おかげで助かりました。私は夏木 薫(なつき かおる)。風の呼吸の剣士です」

 

 あの鬼に握りつぶされそうになっていた子は、薫ちゃんというそうだ。

 落ち着いた、どこかお姉さんのような雰囲気を持っているね。まあ、私程じゃあないけどね!

 それで、名前と呼吸名を言うのが、鬼殺隊の自己紹介の定型文なのかな?

 

「私は成宮未来。雷の呼吸の天才剣士さ!」

 

 胸を張ってそう名乗ると、鳴ちゃんが呆れたようにため息をつく。

 

「私は八神鳴。その子の姉弟子…まあ、保護者みたいなものかな」

 

 お姉ちゃんぶりたい年頃なのか、鳴ちゃんはすーぐに、お姉ちゃん風を吹かすんだよね。間違いなく、私の方が年上なんだけどねえ。

 

 

「ま、自己紹介も終わったし、みんなで一緒に行動しようか?」

 

 

 私のその提案に、二人が目を丸くする。

「それは、ありがたいんですが…」

「…いいんでしょうか」

 おずおずと、そう聞いてきた。

「この試験、群れてちゃ駄目なの?」

 わからなかったので、鳴ちゃんに聞く。

「うーん、そんな禁止条項は、特になかったと思う」

 柱二人も、そんなことは言ってなかった。駄目ならあそこで言うべきだろう。

「ですが、そんな寄生するみたいなのは…」

 薫ちゃんは真面目だねえ。怪我をしてて、一番助けが必要だと思うのに、そんなことを気にするんだな。

 

「柱の人も言ってたよね。鬼を倒すことよりも、生き残ることを優先しろってさ」

 

「…成宮さん」

 

 

「せっかくだし、四人で、合格しようよ!」

 

 

 

 にっこり笑って、そう提案した。




零余子ちゃんに、手を握ってあげる優しさはない。手鬼死すべし、慈悲はない!

零余子ちゃんは、異形の鬼はあんまり好きじゃないです。
可愛い女の子の方が好きですw
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