零余子日記   作:須達龍也

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最終選別試験を棄権しても、どっかで柱を襲って魅了すればいいやって思ってました。

試験終わりに立ちあう柱を、自分、阿修羅、山坊主、猗窩座様の四人がかりで行けばなんとかなるだろうか? …いやいや、逃がさない為に、黒死牟様にも来てもらおうとか…計画してたとか、してなかったとかw



最終選別試験8

 水源の確保は任せてくださいとの言葉通りに、雪ちゃんが耳を澄ましたり、くんくんと犬みたいに匂いをかいだりした後、こっちです…と、あっと言う間に見つけた。

 

 水の呼吸、水場を探すのにも使えるのだろうか?

 

 飲み水の確保の後は、寝床の確保だ。

「何かあった時の為には、熟睡しないほうがいいんですけど、でも人数がいるならば、しっかりと寝たほうがいいですね」

 そちらの方は、薫ちゃんが星を見たり、草を見たりしながら、いい場所を捜索してくれている。

 素人の私は、とりあえずついていくだけだ。

 横を見ると、私同様にただついていくだけの鳴ちゃんがいる。

 

「ぷぷっ、鳴ちゃん、役立たず?」

 

「いやいや、お前よりは詳しいからな」

 鳴ちゃんは負けず嫌いだなあ。

 

 

 

 星が綺麗に見える、草が生えているだけの、すっぽりと空いた土地にみんなでしゃがみ込む。

「夜が明けてから昼までと、昼から日没までの二交代で寝ることにしましょう」

 私はもう眠くなっていたのだが、薫ちゃんがそう提案してきた。

 まあ、鬼が居る山で眠るのだ、太陽が照っている時になるのも当然か。

「じゃあ、戦力的に私と鳴ちゃんは別にした方がいいね」

 雪ちゃんと薫ちゃんは歯が立たなかった、あの手ばかりの鬼でも、鳴ちゃんは問題なく倒せるだろうからこその提案だ。

「戦力的に考えたら、未来と他三人になるけどな」

 

「それは寂しいから、却下!」

 

 夜明けまではまだ時間がある。

 知り合ったばかりの四人だけど、自然といろんな話がされる。

 

「八神さんも、もしかして未来さんと同じくらい強いんですか?」

 

 薫ちゃんが、おずおずとそう聞いてきた

「鳴でいいよ。私の強さは、まあまあかなと思ってる。もちろん、未来みたいにはおかしくないよ」

「おかしいってなんだー!」

「ああ、やっぱり! あれはおかしいですよね!」

 雪ちゃんも、こくこくと頷く。

「さすがに、あれくらい強くないと試験を受ける資格がないってわけじゃなかったですよね」

 薫ちゃんが気にしていたのは、そこだったみたいだ。

 

「でも私、今回のことでは、ちょっと…いえ、かなり師匠を恨んでます」

 

 雪ちゃんがぶすっとした顔で、そう言った。

「ここに居る鬼は、数人しか食べていない弱い鬼ばかりで、私でもなんとかなるって聞いてたのに、あいつには全然歯が立たなくって、話が違うって思いましたもん」

「私もそう聞いてましたね。血鬼術を使う鬼はもちろん、異形の鬼も出ないと」

 雪ちゃんの意見に、薫ちゃんが同調した。

 

「んー、あくまでも、この山に放り込まれた時は弱い鬼だって話で、この山には弱い鬼しかいないっていうのは、早計な判断だよね」

 

 鳴ちゃんが厳しいことを言う。

「数人しか食べたことのない鬼が、この山で受験者を返り討ちにし、その後異形の鬼になるくらい強くなるっていう可能性は否定できないし、実際その通りだったわけで」

 確かにあの手ばかりの鬼は、この山では一番強い鬼であり、そうなったのは、何度も行われた最終選別試験で鬼殺の剣士の卵達に殺されずに、一番長く生きのびてきた結果なわけで。

 

「そう言われると、やっぱり他の皆さんに申し訳ない気持ちになりますね」

 

 薫ちゃんが苦笑する。

「未来さんが来てくれなかったら、私達は死んでた可能性が高かったもんねえ」

 雪ちゃんもうんうんと頷く。

「言ったらなんだけど、たまたまだよ」

 殊更に感謝されるのもどうかと思ったので、そう切り出した。

 

「たまたま二人が襲われているところに到着して、まだ生きていたから助けただけで、わざわざ駆けずり回って、襲われている人を助けるつもりもないし、鬼を殺すために探し回るつもりもないよ」

 

 これは、まごうことなき本音だ。

「個人的には、あんまりここに居る鬼を殺すつもりはないんだ。

 そもそも、試験の為に集められてるわけで、減ったら補充の必要があるし、自然に減ることはあっても、増えることはないんだし」

「…それは、そうですけど」

 雪ちゃんは、微妙に納得が行かないようだけど…

 

「ここに居る鬼って、この山から出られない以上、もう悪さをすることができないわけでしょ?

 襲えるのは、この山に入ってくる人間…つまりは、受験者だけなわけで。鬼を殺しに来ておいて、でも殺される覚悟はないなんて、そんなの通用しないと思う」

 

 これは、私が鬼だから持つ考えなのだろうか?

 

「私は、未来の意見もわかるかな。そもそも死にたくないなら、受けるなよって思う」

 鳴ちゃんがバッサリと言い切った。やっぱり厳しいね。

 

 

 東の空が白んでくる。

 

 

「じゃあ、寝ようか? 私はもう眠いから先に寝させてもらうね」

「だったら、もう一人は、怪我してる薫ちゃんになるかな」

 

 

 

 私と薫ちゃんで、最初に寝ることになった。おやすみなさい。くぅ…




手鬼って、真菰を殺し、錆兎を殺し、鱗滝さんの弟子のほとんどを殺していて、原作では一番最初に出て来た、憎むべき鬼として登場しました。

ただ鬼側の視点からだと、藤襲山で生まれた、鬼側の主人公候補とも言えるんですよねえ。
捕まって、藤襲山という牢獄に入れられたけど、次々と襲い掛かってくる刺客を返り討ちにして、生き残って、強くなって、主人公適正は高かったと思います。

ただ、ビジュアルがなあw
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