その後のことは、あんまり覚えていない。
実際、四人そろっていれば、どうとでもなった。
他に仲間を増やそうなんて、当たり前だが思いもしなかった。そして、それを提案されることもなかった。
女の子だけの中に、男を入れるつもりなんてなかったし、そもそも合格者を増やすようなことをする気にはならなかった。
考えることはただ一つだけ…
どうやれば、鬼殺隊の本部を見つけられるか?
ただそれだけを、考えていた。
鳴ちゃん、雪ちゃん、薫ちゃんは、あれ以降も普通だった。
ちょっとしょげてしまっている私に、気を遣ってくれるくらいだった。
みんなは、鬼に対して、恨みも憎しみも持っていない。
でも、この試験に合格して、鬼殺隊に入って、仲間ができて、友人ができて…
…その友人が、鬼に殺される…
それは、当たり前に起こる。
殺そうとする以上、殺されることはある。それは当たり前のことだ。
そして、鬼を恨む。鬼を憎む。
仲間の仇、友人の敵を討つんだと…そうなる。それも当たり前のことだ。
そうして、鬼殺隊の闇へと堕ちていく。
なんて腹立たしいんだろう。なんて憎たらしいんだろう。
鬼に対して恨みも憎しみもない、なんの関わりもない者たちを、自然と復讐者へと変えていく。
なんて厭らしい組織だ。吐き気がする。
…おっと、余計なことを考えてしまった。反省反省。
とにかく、鬼殺隊の本拠地を探ることが肝要だ。
まず思いつくのは、鎹鴉。
隊員一人につき、一羽ずつつく。
人語を解し、人語を操ることができる。正直どうなっているのか、研究者として興味はつきない。
…閑話休題…
鎹鴉は、本部からの指令を、隊員に伝えるのが役目だ。
監視の役割もあるのではないかと、個人的には思っている。
つまり、鎹鴉は、本部の場所を知っている。
もちろん、下っ端の隊員の鎹鴉は知らないかもしれない。知らない可能性の方が高いとも思う。
ただ、重要な隊員の…少なくとも柱担当の鎹鴉は、本部の場所を知っている…知ることになると思う。
間を介することで秘匿性を上げることよりも、直接連絡を取ることにより情報伝達の速度を上げることのほうが、重要になるからだ。
鎹鴉の魅了、それは最優先事項だ。
無事に、最終日の朝を迎えた。
合格者は、私達の他には、たったの二人。
それでも、いつもの倍の人数と言えるし、仮に私が試験を受けてなければ、鳴ちゃんとそいつら二人の三人だけと、いつもの人数とも言えるかもしれない。
「おめでとうございます!」
蟲柱と水柱の二人が立ち会う。相変わらずの胡散臭い笑顔で、蟲柱が白々しい祝辞を述べる。
「まずは隊服を支給しますね。体の寸法を測り、その後に階級を刻みます」
蟲柱が、私達四人を見る。
「大丈夫です。ちゃんとした隊服を支給しますから」
いや、ちゃんとしてない隊服があるのだろうか?
「…階級は十段階ある。甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)、丁(ひのと)、戊(つちのえ)、己(つちのと)、庚(かのえ)、辛(かのと)、壬(みずのえ)、癸(みずのと)。今のお前たちは、一番下の癸になる」
水柱がそう告げた。
「日輪刀は?」
他に生き残っていた男が、そう聞いた。
「この後、玉鋼を選んでもらいますね。日輪刀が出来上がるまでは十日から十五日でしょうか?」
蟲柱が質問に答えた。
「それじゃあ、今から鎹鴉をつけますね」
来た!
鴉が降りてくる。私の元には…
「え? 鴉? これ? 雀じゃね」
…雀だったんですけどー!!
いや、待て、人語を操るなら、問題はない…はずだ!
「お前、しゃべれる?」
チュン…
小首を傾げられた。
あかんやつやー!!!!
別に善逸の雀ではないですよー。
雷の呼吸には、鎹雀と決まっているのですw