神剣が選ぶもの(旧ありふれた魔王に勇者ときどき転生者) 作:くろから
「神意よ! 全ての邪悪を滅ぼし光をもたらしたまえ! 神の息吹よ! 全ての暗雲を吹き払い、この世を聖浄で満たしたまえ! 神の慈悲よ! この一撃を以て全ての罪科を許したまえ!――〝神威〟!」
怒りのままに放たれた光輝最大の技がベヒモスを飲み込んだ
ベヒモス「ご・・・ガ・・・・」
限界突破で強化された神威に耐えきれず、ベヒモスは倒れた、
光輝「はぁっ・・・・はあっ・・・・優花と恵理は・・・瓦礫を退けて・・・必ず助ける・・・もう誰も死なせるわけには」
ふらふらになりながらも優花と恵理が吹き飛ばされた方向に向かおうとする
雫「だめ!光輝は休んでて、その体じゃまともに動けないでしょ、」
パーティー総出で捜索していると、声が聞こえてきた
恵理「みーんーなー」
雫「!よかった!」
そうして汗だくになりながら掘り起こすと、メルド団長が声を上げた
メルド「よし!これで今回の攻略はここまでだ!上に戻るぞ!」
~~~~迷宮入り口~~~~~
光輝「くそ・・・・こんなんじゃダメだ・・・・もっと強くならないと・・」
メルド「そう焦るな、確実に強くなっているぞ」
鈴「その剣はなあに?エリりん?」
アグニ「見ての通りすこし喋れるだけの剣だ」
ルドラ「その通り」
鈴「うわぁ!」
ルドラ「そう驚くな」
メルド「その剣は・・・魔具か」
恵理「え?そんな呼び方あるんですか」
メルド「ああ、神代のアーティファクトにそう呼ばれるものがいくつかある」
恵理「じゃあ、優花ちゃんのも・・・」
優花「えぇ?いやよ恥ずかしい」
鈴「ぇえ?なに何?鈴さんすっごく興味がありますよ?」
キラキラした目で見つめられた優花は、照れ臭そうに顕現させた
鈴「おぉ〜」
優花「はぁ・・・・やっぱり呪いの武器なんじゃないの?こんな悪趣味な見た目で」
恵理「そんなことないよ、壁壊した時の優花ちゃんすっごくかっこよかったもん!」
優花「そうかな・・・」
鈴「それに雰囲気も少し変わったよ?なんか・・・大人っぽくなった」
雫「言われてみればそうね」
鈴「大人の色気で未来くんもイチコロだね!」
優花「なんでそこで未来が出てくんのよ!」
メルド「こら、遊んでないで宿に戻って休養だ、しっかり休まんと身体が持たんぞ」
〜〜〜裏迷宮〜〜〜〜〜
未来「ヘックシ!!」
ユエ「・・・・・うわさされてる」
ハジメ「君たちすっごいお気楽だね?!今囲逃げてるんだけど?!」
なぜ彼らが絶賛逃走中をしているのかというと・・・
「「「「「「「「「「「「シャァアア!!」」」」」」」」」」」」
二百体近い魔物に追われているからである。
ここに至るまでの経緯を綴ろう。
ハジメ達が準備を終えて迷宮攻略に動き出したあと、十階層ほどは順調に降りることが出来た。ハジメの装備や技量が充実し、かつ熟練してきたからというのもあるが、ユエの魔法が凄まじい活躍を見せたというのも大きな要因だ。
全属性の魔法をなんでもござれとノータイムで使用し的確にハジメを援護する・・・ときに未来を巻き込みながら、明らかな悪意を感じるが、未来が『盾』で防ぐために不発に終わっている
未来「あ!正面から新手だ!ここは俺が・・・」
ユエ「・・・緋槍」
未来「うお!!?」
頭に可憐な花を咲かせたティラノの頭が吹っ飛んだ
未来「いい加減俺ごと撃つな!」
ユエ「・・・・未来はこのくらい確実に避ける、問題ない、囮としては優秀」
ハジメ「最近僕の出番がないなぁ」
そして最近はユエがいち早く魔物をシュンコロするため2人の出番がない
ユエ曰く「……私、役に立つ。……仲間だから」
要約すると2人の援護だけしているのが我慢できなかった、とゆうことだろう
その時は、ユエが、魔力枯渇するまで魔法を使い戦闘中にブッ倒れてちょっとした窮地に陥ってしまい、何とか脱した後、その事をひどく気にするので慰める意味で言ったのだが……思いのほか深く心に残ったようである。
南雲「はは、いや、もう十分に役立ってるって。ユエは魔法が強力な分、接近戦は苦手なんだから後衛を頼むよ。前衛は僕たちの役目だ」
ユエ「……ハジメ……ん」
ハジメに注意されてしまい若干シュンとするユエ。
未来「おい、そこの夫婦、新手だ」
ハジメ「ちょっと!」
ユエ「夫婦・・・・いい響き」
十体ほどの魔物が取り囲むようにハジメ達の方へ向かってくる。統率の取れた動きに、二尾狼のような群れの魔物か? と訝しみながらユエを促して現場を離脱する。数が多いので少しでも有利な場所に移動するためだ。
円状に包囲しようとする魔物に対し、ハジメは、その内の一体目掛けて自ら突進していった。
そうして、生い茂った木の枝を払い除け飛び出した先には、体長二メートル強の爬虫類、例えるならラプトル系の恐竜のような魔物がいた。
頭からチューリップのような花をひらひらと咲かせて。
ユエ「……かわいい」
未来「……流行りなのか?」
ユエが思わずほっこりしながら呟けば、未来はシリアスブレイカーな魔物にジト目を向け、有り得ない推測を呟く。
ラプトルは、ティラノと同じく、「花なんて知らんわ!」というかのように殺気を撒き散らしながら低く唸っている。臨戦態勢だ。花はゆらゆら、ふりふりしているが……
「シャァァアア!!」
刃渡り二十センチはある鉤爪の攻撃を3人は左右に散開することで回避し、「空力」で三角跳びをしたハジメの銃撃でチューリップが四散した
ラプトルは一瞬ビクンと痙攣けいれんしたかと思うと、着地を失敗してもんどり打ちながら地面を転がり、樹にぶつかって動きを止めた。シーンと静寂が辺りを包む。ユエもトコトコとハジメの傍に寄ってきてラプトルと四散して地面に散らばるチューリップの花びらを交互に見やった。
ユエ「……死んだ?」
ハジメ「いや、生きてるっぽいけど……」
ハジメの見立て通り、ピクピクと痙攣した後、ラプトルはムクッと起き上がり辺りを見渡し始めた。そして、地面に落ちているチューリップを見つけるとノッシノッシと歩み寄り親の敵と言わんばかりに踏みつけ始めた。
ハジメ「え~、何その反応、どういうこと?」
ユエ「……イタズラされた?」
未来「いや、そんな背中に張り紙つけて騒ぐ小学生じゃねぇんだから……」
未来がそう答えながらラプトルの首を切った
ハジメ「えぇ〜」
ユエ「・・・・・未来、鬼畜」
未来「あ、悪い、隙だらけだったもんで、つい」
ハジメ「いやまぁ、いいんだけど・・・」
未来「エヘぇん、まあ、あれではっきりしたな、あの花で操ってる魔物がいるらしい」
ハジメ「そうだね、この数を相手にするのも面倒だし、頭だけ叩いちゃおうか」
ドトドドドドドドド・・・
ハジメ「えーっと・・・」
未来「マジかよ」
ユエ「・・・・どうかした?」
未来「生命反応が二百体ほど接近中・・・」
ユエ「・・・わかりにくい」
ハジメ「二百強の敵がここに向かってる!」
ユエ「・・・・それは大変」
未来「冷静か?!にげるぞ!」
こうして3人は二百体強の魔物を引き連れて迷宮を爆走することになる
時を戻そう
未来「やけに必死だな!」
ハジメ「多分親玉に近づいてるんだ!このままいこう!」
ユエ「・・・・ん、美味しい」
ハジメ「定期的に吸血しないで!」
こんな状況にもかかわらず、ハジメの血に夢中のユエ。元王族なだけあって肝の据わりかたは半端ではないらしい。そんな風に戯れながらもきっちり迎撃し、ハジメ達は二百体以上の魔物を引き連れたまま縦割れに飛び込んだ。
縦割れの洞窟は大の大人が二人並べば窮屈さを感じる狭さだ。ティラノは当然通れず、ラプトルでも一体ずつしか侵入できない。何とかハジメ達を引き裂こうと侵入してきたラプトルの一体がカギ爪を伸ばすが、その前に未来がモナドを突き刺して阻止する。そして、すかさず錬成し割れ目を塞ぐ。
ハジメ「ふぅ~、これで取り敢えず大丈夫」
ユエ「……お疲れさま」
ハジメ「そう思うなら、そろそろ降りてくれないかな?」
ユエ「……むぅ……仕方ない」
未来「もう俺は何も言わんぞ・・・」
ハジメの言葉に渋々、ほんと~に渋々といった様子でハジメの背から降りるユエ。余程、ハジメの背中は居心地がいいようだ。
未来「さて、ここでビンゴだといいんだが」
ハジメ「とりあえず先に進もう」
しばらく道なりに進むとやがて大きな広間に出た。広間の奥には更に縦割れの道が続いている。もしかすると階下への階段かもしれない。ハジメは辺りを探る。〝気配感知〟には何も反応はないがなんとなく嫌な予感がするので警戒は怠らない。気配感知を誤魔化す魔物など、この迷宮にはわんさかいるのだ。
突然全方位から緑色のピンポン玉のようなものが無数に飛んできた。ハジメとユエは一瞬で背中合わせになり、未来はモナドを抜刀し飛来する緑の球を迎撃する。
しかし、その数は優に百を超え、尚、激しく撃ち込まれるのでハジメは錬成で石壁を作り出し防ぐことに決めた。石壁に阻まれ貫くこともできずに潰れていく緑の球。大した威力もなさそうである。ユエの方も問題なく、速度と手数に優れる風系の魔法で迎撃している。
未来「ユエ、おそらく本体の攻撃だ。どこにいるかわかるか?」
ユエ「……」
ハジメ「ユエ?」
ユエに本体の位置を把握できるか聞いてみる未来。ユエは〝気配感知〟など索敵系の技能は持っていないが、吸血鬼の鋭い五感はハジメ達とは異なる観点で有用な索敵となることがあるのだ。
しかし、未来の質問にユエは答えない。訝しみ、ユエの名を呼ぶハジメだが、その返答は……
ユエ「……にげて……ハジメ!」
突然の攻撃にハジメは目を見開く、回避しようとするが、急増のバリケードの中は3人いるため回避するには狭い
未来「おい!『盾』!」
未来がシールドを展開しハジメを守る
未来「オイコラユエてめぇ!」
ハジメ「待って!おそらくあの緑玉だ!」
そう言いながらハジメは先ほどと同じように花を撃ち抜こうとしたが、操る側も学んでいたらしい、花を守るように上下に激しく運動し始めた。
ハジメ「ダメだ!これじゃ頭ごと撃ち抜いちゃう!」
ユエ「ハジメ……未来、うぅ……」
ユエが無表情を崩し悲痛な表情をする。ラプトルの花を撃ったとき、ラプトルは花を憎々しげに踏みつけていた。あれはつまり、花をつけられ操られている時も意識はあるということだろう。体の自由だけを奪われるようだ。
見かねた未来が切り落とそうと接近するが、突然ユエが片方の手を自分の頭に当てるという行動に出た。
未来「……やってくれるじゃねぇか……」
つまり、ハジメ達が接近すればユエ自身を自らの魔法の的にすると警告しているのだろう。
ユエは再生できるが、一瞬で塵にされて仕舞えばその限りではない、2人が攻めあぐねていると、奥の割れ目から地球で言うドライアードやアルラウネのような姿の魔物が現れた、その醜悪な香織は勝利の愉悦に笑っていた
未来「おそらく俺らには耐性系の技能のおかげであのクズの胞子は効かない、ハジメ、お前が撃て、助けたのはお前だ、」
ハジメ「そんなこと言ったって・・・・!」
未来「これは物語でもなんでもないぞ、撃てないなら、俺がユエごと斬る」
そうこうしているうちにユエが風を放ってきた、
風の刃を回避しようとすると、これみよがしにユエの頭に手をやるのでその場に留まり、サイクロプスより奪った固有魔法〝金剛〟により耐える。
ハジメがこの状況をどう打開すべきか思案していると、ユエが悲痛な叫びを上げる。
ユエ「ハジメ! ……私はいいから……撃って!」
何やら覚悟を決めた様子でハジメに撃てと叫ぶユエ。ハジメの足手まといになるどころか、攻撃してしまうぐらいなら自分ごと撃って欲しい、そんな意志を込めた紅い瞳が真っ直ぐハジメを見つめる。
未来「・・・目つむっとけ」
ハジメ「ダメだ!!!!」
未来が爆縮を使って接近しようとする前に、ハジメは銃を持った腕を野球のサイドスローのように振りかぶると、腕を全力で振り抜きながらドンナーを発砲した、するとユエと一直線上に立っていたはずのアルラウネもどきの頭だけが爆砕した。
ユエ「え?・・・」
ユエは不思議そうな顔をしている
未来「まさか・・・・曲げたのか?」
ハジメ「多分・・・必死だったからよく覚えてないや」
ユエ「・・・・ありがとう」
そう言うとユエ顔を赤くしながらはハジメに抱きついた
正直ユエ自身、最終的には自分ごとやられるだろうと思っていたのだが
、それでも彼女も女である、多少の夢を見て、少し躊躇ってもらえれば十分だったが、ハジメは自分を無傷で解放してくれたのである、現実は小説より奇なり、といったところであろうか。
ハジメ「うん、無事でよかったよ」
かくして、そこは夫婦2人の空間になってしまっていた
未来「俺、なんか悪いことしたか?」
次回はいつになるんでしょう、僕にもわからん