神剣が選ぶもの(旧ありふれた魔王に勇者ときどき転生者) 作:くろから
ハジメ「ついにきたね」
未来「・・・・そうだな」
ユエ「・・・これで最後?」
ハジメ「これでちょうど99層・・・・順当に行くなら次が最後だろうね」
未来「ハジメの装備の点検も終了、ユエの回復もバッチリ、いよいよだな」
ユエ「・・・・どう言うこと?」
ハジメ「多分、最後の強敵があると思うんだ、」
ユエ「・・・・成る程、ラスボス」
ハジメ「なんでそんな用語知ってるのかな・・・」
未来「さてと、降りるぞ」
その階層には無数の柱に支えられた巨大な空間が広がっていた柱の一本一本が直径五メートルはあり、一つ一つに螺旋模様と木の蔓が巻きついたような彫刻が彫られている。柱の並びは規則正しく一定間隔で並んでいる。天井までは三十メートルはありそうだ。地面も荒れたところはなく平らで綺麗なものである。どこか荘厳さを感じさせる空間だった。
ハジメ達が、しばしその光景に見惚れつつ足を踏み入れる。すると、全ての柱が淡く輝き始めた。ハッと我を取り戻し警戒するハジメとユエ。柱はハジメ達を起点に奥の方へ順次輝いていく。
ハジメ「正に、って感じだね」
未来「ここが・・・・なんだっけ」
ユエ「反逆者の住処」
そう話しながら進んでいくうちに最後の柱を越えた
その瞬間、扉とハジメ達の間三十メートル程の空間に巨大な魔法陣が現れた。赤黒い光を放ち、脈打つようにドクンドクンと音を響かせる。
ハジメは、その魔法陣に見覚えがあった。忘れようもない、あの日、ハジメが奈落へと落ちた日に見た自分達を窮地に追い込んだトラップと同じものだ。だが、ベヒモスの魔法陣が直径十メートル位だったのに対して、眼前の魔法陣は三倍の大きさがある上に構築された式もより複雑で精密なものとなっている。
ハジメ「これは・・・!あの時と同じ!」
未来「おいおい・・・でかいぞ!」
魔法陣はより一層輝くと遂に弾けるように光を放った。咄嗟に腕をかざし目を潰されないようにするハジメとユエ。光が収まった時、そこに現れたのは……
体長三十メートル、六つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い眼の化け物。例えるなら、神話の怪物ヒュドラだった。
「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」
未来「裁きでも与えるってか?」
モナドを構えながらそう愚痴る
ハジメ「神様に背くようなまねをした覚えはないなぁ」
ドンナーを構えながら言う
同時に赤い紋様が刻まれた頭がガパッと口を開き火炎放射を放った。それはもう炎の壁というに相応しい規模である。
三人は左右に分かれて回避し反撃を開始する、
ハジメのドンナーの射撃が赤頭を吹き飛ばした
ハジメ「まず一つ」
其のすぐ後白い文様の入った頭が「クルゥアン!」と叫び、吹き飛んだ赤頭を白い光が包み込んだ。すると、まるで逆再生でもしているかのように赤頭が元に戻った。白頭は回復魔法を使えるらしい。
少し遅れて未来とユエがそれぞれ頭を破壊するが同じように回復されていく
念話で未来が伝える
未来”ダメだキリがない!”
ハジメ”白いのから狙おう!”
ユエ”ん、わかった”
ユエ「緋槍」
燃え盛る槍が白頭に迫る。しかし直撃かと思われた瞬間黄色い頭が肥大化して魔法を受け止めた
未来「『魔』」
ドパン!
『魔』のかかった銃撃でも破壊できない、
ハジメ「あれタンク役か!」
未来「ヒーラーにタンクとはバランスの良いことだな」
ハジメ「だったら火力で押し通る!」
未来「だそうだ!最上位いけ!ユエ!」
ユエの反応がない
ハジメ「ユエ!しっかりして!」
ハジメの呼びかけにも答えず一点を見つめてガタガタと震えるユエ、ハジメがその視線の先に目をやると黒頭がじっとユエを見つめていた
ハジメ「黒いの精神系の状態異常だ!」
未来「分析はいいから行ってやれ!」
ハジメはユエの元に向かおうとするがそれを邪魔するように赤頭と緑頭が炎弾と風刃を無数に放ってくる。
未来「突っ切れ!『鎧』!」
モナド『鎧』は一回どんな攻撃も防ぐ『盾』と違ってダメージを軽減する代わりに効果時間が長い、
ハジメがユエに駆け寄ると未来が頭の攻撃を引きつける
ハジメ「ユエ!しっかり!」
ペシペシとユエの頬を叩く。〝念話〟でも激しく呼びかけ、神水も飲ませる。しばらくすると虚ろだったユエの瞳に光が宿り始めた。
ハジメ「ユエ!」
ユエ「……ハジメ?」
ハジメ「うん、ハジメだよ、大丈夫? 一体何された?」
パチパチと瞬きしながらユエはハジメの存在を確認するように、その小さな手を伸ばしハジメの顔に触れる。それでようやくハジメがそこにいると実感したのか安堵の吐息を漏らし目の端に涙を溜め始めた。
ユエ「……よかった……見捨てられたと……また暗闇に一人で……」
ハジメは何も言わずにユエを抱きしめる
そうするとユエはふわりとした綺麗な笑みを浮かべた
ユエ「・・・・・・もう大丈夫」
そう言われてハジメはユエを解放した
ユエ「ん、許さない、蒼天!」
ユエは指示どうりに黄色頭に最上級魔法を放つ
直撃した
無傷とはいかないようだが、黄色頭を破壊するには至らなかった
ユエ「むう・・・・硬い」
ハジメ(シュラーゲンを使おう、接近する援護よろしく)
ユエ(・・・・・ん)
未来(りょーかい、外すなよ)
未来「出し惜しみなしだ!!『鎧』!」
未来がモナド『鎧』を起動し、一気に接近する黒頭がこちらを見つめるが、不思議と何も感じない
ユエ「ん、いい陽動」
そう言いながらユエは3色の頭と同格に渡り合う
一方、ハジメは三つの首がユエに掛かり切りになっている間に、一気に接近する。万一外して対策を取られては困るので文字通り一撃必殺でいかなければならない。黒頭が未来に恐慌の魔法が効かないと悟ったのか、今度はハジメにその眼を向ける。ハジメの胸中に不安が湧き上がり、奈落に来たばかりの頃の苦痛と飢餓感きがかんが蘇ってくる。だが……
ハジメ「もうそれは関係ない!」
そう、それはとっくに耐え切った過去だ。今更あの日々を味わったところでどうということはない。
未来「お前の相手は俺だ!」
よそ見した隙をついて未来が黒頭を破壊する
白頭がすかさず回復させようとするが、その前にハジメが〝空力〟と〝縮地〟で飛び上がり背中に背負っていた対物ライフル:シュラーゲンを取り出し空中で脇に挟んで照準する。
黄頭が白頭を守るように立ち塞がるが、そんな事は想定済みだ。
ハジメ「狙い撃つぜ!」
ハジメが〝纏雷〟を使いシュラーゲンが紅いスパークを起こす。弾丸はタウル鉱石をサソリモドキの外殻であるシュタル鉱石でコーティングした地球で言うところのフルメタルジャケットだ。シュタル鉱石は魔力との親和性が高く〝纏雷〟にもよく馴染む。通常弾の数倍の量を圧縮して詰められた燃焼粉が撃鉄の起こす火花に引火して大爆発を起こした。
ドガンッ!!
大砲でも撃ったかのような凄まじい炸裂音と共に赤い弾丸が、更に約一・五メートルのバレルにより電磁加速を加えられる。その威力はドンナーの最大威力の更に十倍。単純計算で通常の対物ライフルの百倍の破壊力である。異世界の特殊な鉱石と固有魔法がなければ到底実現し得なかった怪物兵器だ。
黄頭もしっかり〝金剛〟らしき防御をしていたのだが……まるで何もなかったように弾丸は背後の白頭に到達し、そのままやはり何もなかったように貫通して背後の壁を爆砕した。階層全体が地震でも起こしたかのように激しく震動する。
後に残ったのは、頭部が綺麗さっぱり消滅しドロッと融解したように白熱化する断面が見える二つの頭と、周囲を四散させ、どこまで続いているかわからない深い穴の空いた壁だけだった。
ハジメ「フッ・・・任務完了」
未来「戦闘中に遊ぶなよ」
一度に半数の頭を破壊されたため、呆然とハジメを見つめるヒュドラ、しかしそんな隙を見逃す未来ではない
未来「モナドォォォォォォォ『斬』ァァァァァァ!!!!!」
延長された光の刃を振り抜き一気に三つの頭を破壊する
ユエ「・・・・・・美味しいところだけ持っていった」
ハジメ「今のは譲るところでしょ」
未来「ええ?!悪いの俺か?!」
その直後、
「ハジメ!」
ユエの切羽詰まった声が響き渡る。何事かと見開かれたユエの視線を辿ると、音もなく七つ目の頭が胴体部分からせり上がり、ハジメを睥睨へいげいしていた。思わず硬直するハジメ。
だが、七つ目の銀色に輝く頭は、ハジメからスっと視線を逸らすとユエをその鋭い眼光で射抜き予備動作もなく極光を放った。先ほどのハジメのシュラーゲンもかくやという極光は瞬く間に1番近くにいたハジメに迫る。
未来「『盾』!!!」
咄嗟にモナド『盾』を発動しながら未来は爆縮を使いユエを助け出す
ハジメは極光に飲み込まれ、眩い光が収まるとハジメは全身から煙を上げながら前のめりに倒れた
ユエ「ハジメ!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
未来が間髪入れずにユエの頬を叩く
ユエが訳もわからずに未来を見ると、その顔は凄まじいまでの憤怒の形相で
未来「ハジメを助けて離脱しろ」
ユエ「でも・・・・」
未来「俺が理性を保ってられる間にとっとと消えろ!!!」
ユエ「・・・・・わかった」
ユエがハジメに近づくのを銀頭が妨害しようと光弾を放つが
未来「『疾』」
ユエに『疾』をかけると自分は爆縮で2人の前に立ちはだかり全て切り飛ばした
未来「おい、これ以上怒らせるな」
未来「モナド『撃』!」
モナドの刀身が赤く輝く、
未来「楽に死ねると思うなトカゲ野郎・・・・!」
ヒュドラ「クルルァァァァン!!!!」
銀頭の鳴き声とともに破壊したはずの首が全て再生した
三色の魔法が雨霰と降り注ぐが、「孤軍奮闘」でステータスが五倍まで膨れ上がった未来からしてみればあくびが出るほど遅い攻撃でしかない
未来「遅い!」
魔法の間を縫って接近し、黄色頭が反応する間も無く三つの頭を破壊する
接近したのに合わせて銀頭が極光を放つが、未来の姿は既にない、ヒュドラの反応するよりも前に未来は離脱していた
2回目の大技に部屋が耐えきれなくなったのか、部屋が崩壊を始める
しかし、一撃でかの龍を葬る術は彼に焼き付いている
未来『其れは我が魂を鍛えし無垢の刃、与えるは憤怒、纒うは必殺、総てを切り裂く我が戦技を受けよ!モナドォォォォォォォ『斬』ァァァァァァ!!!!!!」
思い出すように、夢を見るように詠唱が綴られ、もはや忌避するほどに赤く染まった刀身がヒュドラに向かって振り下ろされた
刀身が光の奔流となってヒュドラを飲み込み、消滅させる
過剰な負荷がかかった未来はその場で気絶した
ハジメ「未来!」
神水で回復したハジメが未来を担ぐ
ユエ「早く!」
階層が崩壊する中を走り抜け、部屋に駆け込む、
ハジメ「あ・・危なかったー」
ユエ「ん、ぺしゃんこになるところだった」
感想くれれば投稿頻度上がる・・・・かも?