神剣が選ぶもの(旧ありふれた魔王に勇者ときどき転生者) 作:くろから
クラス全員のステータスが判明してから二週間が経った
刃や未来、光輝はと言うと・・・・
メルド「今の突撃は無謀すぎる!勇敢と無謀をはき違えるな!」
未来・光輝「「はいっ!!」」
光輝と未来はメルド相手に訓練していた。最初は軽くあしらわれていたものの、メキメキと実力を伸ばし、最近ではメルドにも遠慮がなくなってきている。
刃は丁度同じ様な戦闘スタイルになると思われる八重樫 雫と鍛錬し、暗殺の技術などはクラス1影の薄い男、遠藤浩介と試行錯誤を繰り返す。
そして休憩中
刃「ハジメ、どうだ?レベル」
ハジメ「全然ダメだ、天之川くんの5分の一程度しか成長してない、錬成も戦闘じゃ役に立たないし、僕は完全な戦力外だね」
刃「それは違うぞ、工房の人たちは筋がいいって言ってたし、錬成だって落とし穴作ったりして援護に使えるだろ、使い方しだいだ、それにお前単純な喧嘩ならそうそう負けないと思うぞ、経験が違う」
ハジメ「そうかなあ、」
刃「だから、図書館にばっかりこもってないで訓練にもちゃんと参加しろよ?頼んだことは調べてくれたか?」
ハジメ「ああ、調べたよ、魔人族と人間族が争っている理由は単に崇める神の違いからみたいだね」
刃「やっぱそうか、宗教戦争じゃなく独立戦争ならまだやる気にもなるんだけどなぁ」
ハジメ「その感覚はどうかとおもうよ・・・・」
刃「あっそろそろ時間だな、訓練行くぞ」
ハジメ「ああ、うん」
檜山「よぉ、南雲。なにしてんの? お前が剣持っても意味ないだろが。マジ無能なんだしよ~」
斎藤「ちょっ、檜山言い過ぎ! いくら本当だからってさ~、ギャハハハ」
中野「なんで毎回訓練に出てくるわけ? 俺なら恥ずかしくて無理だわ! ヒヒヒ」
檜山「なぁ、大介。こいつさぁ、なんかもう哀れだから、俺らで稽古つけてやんね?」
一体なにがそんなに面白いのかニヤニヤ、ゲラゲラと笑う檜山達。
中野「あぁ? おいおい、信治、お前マジ優し過ぎじゃね? まぁ、俺も優しいし? 稽古つけてやってもいいけどさぁ~」
檜山「おお、いいじゃん。俺ら超優しいじゃん。無能のために時間使ってやるとかさ~。南雲~感謝しろよ?」
そんなことを言いながら馴れ馴れしく肩を組み人目につかない方へ連行していく檜山達。それに刃や光輝達以外のクラスメイト達は気がついたようだが見て見ぬふりをする。
刃や光輝は訓練という名の模擬戦に夢中である
「いや、一人でするから大丈夫だって。僕のことは放っておいてくれていいからさ」
一応、やんわりと断ってみるハジメ。
近藤「はぁ? 俺らがわざわざ無能のお前を鍛えてやろうってのに何言ってんの? マジ有り得ないんだけど。お前はただ、ありがとうございますって言ってればいいんだよ!」
そう言って、脇腹を殴る檜山。ハジメは「ぐっ」と痛みに顔をしかめながら呻く。
檜山達も段々暴力にためらいを覚えなくなってきているようだ。思春期男子がいきなり大きな力を得れば溺れるのは仕方ないこととはいえ、その矛先を向けられては堪ったものではない。かと言って反抗できるほどの力もない。ハジメは歯を食いしばるしかなかった。
やがて、訓練施設からは死角になっている人気のない場所に来ると、檜山はハジメを突き飛ばした。
檜山「ほら、さっさと立てよ。楽しい訓練の時間だぞ?」
檜山、中野、斎藤、近藤の四人がハジメを取り囲む。ハジメは悔しさに唇を噛み締めながら立ち上がった。
ハジメ「ぐぁ!?」
その瞬間、背後から背中を強打された。近藤が剣の鞘で殴ったのだ。悲鳴を上げ前のめりに倒れるハジメに、更に追撃が加わる。
中野「ほら、なに寝てんだよ? 焦げるぞ~。ここに焼撃を望む――〝火球〟」
中野が火属性魔法〝火球〟を放つ。倒れた直後であることと背中の痛みで直ぐに起き上がることができないハジメは、ゴロゴロと必死に転がりなんとか避ける。だがそれを見計らったように、今度は斎藤が魔法を放った。
斎藤「ここに風撃を望む――〝風球〟」
風の塊が立ち上がりかけたハジメの腹部に直撃し、ハジメは仰向けに吹き飛ばされた。「オエッ」と胃液を吐きながら蹲る。
魔法自体は一小節の下級魔法だ。それでもプロボクサーに殴られるくらいの威力はある。それは、彼等の適性の高さと魔法陣が刻まれた媒介が国から支給されたアーティファクトであることが原因だ。
檜山「ちょ、マジ弱すぎ。南雲さぁ~、マジやる気あんの?」
そう言って、蹲うずくまるハジメの腹に蹴りを入れる檜山。ハジメは込み上げる嘔吐おうと感を抑えるので精一杯だ。
その後もしばらく、稽古という名のリンチが続く。ハジメは痛みに耐えながらなぜ自分だけ弱いのかと悔しさに奥歯を噛み締める。本来なら敵わないまでも反撃くらいすべきかもしれない。
確かに刃があった通りハジメは刃に半ば強制的に「いじめくらい自分で何とかできる様にしろ」と無理やりか訓練を受けていた、しかし、小さい頃から、人と争う、誰かに敵意や悪意を持つということがどうにも苦手だったハジメは、誰かと喧嘩しそうになったときはいつも自分が折れていた。自分が我慢すれば話はそこで終わり。喧嘩するよりずっといい、そう思ってしまうのだ。
そんなハジメを優しいと称賛する人もいれば、ただのヘタレだと嘲る人もいるだろう、本人にもわからない
そんなハジメを優しいとい言う人もいれば、ただのヘタレという人もいる。ハジメ自身にもどちらかわからないことだ。
そろそろ痛みが耐え難くなってきた頃、突然、怒りに満ちた女の子の声が響いた。
「何やってるの!?」
その声に「やべっ」という顔をする檜山達。それはそうだろう。その女の子は檜山達が惚れている香織だったのだから。模擬戦にを終えた光輝と龍太郎もいた
いや、誤解しないで欲しいんだけど、俺達、南雲の特訓に付き合ってただけで……」
「南雲くん!」
檜山の弁明を無視して、香織は、ゲホッゲホッと咳き込み蹲るハジメに駆け寄る。ハジメの様子を見た瞬間、檜山達のことは頭から消えたようである。
「特訓ね。それにしては随分と一方的みたいだけど?」
「いや、それは……」
「言い訳はいい。いくら南雲が戦闘に向かないからって、同じクラスの仲間だ。二度とこういうことはするべきじゃない」
「くっだらねぇことする暇があるなら、自分を鍛えろっての」
三者三様に言い募られ、檜山達は誤魔化し笑いをしながらそそくさと立ち去った。香織の治癒魔法によりハジメが徐々に癒されていく。
「あ、ありがとう。白崎さん。助かったよ」
苦笑いするハジメに香織は泣きそうな顔でブンブンと首を振る。
「いつもあんなことされてたの? それなら、私が……」
何やら怒りの形相で檜山達が去った方を睨む香織を、ハジメは慌てて止める。
「いや、そんないつもってわけじゃないから! 大丈夫だから、ホント気にしないで!」
「でも……」
それでも納得できなそうな香織に再度「大丈夫」と笑顔を見せるハジメ。渋々ながら、ようやく香織も引き下がる。
「南雲君、何かあれば遠慮なく言って?」
真剣な顔をして香織が言う。ハジメは礼を言う
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訓練が終了した後、いつもなら夕食の時間まで自由時間となるのだが、今回はメルド団長から伝えることがあると引き止められた。何事かと注目する生徒達に、メルド団長は野太い声で告げる。
「明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ! まぁ、要するに気合入れろってことだ! 今日はゆっくり休めよ! では、解散!」
光輝「来たか・・・・・誰も何もなければいいけど、結構前途多難だな」
未来「そこまで気にしても仕方ない、なるようにしかならんさ」
さて、次どうしよう