ヴァルハラの乙女   作:第三帝国

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第31話「芋大尉の驚愕」

 

「つまり、ネウロイはサーニャに近づいてもついぞ反撃してこなかったのか」

 

サーニャの報告を聞いた坂本少佐が、

レクレーションルームに集合した隊員たちを代表して感想を口にした。

 

既に深夜に突入している時間にも関わらず、

疲労を見せていない態度には感服するけど・・・スク水姿一丁だけでは、威厳が台無しだ。

いくら輸送機から降りる際に軍服が濡れたとはいえ、暖炉の前にスク水・・・。

 

なんだろう、違和感しか覚えない。

恥ずかしがる様子もなくなく堂々としているけど・・・やはりエロい。

普段スク水を晒すような場所でないから背徳感やら何やらで余計にえっちい気分になる。

 

「変ねえ、ネウロイと言えば考えなく攻撃してくるものだけど・・・?」

 

「ああ、そうだミーナ。

 ネウロイは我々を視認した瞬間に光線を問答無用に浴びせて来る連中だ。

 ウィッチの攻撃には必ず反撃して来るし、例え反撃してこないネウロイがいたとしても、

 宮藤とリーネが遭遇したネウロイのように基地への攻撃を目的としていた自爆型のものだ」

 

「あの・・・もしかして恥ずかしがり屋さんなネウロイだから、なんて・・・」

 

「そんなわけあるわけないでしょ、リーネさん!

 ネウロイは人類の敵ですからそんな人間らしい反応なんてするはずが有りえません!」

 

「夜も遅いからネウロイも眠たかったんじゃないかな?」

 

しかしここはパンツじゃないから恥ずかしくないもん!

な世界観なのでワタシ以外の人間は違和感を覚えずごく普通に少佐と会話を交わしている。

なお順番的に坂本少佐以降はリーネ、ペリーヌ、シャーリーの順で口を開いている。

 

先ほど少佐のスク水をエロい。

と評したがワタシ以外の全員も雨の中を出撃したから軍服を脱いで下着姿となっており、

この場では金髪、銀髪、黒髪の東西の美少女のあられもない姿を晒しており、

漢にとっては正に楽園、あるいは理想郷とも言える情景があった。

 

・・・つくづく下半身の半身を失ったこの身が恨めしい!!

 

「あるいはサーにゃんのファンだから攻撃しなかったとか?

 サーにゃんって銀髪でミステリアスな雰囲気だしネウロイもサーにゃんを攻撃するのに躊躇したんだよ!」

 

ココアが入っマグカップを片手にエーリカがそう言った。

そんな馬鹿な話があるか・・・とワタシは【原作】から知っていたからそう判断できたが、

 

これまで見られなかったネウロイの動きにああでもない、

こうでもないと頭を働かせて来た人間にとって斬新な意見らしく、

エーリカに注視し、続けて当事者であるサーニャに視線を集中させた。

 

「・・・ってサーニャをそんな目で見るんじゃなイ!」

 

注目されたサーニャは頬を赤らめエイラの後ろに隠れ、

エイラはサーニャを守るべく我々に対して獅子咆哮する。

エイラ―ニャ、御馳走様です。

 

「うぉほん、話を戻そう。

 これまでのネウロイの特徴からして、

 今後も今晩遭遇したネウロイが現れる可能性は非常に高い。

 よって、夜間戦闘を想定したシフトを組むことを考えている」

 

「まずはこれまで通りサーニャさん、

 そしてバルクホルン大尉は今後夜間専従班に従事しその指揮を執ってもらいます」

 

「・・・ワタシが?」

 

エイラを差し置いてミーナはワタシを指名して来た。

いや、まあ夜間戦闘の経験はないことはないのだが・・・。

あれはサーチライトの支援や都市の明かりを助けにしていたし。

 

・・・おい、エーリカ。

もう朝無理やり起こされずに済むと喜ぶな!

それにエイラはこっちを睨むな、別にサーニャを取ったりしないのは分かっているだろ。

 

「それとミーナ、宮藤もだ。

 この際、宮藤には夜間戦闘も経験してもらおう」

 

「え、ええぇぇぇ!?わ、私が?」

 

「宮藤、お前は夜間戦闘訓練はまだだったろう?いい機会じゃないか。

 それに宮藤は訓練よりも実戦を経験した方が直ぐに強くなるようだしな!」

 

そんなぁ、と坂本少佐の物言いに宮藤がぼやいた。

諦めろ・・・これも主人公の定めだからな。

 

「はいはいはいはい!私もやる!絶対やる!」

 

じゃあ、これで行こう。

という流れに成りそうになった時、

エイラが背後から宮藤の頭を押しのけて立候補の意思表示をした。

 

「参加したいのか、エイラ?

 しかしお前には魔導針はないし・・・」

 

「宮藤や大尉もないだろ少佐!

 スオムスで夜間戦闘の経験だってあル!

 それに私の未来予知の魔法なら暗闇から飛来する光線だって避けられル!」

 

渋る坂本少佐にエイラが必死にアピールする。

なんだか就活の面接みたいだ、ああそういえば前世じゃ・・・。

止そう、面接に良い思い出なんてない。

 

「それにサーニャの魔導針。

 私の未来予知と合わされば夜間戦闘はずっと楽になるはずダ!」

 

「ふむ、一理あるな。

 それに4人いれば大型ネウロイに対抗する火力は高くなる・・・ミーナはどう思う?」

 

「哨戒する範囲も広まるし・・・そうね、そうしましょう。

 ではエイラさんも今後夜間哨戒班にてバルクホルン大尉の指揮下に入って下さい」

 

「了解なんだナ、ミーナ中佐!!」

 

ミーナから正式に下された命令にエイラは満面の笑みと共に敬礼を送った。

 

「そしてバルクホルン大尉。

 明日の夜より夜間哨戒の指揮を命じます。

 人員は先の3名をその指揮下に置き、ネウロイを捕捉、撃破してください」

 

「了解した、ミーナ」

 

こちらも敬礼を送る。

会話の流れは違うが【原作】通りエイラは夜間哨戒組に入った。

が、バルクホルンであるワタシが夜間哨戒をこれで正式に指揮することが決まった。

 

「では各自解散。

 今晩はお疲れ様です」

 

ミーナの解散宣言に「お疲れ様でーす」と各自が答えると、

削られた睡眠時間を確保すべく欠伸を噛みしめながら自室へ帰ろうとする。

 

「よう、先にいくぜゲルト」

 

「ああ、お休みシャーリー」

 

既に夢の世界へと旅立ったルッキーニを背負ったシャーリーとすれ違う。

互いに愛称で呼び合うこともこの所慣れて来た。

 

・・・ところで、エーリカ。

何故にワタシに持たれかかっているのやら?

 

「え、トゥルーデ。

 運んでくれるんでしょ?」

 

「なんだ、その何を当たり前なことをと言わんばかりの態度は!

 感謝の気持ちが大いに不足している上に、自分の足で歩いて帰れ!!」

 

「いーやーだーー!

 眠いーーーおんぶしてーーー」

 

などと喚きながら絶対離すもんかとばかりに抱き着く。

こ、こいつは・・・いや、もういい。

エーリカがこんなのであるのはもう知っている事実だ。

 

「ああ、分かった!

 分かったから運んでやる!」

 

「本当!?

 ありがとートゥルーデ!」

 

諦めてエーリカを背負い部屋へと歩き始める。

ワタシとは違い背負われている人物はご機嫌で鼻歌すら歌っている。

 

いい気なもんだ。

しかし、まあこうして誰かを背負うのも懐かしい。

前にこうしたのは本土からの撤退戦で負傷した戦友を運んだ時だ。

さらにその前となると遊び疲れた妹をこうして背負った時ぐらいだろう。

 

そう、何もかもが懐かしい。

 

「ねえ、トゥルーデ」

「何か?」

 

突然エーリカが妙に真面目な声でワタシを呼びかけた。

 

「あんまり、無理しないでね。

 夜間戦闘はカールスラント以降はしてないし」

 

「・・・エーリカ?」

 

らしくないな、何か悪い物でも食べたのか?

と続けて言おうとしたが彼女の青い瞳は真剣であった。

普段はズボラそのもの生活態度だが、時折こうして的確な言葉を投げかけている。

 

「ああ、気を付けるさ。

 エーリカの助言はいつも正しいからな」

 

そしてエーリカの言葉に間違いがない事はこれまでの経験から知っている。

だからワタシは素直に彼女に賛同を表明した。

 

「うん、分かればよろしい!

 明日から頑張ってね、トゥルーデ!

 じゃ、私はこのまま寝るからおやすみー」

 

そういい終えるや否やエーリカはワタシの背中で寝息を立て始めた。

言いたいことだけ言って寝る。

相変わらずのマイペースにただただ苦笑するしかない。

しかし、彼女の助言は確かな物なので明日から実際に従おう。

 

 


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