男の少ないデレマス世界で……   作:猫仔猫

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加蓮、シンデレラガールおめでとう!

と云う事で、急遽書き上げた加蓮回です!!



日常回 8月第4土曜日

8月の第4土曜日。公式生配信を終えて帰ると、家の中に何故か加蓮が居た。

リビングのソファーに横になり、ポテチ食べながらファッション雑誌を読んでいる。

 

「何でうちに居るの?」

 

「んー、小母さんが『急遽出張入ったから、純の事よろしくね』って。そんで、鍵渡されたー」

 

おーおー、完全にだらけモードだな。

そういえば、出張に行くというメールは来てたな。だけど加蓮を家に寄こすなんて、叔母さんはどういうつもりなんだろう。もしかして叔母さんは加蓮が料理出来ると思っているとかか?

 

 

「はいはい、よろしくされましょう」

 

一人ならカップ麺で済ますんだけどなー。と思いながら、キッチンに向かう。

冷蔵庫に何かあるかなーと扉を開けると何かが入ったタッパーがたくさんあった。

 

「あー、それ。純のとこに泊まるって言ったら、お母さんが持たせてくれたの」

 

てか泊まりかよ。小学生の頃はたまにあったけど、中学以降はなかっただろ。

年頃の娘が男の家に泊まりに行くというのに止めなかったのか……って、この世界だと逆で応援するのか? 深くは考えないでおこう。

 

 

「ありがたいな。後で小母さんにお礼を言わないと」

 

「ご飯は無いから、それだけはお願いね」

 

流石に米や麺物は無いか、残念。

まぁご飯を炊くだけなら、洗米して炊飯器にセットするだけだしな。

 

 

さて、ご飯が炊きあがるまで何するかなー。

残り数日しかないから、夏休み課題を終わらせてしまうか。どうせ加蓮も終わってないだろうしな。

 

「ご飯炊けるまで課題やるけど、加蓮はどうする? 一緒にやるなら、分からない所教えてやるぞ」

 

炊飯器にセットしてリビングに戻り、加蓮に聞いてみる。

 

「本当? じゃあアタシもやる!」

 

読んでいたファッション雑誌を閉じてソファーに座りなおしたが、「あっ」っと声を上げて立ち上がった。

 

「家からプリント取ってくる!」

 

加蓮はそう言うと、駆け足で出て行った。

戻って来るまで準備しておくか。部屋から課題のプリントを持ってきて、冷蔵庫から麦茶を取り出してテーブルに置いておく。

 

 

加蓮は10分もしない内にプリント持って戻って来た。サクッと行き来できるのがご近所さんの強みだな。

 

「あれ、純の部屋じゃなく、ここでやるんだ」

 

「あたりまえだろ、俺の部屋には机は一つしかない」

 

「そりゃそうだよねー」

 

持ってきた鞄からプリントと筆記具を取り出して、準備を始めた。

 

「俺は残り2枚だけど、加蓮はどのくらい残ってる?」

 

「うーんと、アタシは4枚だね。保養所でみんなと一緒にやったからね」

 

4枚か、いつもよりはマシだな。今日明日で終わらせることが出来るだろう。

 

「じゃあ今日は1枚やって、明日の午前に終わらせてしまうか。加蓮は明日仕事入ってなかったよな?」

 

「うん、明日は午後からのレッスンだけだよ」

 

 

二人並んで課題を始めた。

俺の残りは日本史と世界史で、加蓮は古文と科学に数学が2枚だ。

解らない所を教科書や参考書で調べつつ、加蓮が解らない所をアドバイスしていく。

 

「もう、古語なんて使わないのに……専門家だけやってれば良いじゃない」

 

「それを言ったらお終いだろう。どの教科だって専門家じゃなければそうそう役に立つ事は無いからな」

 

多少役立つかもしれないのは英語くらいか?

 

「だけどアイドルなら仕事でクイズ番組に呼ばれるしな。おバカアイドルとか呼ばれたくなければ、ある程度は勉強頑張っとけ」

 

俺の言葉に加蓮は固まってしまった。

 

「ク、クイズ番組?」

 

「瑞樹さんと愛梨さんのブレインキャッスルとかに呼ばれてもおかしくはないだろ? むしろデビューして1年以上たって呼ばれてないのが不思議だぞ」

 

「そうだった、まだソロ曲とライブでの臨時ユニットだけだから忘れてた……」

 

そうか加蓮は正式ユニット組んでないから、チーム戦のブレインキャッスルには呼ばれなかったのか。

 

 

1時間ほど課題を進めて晩御飯だ。

加蓮が持ってきてくれたおかずをレンジで温めて、お湯を沸かしてインスタントの味噌汁も付ける。

 

ポテトサラダに唐揚げ、春巻き、肉じゃがにほうれん草のおひたし。

唐揚げと春巻きは冷凍食品らしいが、それでもありがたい事だ。

 

だけど加蓮と二人でご飯か……

家で一緒に食べる時はどっちかの家族が一緒だったし、学校では他のクラスメイトが一緒だったりするからな。

 

 

 

 

 

「ふあぁ」

 

今日も色々あって疲れたなぁ……って、親父臭いな。

 

「純、おつかれ? お風呂にしよっか。アタシは準備するから、先入ってー」

 

俺の欠伸を見た加蓮がお風呂をすすめてきた。

晩御飯の後まったりしていたら、いつの間にか22時を過ぎていたのか。いい時間だし、そうするかな。

 

「ん、じゃあ先にお風呂入るわ」

 

女の方が時間かかるだろうし、加蓮もそう言ってるので先に入ってしまおう。

 

 

 

風呂場に入ると、浴槽にお湯が張ってあった。

俺がまったりしていた間に加蓮が設定してくれたのだろう。

 

髪と体を洗ってお湯に浸かろうとしたところで風呂場のドアが開き、そこには一糸纏わない加蓮の姿があった。

なんで? まだ俺が入っているのだが……

 

「お邪魔しまーす」

 

って、入って来るんかーい!

 

「なぁ加蓮。まだ俺が入ってるんだけど?」

 

「保養所でも混浴したし、二人で入るのも初めてじゃないし、良いじゃない」

 

「保養所では離れてたし、二人で入ってたのは小学生の頃だろ」

 

そう話している間にも加蓮は髪を洗い始めてしまった。

 

「ほらほら。他の男には見せない、アイドルのお風呂シーンだよ♪」

 

何でそんなに楽しそうなのか。俺に見せるように浴槽の方に体を向けているし。

 

 

加蓮が体を洗い終える前に、さっさと上がってしまう事にした。

加蓮はその事に文句を付けてきたが、シャンプー、トリートメント、コンディショナー。その後に洗体と時間かかるだろうが。

その間ずっとお湯に浸かってたらのぼせてしまうわ!

 

 

 

お風呂から上がって部屋のベッドに転がっていると、加蓮が部屋にやって来た。

 

「お疲れの純をマッサージしてあげようと思ってね。ほらほら、うつ伏せになって」

 

そう言われてうつ伏せになると、加蓮は腰に跨って首や肩を揉み始めた。

体を揉まれていると、徐々に眠気が……

 

「あー、気持ち良いわ。加蓮ありがとうな」

 

「うん。眠くなったら、寝ちゃっていいからね」

 

 

 

 

――目が覚めたら朝で、加蓮が隣で寝ていた。

あれぇ?

 




前回の更新後ランキング5位になる事が出来ました。
短編から始まったのこの作品がここまでこれたのも、皆様の応援おかげです。

本当にありがとうございます。

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