男の少ないデレマス世界で……   作:猫仔猫

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皆様のおかげで、3/15 にランキングで17位になりました。
感謝でごぜーますよ。


活動報告に拙作の設定メモを乗せてありますので
作品への質問等はそちらへお願いします。



公式生配信 7月

7月に入り気温が高くなり、連日の夏日でクーラーも絶賛稼働中である。

真夏日並みまで上がった日中の気温も下がりきらない土曜の夕方16時に、動画配信サイト――2525動画――で、今週も346プロアイドル事業部の公式生配信が行われる。

リフレッシュルームに置かれたソファーの前に固定カメラを設置し、今日はここから生配信が行われる。

 

 

「みなさんこんにちは。346プロ、アイドル部門公式生配信のお時間です。進行司会を務めます笹埼純です」

 

「アシスタントの千川ちひろです」

 

もはや定型となった挨拶から生配信が開始され、生配信の視聴者からもおなじみのコメントが投稿されていく。のだが……

 

『わこつ』『純君わこー』『じゅんくん白T1枚!!』『ジュンくん (*´ω`*) アリガト』『(*´Д`)ハァハァ』……

 

――司会進行役の純がTシャツ1枚での登場だったので、いきなりコメントが荒ぶっている。

 

 

「うーん、たかがTシャツ姿でここまでの反応があるとは」

 

「色物、柄物ならともかく、無地の白Tですからね。……汗かいたら透けますし…………」

 

『じゅん君今日は外に行こう!』『じゅんくんの汗を拭いてあげたい』『男の透け乳首が見れると聞いて』『← まだ透けてない』……

 

 

叔母にも注意されたりはするのだが、この世界で16年生きてきても未だその感覚には慣れない。『たかだか男の上半身だ』なんて感覚のままだ。

 

前世ではプールや海水浴でよく見かけるし、祭りでは法被姿であったりと珍しくも無かっただろう。学校では廊下や校庭の隅等で着替えていたりもする事もある。

だがこの世界では小学校の内はプールの授業があるが、中学・高校では『女の性を刺激しない』と云う事で男の体育ではプールは行われない。

そもそも男性は働く必要が無いので、中学途中から不登校になりがちで、高校に進学する男は極めて希少である。

偶にスポーツ好きの男性が海に現れる事もあるが、その場に居合わす事が出来る確率はどの位か……。

 

閑話休題

 

 

「仕方ないですよ。(及川雫)の服がトラブルで汚れてしまったんですから。アイドルを汚れた服で外の現場に行かせる事なんて出来ないでしょう?」

 

「……そうですね。それに他の子の服はサイズがあれですし…………」

 

『雫か……貸せないわwww』『むぅーりぃーw』『雫ちゃんがじゅんくんの上着を着てった事でOK?』『小は大を兼ねれないorz』……

 

まぁ俺の服でも胸のボタンは止めれずに、胸下で裾を縛ってやったわけだが……間近で見ると凄い迫力でした(小並感)

 

 

「まぁまぁ、私の格好は置いときまして。8月に行われる夏フェスまで約1月となりました。アイドルたちのレッスンも佳境に入っておりますので、今日はその様子をご覧ください」

 

「はい、今日のレッスンルームは予定が詰まってまして、空き時間無い位に多くのアイドルたちがレッスンに励んでます」

 

「それでは各レッスンルームに置かせて頂いた定置カメラからの映像、音声になります。どうぞ――」

 

純の言葉が終わると配信画面にはダンスレッスン室の映像に切り替わった。音声も同じくカメラに付属しているマイク入力へと変わっているので、純とちひろは休憩モードに突入した。

 

 

「今日は最後の方までこのままだと、なんか物足りないね」

 

「純君にその格好のまま、社内を歩かれるのは困りますから」

 

本来なら何時も通りにカメラを持ってレッスンルームを巡る予定だったが、純が白T1枚の格好になった為に急遽固定カメラへと変更になったのだ。

ちなみに各レッスンルームへ設置するカメラなどの手配、設置はボランティアスタッフたちが頑張ってやってくれた。

 

「さっきも言ったけど、そんなになの?」

 

「はぁ……なんで自覚無いんですかね。現に、ほら……」

 

純の言葉にちひろはあからさまな溜息をついた。そして視線で純を意識を入り口へと向けさせた。

そのリフレッシュルーム入り口には――床に倒れた歌鈴(道明寺歌鈴)とスマホを構えた紗枝ちゃん(小早川紗枝)の姿があった。

 

「あぁ、歌鈴はんがこけたせいで、見つかってもうた」

 

あちゃーという仕草をしつつスマホを隠しながら紗枝が部屋に入ってきて、それを追いかけるように歌鈴は慌てて立ち上がり中へと入って来た。

 

「二人とも何してたん?」

 

「あのっ、私たちがボイスレッスンをですね……していたら。……部屋にカメラを設置しに来て、ですね……」

 

「純にぃはんの艶姿が見られると聞きましてん」

 

部屋に入ってきた二人に問いかけると、歌鈴がしどろもどろに答え始めたが、最後は言い淀んでしまった。

一方の紗枝は、それを横目で見ながら笑顔で簡潔にきっぱりと答えた。

 

「それに、うちらだけちゃいます」

 

ソファーに座っている俺とちひろの間に割り込んで、俺の腕を取りながら話し続けた。

 

「ダンスレッスンをしとった人たちも――(おもお)たよりも早かったようどすなぁ」

 

紗枝の言葉の途中でタッタッタッと軽快な足音が響いて来て、呆れたような感想へと変わった。

 

「ハロハロー、フレちゃん参上だよ! 裸のジュンはどこカナ? カナ~?」

 

「スーハー……、いつもよりジュン君の臭いが濃い気がする~」

 

おぉう、よりにもよってこの二人かよ!

 

「エェッ、裸じゃないよー、フレちゃん騙された~?」

 

「にゃははっ。シキちゃんはこれでも十分だよー」

 

ソファーの前まで走ってきて俺のこと見て崩れ落ちたのは、フレちゃんこと宮本フレデリカ。そして後ろから抱き着いて臭いを嗅いでるのは志希にゃん。

346きっての問題児たちであった。

 

 

「お二人とも、もしかしてレッスンが終わった後直接来たのですか? ケアして、着替えしてから来てください!」

 

「エ~ッ。じゃあフレちゃんはジュンに汗拭いて欲し~ぃ!」

 

「おぉっ、ジュン君の目はフレちゃんに釘付けー? あたしも胸のサイズは同じだよ~、ウリウリ」

 

二人のトレーニングウェア姿を見たちひろは注意するが、二人は気にも留めずに俺に絡んでくる。

 

なにがじゃあだよ、フレちゃん! 腕を頭の後ろで組んで胸を突き出して来るな! 思わず見てしまうだろ!!

志希にゃんも俺の視線の先を確信して、自分の胸を後頭部に押し付けてくないでください!

紗枝ちゃんに取られたままの腕が、どんどん痛くなってくので、本当に勘弁してください……。

 

 

「はいっ! 着替えてくるまでは入室禁止です!」

 

そんな二人にちひろがキレてリフレッシュルームから強引に追い出してしまった。

アイドルたちから「鬼! 悪魔! ちひろ!」と恐れられるだけあって、迫力が凄く、関係ない俺達までちょっと震え上がってしまったのは内緒だ。……怒らせないように、揶揄うのは程々にしておこう。

 

 

この空気を変えるために配信開始前からこのリフレッシュルームに居て、偶にこちらを見ながらも雑誌を挟んで話している二人に声を掛ける。

 

「麻理菜さんと海さんのお二人は何を相談しているのですか?」

 

「お、何だ純。お姉さんたちに興味あるのかい?」

 

「はぁ。揶揄わない、揶揄わない」

 

揶揄ってきたのは沢田麻理菜さんで、呆れたのが杉坂海さん。それなりに年齢が離れているので、あまり一緒に居るイメージがない二人だ。

まぁ346のアイドルたちはみんな仲が良いので、誰が話していても不思議ではないが……。

 

二人は椅子と雑誌をもってソファーの方へと移動してきてくれた。

本当なら話しかけた俺の方から寄っていくべきなのだろうが、万が一の為カメラの前から離れないでいるからなぁ。

 

ちひろが気を効かせて、カメラの位置を遠ざけてくれた。

その開いた場所に椅子を置かして二人も映るようにしたみたいで、気を効かせたというよりは出演者増やす工夫だったようだ。流石はやり手のちひろだ、感心してしまう。

 

 

「まぁウチら二人が話すって言ったら、サーフスポットについてしかないね」

 

「私はサーフィン、海ちゃんはウィンドサーフィンと、違いは有れど良い波が欲しいのは一緒だしな」

 

成程、二人の共通点は海の波だったか! 二人が346のアイドルになったのは、共に去年の夏以降だったから知らなかった。

 

二人が持ってきた雑誌をみんなで見てお喋りをした。

途中で着替えに出されたフレちゃんと志希にゃんも戻って来て、更にレッスン帰りの奏も更衣室で一緒になったからと連れてこられていた。

 

 

 

「純君。残り10分、カメラ戻ります」

 

増えた3人も加えてみんなでお喋りしていたら、いつの間にやら生配信も残り10分になっていたようだ。

ちひろがスマホを片手に連絡を取りながら、切り替わりのタイミングを知らせてくる。

 

……5……4……3……2……1……

 

「はい、みなさん、アイドルたちのレッスン姿はどうだったでしょうか? 夏フェスに向けて頑張っているので応援して下さね」

 

カメラが切り替わるタイミングに合わせて、視聴者に向けて話しかける。

 

『凄かったー』『アイドル目指したいけど、あのレッスンについていける気がしない』『夏フェス超期待!!』…………

 

 

「残り10分程ですが、レッスン終了後に来てくれたアイドルたちも交えた、雑談になります」

 

「うちと歌鈴はんは、この配信始まる時間までやったさかい映ってへんかったどすなぁ。うちらも出るさかい、よろしなぁ」

 

「志希ちゃんとフレちゃんもだよー♪」「フレちゃんの魅力をとどけるよ~」

 

俺の言葉に続いて紗枝ちゃんが、そして志希ちゃんとフレちゃんもカメラに向かって話す。

この四人はレッスンが終わるのが16時だったので、レッスン風景の生配信対象では無かったんだな。

 

『やっぱ夏フェスは豪華メンバーだね』『チケット当選祈願!』『当たれ当たれ当たれ!!!』…………

 

初回生配信で暴露した楓&奏、今日生配信されたアイドル、そしてこの4人。少しづつ夏フェス参加メンバーが判明していくにつれて、視聴者たちの期待も上がっているようだ。

公式サイトでの夏フェス参加アイドルの発表はもう少し先になるし、情報に飢えているんだろうなぁ。

 

公式情報が遅いので、この公式生配信が情報の発信源として意味のある物となれているのは良い事だと思う。

……あえて遅くして、そういう風にしている叔母の陰謀のような気もしないではないが、そこは気にしないでおこう。

 

 

「そういえば、純。一緒にレッスンをしていた楓さんが、純の薄着を聞いた時に『()をかくのはもっと暑くなってからだから、()らなくても良いの』って言ってたのだけど…………何か隠してないかしら?」

 

奏が突然そんな事を言ってきた。

ただのダジャレを言いたかっただけの気もするが、二人はユニット練習をするようになってからかなり仲良くなってるし、何かのヒントを与えたのか……?

 

今回の薄着に汗、暑くなってから……。あぁなるほど、あれの事か。でもアイドルたちにならともかく、生配信で流しても良いのか?

…………まぁ知られたところでどうしようもないから、言っても良いか。

 

 

「うーん、アイドルたちには週明けに知らされる予定だったんだけど……。346が伊豆に所有している保養所を、夏フェス明けの8月2週目にうち(アイドル事業部)が貸切ることが出来ました」

 

「それで?」

 

『伊豆に保養所!』『さすが大企業羨ましす』『伊豆っていえば温泉だよね』『温泉、楓さん、日本酒……うっ頭がっ……』…………

 

反応うっすいなぁ! 奏だけでなく、他の皆もいまいち興味を持ててないようだ。

 

 

「いやっ、それでって反応薄くない!? 346の保養所だよ? 伊豆だよ? プライベートビーチ付きだよ!?」

 

「……もしかして、純にぃはんも行くんどすか? 水着で泳いだりするん?」

 

そんな中、紗枝ちゃんが一番に反応した。

アルバイトだがアイドル事業部の一員である以上、参加資格はあるので参加するし泳ぎもする!

 

「もちろん参加するよ。プライベートビーチだから安心だしね」

 

『な・ん・だ・と!?』『髪は死んだ』『怨怨怨怨怨』『じゅん君の水着姿が、がががg』…………

 

 

「ちなみにアイドルたちの参加状況次第では、8月2週の生配信は保養所からお届けします!」

 

コメントの反応を見たら、フォローしておかないと参加するアイドルたちに怨念が飛んできそうだ。

元々参加者次第ではそうなる予定だったから、言っておいた方が良いだろう。……ただ、ちひろは夏の祭典に参加するから不在なんだよなぁ。アシスタントは誰がやってくれるのだろうか?

 

『そこに居る皆は参加するよね!?』『夏休みだし学生組は皆参加だよね!』…………『手の平くるっくるw』『← じゅん君の水着姿が見れるならいくらでも返してやるわ!!』…………

 

 

「せやったらうちも参加するなぁ。……純にぃはんとの海、楽しみどすなぁ」

 

『紗枝ちゃんの水着?』『和服のイメージが強すぎて水着姿が想像できないw』…………

 

確かに紗枝ちゃんの水着姿はイメージしづらいな。どんな水着か興味あるが、それは当日までの楽しみにとっておこう。

紗枝ちゃんが参加を表明すると、他のアイドルたちも参加する方向で考え始めたようだ。

 

 

「ジュン君は、どんな水着が好みなのかにゃ~? シキちゃんが着てあげても良いよー♪」

「フレちゃんは大胆な水着にしちゃおっかなー。ジュンを悩殺しちゃうよ~♪」

 

『じゅんくん! ながされちゃダメ!!』『フレデリカに負けないで!』『くっ、スタイルではこの二人に勝てないorz』『← 他でも勝てないだろwww』…………

 

問題児コンビが楽しそうに距離を詰めてくるけど、生配信中なので自重してください!

可愛いし、スタイル良いしで凄い楽しみではあるけど、スキンシップが激しいので我慢するのも大変なんです!!

 

 

「……そう、楓さんはこの事を言ってたのね。――純。私も参加するわ」

 

「いやいや、俺に表明しても……って、んんっ。みなさんには週明けに部から正式に通知されます。参加希望日を記入する用紙が置かれますので、そちらに記入してくださいね」

 

生配信中なのに思わず素が出てしまったよ! まぁ初回配信時に、リフレッシュルームで出してしまってるから今更の気もするけど。

 

「……そろそろお終いの時間のようですね。みなさん、ご視聴ありがとうございました。また来週ー」

 

『ツッコミ純君』『私にもツッコんで!!』『← 自重』……『乙乙』…………

 

 

終わりの挨拶をしてカメラの所に居るちひろを見ると、撮影と配信の終了を確認して「はい、配信終了しました」と教えてくれた。

今日は色々あったけど、無事に終了して一安心だ。

 

「それで話は戻るんだけど、麻理菜さんと海さんは参加しません?」

 

この二人は配信中では参加の有無を口にしなかったんだよね。

 

「宿泊費が無料なのは魅力だね。ウチはサマフェスに不参加だし、仕事次第かな? まぁ一週間もあれば数日なら参加出来ると思うよ」

 

「あら、若い子だけじゃなく私の水着にも興味あるの? ――冗談冗談。そうね……私も仕事次第だけど、数日ならいけると思う」

 

夏休みのあの時期は、サマフェス以外にも沢山のイベントや催し物があるからな。サマフェスに参加しないアイドルたちだって忙しいか。

でも数日でも参加してくれるなら、お願いしてみようか。

 

「じゃあじゃあ、来てくれた時に、サーフィンとか教えてもらえますか? やってみたいと思っても、機会が無くて……」

 

「そっか……男の子だとそう簡単に海には行けないか。うん、お姉さんに任せなっ。しっかり教えてあげるよ!」

 

「一度に両方じゃなくて、順番が良いよね。今年はサーフィンに慣れて、ウィンドサーフィンは来年以降かな?」

 

TVや雑誌で見て興味はあったんだけど、前世でも今世でもやる機会が無かったからなー。

これで保養所の楽しみがまた一つ増えた。って感じだね!

 




ちょっとネタが浮かばなかったら、配信と日常混ぜたら……


沢田麻理菜と杉坂海って他作者様の作品でもあまり見かけないよね。
海辺が舞台じゃないと厳しいのかね?
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