セカイの呪いを解くために。   作:はたけのなすび

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では。


その二

 

 

 

 

 

 黒いドラゴンと共に突如として現れた紫の瞳の青年の姿に、会場は水を打ったように静まり返る。

 驚愕や畏怖などが織り交ざる視線を向けられながらも、彼は、彼らの視線などものともしていないふうに、無造作に歩み出した。

 青年は─────俺の、師匠は砂埃を手で払い、まるで街中で知り合いへと近づくような殺気も敵意もまるでないふうに、こちらへと進んで来る。

 

「し……」

 

 しょう、と続けようとしたが、間に合わなかった。

 その姿が視界から消え、瞬きの間に目の前に現れたのだ。

 数十歩あった距離を一歩で詰めた師匠の手に握られているのは、根本を紐でくくった白く細長い紙束。

 紙束だからと侮れない、師匠手製の仕置き用武器だ。

 外見は子どもの玩具みたいな馬鹿げた武器だが、まともにくらった大の男が一人、天を舞ったことがある。

 

「し、ししょ、それちょっ、待っ………!」

「聞く耳、持たん」

 

 問答無用に気合一閃。バシッ、という間抜けな音が頭に直接叩き込まれる。

 一切の容赦なく振り下ろされる紙束、師匠曰くハリセンという名のそれは、見事に自分の脳天にぶち当たったのだった。

 視界一杯に、きらきらと星が飛ぶ。

 平面でなく、硬い縦面での一撃は頭蓋骨に響く。

 火花が散るほど痛かった。

 気づいたら、地面にべしゃりと倒れていた。頬の下に、ざらりとした砂の感触がある。

 

「お前もだ。ルグナ」

「えっ!ちょ、なんで俺もっ……!?」

 

 ぐらぐら揺れる頭をもたげで仰ぎ見れば、言葉をぶった切られたルグナが同じようにハリセンで吹き飛ばされ、仰向けに倒れていた。

 手足がまったく動いていないのだが、完全に気絶していまいか、アレ。

 自分は打たれ慣れているというか、叩かれる瞬間がいつ来るか、感覚でわかる。

 だから咄嗟に脳天に魔力を集めて強化できたが、それにしたって視界がぐらぐらしている。慣れていないと、一撃で気絶ものだ。

 ただの紙束で魔力防御をぶち抜いた当人、つまり自分の師匠は、すたすたと近寄って来ると、倒れたままのこちらの頭の前にしゃがみ込んだ。

 

「一撃くらって意識があり、武器を手放していないことは褒めてやれる。だが、それ以外がなっていない。避けるなり受け止めるなりして、最低限頭を守れ。間に合わないならば、相打ち覚悟で脇腹にでも攻撃を当てろ」

 

 ぐい、と返事も待たずに襟首を掴まれて地面から引き剥がされた。

 自分とて小柄なほうではないはずなのだが、師匠に比べれば頭半分は小さい。

 そのまま、ぞんざいに砂の上に投げ落とされた。尻餅ついた体勢のまま前を向けば、ぐい、と突き出される手。

 綺麗な顔と逆に、胼胝や傷だらけの分厚い手の上に、自分は放せなかった剣を置いた。

 師匠は鞘を握って、腰に差す。

 片手に持ったハリセンでとんとん、と肩を叩き、相変わらず鋭い紫の瞳でこちらを見下ろした。

 

「俺に何か、言うことは?」

「………師匠の剣、を、勝手に持ち出して、申し訳ありませんでした」

「すぐ謝るならば最初からやるな、馬鹿者」

 

 もう一度振り下ろされた一撃は、今度は後頭部にどかんと当たり、自分はまたもべしゃりと地面に伏せる。

 だけども、最初よりかなり手加減されていた。

 師匠が昔、修行時代におもちゃとして作り方を教えてもらったというハリセンは、魔力を長いことかけて染み込ませた特別製となっているのだ。

 多分、いや間違いなく、ハリセンとは人を吹っ飛ばすようなものではないと思う。だって、元々はおもちゃの一つなんだろう。

 どこの誰だか知らないが、とんでもないものを師匠に教え込んでくれたものだと、思わないでもない。

 

 ふん、と鼻を鳴らした師匠は立ち上がり、辺りを見渡す。そのころには、自分にも周りの音が聞き取れるようになっていた。

 会場は、蜂の巣を突いたような騒ぎになっていた。

 上空では黒いドラゴンが旋回し、そこから本物のドラゴン乗り─────【暗黒期】を戦い抜いた【五翼将】の一人、【黒】が現れたのだから、当然だろう。

 何から何まで、自分のせいであるのだが。

 闘技場の中心に立った師匠の背後に、コクヨウが、師匠の相棒が降り立つ。

 その背中にひょいと飛び乗り、師匠は声を張り上げた。

  

「いきなり騒がせ、申し訳ない!俺はドラゴン乗り、【黒】のレトだ!今回は俺の弟子が場を騒がせたこと、心より謝罪する!」

 

 合わせるように、コクヨウが吠えた。

 多分師匠は、本気で、誠心誠意謝っているのだろうが、合わせてコクヨウが吠えてしまえば並みの人間は怯える一択だろう。

 聞こえようによっては脅しているように取られなくもない。

 ハリセンで叩かれた頭を押さえながら起き上がれば、同じようにルグナが頭を押さえて上体を起こすところだった。

 目の前に聳えるドラゴンの両脚を見て、ルグナはうわ、と驚いた声を上げていた。

 そしてこちらを見るや、立ち上がって駆け寄って来る。

 

「大丈夫か?結構いい音がしてたよな」

「別に。慣れてる。そっちこそ気絶してただろ」

「ああ!まったく避けられなかったからな」

 

 元気なやつだと思いながら立ち上がり、黒いドラゴンを見上げた。

 背中の鞍に仁王立ちになった師匠の言葉に、闘技場の騒ぎが収まるのかと言えば、まったくそんなわけはなかった。

 むしろ、何かの催事の一環なのではないかと、そんな声までが聞こえて来る。

 

「……困った」

 

 ぼそり、と師匠が真剣に途方に暮れたように呟く声が聞こえ、ぐるる、と喉を鳴らしたコクヨウの鼻から黒い煙がぷつぷつと吹き上がった。

 多分師匠は単に、この剣を取りに来ただけだったのだろう。それから、勝手に飛び出した馬鹿弟子をしばきにも来たというところか。

 自分が言えた義理はまったくないのだが、師匠とそのドラゴンが姿を見せたらそれだけで恐慌状態にもなる人間がいるのだから、『ちょっと顔を出して戻る』のは、無理だと思う。

 

「【黒】のレト様、ではハヤ選手は、弟子だと仰るので?」

 

 席から身を乗り出すようにして、解説役の男が尋ねていた。

 

「弟子だ。……少々、俺の持ち物を勝手に持ち出して参加していたため、追った次第だ。それからルグナは俺の……旧友の息子だ。弟子入りするからと迎えに来たというのに、約束の場におらずにここに参加していた。だからとりあえず、ハリセンをした次第だ」

 

 思わず勢いよく横を見れば、ルグナが頬をかいていた。

 何故師匠が、ルグナまでぶっ飛ばしたのかと思っていたが、そういう理由があったらしい。

 見つけたので、だからとりあえずハリセンした、という師匠の論理は、突っ込んだら負けである。

 ルグナはじっとこちらを見返した。

 

「仕方ないだろう。【黒】の人以外であの剣を持っている人間がいたら、それは追いかけるさ」

「俺のせい、ってわけだな」

「ある意味そうだな!」

 

 ばしばしと肩を叩いてくるルグナは、からからと笑った。

 師匠の旧友の息子といえば、こいつの両親はやはり彼らなのだろう。……ここまでのこいつを見るに、母親、父親のどっちにも大して似ていないように思うのだが。

 龍の足元でごそごそ言い合うこちらのことなど置いてけぼりで、師匠と解説役との会話は続いていた。

 

「俺の要件は既に済んだが、ハヤは連れて帰る。未熟者を、この場でこれ以上戦わせる許可は出せない」

「あ、あの……しかしそれでは、決勝戦が……」

「……そちらに、興行主としての事情があるのは理解している。しかし、ドラゴン乗りの弟子として、やってはならないことがある。ハヤはそれを破った。だから、試合をこれ以上続けることは師として認められない」

「そ、それは……」

 

 淡々と、振り落ちてくるような師匠の言葉だけに、身が縮こまった。

 師匠の口調に熱はない。熱はないのに、じくじくと体のどこかが打たれて、焼かれているようだった。

 何もかも俺が悪いのだ。それはわかっていて、だけれど心の奥では言い訳にしかならない叫びが上がっていた。

 どうしても、どうしても諦められないことがあった。

 誰に何を言われても、認められない事実があるのだ。

  

「おいハヤ、どうして剣を持ち出したりしたんだ?今、凄く後悔してるだろ。なんとなくわかるぞ」

「……黙れ。お前、感応能力持ちかよ」

 

 【魔力持ち】の中には、何ら訓練を受けていなくとも、生まれついて高い精神感応力を持っている者はいるのだ。

 彼らは恐るべきことに、()()()()()で人の心が読めるという。

 自分はドラゴン乗りではない【魔力持ち】の、しかも欠陥品で、そんなことは勿論できない。

 ドラゴン乗りとして訓練を積み、後天的に精神感応力を持っている師匠や姉弟子相手となると、まったく隠し事ができない範囲だ。

 普段はそこまで人の心に踏み入るのが失礼だからと、二人ともいきなり人の心を読んだりはしないように制御してくれているが。

 

「そうね。だけど今度から、制御なんてぬるい真似、やめてしまおうかしら。ねぇ、愚弟」

 

 背後から聞こえる玲瓏な声に、今度は体が固まった。

 見なくてもわかる。砂を踏んで歩いてくる軽やかな足音が、聞こえる。

 今このとき、絶対に会いたくない相手だった。

 

「あらご挨拶ね。師匠が来るなら、私が来ていると思わなかったの?」

 

 肩越しに振り返る。

 そこにいるのは、自分と同じ色合いの黒髪の少女だった。

 だけどその瞳は自分と同じ黒ではなく、青みを帯びた藤色だ。

 左眼の下には、くっきりとした龍の鱗に似た痣もある。

 肩上で切り揃えられた黒髪に留められた、白い五枚花弁の髪飾りが、唯一の飾りらしい飾りで、服装はこれも自分が来ているものと同じ、見習いの服だった。

 

「……ホノメ」

 

 名を呼ぶと、姉弟子にして見習いのドラゴン乗りであるホノメは、にっこり微笑む。

 しかしそこにある気配は、刺々しいの一言だった。

 彼女は俺を愚弟と呼ぶが、こちらは弟ではない。弟弟子である。

 

「アメノなら置いて来たわ。だってコクヨウとアメノが揃っていたら、怖がらせてしまうもの」

「もう十分怖がらせてるだろ。ホノメはどうやってここに来たんだよ」

「そうなったのは誰のせいかしら。どこかの馬鹿弟子が師匠の大切な剣を持ち出したからこんなことになったのよ。自覚、あるの?それに、普通に歩いて気配を消して入って来たに決まっているじゃない。師匠の騒ぎに紛れたんだから、そんなこと簡単よ」

 

 微笑めば微笑むほど怖いホノメに、自分は何も言えなくなる。

 だって、その通りだからだ。

 まさか師匠がコクヨウで乗り込んで来るとまでは思っていなかったなんて、ただの言い訳に過ぎない。

 自分には扱えないあの剣が、師匠にとってとても大切なものだというのは知っているのだ。

 俯きそうになりながらも、頭は下げない。項垂れて終いに出来るならば、最初から勝手に持ち出してこんなこところにまで来てやしないのだ。

 歯を食い縛る自分を見てどう思ったのか、ホノメは苛立ちを抑えるようにこめかみを指で叩いた。

 ホノメの指も手も、師匠や自分と同じように胼胝や豆、重なった傷跡で硬くなっていた。

 

「あなたのしたことは、あり得ない愚かさよ。愚弟。巫女の剣を持ち出すなんて、本当に前代未聞。帰ったら覚悟してなさい。コクヨウに齧られたいの?」

 

 え、と声を上げそうになった。

 ホノメが巫女と呼ぶのは、一人しかない。

 【赤】の巫女、アジィザ。

 師匠が契約しているドラゴン、コクヨウのかつての相棒であり、世界を救ったと言われる五十年前のドラゴン乗りのことだ。

 その彼女が持っていた剣が、あれだったということ、らしい。

 

「師匠、そんなことは一言も」

「知らないことは罪。帰ったら扱くからね」

 

 腕組みをして言い放った姉弟子は、そこでようやくルグナの方を向いた。

 

「はじめまして。あなたはルグナというのよね。私はホノメ。こっちの馬鹿ハヤの先輩で、あの人の弟子。改まった口調はやめてね」

「わかった。確かに俺はルグナだ。……ところでこの状況、一体どうするんだ?」

 

 この状況とは言うまでもなく、自分たちの頭の上で起きている大騒ぎのことである。

 うん、いや、まあ、こちらの罪悪感とかなんとか丸ごと脇に置いて考えれば、準決勝にいきなり【五翼将】の名を持つドラゴン乗りがドラゴンと共に現れ、選手二人を一瞬でぶっ飛ばしてそのうち一人を連れて帰ると宣言したのだ。

 ……どうするんだろう、これ。

 尚、師匠が口先三寸でどうにかする、或いはできるという方向は最初からない。あの人は口下手が過ぎる。

 これに関して、ホノメと自分の意見は完全に一致だ。

 口にしなくとも、目を見ればわかった。

 このまま、自分とルグナを連れて帰ると主張する師匠と、そうなると決勝戦がまともに開けないと引き留めようとする解説役の男は押し問答に突入していた。

 年に二回開かれる【闘技祭】は、潰せないような大きな祭りだ。演劇の大舞台の、最後の幕となれば、簡単に潰せるようなものではない。

 束の間黙った師匠は、ぽんと手を打った。

 

「わかった。要するに、闘技が盛り上がればいいんだな?」

「は?」

「ならばこうする。……ホノメ、ハヤ。俺と戦え。一対二だが、盛り上がりはするだろう」

 

 驚きで声を上げなかったのは、これまでの付き合いの賜物だった。

 師匠、とホノメが勢いよく叫び、鞍の上に立ったままの師匠は、首を横に傾げた。

 はい、とルグナが勢いよく手を上げる。

 

「すみませんレトさん!!俺も二人と一緒に戦いたいです!駄目ですか?まだ弟子じゃないからいけませんか?」

「……そこの二人とお前は連携したことがないからと思ってのだが、自信があるのか?」

「ホノメさんの戦い方はわかりませんが、ハヤの戦い方を俺は見ていました!なんとか合わせられると思います!」

「なら、お前も入れ。では、ホノメ、ハヤ、ルグナ。三人でかかってこい。安心しろ。コクヨウは戦わない。ドラゴン乗り同士の果し合いに、ドラゴンは立ち入らない決まりだからな」

 

 それでいいか、と師匠は解説席で目を白黒させている男を見やった。

 【闘技祭】の最後を飾るのは、ドラゴン乗りと挑戦者の一騎打ち。それが決勝戦とされているのだ。

 勝ち抜いた一人が、【五翼将】に挑戦できる権利を得る。

 無論、ドラゴン乗りとそうでない人間との戦いの結末などはわかり切っているが、それでも、【五翼将】が姿を見せるだけで、場は盛り上がる。

 自分がここに来た目的も、その戦いが目的だった。

 師匠以外のドラゴン乗りと、戦いたかったのだ。戦うために、こんな無茶までやらかした。

 決勝に現れる【五翼将】の役は持ち回りで、師匠は二年ほど前にしかめ面ながら参加していた。

 今回の大会でその役を担っているのは、【緑】ではなかっただろうか。

 彼も確か、五十年前の戦いを知っている世代のはずだ。

 

 だから、師匠のやり方でも大会の趣旨は覆ったことにはならないが、同時に自分の目的は果たされないことになる。

 いや、大会の趣旨としてもどうなのだろうか。一対三という変則的な形で、しかもその内一人が、大会の参加者ではないのに。

 

「どうだ、これでは駄目か?」

 

 紫の瞳を細めて尋ねる師匠と、ぐるると喉を鳴らすコクヨウ。

 当人たちにそんなつもりは欠片も無くとも、たった今闘技場に砂嵐を巻き起こした人間の提案と、尻尾の一打ちで闘技場の外壁を軽く叩き壊せる龍の唸りは、迫力が桁違いだ。

 

「し、少々お待ちください!確認して来ます!」

 

 結果、男は席を離れて一度裏側へと駆けて行った。

 この祭りの主催者に、伺いを立てに行ったのだろう。

 そういうふうに駆け回る人を見ていると、改めてとんでもないことをしてしまったという気がじわじわと染み込んで来る。

 自分が師匠の剣を勝手に借りて参加しなければ、こんな大騒動にならなかったのは、確かだった。

 

「師匠、一応尋ねますが俺たちに拒否権は?」

「あると思ったのか?」

 

 コクヨウの鞍から跳び下りた師匠が、まったく曇りない紫の瞳で問い返して来た。

 乗り手が降りた龍は、一声吠えて飛び立ち、すり鉢状の闘技場の一番高い壁に、巨大すぎる鳥のように止まる。

 その威風に、近くの席に座っていた人々がざわめくのが見えた。

 ともかくもこれで、闘技場は開いたのだった。

 はぁ、とホノメがため息をつく。

 

「拒否権なんて、あるわけないじゃない。ハヤ、腹を括りなさい。あなた、自分の武器はどうしたの?」

「控室に置いてる」

「取って来なさい、今すぐに。手に馴染まない武器で、師匠の相手ができるわけないでしょう」

 

 こうなったら見世物でもなんでも盛り上げるわよ、とホノメは宣言した。その瞳は、さっきこちらを見ていたときのような棘はなく、輝いてすらいる。

 状況や、自分がやらかしてしまったことはともかく、師匠に稽古で真剣で以て相手をしてもらえるのは、嬉しいか、嬉しくないで言えば、嬉しい。

 厳しいが、だからこそ強くなれるからだ。 

 

「わかった。……じゃあ、行って来る」

「早く戻りなさいよ」

 

 棘だらけに聞こえるホノメの声に見送られ、自分は走り出した。

 もうどうなっても、自分の目的は果たせないと、苦い思いを噛みしめながら。

 

 ともあれかくもあれ、こうして自分がやらかした馬鹿の一言では済まないような無謀な挑戦は、終わった。

 

 結果など、言うまでもない。

 師匠の提案を受け入れた上で開かれた一対三の戦いで、自分たち三人は、それはもう見事に枕を並べハリセンと剣を持った師匠に鎧袖一触されたのだった。

 ……せめて、こんなときくらいハリセンは置いてほしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【登場人物ざっくり一覧】

・ハヤ
文字通りの逆鱗タッチをやらかした語り手。
黒い髪に黒い瞳の少年。
ドラゴン乗りではない。

・ホノメ
ハヤの姉弟子。
黒い髪に藤色の瞳の少女。
騎乗するのは、藤色の鱗を持つドラゴン・アメノ。

・ルグナ
大会参加者でとある約束をすっぽかした。
黒髪に金色の瞳の少年。
ドラゴン乗りではない。

・【黒】のレト
ハヤとホノメの師匠。
茶色がかった黒髪に、紫の瞳の青年(外見は)。
騎乗するのは、黒ドラゴンのコクヨウ。

タグの理由とか、登場人物の名称が変わったりしているのは追々…。
ハリセンを教えていったのは、言うまでもなくあ奴です。
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