小さき傭兵と保護者の青年   作:シンマドー

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3話

 

 ピピピッ、ピピピッ、ピピガチャーー  

 

 朝の目覚まし時計を止めて目を覚ます。

 

「はぁ、まったくお前の寝相の悪さには困ったもんだよ」

 

 そう言い体を起こし隣を見る。

 

「スゥ…スゥ…怜兄ぃ……」

 

 そこにはまだ寝ているフェリシアの姿があった。

 それは昨夜のこと、寝ようと思ったらフェリシアが自分の枕を持って部屋に入ってきてや、今日は一緒に寝てくれるよな、な?、と言われ今日は別に断る気はなかったので了承したが、寝ようとする直前俺は思い出した。

 フェリシアは結構寝相が悪い。

 寝る前は俺の体を抱き枕にするだけだまだ安全だ、だが寝て少ししたら危険だ。寝ぼけているのか抱きしめる強さが強くなってまともに寝ることが出来ない。

 

(こんなことがあっても明日には忘れて昨夜のようになるんだよなぁ……まあでも)

 

 寝ているフェリシアの頬を起こさないよう優しく触れる。

 

(かわいい寝顔が見れるだけでもよしとするか)

 

 気を取り直してフェリシアを起こさないようベッドから抜け出し朝食の準備をするため寝室を出た。

 

 

 

 

「ん~、おはよう怜兄、目覚ましに牛乳ココア作って~」

 

「はいよ、作ってあげるから顔洗って着替えてきなさい」

 

 フェリシアは眠たそうな顔をしながら、はーい、と返事し洗面所に行った。その間のフェリシアがいつも飲むココアミルクを作る。

 

「はい、どうぞ」

 

「サンキュー、怜兄」

 

 フェリシアにココアミルクを渡したあと自分も朝食を食べ始める。

 

「あ、そうだ。すまんフェリシア、今日俺帰ってくんの少し遅くなるから夕飯、冷蔵庫に入っているおかずを温めて先に食べててくれないか」

 

「んー? 怜兄今日遅いのか?」

 

 フェリシアは少し寂しそうな顔で言ってくる。

 

「バイトがあるからな。そこまで遅くはならないけど…お前が我慢出来るならバイト先でおかず貰ってくるけど」

 

「ホントか!?」

 

 フェリシアは立ち上がり嬉しそうに目を輝かせる。

 

「ああ、そこのバイト先、俺のクラスメイトが親子で経営してる場所でなよく貰ってるんだ」

 

「わかった、我慢するからおかず持って帰ってきてくれ!」

 

「ああ、任せてくれ」

 

(こりゃ、一段と頑張んないといけないな)

 

 そんな約束をしたと同時に朝食も食べ終え、片付けを終えたあと学校に向かうため俺とフェリシアの二人は家から出た。

 

 

 

 

「ふぁ~あ…眠い」

 

 眠いのを我慢しながら学校につき、自分の席についたとたんすぐに寝る体制に入る。

 

「おはよう、怜君! 起きてるよね?」

 

 目をつむろうとした瞬間、知っている声が聞こえる。

 無視する気もないため顔を上げ挨拶する。

 

「起きてるよ、おはよう鶴乃」

 

 そこにいたのは、長い茶髪と溢れるほどの明るさと元気が特徴の由比(ゆい)鶴乃(つるの)が立っていた。

 

「で、なんのようだ?」

 

「うん、今日のバイトなんだけど配達もお願いできるかな?」

 

「ああ、任せろ」

 

「ありがとう怜君! お礼に今日渡すおかずの量増やしとくね」

 

(まじか、あの量が限度だと思ってたのに)

 

 いつもバイト帰りに貰ってるおかずの量が大きい袋一枚で収まるほどなのにまだ上があることをしり少し驚いてしまった。

 

(だがまあ全部フェリシアが食うから問題ないか)

 

 そこからは鶴乃となんの変哲もない世間話をし、いつも通りの学校生活を送った。

 

 

 

 

 学校も終わり、バイトも少し仕事量が増えたがなんの問題もなく無事終わらせその帰り。

 

「ふぅ、すっかり遅くなっちまった。おかずはたんまり貰ったしはやく帰ろう」

 

 両手にパンパンに詰まった袋を持って少し早歩きで家に向かう。

 

(ん? なんだあれ?)

 

 ふと夜空を見上げると金属で纏っているのか、謎の球体が目にした。

 謎の球体はバランスを崩したのか急激に降下し近くに落ちていった。

 

(もしかして、あれも魔女なのか…見に行ってみよう)

 

 もし魔女だったらまたあの子たちに出会えるかもしれないと思い謎の球体が降ってきた地点に向かった。

 

(確かここらへんなはずなんだが…あそこにいるのはもしや)

 

 降ってきた地点は広場のような場所であり、広場の中央にある花畑に見覚えのある二人の姿が見える。

 見た感じ黒い装束の子は気絶してるのか薄桃の装束の子が必死に呼び掛けても目を覚まさない様子だった。

 

(魔女にやられたのか、助けないと!)

 

 荷物を通路の端に置いたあと彼女たちの方へ急いで向かう。

 

「ッ!? あなたは!?」

 

 薄桃の装束の子が言った瞬間、目に映る景色が変わった。

 

「この気配…魔女か!」

 

 前に見た光景とは違うがここに魔女がいることは変わらない。

 

(とにかく、まずは助けることが優先だ!)

 

「君たち、大丈夫か!?」

 

「は、はい。私は大丈夫ですけど黒江(くろえ)さんが…」

 

「分かった。俺がこの子を背負うから君はこの場所から出る道を案内してくれ」

 

「分かりました。お願いします!」

 

 俺は黒江という黒い装束の子を背負い、薄桃の装束の子を先導として後ろをついていく。

 しかし、それを魔女は許すはずもなかった。

 突如目の前に魔女が地中から出てきた。

 

「下がってください!」

 

 彼女がそう言い腕に付いているボウガンで応戦する。

 俺は邪魔にならないよう後ろに下がるが、今度は後ろからも魔女の気配を感じた。

 

(コイツっ、昨日のーー)

 

 後ろに振り返ると上から昨日見た魔女が降ってきた。

 

(さすがに2体同時を相手するのはあの子には厳しすぎる。どうする? どうやってこの状況を切り抜ける!?)

 

 最悪俺を囮にして彼女たちを逃がせば、そう思った直後魔女は俺たちとは違う方向を向いた。

 

(なんだ…奴等は何を見てーー)

 

 俺は唖然とした。魔女たちが向いている方を見るとそこには小さいがあの日見た謎の生物そっくりの奴が静かに立っていた。

 魔女たちはそれを見るや謎の生物に向かって攻撃し始めた。謎の生物は小さい体を駆使して攻撃をかわし薄桃の装束の子に向かって高らかに飛び上がる。

 彼女は両手をあげてキャッチするとなにかが起こったのか固まるように動かなくなってしまった。

 

「おい、大丈夫か! おい!」

 

 彼女に声をかけるが返答はなし、そうしてる間にも魔女たちは俺たちを見ている。

 もうダメか!、そう思った瞬間魔女たちになにかが貫くように当たり倒れ付した。

 

「ゴホッ! ゴホッ! くそっ、今度はなんだ」

 

 魔女が倒れたことにより土煙が舞い何も見えなくなりむせる。

 少し時間が経つと土煙も収まり視界が広がると目の前に一人の女性が立っていた。

 

(さっきの攻撃あの人がやったのか?)

 

 蒼いドレスのような戦闘衣を纏った青髪の女性は振り返ることなく持っている槍を巧みに使い2体の魔女を翻弄する。

 それに対し魔女はなにも出来ずに青髪の女性によって倒されていった。

 それと同時に景色が元に戻っていった。

 

「あなたたち、どこから来たの?」

 

 女性は蒼いドレスから私服に変わり、俺たちの方へ振り返り言う。

 

「あ、あの、宝崎から来ました。助けてくれてありがとーー」

 

「ここは神浜西のテリトリーよ、他の魔法少女のテリトリーで勝手に魔女を狩るのは敵対行為になるってキュゥべえに教わらなかった」

 

 隣にいる薄桃の装束の子もいつの間にか制服を着ており、青髪の女性にお礼を言うが青髪の女性は無視して話を続ける。

 

「す、すいません」

 

「それにそこのあなた、魔女の口づけを受けてないのにどうやって結界の中に入ったの?」

 

 今度は俺に話しかけてきた。どうやって入ってきたと聞かれても気づいた時にはもうあそこにいたのでここは素直に答える。

 

「すまないが俺にも分からないんだ。魔女の口づけとか結界とか今初めて知ったよ」

 

「そ、ならあなたは早く帰りなさい」

 

「なっ、待ってくれ。まだ俺は聞きたいことがーー」

 

「帰りなさい、一般人のあなたが関わる必要はないわ」

 

 どうやらなにも答えてくれない感じだ。

 

(確かに彼女から見たら俺はただの一般人だ。そんな一般人を危険に巻き込むことはしたくないんだろうな…仕方ない、ここは引くか)

 

「……分かったよ。すまない俺はもう帰るからこの子を頼むよ」

 

「は、はい…えっとこちらこそ助けていただいてありがとございます」

 

 背負っている少女を降ろし、制服の少女に後は任せ荷物を回収したのちこの場を立ち去った。

 

 

 その後何事もなく家につき中に入ると玄関先で腹を空かせて倒れているフェリシアを見つけ、急いでご飯を作るのは言うまでもなかった。

 

(冷蔵庫のおかずに手を出してない限り、そんなに楽しみだったのか?)

 

「怜兄、おかわり!」

 

「はいはい、まだあるからゆっくり食べなさい」

 

(まあいっか)

 

 

 

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