(ふぅ~疲れた時の風呂は最高だなぁ~)
遅めの夕飯も終わりゆったりと湯船につく怜。
彼にとって風呂はいわば休息の場所だ。
誰にも邪魔されない空間でゆっくりと体を癒し、明日に備える。それが彼のルーティンだった。
ガチャッ
(ん? なんで扉開いたん……だーー)
しかし、そんな彼の休息に誰かが混ざろうとしていた。
閉じていた瞼を開けその正体を確認する。
そこにいたのは…
「怜兄入るぞ~」
「ッ!」
夕飯を食べて眠っていたフェリシアがそこにいた…裸で。
怜はフェリシアの姿を見て急いで目をそらす。
「ん? どうしたんだ怜兄、風呂の壁をずっと見つめて」
「お前は少し恥じらいを持て! そして入ってくるならせめてタオルで体を隠せ!」
「えーいいじゃん別に。 家族なんだから関係ないだろ?」
「あるわ!」
(家族でも異性の裸を見れば誰だって目をそらすわ! 別にここは風呂場だから裸になるのは当然だけどさぁ、俺が入っているのを知ってたらせめてタオルで…タオルで隠してくれ!)
今回の事態にどう対処したらいいか分からず頭が混乱する怜。さらに湯船につかっていることもあって混乱は加速する。
「怜兄、オレも入るから詰めてくれ」
「あ、ああ…悪いーーッ!」
(なに自然に入っているんだフェリシアあァ!!)
あまりにも自然だったためつい浴槽に入れてしまった。
出ようとしてもフェリシアと背を合わせている状態なので出ようにも出れない。
「こうやって一緒に入るのはいいもんだな、怜兄」
「そ、そうだな」
(どうにかして風呂から出なければこのままではのぼせてしまう!)
「なあ怜兄、こっち向いてくんねえか…」
(なっ、どうしたんだ急に!?)
さきほどまで元気に話していた彼女が突然もじもじと恥ずかしそうに言ってきた。
それを聞いた怜は声には出してないが驚いた。
(分からない、振り向いたら何が起こるのかまったく分からない! こうなったら覚悟を決めて…)
「どうしたんだ、フェリシア?」
頭を冷やし意を決して振り向く。
振り向いた先に待ってたのは。
「ドーーン!!」
お湯だった。
彼女は怜が振り向くと同時にお湯をかけてきたのだ。
「やったー! 怜兄どうだった、どうだった?」
怜の顔にもろにお湯をかけたことに嬉しがるフェリシア。それに対しもろに喰らった怜はというと。
「…フェ…リ…シ…アぁ!」
怒っていた。
当たり前である。誰だって不意にお湯を顔面に強くかけられたら怒る。
「お返しだ!」
怜はそう言いフェリシアに思いっきりお湯をかける。
「うわっ! やりやがったなぁ…おりゃあぁ!」
お湯をかけられたフェリシアは嬉しそうに言いまた怜にお湯をかける。
それの繰り返しで最終的に二人は疲れ果て、早く寝たいため二人は風呂から出るのであった。
▲
「………」
「う~ん…怜にぃ……」
深夜、昨日と同じく一つのベッドに怜とフェリシアは体を密着させるようにお互いに抱き合って寝ていた。そんな中、怜だけは今だに起きていた。
(関わるな…か。ちくしょう…)
怜は今日であった青髪の女性に言われたことを思い出していた。
(確かに今日の魔女と魔法少女の戦いを見て彼女たちのような力がないと生き残れないと分からせてくれた。でもなあ、こんなチャンス滅多にないんだ。見逃すわけにはいかないんだ…それに)
怜は目線を少し下に下げる。
「ん……あったかぁい……」
そこには怜の胸板に顔を埋め寝心地が良さそうな顔で寝言を溢していた。
(フェリシアがあんな魔女と戦っていることを知って引き下がるわけには行かないんだ)
そんなことを考えていると眠さが達したのか次第に瞼が閉じようとする。
(明日は…絶対に……聞き出さない…と)
瞼が完全に閉じ、意識が落ちるのもそう遅くはなかった。
「……ずっと一緒だぞ…怜兄」
フェリシアの寝言を最後に怜は眠るのであった。
ちょっとした小ネタ
現在怜たちが住んでいる部屋は元フェリシアの家族が暮らしていた部屋である。引っ越しを考えていたが問題が発生したためここで暮らすことに。怜の家族が暮らしていた部屋は怜の両親が帰ってくるまで今は閉めている。だが、あの日電話して以来から両親との連絡が途絶えている。