「うーん…一向に景色が変わらない」
あれからずっと階段を下っていたが一向に地面が見えない。
(このままずっとここにいるとかないよな…もしそうだったらとしたら……)
そこから浮かびある光景をすぐに否定し頬を叩く。
(諦めるな俺! とにかく落ち着くんだ落ち着いてひとつひとつ整理しよう)
一回深呼吸をしてまた周囲を見回した。
結構歩いたにもかかわらず景色は一向に変わらない。
(…ああだめだ、こんなの見たら余計落ち着けなくなる)
階段に腰を掛け休憩する。
景色も変わらないから時間もわからず、このままここに居続ければ精神が持たないのが確実。
(それにしてもなんでこの空間は階段しかないんだ? 階段…そういえばクラスの女子達の会話で階段のことを話していたのを耳にしたような。確か≪≪ウワサ≫≫? がなんとかって言ってたような…)
「あの、すいません!」
「ああ、とうとう幻聴まで聞こえてきやがった。 思えば短い人生だった…」
「ええ!? し、しっかりしてください! 幻聴じゃありませんからちゃんとここにいますから!」
「まったくここに人がいるなんて奇跡が起こらない限りあるはずない…だ…ろ」
幻聴だと思って聞いていた声のほうへ向くとそこには心配そうに俺を見ている少女が立っていた。
(き、奇跡が本当に起こっただとぉ!!)
これには思わず驚いてしまった。ここにきてから数分ぐらいだろうか、それでもここで人に出会うのがとても長く感じる。
(見た感じ中学生ぐらいか? それにこの子が着ている服装…もしかしてこの子魔法少女か?)
「あ、あの…」
「ああすまない、やっと人に会えたもんだから驚いちゃって。 俺は浅日怜、君は?」
「え、あ、はい! 私は
「
「はい! 怜さんはどうやってここに来たのですか?」
「あーそれについてなんだが俺もよく分からないんだ。 気づいたらここにいたって感じで。 君こそどうやって?」
「えっと…私も気づいたらここに…」
「なるほど、お互いにわからないか…」
(だが彼女と出会えたことは大きいぞ、ここから出れる可能性がまだゼロではないんだ。 それに彼女、かえでの仲間が助けにくる可能性があるかもしれない)
「すいません怜さん、力になれなくて」
「いやそんなことはないさ、君には十分なぐらい助けられたさ。 君がいなければ俺はここで一生を終えるところだったよ」
かえでは自分の不甲斐なさに落ち込んでるようだが現状一番役に立たないのは俺だ。
「えっと…ありがとうございます」
「うん、それじゃあ一緒に出口でも探しに行くか」
「はい、分かりました」
さすがにここで待ってても何も始まらないため、かえでと共に出口を探すことにした。
先頭は俺でかえでは杖を握りしめたまま後ろをついていく形となった。
「そういえば怜さん、怜さんはなんで私の服を見ておかしいと思わないんですか? 普通の人ならおかしいと思うはずなのに」
「ああ、家のところにも君と同じ魔法少女がいるから別におかしいとは思わないぞ」
(まあフェリシアの魔法少女の姿は一度も見たことないがな)
「そうなんですか!? えっとちなみにその子のお名前は…」
「深月フェリシアっていうんだが、知ってるか?」
「深月…フェリシア…? え…うそ…あの噂、ほんとだったんだ」
俺がフェリシアの名を口にした瞬間かえでが驚いた様子で何かぶつぶつと独り言を言っている。
「どうしたかえで、急に独り言なんて…」
「まさかここで会えるなんて、怜さんがあの『傭兵の保護者』だなんて」
「え、なにその称号」
(一体なにがどうなったら俺が『傭兵の保護者』の称号がつけられるんだ。というか待ってくれ『傭兵の保護者』多分保護者は俺のことだと思うけど傭兵ってまさかフェリシアのことか)
「あ、えっとすいません勝手に話しちゃって。 噂は聞いては聞いてはいたんですがほんとかどうかわからなくて」
「ちなみに、その噂はどんな内容か教えてくれないか?」
「はい、いいですよ」
前みたく断られると思っていたが快く彼女は了承してくれた。
一旦階段に腰をかけ休憩しながら彼女の話を聞いた。
(さーて、一体どんな内容なんだろうなあ…楽しみだな)
「うちのフェリシアがすいませんでしたぁぁ!!」
ここが階段にも関わらずに見事な土下座をする俺。
今この時にこの話が聞けて本当に良かったと思う俺。
話をまとめるとどうやら他の魔法少女が俺とフェリシアが一緒に帰っているところを見られたらしくそこから変な称号ができたらしい。
そしてここからが本題だった。 結論を言うとフェリシアが多くの魔法少女に迷惑をかけていた。
それを聞いた俺は即座に土下座した。
「え、えっと私は話をきいただけですのでその話がほんとうなのかわからないのですが」
「いや、アイツならきっとすると思うんだが…とりあえず話してくれてありがとうな、かえで」
「はい、こちらこそ聞いてくれてありがとうございます」
彼女の最初は申し訳なさそうな顔をしてたが感謝の言葉を贈ると彼女はえへへっと微笑んでくれた。
「さて、そろそろ行きま―――」
休憩もちょうど済んだので立ち上がろうとした瞬間、突然階段が揺れだした。
「きゃあッ!」
「あぶない!」
バランスを崩し倒れそうになるかえでを体で受け止める。
(くっ、どんどん強くなってきやがる。 いや揺れで気づかなかったが全ての階段が上に動いているのか)
身動きがとれないまま時間がたち揺れがおさまった。
「やっとおさまったか。 大丈夫かかえで」
「はい、私は大丈夫ですけど…さっきの揺れは何だったんでしょうか?」
お互いに立ち上がり状況を確認する。
「なんだ、あれ?」
俺は上を見上げると遠目でハッキリと見えないものの鐘のようなものを見つけた。
「鐘ですかね。 もしかしてあれが『絶交階段のウワサ』の本体?」
(『絶交階段のウワサ』? 初めて聞くな)
「なあかえ――ツ!?」
かえでに声をかけようとした瞬間おぞましい気配を感じ取った。
その気配に身の毛がよだつ、気配をたどると先ほど見た鐘から出ていることが分かった。
(なんだこの気配は、今まで感じことないぞ!?)
冷や汗が頬を伝う。 ここを逃げなければと本能が訴えている。
恐怖で声も出ず立ち止まっている俺を見てかえでは不思議に思い声をかけようとする。
「かえで!」
声をかけようとした束の間、知らない少女の声がかえでを呼んだ。
その声のおかげで俺も意識を取り戻しその声の主を確認しようと振り向く。
「レナちゃん!」
振り向いた先、俺たちとは別の階段に立っている少女がかえでが言ったレナだろうか。
水色の髪でアイドルのような衣装を身に着けている少女は俺を見るやいやな睨みつける。
「かえでから離れて!!」
そういい少女は持っている槍の穂先を俺に向けた。