Saiyan killer   作:北江

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61話、威容

 

 …ズァゴオォォォッッッ!!!!

 

「…………ッッッ……!!!」

 途轍もない気が悟空の身体から放たれた。そのオーラはバリヤーにすらなり、当たる寸前だったマーリンのパンチを、体ごと弾き飛ばした。

 

「ハァッ…ハァッ……ハァッ………」

 しかし……そこまでだった。それどころか、悟空は20倍どころか界王拳そのものを止め、急速に気がしぼんでいった。戦いは終わったとばかりに。

 

 

「…ハァッ…ハァ…、…おめぇ…おめぇはやっぱスゲェヤツだ…。…バカにしたような事言っちまって…悪かったな…、…ハァ…ハァ…ッ」

 そう言いながら、悟空が必死で乱れた呼吸を元に戻す。飛ばされたマーリンも、起き上がりながらそれに答える。

 

「わたしもだ…。超サイヤ人でなくとも、やはりお前は超一流の戦士だった…。甘く見た発言は撤回する。わたしからもさすがだと言わせてもらおうか。ソン・ゴクウ……」

 

 少し息を切らせながら、マーリンも悟空にそう言って賛辞を送る。まるでこの戦いが終わったかのような、そんな空気が流れつつあった。

 

 

 

 さぁぁぁぁぁ……

 

 

 

 …ふいに、二人の間に柔らかな風が流れていった。まるで先程までの激闘の余韻を拭い去るかのような、優しい風だった。

 その風を浴び、息を整え終えた悟空が、やはり穏やかにマーリンに声を掛ける。

 

「…なぁ…。…ここで終わりにする……ってのは、やっぱ無理なんか……?」

「愚問だな…。出来るはずがないだろう」

 マーリンの答えに、そっか、とだけ悟空はつぶやいた。少女の力はよく理解できた。だがそれ故に、ここからの戦いがどうなってしまうのかも、悟空には予測できてしまう。

 

「…判った……。でもそいつがおめぇの望みなら……仕方ねぇ…」

 

 再び、さぁぁぁぁ…とまた風が流れた。しかし今度は、静かな……つかの間の穏やかな時間を押し流すような、かすかに強い風が。

 

 すっ、と悟空が目を閉じる。そして次の瞬間。

「はぁぁぁぁぁっっっッッ……!!!」

 

 

 ズゥアオオォォォッッッ!!!!

 

 目もくらむような金色のオーラが、悟空の身体から噴き放たれた。その中心にいる悟空も金色に染まっている。サイヤ人の特徴の黒髪も金色に染まり、青く輝く瞳は、どこか神々しさすら感じさせる。それほどの変容…いや、『変身』だった。

 

「………ッッ……!」

 

 その様に思わずマーリンが息を呑む。以前にもこれを見た事のあった少女だが、あの時は意識も朦朧としており、はっきりとは覚えていない。それだけに改めて見る超サイヤ人の威容には驚くしかなかった。外見はもちろんのこと、何よりもその力に。

 

 また、あの時の自分は未熟で、スカウター無しでは相手の力すら測れなかった。だがむしろそれは、今にしてみれば幸運だったと少女は思った。そして気絶しかけていたことにも。

 

 …眼前の男から感じられる力は、文字通り桁が違う。あの頃に気を読む力を持っていたら、この気を当てられた瞬間、発狂していたかもしれない、とさえマーリンは思った。

 また、意識があったとしたら間違いなくスカウターを作動させていただろう。しかしこの力を測ろうものなら、高額な分、超高性能な自分のスカウターであっても、瞬時に暴走し、爆発していただろうから。

 

 

 

 

『ーーーたぶん500万はあるな』

 

 

 

 

 …以前に、そんな風に言っていたヤムチャの言葉を少女は思い出した。しかし冗談ではない。目の前の男…超サイヤ人となった孫悟空から感じる力は、到底そんなレベルではないのだ。

 

「…まったく……。何が勝ちをもらうだけ、だ…」

 思わずマーリンの顔に苦笑いと冷や汗が浮かぶ。だがその目は先ほどまでと変わらず、勝負を捨てた者の目には決して現れない、強い光が宿っていた。

 

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