Saiyan killer   作:北江

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7話、奥義

 

「ふふ…ふ……。…ふっ…、…星へ帰れ…か……。貴様らサイヤ人が…それを言うのか……ふふ…ふ……っっ……」

 地の底から響くような、真っ黒な言葉を絞り出しながら少女が嘲った。

 長い前髪の隙間から、こめかみに浮かぶ血管が幾筋も見え、身体は小刻みにぶるぶると震えている。

 

「……貴様らがそれを言うのかぁぁぁーーーーーーーーーッッ!!!!!!」

 

 ドゥゥンンンッッ……!!!!!

 

 

 あれほど冷静になろうとしていた意識も理性も、今は完全に消え失せた。しかし代わりに、先ほどまでとは比べ物にならない力が身体に満ち溢れるのを、少女は感じていた。さっきまで骨のかわりに焼けた鉄棒が埋め込まれていたかに思えた腕にも力が戻る。あるいはそれは錯覚なのかもしれないが。

 恐怖も不安も、痛みも苦しみも、もはやまったく感じない。それほどに少女はどす黒い感情に支配されていた。

 

「…殺してやる…殺してやる…、殺してやる…殺してやる…………!」

 

 ただの人間ならば、聞いただけで本当に絶命しそうな呪詛を吐き散らしながらじりじりと進む。手からはその言葉をつぶやくたびに閃光が大きく、激しく溢れ出していた。

 

 悟空との距離がおよそ10メートルまで近づくと、この時点でマーリンの両腕はすでに崩壊寸前の状態だった。あまりに過度なエネルギーの集中に耐えきれず、あちこち炭化し、内出血と相まって、ほとんどの部分が少女の心の色を表すかのようにどす黒く染まっていた。

 さらには指の何本かは、すでに存在すらしていない。さすがの悟空もそれを見やると、表情に険しさが浮かんだ。

 

「…おい、もういい加減にしろ! おめぇのやってる事はメチャクチャだぞ!!」

 だが、悟空の制止の声など聞こえないとばかりに、なおも閃光は激しさを増していく。

 目を血走らせながら少女は狂気じみた笑みを浮かべていた。そしてようやく幽鬼のような歩みを止め、ゆっくりと腕を振り上げ…

 

 

 ……叫んだ。

 

 

「…ファイナル・グランスピアード!!!!!!」

 

 

 マーリンの最大最強の必殺技…奥義とも言える技が炸裂した。射程距離は10メートル以内と短いが、圧倒的な威力を誇る技だ。

 通常のエネルギー波は、威力と射程が反比例する。ある程度密度を高めたエネルギーも、距離を進めばどうしても力が拡散してしまう。だが彼女のファイナル・グランスピアードは、エネルギーをただ放出するのではなく、いわば力場、フィールドを両腕に作り出し、そこに全エネルギーを投入することで成立する。

 

 両腕の間に強制的に収束させられたエネルギーは槍状に収束し、そしてその精度は先端部分がわずか1ミリ以下である。

 

 一般的にどんな戦士も通常、身体の表面にエネルギーを張り巡らせ、敵の攻撃を軽減している。そして受ける単位面積あたりの攻撃力が、身体を覆う防御力より低ければダメージを受けずに済むが、逆の場合はダメージを受ける。

 つまり同じ攻撃力ならば、より接触する面積を小さくした攻撃の方が効くと言う事だ。面より線、線よりも点の攻撃が有効といえる。

 

 そしてこの技は1平方ミリ以下のまさに一点に、30000以上の戦闘力が生み出す、とてつもないエネルギーが加わる。まともに食らえば、かつてフリーザ軍が誇った超エリート集団、ギニュー特戦隊のメンバーといえど、タダでは済まないほどの威力なのである。

 

 ただし、その絶大な威力は、エネルギーの過度の集中とフィールド形成に、両腕に甚大な負荷が掛かり、最悪の場合はその負荷に耐え切れず、両腕が消し飛んでしまうというリスクと引き換えによって得られる。すべてのサイヤ人を根絶やしにするというマーリンの怨念と妄執が生み出した、禁断の奥義だった。

 

「喰らえぇぇぇぇッッッ!!!!」

 

「……ッッ……!?」

 

 

 

 …カッ…………!!!

 

 

 

 再び荒野に閃光が走る。一瞬遅れて爆音が轟いた。

 

 

 

 

 ズッ………ゴォァアアアアアッッッ!!!!!

 

 

 ヤムチャと戦った時とは違い、今度は間違いなく……マーリンの必殺技が発動した。しかもあの時とは比べ物にならないほどの威力を秘めて…。

 

 




必殺技の名前を叫ぶのって、ある種のルーティンなのかなぁと最近考えるように
なってきました。特にある程度の精神集中が必要な技の場合とか。
そう考えると、気の操作が必要なZ戦士は割に技名を叫ぶけれど、初期のベジータや
ナッパなんかは何も言いませんものね。ナッパなんて「カパッ」とかですし(笑)

いやまぁ、メタ的に言えば悪役の技名なんて基本、需要がないから、みたいな見方も
できますけれど。
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