悪堕ちなえちゃんは諸悪の根源の補佐をするようです 作:日差丸
そして本当に言いにくいことなんですけど、これからもっと投稿スピードが遅くなると思います。
原因はリアルで忙しくなってしまいまして……たぶん三月ぐらいまで続くのかな? それまではたぶん一ヶ月に一回投稿できたらいい方かもです。
ですがちゃんと諸事情が終わったら戻ってきますし、完結は絶対にさせるのでご安心ください。
さて、現在女子トイレで両手を上げて銃を突きつけられております。
何を言ってるんだって思われるかもしれないが、私も何が起きているのかよくわからないのでご安心を。
まるで意味がわからんぞ!
見たこともないハイテク銃を構えているのはバダップ。フルネームは知らん。前に私を襲って来た謎の刺客である。
ちなみに抵抗は早々に諦めた。
だってこいつ強いんだもん。前回真正面からやって散々な目に遭ったのは記憶に新しい。具体的に言うとバラモスとゾーマくらいの実力差がありそう。
てなわけでまだ話をした方が生き残れる可能性は高いのだ。
頼むぞ私の説得ロール、失敗してくれるなよ。
「えーと……いい天気ですね」
「死ね」
ダメですねぇこりゃ!
言葉とともに銃を振り下ろしてきたので、サッと避ける。目の前のガラスを突き破って壁に大きな穴が空いた。
ヒェッ!
「はぁ。んで、今日も私を襲いにきたの?」
「安心しろ。攻撃は禁止されている。今のお前は超能力に目覚めかけてしまっているからな。イタズラに刺激して覚醒されてはたまらん」
「超能力ぅ……?」
こんな科学めいた武器持ってるやつがずいぶんロマンティックなこと言うじゃん。まあ私たちの使う気、まあエネルギーもずいぶんオカルトめいてはいるけど。
バダップはしばらく何かを考え込んだあと、銃をしまってくれた。よかった、どうやら本当に今日は殺す気がないみたい。
「今日は最終警告だ。と言ってもお前には意味はないだろうがな」
「そりゃもちろん」
「近いうちに俺たちは再び現れ、そしてお前を抹殺する。それまでせいぜい首を洗っておくことだ」
「殺害予告なんてずいぶん優しいじゃん。怪盗にでも転職したら?」
「上にはまだ甘い幻想に囚われている者がいるらしくてな。これも命令だ」
なるほど、脅せば殺すまでしなくてもいいんじゃないかと。どうやら彼らのバックは一枚岩じゃないらしい。てことはそれなりの大組織ってことが予想できる。人数が増えれば話がこじれやすくなるのが組織だしね。
バダップはこれ以上話すことはないと背を向ける。
ハハッ、油断したなボケが!
私はまさに完璧とも言えるタイミングで拳を突き出す。しかし当たる瞬間、バダップから謎の光が発生し、それに溶けるように消えてしまう。
代わりに壁に拳をぶつけた。
「ぎゃぁぁっ!」
痛い!
手のひらにジーンとした熱が広がって、継続的な痛みが襲ってくる。
おのれ……許さんぞバダップ!
やつの所業に怒りを燃やしながら、やることもないので外に出ることにした。
♦︎
フィディオにはバダップのことは話さないことにした。
いくらチームメイトとはいえ、これは裏の問題だしね。表の彼が首を突っ込む道理はない。
それに何かあって怪我でもされたら困るし。
何食わぬ顔をして合流し、隣の店を散策すること数十分。
時間になったのでユニフォームショップに戻り、例のブツを受け取る。
「ふふっ、どうフィディオ? けっこう似合ってるでしょ?」
「あ、ああ……それにしても、他の国のユニフォームを着るなんて、不思議な気分だな」
くるりと回転したあと、ドレスを掴むようにズボンの端を掴み、この姿を見せびらかす。
うんうん、いい着心地。さすが本物と同じ素材を使ってるだけある。そこらの安いレプリカとは大違いだ。
このユニフォームならさっきまで着てたアロハシャツ以下になることはないし、我ながらここで着替えるというのはいいアイデアだった。
ちなみに髪型も今は気分を変えてポニーテールにしてる。青と桃色のコントラストが目立ってて、自分でもなかなか似合ってると思ってる。
フィディオもいい出来だ。元々イタリアとジャパンはユニフォームの色が似てるし、違和感はなかった。
「よし、買い物はこれくらいにして、次はビーチにいかない?」
「ビーチか……そういえばゆっくりは見てなかったな。水着はないから泳げないけど、面白そうだね」
というわけでリゾートエリアを歩いて十数分、真っ白な浜辺とキラキラと輝く海が見えた。
わぁ、綺麗……。遠目から見ると宝石のように青いが、よくよく見ると透き通っており、中を舞い踊る魚たちがはっきり見える。その魚たちの色は赤、黄色、緑、その他多彩。宝石の中に宝石が入っているようだ。日本じゃめったに見れない光景には違いないだろう。
砂浜にはあちこちにシートやパラソルが置いてあり、大変賑わっている。といってもぎゅうぎゅう詰めというほどでもなく、ビーチバレーをやっている集団もあった。
……って。
「ブラージたちじゃん、あれ」
ブラージがキーパーのジャンプ力を活かして高く飛び、ダンクシュートみたいな勢いでボールを下に叩きつける。うわ、あまりの衝撃に小さいクレーターできてるじゃん。
飛び散った砂にはアンジェロちゃんが埋もれちゃってるし。しかしそれでもお構いなしにゲームは再開する。誰か助けてあげて。
確認は要らなかった。私たちは彼らの方へ歩いていく。
「ハッハッハッ! 自分の才能が怖いぜ! 誰か俺より強いやつはいねえのかよ!」
「へー、ずいぶん楽しそうじゃんブラージ」
「げ、げぇっ!? ナエ、テメェなんでここに!?」
後ろから声をかけると、首がねじ切れんばかりの勢いでこっちを向いた。
……いいこと思いついた。
にこりと笑いかけてあげる。それに彼も何かを感じ取ったのか、その顔はみるみる青くなっていく。
そこら辺に転がっていたボールを拾い上げ、一言。
「さ、やろっか?」
「待て待て待て! お前のジャンプ力じゃシャレにならねえよ!」
「よかったじゃねーかブラージ。強そうなやつが出てきて」
「ラファエレお前ぇ!」
「逝っくよー」
「なんか発音おかしくねえか!? ……ぶぎゃっ!?」
その後、しばらくの間ビーチでは爆音が鳴り響いたらしい。
そして同時に、砂から足だけ突き出た謎のモニュメントが出現したとかなんとか。
なんとも気味の悪い話である。
「すまないブラージ……強く生きろ……」
「フィディオー! 次ジャパンエリア行こー!」
♦︎
はいやってきました、ジャパンエリア!
和風な雰囲気は外国人が思い浮かべそうな古き良き日本そのものだ。まるで京都に旅行してるかのような感覚を与えてくれる。
あちこちには雰囲気にならって着物を着ている観光客がちらほら。どうやらレンタル屋があるらしい。
しかし行列だったので、入るのは諦めた。
エリアの途中で流れる川を木製の橋がつないでいる。そこを渡ったら、今日の目的地だ。
「いくぞ円堂、ドラゴンスレイヤー!」
「真イジゲン・ザ・ハンド!」
おーやってるやってる。青いブレスが結界に当たったかと思えば、上に逸れてゴールバーを通り越していく。
……って、ボールこっちきたぁ!?
「ひゃっ!?」
「ふふっ、金網が張ってあるからこっちにはこないよ」
「う、うっさい! それくらいわかってるよ!」
くっそ、驚いて変な声出た。おのれ染岡君……!
当の本人はこっちに気づいたらしく、私たちの名前を呼ぶ。それを聞いたみんなが集まってきた。
「なえ、フィディオ! もう大丈夫なのか?」
「ああ。いつまでも落ち込んでちゃいられないからね」
「そーゆーこと。一流の選手は切り替えも早くなくちゃ」
グラウンドに入ると、あっという間にみんなに囲まれる。
……いや、一人隅っこのベンチで寝っ転がっているやつがいるね。バナナみたいな変な髪型のやつがいる。誰かが座って滑ったら大変だ。
かかと落としを振り下ろす。
「とうっ!」
「ぶぼがっ!?」
クリーンヒット!
というかヨダレが弾丸みたいに飛んできた。うわっ、きたなっ。
早く片付けておけよ。そのボロクズを(サイヤ風)
「てんめぇぇっ!! なにしやがる!」
「まだお昼なのに眠たそうにしてたからさ。ちょっと眠気覚まし入れてあげようかと思って」
「明らかに殺しにきてただろうが! テメェの足でやるとシャレになんねえんだよ!」
えり首を掴まれ、ぶんぶん揺らされる。
あ、このやろー! おニューなんだぞ! なんてことしてくれるのさ!
ムカついたからそのバナナを引っ張った。負けじとあちらも首を絞めてくる。
こ、この……!
「はぁ……いい加減にしろお前たち」
そんなみみっちい喧嘩に割って入ったのは鬼道君だった。同時に私たちは誰かから羽交い締めにされる。
「うんうん、喧嘩はよくないよ?」
「むーシロウ、これはあいつが生意気なのが……」
「ほら不動、お前もよすんだ」
「離せこのクソ眼帯やろう! 一発あいつを殴らせろ!」
佐久間に身動きを封じられながら、ジタバタと暴れまくる。まるで猿のようだ。いや、バナナ食うからサルそのものか」
「……おい、漏れてんぞクソ女」
「……へっ?」
……。
女神のように心温まる笑みを浮かべる。私のプレミアものの笑顔だ。これでやつの荒んだ心が癒えればいいけど。
けど逆効果だったようで、奴は噴火したように腕の中で暴れ出した。
おめでとう マンキー が オコリザル に しんかしたぞ
「てんめぇぇぇぇぇっ!!」
「はぁ……ダメだ。まったく収拾がつかない」
「いつものことだ。諦めろ鬼道」
青い息を吐く鬼道君の肩をポンポンと佐久間が叩く。
試合の疲れが取れてないのかな?
しかしこの地雷だらけの空間にも迷わず突っ込んでくる人が一人。
「そうだなえ、あのシュート撃ってくれよ!」
「あのシュート?」
「ロココに撃ったあれだよあれ! 俺、あれ見た時から受けてみたくウズウズしてるんだ!」
あー、ミラクルムーンのことか。
あれのおかげでロココに一矢を報いることができた。まあスタジアム壊したのもあれだけど。
しかしなぁ……。私は難色を示す。
今の円堂君だと、間違いなく怪我しそうなんだよね。あの進化したロココでさえ吹っ飛ばしたのだ。イジゲン・ザ・ハンドじゃ絶対に足りない。
私の懸念を察したのか、彼は真剣な顔でその理由を話す。
「もちろん、俺だってあのシュートをくらったらタダじゃ済まないのはわかってるさ。でもさ、それでも俺世界最強のシュートを受けてみたいんだよ!」
「でも……円堂君にはブラジル戦が……」
「ここで逃げたら絶対に世界一になんてなれない! ぜーったいにだ!」
そこまでの覚悟があるのか……。
なんて目なんだ。絶対怪我するってわかってるのに、闘志が熱く燃えている。見つめてるだけで汗をかいてしまいそう。
はぁ……これだけ頼まれちゃ断れないよ。もとより私はサッカー選手、挑まれた勝負は受けるのが主義だ。
「わかった。ただし絶対に無理はしないこと。いいね?」
「ああ、サンキューな! それじゃあ監督が戻ってこないうちにやろうぜ!」
そういえば久遠監督がいないな。まあいたら絶対にこの勝負認めてもらえないだろうからいいけど。てなわけで私たちはさっそくそれぞれの位置についた。
普通、一対一といえばPK戦だろう。しかしそれではあまりに危険すぎる。そう判断され、鬼道君の提案によって私はセンターサークル内からシュートを撃つことになった。これが決まればまさに超ロングシュートである。
他のイナズマジャパンのみんなは誰もこの勝負を止めようとはしなかった。たぶん円堂君の思いを聞いて、それを受け入れているのだろう。全員が固唾を呑んで見守っている。
深く息を吸い込み……吐き出す。
そしてカッと目を見開いた途端、私の体から膨大な気が溢れ出る。
「……行くよッ!」
「こいッ!」
足が垂直に伸びるほどの勢いでボールを蹴り上げ、様々な色の気を送り込む。それはだんだんと膨張して、虹色に輝く月のように……って、ぐぅぅっ! なにこれ!?
月を作ろうとした途端、その膨大なエネルギーの融合にコントロールが振り回された。まるで乱気流の中に放り込まれたかのような感覚。前後左右バラバラにシェイクされる感覚が私を襲い、同時に月がグニャグニャと歪な形になっていく。
そして一白置いて、空で虹色の大爆発が起きた。
「のわっ!?」
真下にいた私はその衝撃波に、地面に叩きつけられる。それも顔面から。
シーン、という静寂が辺りを支配する。それを撃ち破ったのは下品な笑い声と、拍手。
「ブハハハッ! なんだそれ!? いつからお前のシュートは顔を撃ち出すようになったんだ!?」
「……イラっ☆」
「お、おお落ち着くんだナエ! 失敗は誰にもあるって!」
近くを転がっていたボールに向かって足を振り上げたけど、フィディオが射線を遮るように飛び出してきたので足を下ろす。
くっそうざい拍手の仕方してくれちゃって……! おもちゃの猿のシンバルかおのれは。壊れたように絶え間なく発せられる音が実に忌々しい。
それにしても……さっき蹴ろうとしたボールに目を向ける。
「どうして失敗したんだろ?」
ロココの時にはあんなにスムーズに気を注ぎ込めたのに、今じゃ全然操れる気がしない。
なんか感覚が変なんだよね。気の他にも何かが混じっていて、それの調整が難しいというか。
……そういえばバダップが超能力とかなんとかが目覚めたとか言ってたような。もしかしてこれのことなのかな。
まあどっちみち……。
「ごめん円堂君、私にもまだこの技は撃てないみたい」
「おいおい落ち込むなよ。完成形が見えてるんだ。いつか絶対完成させられるって」
うぅ……相変わらず優しい。残念な顔をするどころか笑って励ましてくれるなんて。……どこかのハゲもどきも見習ってほしいものだよ。
結局その後は久遠監督が戻ってきたこともあり、今日のところはお
それにしても超能力か……。あのバダップも警戒するほどの力。使いこなせれば自衛のためだけじゃなくて、私のサッカーも大幅に飛躍することだろう。
世界のてっぺんが見えた気がしたけど、まだまだだ。私はもっと強くなれる。そのことを知って、帰り道にちょっとほおが緩んだ。