悪堕ちなえちゃんは諸悪の根源の補佐をするようです 作:日差丸
足に怪我をしたのに結局染岡がベンチに戻ることはなかった。
なんでも雷門のベンチは現在一人しかいなくて、しかもそのメガネ君がこれまた怪我をしているようなのだ。
てことで染岡はフィールドに残されることとなった。
とはいえ、あの足じゃもう動くのは無理だ。
これで実質一人減ったと考えても過言ではないだろう。
フリーキックで、ボールは雷門からだ。
キッカーは風丸。
私たちはそれぞれが雷門イレブンのマークにつく。
「いくぞ! うぉぉぉっ!!」
蹴り上げられたボールは右側へ。
ちょうど私の近くだ。
鬼道君や一之瀬につなげようとしたんだけど……甘い!
軽やかに飛び上がり、インターセプトしようとする。
しかしそのとき、風丸の口角が上がっているのが見えた。
私の足に当たる直前。
ボールはなんと、不自然なまでに急カーブして、逆サイドに落ちていった。
「名付けて、バナナシュート!」
「そんなのあり!?」
バナナシュートじゃないよ!
なにあの曲がり方!? ほぼ直角だったぞ!
風丸にそんな特技があったなんて、聞いてないぃ!
さすがに地に足が着いてなければ、自慢のスピードも発揮できないわけで。
私はまんまと出し抜かれて、ボールが通るのを許してしまった。
落ちたボールをシロウが拾う。
「くそっ、使えねぇ! 帯屋、弥谷!」
『ダブルサイクロン!!』
不動がディフェンス陣に指示を出した。
帝国の『サイクロン』の強化系『ダブルサイクロン』。
足を振り切ることによって発生した、二つの竜巻がシロウを襲う。
「ぐぅぅ……っ! こんなそよ風ぇ……っ!」
必死に風に耐えながら、シロウは足で地面を踏み締めるように、一歩一歩進んでいく。
しかし抵抗虚しく、いっそう風が強くなったとたんに竜巻にボールごとさらわれて、空へと打ち上げられてしまう。
竜巻が消え、ボールが落ちてくる。
だけど二人がそれを拾うより早く、鬼道君が飛び上がりカットしてしまった。
彼らを抜かれてしまっては、もう源田しか守備にはいない。
源田は憎むべき鬼道君を目の前にして、声高らかに吠える。
「いくぞ源田!」
「お前一人でなにができる! 力の差を思い知らせてやる!」
源田はもちろんビーストファングの構え。
それを目の前にして、鬼道君は躊躇なくボールを蹴った。
「この程度! ビーストファン……なにっ!?」
だけどそのボールは源田の頭上を超えて、バーに当たった。
まさかのミスキック? ……いや違う!
跳ね返ったボールめがけて飛び上がる鬼道君。
彼のその姿は、自然と既視感があった。
そうだ、あれは地区大会決勝のとき、私が円堂君に見せた……!
鬼道君は空中に飛び上がりながら、指笛を吹く。
すると何匹ものペンギンが地面から飛び出してきて、ボールに次々と突き刺さっていく。
「オーバーヘッドペンギン!」
空中で逆さまになりながらの、鬼道君のシュートが放たれた。
源田はこれまた意表を突かれて、構えすら取れていない。
そのままペンギンたちがゴールに突き刺さって、雷門の2得点目になってしまった。
「そんな……バカな……! 俺たちは強くなったはず……!」
源田は膝をつき、地面を殴りつけた。
虚しい音が鳴る。
そんな彼を、鬼道君は見下ろす。
「……さっきのフェイント。あんなのは子供騙しだ。帝国のときのお前なら、パワーシールドに切り替えることで十分防げたはずだ」
「なにが言いたい……!」
「お前はビーストファングを出すことだけに集中しすぎて、真正面からしかボールを見れなくなっているんだ。はっきり言ってやる。お前は強くなったんじゃない! 弱くなったんだ!」
「なん……だと……?」
『弱くなった』。
その言葉にショックを受けすぎたのか、源田はそのまま固まって、動かなくなってしまった。
ありゃりゃ。だめだありゃ。
あーなったらもう源田は使いものになりそうにない。
補欠のキーパーは試合前に潰してしまった。
……あれ、これもしかして超ピンチ?
「不動、私はディフェンスに下がる! あなたはなんとか佐久間にボールを回して!」
「くそったれ! これでアドバンテージはゼロかよ!」
こうなったら私がキーパーをやるしかない!
……足しか使えないけど。
試合は再開。
前線に私がいないせいで、雷門の攻撃陣は絶好調になってしまっている。
次々とディフェンスを超えてきて、シュートを撃ってくる。
「スピニングシュート!」
「スピニングカットV3!」
相手も源田が役に立たなくなっていることを理解しているようで、ペナルティエリア外でも普通に撃ってきた。
それを衝撃波の壁で弾く。
こぼれ球を郷院が拾おうとして……氷の結晶が彼を包み込んだ。
「アイスグランド」
彼はその場で氷像と化して、動けなくなってしまった。
そのボールをエースストライカーであるシロウが回収してしまう。
最悪のシナリオ。
ここで……ここでまた、負けちゃうの?
流れる数秒間で、数え切れないほどの考えが頭をよぎっていく。
いやだ……! そんなのは、いやだっ!!
「エターナルブリザード!!」
「スピニングカット、V3ィィッ!!」
発生する衝撃波の壁。
でも彼から放たれたシュートの前では意味をなさず、すぐに貫かれてしまう。
「負けて、たまるかァァァァァァッ!!」
それでも私は諦めなかった。
たとえ壁がなくたって、私自身が壁になってやる。
そうして立ち向かい、氷のシュートが腹にめり込んだ。
あまりの衝撃に、一瞬意識が飛びそうになる。
それでも歯を食いしばって耐えるけど、それでもボールは私を押してゴールへと向かっていく。
だめだ! このままじゃ吹っ飛ばされる!
だったら……っ!
私は自ら、ボールを巻き込んで跳躍した。
地面という支えがなくなった私の身体は急速に後ろへ進んでいく。
しかし鈍い音とともに硬い何かが私を受け止めた。
私の背中に当たったのは、ゴールのポストだった。
今度こそ意識が飛びそうだ。後頭部を打ちつけたのか、ネバネバした液体の感触も感じられる。
だけど、これ以上ボールが進むことはない。
私の腹をドリルのようにボールはえぐり続けて、とうとう失速して地面に落ちた。
同時に私も、その場で崩れ落ちる。
「ハァッ……! ハァッ……!」
まずい、さすがの私でもこれはヤバいかも……!
視界が霞んでいく。
前が、前が見えない……。
自然と身体から力が抜けていく。
くそ……このままじゃ……。
「さっさと立ちやがれこのバカ女ぁ!!」
その大声は、意識が途切れ途切れな状態でもよく聞こえた。
「お前、あれを見てまだわからないのか! あいつももう限界だ!」
「うるせぇ! 俺は負けるわけにはいかねぇんだよ!!」
ごちゃごちゃうるさくて、ロクに聞き取れやしない。
誰が何を喋ってるのか。それすらもよくわからない。
だけど、目。
顔すら見えないのに、その爛々と光り輝く熱い目だけはよく見えた。
「……アハッ」
まったく、人使いの荒いやつだよ。
だけど、その目は嫌いじゃない。
やつの視界に、すでに鬼道君は映っていなかった。
今映ってるのは勝利のビジョンだけだ。
なら、それに応えてあげるのが、サッカープレイヤーだ。
なんとか立ち上がるけど、足がもつれてポストに寄りかかってしまう。
はぁ、なんかすっごい気持ち悪い。頭がグルグルしてるし、真っ暗だ。もしかしたら私は寝ているのかもしれない。
ほおにポストのひんやりした感覚が伝わってくる。
気持ちいい……そして、ちょうどいい。
私は思いっきり、ポストに頭突きをかました。
キーンという、耳が痛くなるような音がグラウンド中に響く。
血が噴き出し、視界の一部が真っ赤に染まる。
でも、でもでも。
「……フフッ、アハハッ! 気持ちいい! さいっこうにいい気分だよォ!!」
私の頭にあった不快感は、キレイさっぱり消えていた。
「アハッ、どうしたどうしたのみんなァ。そんな驚いた顔しちゃってェ」
「なえ、ちゃん……っ」
「そうだよ、私はなえだよ。この世で一番……頂天に輝く者だ!」
『ライトニングアクセルV2』。
不意を突いてシロウを抜き去る。
そのままスピードに乗って、前線へ前線へ。
風が心地いい!
今なら音速でも超えられそうだ!
グングングングン敵を追い抜いていく。
そうやって進んでいくと、四人もの選手が私を取り囲んできた。
よっぽど私に脅威を感じたようだけど、甘い。
私は急ブレーキして、シュート気味にボールを蹴った。
稲妻のように鋭いそれを、不動が辛うじて追いついて受け取る。
これでディフェンス陣は壊滅的だ。
だけど、肝心の佐久間には一之瀬がべったりとマークについてしまっている。てこでも動きそうにない。
「佐久間にボールは渡さないよ!」
「いい子ちゃんは引っ込んでな! ——ジャッジスルー2ッ!!」
「ぐっ! ごっ! がっ! ぐわぁぁぁっ!!」
だから、不動はあえて彼にボールを渡して、その後マシンガンのような蹴りをボール越しで叩き込んだ。
悪魔をも粉砕する狂気の奥義。
一之瀬は血反吐を吐きながら、地面に倒れる。
そしてコロコロと地面を転がっていくボールが……佐久間の足に届いた。
「やめろぉぉぉっ!!」
鬼道君が叫ぶが、間に合わない。
「皇帝ペンギン……1号ぉっ!!」
悪魔のシュート、二発目。
真紅のペンギンたちがゴールへ襲いかかり、全体の筋肉が潰れたかのような激痛が、彼の身体に走った。
「おっ……グガァァァァァァッ!!」
彼の痛みを代償として、ペンギンたちは力を増していく。
その前に、青い光を纏い回転する鬼道君が立ち塞がる。
「バックっ、トルネード!!」
エネルギーを溜めたかかと蹴りがシュートと激突。
しかし皇帝ペンギン1号を弾くには、あまりに力不足。
彼は駒のように逆回転しながら吹き飛ばされ、倒れた。
「マジン・ザ・ハンド改ッ!!」
魔神の手がペンギンたちを押し止める。
さっきのバックトルネードである程度パワーダウンしてたのか、すぐに魔神が消え去ることはない。
だけどそれも時間の問題だ。
彼の身体が、徐々にゴールへ押されていく。
「負けて、たまるかぁぁっ!!」
やがて魔神の腕が砕け散り、ボールが円堂君に迫っていく。
しかし彼は諦めずに、ボロボロの手を伸ばした。
「真熱血パンチ!!」
黒こげになっていたはずの手が逆に燃え上がる。
そして炎の拳がシュートと衝突し……歪な方向へボールを弾くことに成功した。
「円堂、大丈夫か!?」
「ああ、なんとか……だけど……」
円堂君は正面を見やる。
そこには地面に崩れつき、過呼吸かと思わせるほど呼吸を荒くしている佐久間がいた。
見ていられない。
彼の状態を一言で表すならこうだろう。
「もうやめるんだ!」
「やめるわけには……いかない……っ」
ユラユラと。
幽鬼のようにふらつきながら、佐久間は歩いていく。しかし一歩踏み出すたびに悲鳴をあげていて、すごく辛そうだ。
「なぜわからない!? 二度とサッカーができなくなるんだぞ!」
「わからないだろうな、鬼道……お前には……っ」
息も絶えた絶えになりながら、佐久間は語り出した。
彼がどんなに練習しても鬼道君や私に追いつけないこと。
一緒にプレイしてるはずなのに、まるで別の世界を見ているように感じられたこと。
そしてエイリア石があれば、鬼道君を超え、さらなる高みへと登っていけること。
彼はただ、並び立ちたかっただけなのだ。親友である鬼道君のとなりに。
それが、エイリア石によってずいぶんと歪められてしまい、こうなった。
可哀想だとは思う。
だけど同情はしない。
それがサッカーというもの。
だから、たとえ三回目の皇帝ペンギン1号を撃たせることになっても、私は後悔しない。
「佐久間!」
鬼道君たちが喋っている間に回収しておいたボールを、佐久間にパスする。
彼は鬼道君を目の前にして、指笛を吹いた。
「これで最後だ! ——皇帝ペンギンっ、1号ォォォォォォッ!!」
三発目。最後の一撃。
ボールを蹴った瞬間、私の耳にメギャメギャという嫌な音が聞こえてきた。
「グオ“ガァ”ァ“ァ”ァ“ァ”ァ“ァ”ァ“ァ”ッ!!!」
「佐久間ァ!!」
もはや人間のものとは思えない叫び声をあげながら、佐久間は倒れる。
だが悪魔は止まらない。
その延長線上にいる鬼道君は、佐久間のことでワンアクション遅れてしまい、蹴り返すはおろか、避けることもできそうにない。
だけど彼の顔にボールが当たる直前、誰かの足が横から飛び込んできた。
「させるかぁぁっ!!」
「染岡っ!?」
鬼道君を守ったのは、足を怪我していたはずの染岡だった。
タイツ越しからわかるほど腫れ上がった足がボールを食い止めている。
だけど、そんな無茶をすれば当然、
「ぐおぉぉぉぉぉぉっ!!」
先ほど佐久間から聞こえてきたものと似た音が、また耳に入ってきた。
それだけで、彼の右足が完全に潰れてしまったことが、私にはわかった。
だけど、それでもボールは止まらない。
目も開けられないほどの爆発が起きた。
染岡は宙に放り投げられ、不安定な体勢で地面に落ちてしまう。
「大丈夫か、染岡!?」
「かはっ……のっ、残しておいてよかっただろ……? ぐっ……!」
「……っ! 染岡ァァァッ!!」
それだけ言い残して、彼は瞳を閉じた。
倒れた仲間への思いや悔しさが、叫びとなってグラウンド中にこだまする。
「おら、もう一度だ佐久間! ……って、ありゃダメだな」
だけど、試合中に悲しんでいる暇などない。
いつの間にか回収していたボールを出そうとして、不動は佐久間を見る。そして舌打ちをした。
「ァ……ァァ……ッ!」
佐久間は白目を剥きながら倒れていた。
闘志が消えたとかの話ではない。意識を失ってしまっている。
もはやピクリとも動かすことのできない様は、まるで糸が切れた人形のようであった。
これじゃあ試合はもう不可能だ。
佐久間の影響で、雷門のゴール前にはたくさんの選手が集まっている。あれじゃあ私のダークサイドムーン改でも無理やり押し込むことは不可能だろう。
ドリブルで抜いてもいいけど……。
ちらりと時計に目をやる。
残り2分。悠長にしている時間はない。
このままPKに持ち込まれれば、キーパー不在な私たちに勝ち目はない。
だったら、私がやるより他はない!
「不動、私にボールを!」
「決めろ、なえぇ!」
ラストチャンスだ。
ボールを受け取った私は親指と小指で輪っかを作り、それを見せびらかすように天にかかげる。
「円堂君、鬼道君。私は倒れた佐久間たちのためにも……なによりも私のために、負けるわけにはいかないの!」
「お前……まさか……!」
指の輪っかをくわえ、思いっきり空気を吐いた。
ピィィィィッ! という甲高い音が、魔獣を引き寄せる。
地面を突き破って、それは地上に姿を現した。
真紅のペンギン。
しかしそれは佐久間のよりも一回りほど大きく、骨で作られた冠を頭にかぶっていた。
それが十匹。
全部が泳ぐように空を活発に飛び回り、やがて私の右足に噛み付いていく。
身体全体が軋むような痛みが流れた。
流れた赤いエネルギーが電流となって、私を蝕んでいく。
痛い。身体が内側から破裂してしまいそうだ。
だけど撃つ。全ては勝利のために……!
苦痛による悲鳴の代わりに、私はその悪魔の名を叫ぶ。
「皇帝ペンギン1号——G5ッ!!」
蹴り出したとたん、全ての音が遠くなった。
痛みは、いつの間にか消えていた。いや、五感全てが感じられなくなっていた。
はぁ……これで終わりか。
私の意識は暗転した。
♦︎
なえによって放たれた、恐るべきシュート。
それを止めるために、壁山と塔子は必殺技を繰り出す。
「ザ・ウォール!」
「ザ・タワー!」
しかしダメだった。
ペンギンたちはそのくちばしを、まるでドリルのように回転させながら突撃し、一瞬で二つの壁を貫いた。
少しもパワーが落ちていない。
このまま円堂とぶつかっては、無事では済まない。
そう判断した鬼道は青い光をその足に纏う。
「バックトルネード……っ、改!!」
その回転かかと蹴りは、先ほど発動したときよりもパワーが上がっていた。
それでも、到底これには敵わない。
足が潰れそうになほどの激痛に顔をしかめる。
しかし、そんなのはわかっていたことだ。
「一ノ瀬!」
「ああ! ——スピニングシュート!」
鬼道のスパイクに、一ノ瀬が蹴りをたたき込んだ。
これで二人。だがまだ足りない。
「吹雪……お前もだ……!」
「だ、だけどよ鬼道っ。お前の足が……!」
鬼道の足はすでに嫌な方向に曲がりかけていた。
それだけで、相当痛めていることがわかる。
「かまわん! やれぇぇぇぇぇ!!」
「っ、くそったれがぁ! ——エターナル、ブリザードッ!!」
冷気を纏った強烈な蹴りが、さらに一ノ瀬のを通して鬼道の足に叩き込まれた。
麻痺してしまったのか、痛みはもう感じられない。
だが今は好都合。
三人は力を融合させて、シュートを押し返そうとする。
「ぐっ……! バカな……!」
「嘘だろ……!」
「まさか、まだ足りないなんてよ……!」
しかし、彼女の皇帝ペンギン1号の方がパワーはまだ上だった。
鬼道たちはやがて耐え切れなくなって、吹き飛ばされてしまう。
残ったのは円堂一人。
「止める……止めてみせる……! ここで止めなきゃ、いけないんだァァァ!!」
ペンギンは五匹にまで減っていた。
それでも、強力なシュートであることには変わりない。
円堂は身体をひねり、心臓から出したエネルギーを右手に込める。
「マジン・ザ・ハンド改ッ!!」
魔神が右手でシュートを受け止める。
だが円堂にはわかっていた。これだけでは突破されてしまうと。
佐久間の皇帝ペンギン1号でさえも、万全でペンギン五匹だったのだ。
今受けているシュートは間違いなくそれと同等、もしくはそれ以上だろう。
案の定、魔神が砕かれ、消え去っていく。
どうすればいいかなんてわからない。
ただただ焦燥のみが増していく。
右手はもう使えない。
左手じゃ力不足。
「だったら、頭でだァァッ!!」
気がつけば身体が動いていた。
円堂の額に凄まじい衝撃が伝わる。
アイデンティティのバンダナは、摩擦熱によって焼き切れてしまった。
それでも円堂は頭を押し当てることをやめない。
そのとき、円堂の額に光が集い、握り拳のようなものが形成された。
ボールはずるずるとコースを変えていき——バーを超え、海へと落ちていった。
そこでホイッスルが鳴り、試合は終了した。
ゲーム2ではG5まで上げるには230回もシュートを決める必要があるそうです。
なえちゃんェ……。