悪堕ちなえちゃんは諸悪の根源の補佐をするようです 作:キメラテックパチスロ屋
ダークフェニックスが決まってから、相手の攻撃はますます激しくなっていった。
っ、基本能力がさっきよりも上がっている? 温存していたというわけでもなさそうだし、あのエイリア石がさらなる力を渡しているのか。さっきからユニフォームの上からでもはっきりとわかるほどの光を放つ石を見て、思う。
『トリプルブースト!!』
栗松、宍戸、風丸が一直線に並び、シュートにシュートを重ねた。
思い出すのはあのムカつくバナナ頭、不動の顔。おそらくエイリアと繋がったことで真・帝国の情報を得たのだろう。ただ、その威力は間違いなく本家以上だ。
「これ以上ボールをゴールに届かせるな! なんとしても死守するんだ!」
「ボルケイノカット! ……ぐおっ!?」
鬼道君が立向居を気遣ってかそう叫ぶ。
土門によって炎の壁ができあがるも、シュートはそれを容易く貫き、彼らの体に激突する。そのおかげでなんとかボールは弾かれたが、二人は地に伏してしまった。
今のシュート、ゴールからわずかにだけどそれていた。今の彼らがそんな初歩的なミスを犯すとは思えない。
まさか……わざと選手を狙ってるんじゃ……!
こぼれたボールを半田とマックスが拾う。
『レボリューションV!!』
「ぐあぁぁっ!?」
木暮が倒されたことでその疑念は確信に変わった。
やっぱりそうだ! あいつら、二度と立ち上がらないようにみんなを潰そうとしているんだ! マグマのような怒りが胸の奥から湧いてくる。
ボールには丁寧にバックスピンがかかっており、弾かれるたびに彼らのもとに戻っていく。
「ダークトルネード改!」
「きゃあっ!!」
ぐっ……これ以上好きにさせてたまるかっ。さっき風丸を打ち破ったあの感覚。あれがあれば……。
意識を集中。とたんに体から凄まじい力が溢れ出すのを感じた。
敵側に戻っていく途中のボールをカットする。その直後に空から少林が降ってきた。
「シューティングスター!」
なるほど。仮にボールを奪われた場合、こうやって即座に潰すつもりだったのか。
だけど、今の私には無意味だ。
ボールを全力で蹴りつけ、少林のお腹に当てる。それによってバランスが崩れたところで、まだ回転し続けるボールにさらに蹴りをくれてやった。
「真ジャッジスルー」
「かはっ……!」
崩れ落ちる少林に目も暮れず前を向く。眼前にはもう風丸が迫ってきていた。
「分身ディフェンスっ! ……ぐがっ!?」
風丸の分身のうちの一人がタックルを食らわせてくる。分身とは思えないほどの力を感じたが、それ以上の力で逆に弾き返してやった。
風丸はその事実を認められないのか、勢いよく首を横に振る。
『そんなはずはない! 俺はお前のスピードを超えたはずなんだ! お前を超えるためにエイリア石に手を染めたっていうのに……こんなことがあっていいはずがないっ!!』
怒りが込められた顔で彼らは叫ぶ。どうやら分身は意識が繋がっているらしく、全員が同じ顔で同じことを言っていた。
知るかそんなこと! 恨むんなら私じゃなくて自分の無力を恨め!
重ねて金色の光が私を包み込む。
「ジグザグストライクV2!」
砕く勢いで地面を蹴る。途端に体中の酸素が持ってかれたような感覚に陥り、息が苦しくなった。
意識が遠のいていく。まだ、寝るわけには……! それを舌を噛むことで無理やり叩き起こし、風丸を一瞬で追い抜いた。
「っ、止めろ!」
その速度、光速を超えて神速の如し。
世界がスローモーションに見える。もう誰も追いつけない。誰にも追いつかれない。
アハハッ! なんだかすっごいいい気分だよ!
その圧倒的な力に、私は全能感すら感じていた。今まで苦戦していた敵を一蹴し、そのまま……ゴー……ル……へ……。
ボールを蹴る直前。
突如、私の口から大量の血が噴き出した。
「……へっ?」
な……んで……?
そう言う間もなく私は膝をつく。
体が……動かない……!? なんで、さっきまであんなに調子良かったのに……!? なんでなんでなんで……!?
原因を突き止めようとするも、皇帝ペンギン1号を撃った時みたいな激痛が絶えず体をはしっていて、思考すらおぼつかない。
「この感覚……まさか、なえちゃんの力の正体は、リミッター解除……!?」
「……自力で脳のリミッターを外したのか。なんと言うことを……」
くそっ、頭痛が酷くて聞き取れやしない。
こんなところで……!
力を振り絞り、立ち上がる。
——目の前に、不気味なほど顔を歪めた風丸がいた。
「これで終わりだ……!」
『ダークフェニックス!!』
紫炎の不死鳥が顕現し、羽ばたく。
それは動かない私の体を容赦なく飲み込んでいき……私の視界は紫で埋め尽くされた。
『なえっ!!』
「ガッ……ァ……!」
掠れた視界が鈍色の空を映す。そこでようやく自分が倒れているのに気がついた。
立ちたくても体に力が入ってくれない。立ち上がれない。みんなの悲鳴が聞こえてくるのを、私は逆転した視界で見ていることしかできなかった。
♦︎
「こい! もう一点もゴールはやらない!」
立向居がやられ、代わりにゴールキーパーとなった円堂が宣言する。
雷門イレブンは窮地に立たされていた。フィールドを見れば死屍累々。円堂以外に誰も立ち上がっている者はいない。あのなえでさえも。
「ふっ、勝負してみたかったんだ。キーパーのお前と!」
「望むところだ!」
「ハァァァッ!!」
風丸渾身のシュートが空気を切り裂き、凄まじい衝撃波を放ちながら向かってくる。
円堂は両手でそれを受け止めようとするが、あまりの衝撃に体の方が弾かれてしまった。それでも諦めずに空中で手を伸ばし、ゴールラインを越えようとするボールを掴む。そのせいで受け身が取れず、衝撃が襲いかかってくるも、そのボールだけは離さなかった。
「っ、円堂……!」
「ハァッ、ハァッ……風丸、お前どうしてエイリア石なんかに……!」
自分が知っている風丸は強くなりたいとしてもエイリア石のような邪道に手を染める人間ではなかった。何か彼にエイリア石を求めさせる理由があったはずなのだ。
円堂は荒い呼吸を整え、じっと風丸が答えてくれるのを待つ。
「……俺は強くなりたかった。お前のように!」
「……っ!」
風丸と別れたあの日、あの時に自分が言った言葉が耳の奥で反響する。
『もっともっと特訓して強くなれば、絶対勝てる! 絶対、勝てるからさ……!』
「あの時お前のように思えたらどんなによかったか! だけど俺はそう思えなかった! まるで歯が立たない敵を前にして勝てるって言えるほど、俺は強くなかったんだ! 悔しかった! だから強くなった! もう二度とあの悔しさを味合わないように!」
その言葉を聞いてようやく円堂は気がついた。
——俺が、俺が風丸を苦しめていたってのか……。
——エイリア学園に勝つのに必死になりすぎて、みんなにも強くなることを強要して……それが風丸をエイリア石に頼らせてしまったんだ。
そう自覚した時、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。全部自分が未熟だったから起こってしまったのだ。自分がもっと、仲間に気を遣っていれば……。
だけど、彼らがやろうとしていることは絶対に悪いことだ。それだけは許しちゃいけないのだ。だったら、キャプテンとして自分にできることは……。
円堂はしばらくの間目を瞑り、決心する。そしてボールを風丸に投げ返した。
「……? なんのつもりだ」
「こい! お前たちの気持ち、全部俺が受け止めてやる!」
結局自分にできるのはこれしかない。
止めるんだ、あいつらを! キャプテンとして!
「っ、上等だ! 受け止められるものなら受け止めてみせろ!」
再度、シュートが放たれる。
風丸たちの目を覚まさせる技。それはこれしかない!
円堂は右手を天空へと掲げた。
「ゴッドハンドッ!!」
「なにっ!?」
『ゴッドハンド』。
円堂の最初の、みんなの思い出の技。
それが風丸のシュートを受け止める。黒煙がその手から上るも、円堂は構わずボールをを風丸に投げつける。
「まだだ! まだこれだけじゃないだろ!?」
「ぐっ……黙れ!」
『トリプルブーストッ!!』
「ゴッドハンド改ッ!!」
ゴッドハンドの輝きがさらに増す。しかしそれでもトリプルブーストは強力で、円堂の足はズルズルと後ろに下がっていく。
「俺たちのっ、サッカーは……っ、消えたりなんか……しないんだァァァッ!!」
それでも、円堂は諦めず叫び続けた。ゴールラインを体が越してもなお、全体重を右手にかけてボールを押していく。そしてボールはとうとうその回転をやめた。
しかしその代償に全ての力を使い果たしてしまい、円堂は地面に倒れてしまう。
——まだだっ。風丸たちの思いをまだ受け止めきれていないっ。俺はみんなを助けなきゃいけないんだ……!
しかし体が動くことはない。
「……終わりか」
もはや雷門イレブンで立っている者は誰もいない。試合終了だ。そう判断し、風丸は背を向けようとして——
「——雷門! 雷門!」
彼らの名を叫ぶ声を聞いた。それは最初ベンチの方から。しかしその後校門から、校舎から、いや町中から同じ言葉が聞こえてくる。
『雷門ッ!! 雷門ッ!! 雷門ッ!!』
「……なんだこの声は!?」
魂を揺さぶるような声援の嵐。それは風丸たちの心を掻き乱し……雷門イレブンの体を突き動かした。
——聞こえる。みんなの声が。サッカーを愛するみんなの声が。
途端に空っぽになったはずの体から力が湧き始めた。円堂たちはそれを振り絞り、立ち上がっていく。
「馬鹿な……死に損ないのはずが……!」
「ハハッ、仲間ってスゲーよな。さっきまでちっとも力が入らなかったのに、今じゃもう負ける気がしないんだ」
「っ、ァァァアアアアアッ!!!」
『ダークフェニックスッ!!!』
『真……ゴッドハンドッ!!』
円堂が手を掲げる。そこに円堂だけじゃなく、全員の気が流れ込んでいき、虹色に輝く手が現れた。暗黒の不死鳥が激突し、光を撒き散らす。
しかし徐々に、ゴッドハンドが押されていく。
「ぐっ……!」
「無駄だ! お前一人で叶うものか!」
「——一人じゃないよ」
その言葉は円堂の背後から聞こえてきた。
そして二つの手が円堂の背中に添えられる。
「そうだ! 円堂は一人じゃない! 俺たちがいる!」
「なえっ、豪炎寺!」
円堂を支えていたのはなえと豪炎寺だった。そればかりか二人の力がさらに流れ込んでいき、ゴッドハンドがさらに巨大化する。
『ウオォォォォォォッ!!!』
ゴッドハンドが不死鳥の首を握りしめる。それに耐えきれず不死鳥はバラバラに崩れ落ちていき——円堂の手に、ボールが収まった。
三人はそのままボールとともに天に登る。ボールは大樹のようなエネルギー体の幹を伸ばしながら上がっていき、その頂上で光の実をつける。
——『ジ・アース』。
「思い出せみんな! 俺たちのサッカーを、思い出せェェェェッ!!」
光の実が爆散し、十一個もの矢が風丸たち一人一人に降り注いだ。
その矢に当たると、思い出さないように封印してきた思い出が頭の中を巡っていく。
『サッカーやろうぜ!』
楽しかったこと。つらかったこと。そういうことを乗り越えて、また新しい楽しさに出会っていく。
ああ……そうだ……これが、サッカーだったんだ……。
胸に暖かな光が宿る。風丸たちの目から涙が溢れた。
「ありがとう、円堂……」
そして満たされながら、彼らは意識を手放した。
♦︎
「……ぅぅん?」
まどろんだ意識のまま、私は目を覚ました。
ふぁぁっ。なんかドッと疲れたよ。どうやらジ・アースを撃った後、限界がきて寝てしまっていたらしい。
仰向けのまま空を見上げる。もう雲も霧もすっかり去っていて、暖かな日の光がグラウンド中に満ちていた。
そうやってボーッと眺めていると、鬼道君に声をかけられる。
「……起きたか」
「えーっと、あれからどうなったの?」
「心配するな。風丸たちなら、ほら」
指を刺された方向を見ると、円堂君が風丸たちと仲良さげに話していた。どうやらエイリア石の影響から完全に抜け出せたらしい。
おっ、染岡君のもみあげも元に戻ってる。あっちもオシャレでちょっと好きだったんだけどなぁ。なぜか育毛効果がある石だけど、あそこしか伸びなかった理由は謎である。
そんなどうでもいいことを考えていると、円堂君がみんなに聞こえるように大声をあげた。
「みんな、サッカーやろうぜ!」
「……そういえば、まだ試合は続いてるんだっけ。残り時間は?」
「5分ほどだな」
「じゃあ、やるしかないでしょ」
「ふっ、そうだな」
お互いに顔を見合わせ、ふっと笑う。
スコアを見ると3対3になっていた。どうやらさっき撃ったジ・アースがゴールに入っていたようだ。
私は立ち上がって、ポジションについた。
ボールは相手から。風丸がこちらに上がってきて、私に一対一をしかけてくる。
ふふっ、上等だよ。勝負だ風丸。
私たちは一歩も引かずにせめぎ合う。その攻防の途中、彼が話しかけてくる。
「……お前にも感謝しとかないとな」
「お喋りとは余裕だね」
「まあ聞けって。俺はいつか絶対にお前を超えてみせる。今度は自分の力でだ。だからそれまで負けるなよ」
「……そう」
その言葉と同時に私がボールを取り、会話が終了した。
次々とディフェンスを抜いていき、ゴール前へ。足を思いっきり振り上げて撃ったシュートは弾丸と化し、ネットに突き刺さる。
その後も白熱した試合は続いていき、最終的に4対3で私たちの勝利となった。
♦︎
「ば、馬鹿な! エイリア石がぁ!」
雷門とは反対側のベンチにて。研崎は黒いケースの中にしまっていた
そんな彼に追い討ちをかけるように、慌てた様子で黒服たちがさらなる悲報を告げる。
「たっ、大変です! Aアジトに保管されていたエイリア石が突如粉々になったそうですっ!」
「B、C、D、その他全てのアジトの石も同様ですっ!」
「ぁぁぁあああああああっ!!」
研崎は頭を激しく砂になったエイリア石に打ちつける。それで血が流れようが今の彼はそのストレスをどこかに当てなければ気が狂いそうであった。
もはや万策尽きた。力なくうなだれる研崎を警察たちが取り囲む。
「これで全て終わりだな。大人しくついてきてもらおうか」
「ぐっ……!」
鬼瓦はそう言って手錠をかける。
かくして研崎は捕まり、パトカーの中へと消えていった。吉良星次郎とは違い、見送ったのは響木と、途中から駆けつけた財前総理大臣、そして鬼瓦を含めた三人だけという悲しい最後だった。
財前は今回の件で深い責任を感じていた。そのことで暗い顔をしていたが、グラウンドから聞こえてくる明るい声を聞いてほおを緩める。
「よっしゃみんな、円堂を胴上げだっ!」
『おおっ!!』
「えちょっ、まっ、待てっ! のわぁぁぁぁっ!!」
円堂の抵抗も虚しく、彼は空の旅へと招待される。そのおかしな絶叫を聞いて全員が笑った。
「……今回の件は私たち日本の大人の責任だ。しかし彼らのような子どもたちがいるのなら、この国もまだ捨てたものではないのかもしれないな。特にあの円堂守という子ども」
「やつによってみんなが変わっていきました。敵も、味方も関係なく」
「まったく、彼は何者なんだ?」
「決まっているでしょう。世界一……いや宇宙一のサッカーバカですよ」
「彼にとっては最高の褒め言葉だな」
噴き出すように財前たちは笑い合った。
これで何もかもが終了。一件落着……と思われたところで、鬼瓦がある変化に気づく。
「……ああ? なえのやつはどこに行ったんだ?」
そう、グラウンド中のどこを見てもなえがいないのだ。あれほど長くて明るい色の髪なら胴上げの集団の中にいても目立つはず。
訝しんだ鬼瓦は、集団のところに駆け寄り、円堂に声をかけた。
「おいお前ら、なえを見なかったか?」
「なえ? そういえばさっきから見ないな……おーい! どこ行ったんだなえー!?」
円堂が叫ぶも、返ってくる声はない。
そこでようやく、全員が事態を察した。
「あいつ、逃げやがったなぁぁぁぁぁ!?」
鬼瓦は胃痛を誤魔化すかのように叫ぶのであった。
♦︎
私は、思い出にはならないさ。
とまあはいなえちゃんです。いやー今回は超キツイ試合だったね! 楽しかったけど、しばらくはもう休みたいって感じ。
そんな私は今河川敷に来ています。ぷぷっ、鬼瓦刑事ったら甘いんだから。みんながケンジャキに夢中になってくれたおかげで簡単に脱出できたよ。あんな屑でも最後は役に立ってくれたね。
さて、そろそろ脱出の準備をしなくちゃ。私はスマホを弄る。すると川の中から小型の潜水艦と言っていい物が浮上してきた。
ふふふっ、実は富士山から帰る途中にスマホでこれを呼んでいたのだ。この潜水艦は一人乗りで、フォルムも小さいから見つかりにくい。これに乗り込んで海に出て逃げるって寸法よ。
おいしょっと。ふむ、ちゃんと動くようだ。いつかの潜水艦の自爆に巻き込まれて以来船とか軽くトラウマになってたから緊張してたんだよね。
潜水艦はスムーズに川を下っていく。その途中、円堂君たちの姿が水面越しに見えた。
うおっ、あっぶな。でも気づいてないようだ。よかった。
……本当はもうちょっとお話したかったけど、仕方ないよね。でもそれじゃあなんとなく落ち着かなかったので、伝わらないとわかっていてもお別れの言葉を口にした。
「じゃあね円堂君。
それからしばらくして、潜水艦は海に出た。
えーと、目的地は……あそこか。目を凝らせば巨大な戦艦らしきものの船底が見えた。私がボタンを押せば、その壁の一部が動き出して内部への道が開かれる。浮上して潜水艦はその中に入り込む。
進んでいくと、他の潜水艦が止まっている場所に出た。その一つの隣に止まり、ハッチを開けてハシゴに飛び移る。そのまま登っていくと、やけに高そうな靴が見えた。
この無駄に金をかけてそうな靴は総帥のだね。そう思い、ひょっこりと顔を上に出す。
「ずいぶん遅い到着だな。よほどお遊びが楽しかったとみえる」
そこにいたのは——趣味の悪い白いスーツを着た、金髪で黒グラサンをかけた顎長の男だった。
「えーと……総帥の親戚かなんかですか?」
「……」
「ぎゃぁぁぁっ! 手痛い手痛い! 何すんだこんにゃろー!」
この人無言で手踏んできたぞ!? 初対面のくせになんて失礼なやつなんだ! さすが総帥の親戚。
なんて考えてたら、手にかかる圧力が強くなった。
ちょちょ待って。これ以上強くされたら……あっ。
ツルンと私の手が滑る。次の瞬間、重力がのしかかってくる。
「ちくしょうめぇぇぇぇぇっ!!」
そんな断末魔とともに、私は水中にダイブを決め込むのだった。
エイリア編完結! 次回から『世界への挑戦編』がはっじまるよー!
突如なえちゃんの前に現れた謎の男。いったい何山なんだ……!?
気に入ったら高評価、登録お願いします。
あと、一応最後に出たゴッドハンドについて解説しておきます。
♦︎『友情のゴッドハンド』
オリオンの刻印で出た技。本当にこういう名前なんです。
技よりも、これを放つ直前の円堂の味方に向かって「どけぇぇっ!」というらしくないセリフの方がたぶん有名。誰だよ円堂にこんなこと言わせたやつは……。
技モーションはほとんどオメガ・ザ・ハンド。これも叩かれる要因になっている。主人公の最強技を被らせちゃダメでしょうが……。