【外伝開始】メソポタミアの冥界でエレちゃんに仕えたいだけの人生だった…。   作:土ノ子

69 / 181
推奨BGM:君の願い(Fate/Grand Order Original Soundtrack I)




 安心したと頬を緩ませ、高らかに笑い声を上げたネルガル神。

 カラリと晴れた青空のような、どこか清々しさを含んだ笑いだった。

 

「我が企み、我が欲心の全ては無意味であった。フハハ、何とも戯けた笑い話よな」

 

 己が行いが全て正面から打ち破られ、その意味すら無に帰したというのにネルガル神は笑っていた。

 笑みに緩んだ口の端からこぼす自嘲すら軽やかで、長年背負った重荷を下ろしたような解放感に満ちている。

 

「だが最早後顧の憂いは無いと知れた。ならば余にとって此度の侵攻も価値があったわ。礼を言うぞ、名も亡き者」

「こっちにとってははた迷惑極まりない。それ()()とは言わないけどな」

 

 割合的には圧倒的に迷惑極まりないネルガル神の侵攻だったが、終わって見れば存外悪い結果ではなかった。

 喉から手が出るほどに欲した()()()もあることだしな。

 もちろん洒落にならないほど荒廃した冥府や大半が冥府の闇に還り、復活を待つガルラ霊達など被害は大きいが、幸い取り返しがつかない損害は()()()()()

 無いとは言わない。

 だがこれは戦であり、戦とは死者が出るもの。

 その責任を負うべきは戦を決断した俺であって、ネルガル神ではない。

 過剰な復讐は俺の責任を奪う行為であり、犠牲になった彼らへの冒涜ですらある。

 

「で、あろうな。我が神威による蹂躙、容易いものと思われては困る。妥当な評価であろう」

 

 こちらの恨み節を呵々と笑い飛ばすあたり本当に筋金入りだな。

 敗者として冥界側に媚を売ろうなど一欠けらたりとも思い浮かばないらしい。

 なんとも()()()台詞についつい苦笑が浮かんでしまった。

 参った、互いに命を奪りあった敵であり、散々に仲間を打倒した仇だというのに、どうにも俺はこの神様を嫌いになれないようだ。

 

「…ん。ネルガル、貴方が此度の争乱で納得を得たのならそれはそれで構わないのだわ」

 

 そうした俺とネルガル神の言葉を交わす様を複雑そうに見守っていたエレちゃん様。

 やり取りがひと段落したと見て、ネルガル神が得た納得を善しと声をかけた。

 

「でもそれは私が下す裁定には関りなきこと。私を幽閉し、挙句我が冥府に攻め入ったこと…あまつさえ我が眷属の尽くを冥府の闇に還したこと。そのどれもが重罪です。裁定は厳しくいくわ、覚悟はいいかしら?」

 

 とはいえそれはそれ、これはこれだ。

 冷ややかな視線とともに冥府を統べる女神、罪人に裁決を下す裁定者としての顔を見せる。

 一切の情を排した冷厳な顔。

 普段の穏やかな彼女とのギャップに思わず怯んだ俺だが、ネルガル神はむしろ余裕をもって鷹揚に頷いた。

 

「無論、覚悟の上。敗者はただ勝者の裁定に従うのみ。太陽の権能はくれてやろう。使いこなすのに時間はかかろうが、名も亡き者がいればさして運用に支障はあるまい」

「ほんっと…傍若無人なくせに潔いわね。性質が悪いったりゃありゃしないわ」

「神威によって己が意を通そうとし、力敵わず敗れたのだ。相応の報いがあるのは当然のこと。ことここに至ってジタバタと足掻くなど余の品位を貶めるだけよ。我が誇りに賭けてそんな無様は断じて御免!」

「うっさい! 別に大声を上げなくても聞こえてるのだわ!!」

 

 自身の自尊心を懸けての断言だった。

 なお大声がうるさいと即座に叱りつけられ、肩を落とす姿は大変格好悪かった。

 うん、まあ、現状洒落抜きに互いの力の差が象と蟻並みに開いているからな。

 その神威の差を頓着せず上から容赦なく叱りつければ、相手からすれば台風に()()()()ているようなものだ。

 流石のネルガル神も大人しくなったのだった。

 

「これより裁定を下す―――汝、ネルガル。天に輝き、地上に試練を課す太陽の神」

「応」

 

 罪神の名を読み上げ、ネルガルが堂々と応じる。

 

「これより汝は太陽の権能を我が眷属に譲渡し、()()()()()を冥府にて最下級の罪神として苦役に勤しむべし。これは神代の終わりまで続き、我が眷属と我が版図が受けた禍害の全てが癒されたとしても終わることはないと知れ」

「む…?」

 

 告げられた裁定に訝しむネルガル神。

 俺も同感だ。

 苦役を課すのは良いが、一日の半分とはまた中途半端な…。

 と、そんなことを考えているとネルガル神へ向いていた視線がこちらにやってくる。

 

「そして我が眷属に告げる。譲渡されし太陽の権能を以て暗き冥府を照らせ。汝、冥府の太陽となるべし。

 しかし冥府は本来暗闇と静謐こそを善しとする土地。永久に輝き続ける太陽もまた冥府にそぐわぬもの。故に汝が冥府を照らす時間は()()()()()とする。残りの時間は…貴方の裁量で好きにしなさい」

 

 分かるでしょうとネルガル神の方をチラチラ目配せしながら最後の言葉だけフランクに言い終えるエレちゃん様。

 俺とネルガル神に下された言葉、共通するのは一日の半分という言葉。

 そして()()()()()

 これが意味するところは明らかだ。

 

「それは、まさか…ネルガル神に?」

「不服かしら? ま、こんな奴だけど…ね。私も人類(ヒト)に多少なりとも思い入れのある身。あんな文句と顔を見てしまったら、何も思わずにはいられないのだわ」

「……御意。善き御思案かと思いまする」

 

 流石は我らがエレシュキガル様と言うべきか。はたまた誉め言葉として所詮、と評すべきか。

 やはり我らが女神はこれほどまでにしてやられた仇敵にすら、本当の意味で非情になり切れなかったらしい。

 だがそれは俺も同じこと。結局俺と彼女は同類項で括られる同じ穴の狢なのだ。

 全く悪い気はしない、むしろ誇らしいくらいだが。

 

「そういう訳だ、ネルガル神。俺が冥府を照らす一日の半分には貴方には苦役に付いてもらう。だが残る半分の時間、冥府に太陽は不要。貴方が冥府に縛られる必要も無い。存分に地上を照らし、人々の在り様を眺めればいいさ」

 

 俺とネルガル神が共有する太陽の権能。

 昼にはネルガル神が地上を照らし、夜には俺が冥府を照らす。

 太陽が地に沈む時ネルガル神から俺に、逆に太陽が地平線から顔を出す時には俺からネルガル神へ太陽の権能を互いに譲渡し合う契約がここに結ばれたのだ。

 

「……主従揃って甘過ぎることだ。が、甘きも過ぎれば大器と見紛うかよ」

 

 呆れたように、それに倍するくらい愉快そうにネルガル神は微笑んだ。

 そして大地にどっかりと腰を下ろすと両の拳を地に当て、()()()()()()()()

 ()()ネルガル神が。

 傲岸不遜を絵に描いたようなネルガル神が深く頭を下げたのだ。

 

「女神の温情に感謝する。余は情けは受けぬが、受けた恩は返す神なり。冥府の女神に敬意を表し、贖いに心を尽くすことここに申し上げる」

「受け取りましょう。貴方の言葉に真実(まこと)が宿ることを信じます」

 

 下げた頭を上げ、ネルガル神とエレちゃん様の視線が絡み合う。

 神の視座にある者達の視線が交錯し、ジッと心の奥底を見通し合う。

 そしてエレちゃん様が一つ頷き、視線の交錯は終わりを告げた。

 

「ならば早速苦役に付きなさい。指示役兼監視役を付けるから馬車馬のように働くのだわ!」

「待て、今からか!? 幾ら何でも忙しなさ過ぎるぞ、エレシュキガル!」

「こちとら貴方に散々眷属達をやっつけられて人手不足が極まってるのだわ! 零落したとはいえ神格相当の労働力を遊ばせてる余裕なんてどこにもないのよ! さあ、冥府のために働きなさい!」

「ええぃ、何とも厄介な相手に囚われたものよ! が、致し方無い…。これが敗残の定めというもの…」

 

 ブツブツと繰り言を呟いていたネルガル神だが、しばらくすると諦めがついたらしい。

 エレちゃん様に呼び出された監督役のガルラ霊へ何処へなりとも連れて行けと尊大な様子で指示を求め始めたのだった。

 そうして監視役のガルラ霊に連行される直前、ああそういえばとネルガル神が思い出したように新しい話題を示した。

 

「最後に一つ、我が義弟へ心ばかりの贈り物を。余が直々に贈るのだ。どうか受け取って貰いたい」

 

ひどく真剣な顔付きでの言葉にエレちゃん様と視線を交わし、頷き合う。

今更おかしな真似はするまい。

ならば気持ちよく受け取って互いに心残りをなくして別れるとしよう。

 

「ありがたく受け取らせて頂く」

「うむ。義弟よ、余と肩を並べるに至った貴様がこの先無名では不便極まろう? 黄泉路の果てに名を亡くしたからと、何時までも無名であり続ける必要はあるまい」

 

 そして語られたのは、これまでずっと《名も亡きガルラ霊》の通称で通してきた俺の名前だった。

 確かに、いい加減区切りをつけても良い頃か。

 元より通称で通してきたのも大きな意味はないのだし、と思い頷く。

 なお気のせいか隣のエレちゃん様から()()()と凄いオーラが放たれたような気がした。

 

「天に在りし時、太陽はネルガルと呼ばれるべし。そして地の底に在りし時、名と姿を変えるべし―――汝の名はキガル・メスラムタエア。

 《冥府(キガル)》の《太陽(メスラムタエア)》。即ち、冥府の黒き太陽にして地の底を照らす光なり」

 

 おお…。

 いや、こう言うと失礼だが思っていたよりもはるかにまともな名前である。

 しっかりとして由来もあることだし、俺に与えられた役割にも沿っている。

 文句は無い、ありがたく受け取ろうと応じかけたところで。

 

「おま、おま…お前―――! わ、私がこの子に名前をあげるはずだったのに!? 横からしゃしゃり出てきてなんてことしてくれんのよ!」

 

 エレちゃん様による全力のインターセプトが入った。

 怒髪天を衝くと表現すべきか。

 ぶっちゃけ俺の迂闊な発言にブチ切れた時と同じくらいの怒りとすら思える。

 

「何だ、エレシュキガル。貴様、こやつに名前を与えるつもりだったのか? こやつの噂を聞いてから随分と経つ故、その意は無いと思っていたのだが」

「与える名前を迷っていただけよ?! この間、ようやく一〇〇〇にまで候補を絞り込んだんだからあともうちょっとなのだわ!?」

「……そうか。それは…、その、なんだ。努力したのだな?」

 

 素でドン引きしているネルガル神が言葉を選びながら問いかけると、当然だと意気込みながらエレちゃん様が答える。

 ……いやー、すいません。正直に言うと俺もちょっと引いてます。

 名前の候補が一〇〇〇て。

 もう十年以上《名も亡きガルラ霊》で通しているので、そんなこと考えているとは欠片も気付かなかったな。

 

「当り前でしょう!? 私の…わ、た、し、の! 大事な! 眷属の名前なんだから!!」

「で、最後の一つに絞り込むまで如何ほど年月がかかる?」

「……そうね。あと百年あれば十個くらいには…」

「却下だ。いまここで決めるか、余が付けた名を受け容れるかどちらかにせよ」

「なんでよ!? そんなの無理に決まっているじゃない!?」

「こやつは最早ただ貴様に従う眷属ではない! 余と肩を並べる太陽神へ成り上がったのだぞ!? 何時までも名も無き神のままにしておけるか!!」

 

 神としての沽券に関わるとネルガル神も怒号で応じると今度はエレちゃん様がグムムと口ごもった。

 名前という神格のアイデンティティを構成する重要な要素を放置出来ないという主張は一定の説得力を与えたらしい。

 かといって彼女はここでスパッと決断出来るタイプではない。

 結果、しかめ面をしてグヌヌと悩み始める。

 

「面倒くさい奴め…。では後々貴様も別に名を授ければいいだろうが。うむ、それが良い。万事解決なり!」

 

 そのしかめ面を見かねて呆れたように声をかけるネルガル神。

 実際その提案は一考の価値ありと思えた。

 神格は複数の名前を持つことは珍しくない。

 ネルガル神もまたエラ、メスラムタエアという名前を持つのだ。

 別段ネルガル神から与えられた名前一つにこだわる必要は無いという理屈だったが…。

 

「嫌よ!? よりにもよってあんたにこの子の名付けを先んじられるとか一生ものの屈辱なのだわ!」

 

 あ、はい…。

 これエレちゃん様に任せてたら何時まで経っても終わらんな。

 基本的に彼女のことは敬愛している俺だが、こういう時にビシッと決めてくれる女神様かと問われれば目を逸らすしかないのだな。

 うむ、やむを得ないし何とかしてこの場は言いくるめよう。

 

「エレシュキガル様、よろしいですか?」

 

 そっと息が吹きかかる程の距離に近寄り、そのカタチの良い耳に密やかに耳打ちする。

 

「ひゃわっ!?」

「…?」

 

 と、何故か過剰反応が返ってきた。

 よく見てみれば頬が林檎のように赤い。

 いつもの光輝く大槍をまるで身を守るように抱えて腰が引けている様子だし…。

 

「どうかされましたか? 私が何か無作法を?」

 

 いや、確かに密着するような距離での耳打ちは少し無作法だったかもしれないが。

 こんな程度、今更過ぎるぞ。

 なんだかんだ長い付き合いの中でこの程度のことは数えきれないくらいやっているのだ。

 原因は別だろう。

 

「うん…? ああ、なるほど」

 

 そしてその様子を見てどこか悟ったように頷くネルガル神。

 なに一人で心得たようにそういうことかと呟いているんですかね?

 元はと言えば発端はあんただぞ。

 

「なんだ、貴様ら。()()()()仲であったか。そう思えば頑なに余に抗ったのも納得よ。

 フハハ、善い善い。余の前とて気にすることなく続けよ。許す。

 いや、まこと慶事が続くな。義弟に続き義妹が出来るとはこのネルガルをして見通せなんだわ」

 

 上機嫌で妄言を吐いているが、ちょっと何を言ってるのか良く分からないですね(真顔)。

 いまのやり取りのどこにそんな甘酸っぱい要素があったよ。

 そもそも俺とエレちゃん様の間にあるのは主従愛というかアガペーというかプラトニックな方面くらいのものでしてね。

 ですよね、エレちゃん様?

 

「ダ、ダメよ…。そんなの困るのだわ…困ってしまうのだわ…」 

 

 と、そこには頬を赤らめ、視線をそらしながらもじもじと困ったとひたすら呟くエレちゃん様の姿が。

 ……どうして?

 

「うむうむ。余を退ける程の益荒男には相応しき伴侶が必要不可欠。見たところ女性に縁遠そうな身故余が世話をしてやらねばとも思っておったがその分では不要らしいな」

 

 余計なお世話過ぎる。

 そもそもネルガル神に紹介できるアテがあるようには見えないのだが???

 性格的に考えて絶対に孤高(ボッチ)で間違いない神様だろうに。

 

「フハハ、照れるな照れるな。余は分かっておる」

 

 分かってねえよ(憤怒)。

 いい加減その太陽が輝くような笑顔は止めて頂きたい。どこかの親戚にいそうな謎のお節介焼きおじさんかな。

 一周回って穏やかな心持にすらなってきたぞ。

 

「エレシュキガル、貴様も此度の争乱で義弟に惚れ直したと見たぞ。

 男子(おのこ)が自らのために命を懸け、戦う。しかも女への想い一つで余を打ち倒す程の偉業を為したのだ。女としては誉れよな。

 まあだからといって己が消滅すら是とする男には困るかもしれんが…。

 気に病むな、誇れ。

 つまり貴様は命を賭す価値のある()()()ということだ。うむ、余も認めるにやぶさかではない事実だな。義弟がおらなんだら手の一つも出していたかもしれん」

「ころすぞ」

 

 途中まで良いこと言ってるなと思ったのに最後で台無しだよ。

 思わずガチトーンで殺意をネルガル神に向けてしまったわ。

 なお時代観的に男女のやり取りは現代的・紳士的なアプローチから程遠い。

 強姦からの略奪婚とか普通に現役だ。

 そう考えるとこの場合の手を出すとは女神側の意に沿わない形になる可能性がとても高い。

 

「戯言だ、そう怒るな。余とて男女の機微は弁えておる。義弟の女に手を出すほど野暮ではない」

 

 あ、はい。もうそれでいいです。

 相変わらずのキラキラと輝く笑顔がひたすら腹立たしいが、抗弁するのが段々面倒になって来たのだ。

 

「わ、私は別にそんなのじゃないのだわ。あくまで女神と眷属として―――」

「ほう? ほほーう? その言葉、余の目を見て言ってみよ! 真贋見抜く余の霊眼を前に果たしてどこまで隠し事が通じるか試してみるのも一興よな!?」

 

 と、クッソノリノリな笑顔と言葉でエレちゃん様を追い詰めていくネルガル神。

 この神様パーソナルスペースがバグりすぎじゃない???

 とにかく年下の親戚にウザ絡みする厄介おやじのノリはいますぐやめろ。

 

「いい加減に―――」

 

 エレちゃん様はしばらく俯いたまま肩をプルプル震わせていたのだが、遂にネルガル神のペースに耐えきれなくなったのか、頬を怒りで真っ赤に染めてブチ切れた。

 

「―――するのだわ! ネルガル神、貴方はこれより冥府の最深部で強制懲役! 油断すると神格でも危険な地帯よ。

 天で輝き、地で働く。一日中労働に勤しんでその緩み切った性根を叩き直してくると良いわ!!」

 

 連れていきなさい、と威厳を糺して命じると冥府の闇から現れたガルラ霊達がエイリアンを連れ去るMIBよろしくネルガル神を連行していく。

 威厳の欠片もない様だがここで暴れたらエレちゃん様から本気の折檻を食らいそうな空気なのでネルガル神も強引に振りほどけないようだ。

 

「義弟よ、助けろ!」

 

 と、挙句の果てに連行されるネルガル神は往生際悪く俺に助けを求めて来たのだが。

 諦めの悪い神様に(意味は分からないだろうが)、親指を立てて首の辺りで横に掻っ切る仕草で「くたばれ」とジェスチャーで示す。

 

「いい気味なのでここでしばらく痛い目にあってろ」

 

 と、我ながら輝くような笑顔で別れを告げたのだった。

 お前場を荒らすだけ荒らしといて無傷で去ろうとか虫が良すぎだろ。

 なに、12時間以内には終わるんだ。それまでは我慢してればいいさ。

 まあ更に12時間経ったら続きが始まるだろうけどな。

 

 

 

 あ、放置されていた俺の名前はネルガル神から贈られたキガル・メスラムタエアに決まりました。

 後日(多分百年以上後だが)エレちゃん様が選んだ名前が別に贈られ、二人の間でだけ通じる特別な名前になりそうです。

 




なお幕間に出ていた《冥府の物語》においてこのお話ので書かれた部分はまるっと欠損しております。

この大戦で《名も亡きガルラ霊》が名前を得たことで、以降《名も亡きガルラ霊》表記の記述が激減したのですね。
それによって《名も亡きガルラ霊》は大戦で死亡したという説が後世で主流になった訳です。



以下、追記。


僕は、本当に美しいものを見たー――。


終局特異点 冠位時間神殿ソロモンを視聴してきました。
とにかくこの感動を伝えたくてもう誰に読まれなくても書く。でも読んで? そして映画館で観て。

面白さを伝えるというより感じたことをそのまま書き殴る形になります。ひょっとしたら多少のネタバレあるかも。出来るだけボヤかしていくので勘弁してください。

重ねて注意!
ネタバレの意図はないが、変な先入観与えたり、意図せぬネタバレが含まれる可能性があるので、気にする人は見ないでください。






改めて以下、感想。

まず1時間半で三度は泣いた。
原作クリア勢だからこそ刺さるシーン多すぎ問題。
感情を動かすことこそがエンタメ作品の真髄ならば、この映画は私にとって(重要)文句なしの満点です。

冠位時間神殿出撃前からもう人によっては泣ける。私は涙ぐんだ。

マシュの寿命に伴う思いと、命を軽視しソロモン討伐を優先した狂気の礼装を前にしてなお言い切った藤丸の台詞に泣いた。

彼らが当たり前のように確認していく言葉の一つ一つが尊い。
頑張る、なんて言葉を使わなくても彼らはとっくの昔から全力で生きていたのだ。

特異点に侵入してからのアクションシーンもグッド。むしろゴット?
各キャラのセリフが少ないのは残念でしたが、尺の都合上致し方なし。
その分アクションシーンは力を入れてます。
ジャンヌのアレから始まるオールスター大集結はテンプレだがやはり燃える。
特に各特異点のナビゲーター達は章の代表として正負いろんな意味で活躍してました。
それに低レア高レア関係なく意外なキャラが意外なところで活躍貰ってたりしてるのも素晴らしい。
個人的なすこすこポイントはアレキサンダー。めっちゃいい役もらってます。
私がFGO始めてから育てた初めてのライダー枠という思いで補正も大きい。
意外と火力が出て、初期はカレスコと合わせて宝具ブッパでほんとお世話になった。
多分星3枠で一番最初に絆10になったのも彼。

中盤からゲーティアとの対峙、そして相次ぐ別れ。
理解者が欲しいゲーティアと、理解者になりえたマシュの消滅を嘆く言葉。
「ただの、ごく普通の女の子だったんだよ」
泣くわ(真顔)
お前実はかなりの人情派だろ。ソロモンを非情だ怠惰だとメタクソに罵ってるけど、自分はそうじゃないからこそ耐えられなかったんだって自白してるようなもんだし。

そして藤丸がいたからこそマシュは戦えた、マシュがいたからこそ藤丸は絶望に膝を屈することなく立ち上がれた。
比翼の鳥とは彼らのことを指すのでしょう。

ロマニとの別れもね、感想は一言。
「ドクターは、ズルいよ」
ほんとにズルいよ、ドクターロマン。
伝えたい言葉も感謝も何もかも言葉にする前に彼は逝ってしまった。

そして、終盤。
原作でマシュの残した雪花の盾を手に取り、ゲーティアに打ちかかるシーンがあります。
涙なしで読めなかった名シーンですが、同時に映像化するにかなり無理のあるシーンでもあります(普通の人間がそれしてもカウンターで即死と想定)。
そこを映画版オリジナル礼装と決死の覚悟(ガチ)で補うことで、十分な説得力を与えてくれました。それでも無理があるという人はいるだろうけどね、そこはもう人によるとしか言えない。
そして巌窟王お前格好良すぎか。
台詞一言もないくせに全力で相棒面してるのが分かるの逆に凄くない???

そして人王との最後の対峙。
ここは原作通りで、原作以上とだけ。

長い長い1時間半が終わり、誰もが全力以上を出し切ってようやく得た報酬は白紙の未来。
笑い、手を繋ぎあって、二人はまた歩き出す。未来に向かって。
エンドロールで流れるエタニティブルーは名曲。また聴き直すかな。

フォウくん、君の気持ちが多少なりとも分かったよ。
こんなに美しいものを見れば、肩入れの一つもしたくなるよね。
たとえそれが代償を伴う有償の奇跡でも。
その思いを知るために、みんな最後の最後までしっかり見てね。

とまあ、怒涛のように語らせて貰いましたが、一部クリア勢なら視聴して損はないと思います。
クリアしているからこそ、あの時の感動を鮮やかに、それでいて少しだけ新鮮な気持ちで思い起こせるというかね。

みんな、ソロモンは良いぞ!!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。