【外伝開始】メソポタミアの冥界でエレちゃんに仕えたいだけの人生だった…。 作:土ノ子
遂にエピローグにまで辿り着けました。
このお話を締め括る推奨BGMとして「Agape」を選定。
「残酷な天使のテーゼ」と並んで平成アニソン大賞に輝いた名曲です。
聞いたことがない方も是非一度聞いてみてください。
「……ひどい目に遭いました」
冥府のとある一画。
あのウルクでの大宴会から数日経った頃。
引き続き傷ついた冥府の修復作業に勤しむ俺とエレちゃん様だったが、不意にぽっかりと時間が空き、ウルクでの宴について談笑していた。
ただしその笑いには若干苦い物も混じっていたが。
最初は良かったのだ。
エルキドゥの活躍を微に入り細を穿って語り、次いで俺自身の武勇伝も併せて語ればウルクの民もおお受けしてくれたし。
一緒に参加したガルラ霊達もその勇気を絶賛されて鼻高々だったし。
が、途中からギルガメッシュ王の尋問じみた聞き取り調査が始まり、後半はあまり楽しめなかった。
あれ絶対に八つ当たりが入っていただろう。
いやね、二度と肩を並べることが出来ないはずの親友が、俺と協力プレイで強敵を打倒するというシチュエーションが気に入らないのは分かるんだ。
シチュエーションが気に入らないのは分かるんだ。
分かるんだけど八つ当たりにまで発展させないで欲しい。
でもギルガメッシュ王ならそもそも本気で気に入らなければ八つ当たり程度では済まさないだろうからトータルで見ればコラテラルダメージに収まる範囲なのかもしれない。
「……まあ、あの金ぴかの嫌がらせにしては可愛いものね。諦めた方が色々と早いのだわ」
俺のくたびれた様子を見てクスクスと笑う女神様(可愛い)。
「貴方の第二宝具はもっともてはやされてもおかしくない
歌うような口調で紡ぎあげる俺の宝具への評価。
確かに無量無数の敵軍が突然ポップする召喚宝具など、敵に回せば厄介極まりないだろう。
まあそれだけの援軍を呼べるのはこれまでエレちゃん様と冥府が積み上げてきた絆が根底にあるからこそだが。
「ウルクの民はよく自制したのだわ。その証拠にエルキドゥを悼み、話を聞きたがる人はいても、その蘇生を望む者はいなかったんじゃないかしら? いえ、エルキドゥ以外の、帰って来て欲しい
「言われてみれば…」
厳密には死者蘇生ではなく、原理的にそれをやれと言われても不可能なのだが。
死者を蘇らせたい。たとえひと時だけでも語り合いたい。
それは人類が持つ普遍的な願いだろう。
「ありえざる奇跡に縋らず、目を逸らさずに、真っ直ぐにただ未来を見ている。過去を糧に今を生き、次へ進んでいく―――貴方が言う通り、人間は強いのね」
「ええ、真に」
「フフッ…」
「何か?」
「貴方達も、ね?」
「……自慢の仲間達です。そして貴方を慕う者達です」
俺は元を辿れば人であり、そしてガルラ霊達にも少なからず俺の同類が混じっている。
そのことにエレちゃん様も気付いたのだろう。
だが気にした様子もなく彼らを受け容れ、はにかむように女神様は笑った。
「ねえ?」
「はい」
エレちゃん様が呼びかけ、俺が答える。
躊躇うような一拍の間が挟まれ、すぐに真剣な顔つきとなった。
「―――みんな、私を助けてくれてありがとう。本当にみんなには苦労を掛けたわ」
かけられたのは真っ直ぐなお礼であり、労いだった。
「本当は真っ先にそれを言うべきだったのにね。貴方が本当に消滅するところだと知って、頭が真っ白になっちゃって。こんなに間が空いちゃったのだわ。自分で自分が嫌になるわね」
自嘲の笑みを浮かべるエレちゃん様に、そんなことはないと返す。
「それだけ私達を…俺達を案じてくれたのでしょう?」
「もちろんよ。だから
「言われずとも、やりたくはないですよ」
「でも必要になったら貴方達は
そう問い詰められれば、返答に窮するしかない。
視線をそっと逸らすと、しばらく許しませんよとばかりに睨まれたが…不意に厳しい表情が苦笑に緩んだ。
「……もう、本当に仕方ないわね。貴方達は」
黙認というか、諦観と呆れのニュアンス混じりの呟きが漏れる。
てっきり厳しく制止されるものと思っていたが…。
「私が止めても貴方達は
まあ、それは本当にその通りなんですよね。
そもそも命懸けの切り札なんて切らないに越したことは無いのだ。
「それに…好んで戦いたくはないけれど、望みを叶えるために時に戦うしかない時はあるしね。戦いたくないと言う思いだけで戦いに備えることを怠るのは愚かだと、今回の一件で嫌というほどに分かったのだわ。グガランナの再生も含めて、冥界の防衛計画も見直しましょう」
確かに、と深く頷く。
冥界の防衛をエレちゃん様一柱に依存していたからこそ、そこを衝かれれば脆いという戦訓を得たことだし、それを補う方策は必要だ。
「それに此度の争乱で冥府は貴方という太陽を得た…。お陰で私が望んだ冥府の実現に限りなく近づいたわ。これも貴方達のお陰。そう思えば中々叱責し過ぎるのは不公平だしね」
「エレシュキガル様が望む冥府に…比類なき死者の楽土に辿り着けましょうか?」
「ええ。もう夢物語じゃない。私の理想に手が届く場所に、私達はいるわ」
揺るぎない確信が宿る声と視線。
彼女が思い描く理想郷までまだ道半ば。
だが冥府が乗り越えた危機と苦難の数々を思い出せば、どれほどの障害があっても乗り越えて見せよう。
そんな自信が伺える気配だった。
「こ、これだけの功績を挙げたのだから…相応の報酬も必要よね?」
と、ここで自信に満ちていたはずのエレちゃん様が一転して挙動不審になった。
具体的には急にそっぽを向いてつま先で地面を蹴り、もじもじと何かを言い出そうとしつつ躊躇っている感じだ。
……何事??? と訝しんでいたのも束の間。
「わ、私の……は、は……………………伴侶の地位とかどうかしら?」
蚊の鳴くような声で、凄まじい爆弾発言を投下した。
◇
エレシュキガルは遠く、遠く記憶を遡って思い出す。
どこからか迷い込んだ一つの霊魂との出会い。
あの出会いから全てが始まった。
そしてこの胸に宿る不思議な思いも、また。
今まで一度たりとも感じたことの無い、時に深淵のように深く堕落へと誘ってくるソレ。
そんな本来エレシュキガルが抱くことはありえないはずの感情すら抱かせた一人の眷属。
深すぎる執着は更なる時間を過ごすことで別の
最初はただの眷属、悪く言えばたまたま手元に飛び込んできて懐いてきただけの可愛いペットだった。
眷属に向ける愛情はある、その意志も尊重もする。決して逃がしはしないが。
だが間違っても対等ではなく、正直に言えば頼りにしているはずもなかった。
当然の話だ。
キガル・メスラムタエア、少し前まで《名も亡きガルラ霊》と呼ばれた霊魂は元を辿れば、ただの一介の人間だったのだから。
だがただの人間に過ぎなかったはずの霊魂が、ギルガメッシュとまともに交渉し、冥府の利益を勝ち取るという確かな実績を上げたのだ。
その事実をエレシュキガルは軽視しなかった。
なにせ
神からの遣いという立場で、あの筋金入りの神霊嫌いとまともに交渉を為したという一点で出来すぎであると言える。
その働き、成し遂げた功績がエレシュキガルに希望を抱かせた。
とうの昔に諦めていたはずの理想の冥府へ向かって歩み続ける意志の原動力となったのだ。
その意志を知りともに頑張ろうと、ずっとそばにいると言ってくれた。
エレシュキガルは一層《名も亡きガルラ霊》に夢中になった。
私の眷属、
誕生後すぐに冥府を支える柱として縛られ、長い時を孤独に過ごした女神が遂に得た自分だけの
溺れるなと言う方が酷だろう。
エレシュキガルはただ、寂しかったのだ。
更にウルクとの交渉締結という実績を皮切りに《名も亡きガルラ霊》は精力的に仕事をこなし続けた。
冥府の眷属とともにエレシュキガルを助け続けた。
彼に助けられない時は無かったと言い切れるくらいに頑張っていた。
元から抱いていた執着がさらに深まるのを感じた。
その執着はウルクがグガランナの来襲を受け、彼がその救援に行くと意志を示した時最高潮に達した。
全て、どうでもいい。彼の消滅に比べれば。
本気でそう思い、本気で制止した。
どうか行かないでと女神の責務と誇りに背を向け、懇願した。
その全てを―――彼は彼女への思いを以て振り切った。
それは愛ではなく執着であると、この上なく痛い指摘を伴って。
更にエレシュキガルのためだけではなく、友のためでもあると言い切ったその姿に気付いた。
彼は彼女の思い通りになる
当たり前のことだ。
彼女は彼の主だが、全てではない。
きっとそれで良かった、それが良かった。
世界が彼と彼女だけで完結してしまえば、あとはただ二人きりで泥沼に沈むように永劫を過ごすだけの執着の奴隷と化していたはずだ。
それを悟り、そしてそうならなかったことをエレシュキガルは純粋に喜ぶことが出来た。
深淵のように深い執着がささやかな恋情に昇華したのはきっとこの瞬間だろう。
そして地上へ救援に向かった彼はウルクを護り抜いた功績と、神性への変生、そして最も親しい友の喪失を得て冥府に戻って来た。
女神の目には彼が悲しみを背負いながらも一回り大きくなったように見えた。
次に来た大きなキッカケは、やはり大神ネルガルとの神争いだ。
囚われた姉妹神イシュタルと太陽の権能を欲するエレシュキガルは敢えてネルガルに囚われた。
それは彼と冥府の者達ならばきっと何とかするという信頼によるもの。
私の冥界はあんな奴には負けない、という意地がネルガル神との戦に駆り立てた。
後悔した。
足掻いた。
届かないと知ってなお、喉が裂ける程に絶叫した。
私のために、彼は消滅と引き換えに戦おうとしていた。
そこまでしなくてもいいと言ったのに。
そこまでするかもしれないとうっすらと察していたのに。
己の愚かさを罵倒し、ネルガル神の軛を砕くため肉が裂けて血が流れるほど強く手足を振り回した。
もちろんその全ては無駄に終わったが。
最後には全ての元凶であるネルガル神を如何に苦痛を与えた上で消滅させるか、という現実逃避へ逃げるに至った。
そして戦いが終わり、ネルガル神の軛が力を失うや否や天を翔け、一直線に地の底を目指した。
途中、有象無象が道を阻んだ気がしたが、その尽くを力尽くで蹴散らした。
姉妹神の姿も見た気がするが、あまり覚えていない。
ただ「行きなさい」と背中を押す声だけは記憶に残っている。
でも自分が冥府に辿り着く頃にはその霊基の欠片でも残って入れば幸運だ、という冷静な思考も頭の片隅にあって。
必死に彼の元へ急ぎながら、半ば絶望していた。
だから―――倒れ伏したネルガル神の傍らに安らかな寝息を立てる彼の姿を見た時、エレシュキガルは子どもの様に泣きじゃくってしまった。
驚いて。
泣いて。
最後には理不尽な怒りを抱いて。
あれほど憎悪の炎を燃やしたネルガル神ですら、彼の姿を見た瞬間にどうでもよくなった。
本来なら起きた彼にごめんなさいと謝って、ありがとうと礼を言うべきなのに、それも出来ず。
冥府の女神としての姿を取り繕うだけで限界だった。
ネルガル神に苦役を課し、疲弊した彼を休ませ、一人になったその瞬間にエレシュキガルは再び号泣した。
彼が死ななくて良かったと、純粋な喜びで彼女は泣いた。
だから、彼の勇姿に女として純粋に胸のときめきを覚えたのは神争いがひと段落してからだ。
ただキッカケ自体はあの忌々しいネルガル神の指摘によって芽生えていた。
彼の勇姿を思い起こせば不意に胸に動悸が走る。
頬が炎の様に熱くなって真っ赤に染まるし、身の置き場が無くて意味もなく辺りを見渡してしまう。
なにより空想に遊ばせた自分と彼が結ばれる未来はとても素敵なものに思えた。
自分がいて、彼がいて、冥府の眷属達がいて、冥府の住人がいる。
自分達の穏やかな統治の中で平穏と幸福を享受する民草。
まさに理想郷である。
伴侶? 私と、彼が?
当初は馬鹿馬鹿しいと一笑に付したが、改めて現状を見直すと障害と言えるものこそないのだ。
最早純粋な神格の位で言えば、エレシュキガルとキガル・メスラムタエアの間に大差はない。
もちろん冥府神として強力な支配権を握るエレシュキガルと冥府で比べ合えば、勝負の土俵にも上がれないだろうが、冥府以外の場所なら勝負は分からないだろう。
その程度の差しかないのだ。
彼が彼女を我が女神、我が主と下にも置かぬ扱いをしてくれているが、それは結局彼がそうしたいからしているだけで、客観的には対等の関係を結んでも何ら問題はない。
……いいや、エレシュキガル自身がそうしたかった。
自分を冥界の主人と受け入れた上で、その地位とは関係なく
彼は彼女を女神、主として深く敬っている。
だが一方で彼女を見る目は中々厳しい。
かなり遠慮なく物を言うし、女神だから何でもできると決して妄信しない。
彼はエレシュキガルが抱いた理想通りの異性ではない。
だが理想以上に素敵なところがたくさんもっていた。
そんな彼を、エレシュキガルは愛している。
そしてお互いの関係を今よりもさらに深く進めたい。
「こ、これだけの功績を挙げたのだから…相応の報酬も必要よね?」
そのために、自分から一歩を踏み出さねばならない。
恐らく彼は自分のことを愛する主人と思っていても、女として捉えているか怪しいところなのだから。
「わ、私の……は、は…伴侶の地位とかどうかしら?」
主人、女神を超えて女として扱って欲しい。
そんな願いを込めて。
エレシュキガルは今の心地よい関係を壊すかもしれない恐怖を飲み込んで、一世一代の勇気を振り絞った。
◇
「わ、私の……は、は…伴侶の地位とかどうかしら?」
一瞬、何を言っているのかと思った。
だがその顔を見れば一目で分かる。
これは冗談などではない、真剣な申し出だ。
俺が、この子の伴侶に?
……良く分からないというのが正直なところだ。
男女の関係で見るには、スタートラインがズレている。
この子を助けたいと思ったが、結ばれたいと思ったことは無い。
肉体の無い霊魂になった時に一緒に生理的欲求も消え失せた(だからこそ女神に欲望を覚えなかった訳で)。
だが意外と言うべきか。
もじもじと恥ずかしそうに震えているエレちゃん様…
想像する。
彼女が自分以外の神、あるいは人間を伴侶として迎えている光景を。
……中々腹立たしい光景だった。はらわたが煮えくり返るとまでは行かないが、曇りの無い笑顔で祝福できる気がしない。
あるいは独占欲と呼ぶのが正しい感情なのかもしれないが。
これを果たして愛と呼べるのか、自信は無いが。
覚悟は決まった。
「エレシュキガル様…いや、エレシュキガル―――と呼んでも?」
「え…、ええ! 貴方になら構わないわ!」
「では、エレシュキガル。大切な話があります」
呼び捨てにされた女神は頬を真っ赤に染め、緊張しきった様子だが同時にどこか嬉しそう。
その様子に勇気づけられて、一世一代の告白をする。
小細工は要らない。
真正面から誤解の余地なく自分の思いを告げる。
「貴女の隣に立ちたい。貴女を大事にしたいし、貴女に愛して欲しい。神代が終わろうと貴女と一緒にいたい」
単純な話だ。
幸せになって欲しい、ではなく―――
ならそれが男として出した答えだろう。
「どうか俺を貴女の終生の伴侶として迎え入れてくれませんか、
生涯で最初で最後の
誰かと結婚するなど考えたこともなかったが、結婚するとなれば彼女以外に考えられない。
「は…」
「は…?」
……どっちだ? 受容か、拒絶か。
もしも告白の口上が気持ち悪いからと拒否されたら流石に立ち直れる気がしない。
多分自発的に冥府の深淵で消滅しに行くと思う。
そして……。
「はい…。謹んで貴方の求婚を受け入れます」
返ってきたのは恥ずかしそうで嬉しそうな、承諾の言葉だった。
思わずガッツポーズを取った俺は悪くないと思う。
そして求婚を受けて見たことも無いほど幸せそうに微笑むエレシュキガルを見て、ついついその柔らかそうな唇に視線が向かい、身体も併せて動いてしまい…。
そこから先は俺と彼女だけの秘密だ。
うん、まあ、原典に記されている通り彼女はとても情熱的だったとだけ言っておく。
◇
こうしてかつての女神とかつての眷属は結ばれ、一対の夫婦となり、その関係は神代が終わるまで…終わってからも長く続いた。
その間幾度となく苦難が、危機が襲い掛かったが、その全ては冥府の秩序を乱すことは叶わず。
冥府は夫婦神によって統治され、死者達は
その傍らには常に彼らを助け、時に囃し立てる多くのガルラ霊の姿が在ったという。
誰もが限界以上の成果を示したからこそ迎えることが叶った疑う余地なき
幸せな結末を得た彼らにも
だがこれ以上余計な文章を付け加えるのは蛇足と言うべきだろう。
かくして―――《冥界の物語》は終わりを迎える。
「―――素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。
四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
だが物語が終わりを告げても、本当の意味で物語が終わることはない。
「
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する」
刻まれた物語は未来へ遺され、綺羅星の如くその輝きを投げかけ続ける。
その輝きを受け取った
「――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、人理の轍より応えよ」
終わりを乗り越えようとする者のために。
「誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者」
命の価値を叫び続ける者のために。
「汝、星見の言霊を纏う七天、
奔り、降し、裁きたまえ、天秤の守り手よ―――!」
眼前にはマスターらしき少年と盾を構える少女―――そしてひと際気を張っている様子の銀髪の少女。
何となく思う、彼女は自分が妻と呼んだ女神を思い起こす面影のようなものがあると。
「サーヴァント、『冥界の』アーチャー、ここに。現状は概ね把握しているので、どうか十全に使って頂ければ。
私はともかく、私が授かった宝具はなかなかのものですよ。
ところでマスター、そちらの我が妻によく似た大変魅力的で放っておけなさそうな淑女は紹介して貰えるので?」
これより繰り広げられるは、未来を取り戻す物語―――
サーヴァントの物語でも、マスターの物語でもない。
一人の幼い少女が成長を遂げる物語であり―――この星を生きた者達の物語だ。
いまはただ余韻に浸っていただければ…。