ホラーゲームに転生させるとか、神は俺を嫌っているようだ   作:かげはし

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番外 それはある意味、忘れざるもので

 

 

 

 

 姉ちゃんが連れてきた男。いや、連れてきたというか、勝手に上がり込んで来たが正解だな。

 でも姉ちゃんはそんな自分勝手な男に対してとても親しげで、大切なんだとでも言うかのような態度だ。

 

 あの男なんて、姉ちゃんに対してそっけないしただの知り合いにでも会ったみたいな態度なのに。

 

 

「鏡夜って……どっかで聞いたことがあるような……」

 

 

 聞いたことのある名前だった。

 つい最近……じゃないような気がする。

 

 姉ちゃんが高校に入って初めて出来た友達にしては微妙だし。

 もしかして中学かな。

 

「母さん! 姉ちゃんの中学ん頃の友達に鏡夜って奴いる!?」

 

「あらあら、お母さんは初めて聞く名前ねぇ」

 

「んーでもなんかこう。前に聞いたような、調べたような?」

 

 

 首を傾けると、母さんは頬に手を当てて言うんだ。

 

 

「あなた前に授業で家族写真について調べてたじゃない? その中にはないのかしら?」

 

 そういいながらも、母さんはキッチンで夕飯の準備をしつつ「鏡夜くんねー」となにか思い出そうとするように考えていた。

 

 母さんは姉ちゃんの友達が家に来たことに対して喜んではいるが、あの女の人も一緒だからかあまり気にしてないようだ。彼氏とか、そういうの気にしてないのって僕だけ?

 父さんが知ったらたぶん僕みたいに姉ちゃんのこと問い詰めると思うけどな。

 

(でも、母さんは僕や姉ちゃんの交遊関係について知らないことはない……はず……)

 

 つまり、家には来たことのない、母さんでさえ知らない程度の人ってことか?

 でも僕から見たら、何だかものすごく親しげでとても仲が良さそうで……ものすごく、ムカついたんだ。

 というか、もしかして入学して早々に泊まったのってあいつの家か!?

 

 ……そういえば、なんで二日連続で帰ってこなかったんだっけ?

 

 

(調べないと……)

 

 

 高校のたった数日程度で深まった仲じゃないって思うのは、絶対に合っているはず。

 姉ちゃんって意外と人懐こく見えてあまり親しい友達を作らないというか、距離をおいているように見えたから。

 

 中学ではあまり交流がなくて、でもちょっとしたきっかけで知り合ったとかか?

 

 

「鏡夜……中学はなし……」

 

 

 アルバムを開いて確かめるがそこには何もなし。

 姉ちゃんも笑ってはいるが何処となく寂しそうだと思うのは気のせいかな。

 それ以外にも、卒業アルバムも調べて――――神無月鏡夜が載っている写真はあったが、クラス別で交流もないみたいだ。

 

 ならもっと昔の――――小学校の頃?

 

 

「……あった」

 

 

 そこにあったのは、子供の頃の姉ちゃんが中心となった写真。

 姉ちゃんの周りには、五人の同級生と一人の高校生が仲良く共にいる写真だ。

 

 

 

「姉ちゃんと鏡夜のやつ、腕組んでるし……仲良しかよ……むかつく」

 

 

 名前も記載されている。メッセージも書いてあった。たぶん姉ちゃんが書いたんだろう。

 小学校五年。親友達と大好きな人と――――。

 

 神無月鏡夜。朝比奈陽葵。星空天。海里夏。未雀燕。

 

 それと……なんだか少しだけ文字を書き直したようで、消したあとがあって読みにくいが……。

 

 

「ゆき……いや、はく? 白兎冬乃?」

 

 

 誰だろう。なんか会ったことあるような気がする……?

 

 それに、この人だけ夕日丘の制服を着ている……高校の人か?

 何かどこかで会ったような気がするけれど……。

 

 

(頭いたい……)

 

 

 なんか眠い。風邪かな。

 ……寝た方が良いのかな。

 

 

 


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