ホラーゲームに転生させるとか、神は俺を嫌っているようだ 作:かげはし
しかしこれで番外編は最後です。しばらくは本編に集中するのでありません。よろしくお願いします!
(……くそ、頭が痛い)
記憶が流れ込んでくるようだった。
入学式はぼんやりとしていてあまり思い出せない記憶だったはず。
確実に俺の頭の中から消え、もう二度と取り戻せないと思っていた忘れていたモノだった。
しかし何故か、俺はその全てを覚えている。
でもそれだけだ。
夕日丘高等学校以前の――――過去に起きた何かしらの出来事については覚えていない。
おそらくリセットと言っても制限があるのだろう。
ああしかし、本当に何故俺は覚えているんだ。
ここの場面だって知っている。
ここで紅葉は俺に全てを打ち明けてくれた。そこが始まりだったんだろう。
首を傾けて不安そうにしている紅葉に軽く笑いかける。
彼女の様子を見る限り、どうやら俺のように何かを覚えているわけではなさそうだ。
それと同じく、あの記憶の中にある紅葉と同じに感じた。
俺の考えが正しいのなら――――彼女の頭の中に、妖精は入っていないかもしれないが。
(ここが過去だというのなら、なるべく別の行動は避けた方が良いか……)
バタフライエフェクトを引き起こして最悪の過去にしてしまってはいけない。
まだ始まったばかりだ。紅葉に関しても考えなくてはならないが、今は話したい相手がいた。
紅葉が話す入学式の後に行われる化け物退治の内容に半分演技を通して信じられないというような顔を作りつつも――――。
彼女と別れて教室の中へ入り、すぐさま行動を開始する。
「海里夏、ちょっといいか」
「もちろん構わないよ。鏡夜」
その反応だけでわかる。
紅葉とは違って、彼女はきちんとあのリセット前のことを覚えているのだろう。
・・・
先ほど紅葉に連れてこられたこの裏庭にて人がいないことを確認する。
そして海里を睨みつけ、口を開いた。
「……覚えているのは俺とお前だけか?」
「いいや。陽葵と天は覚えているはずだよ。あとはあのアカネ神かな」
「そうか。……あと、リセットと言ったが過去に戻るということがお前の力か?」
「まあね」
「では、お前のリセットは完全に時が戻るということか? ……いやでもおかしいだろう。俺は過去の一部の記憶を奪われていたんだぞ。なのに何故俺は奪われた記憶の一部分を思い出しているんだ? 奪われたということ自体が過去へリセットされて無くなったからか? それともこの……手鏡のせいか?」
取り出して見せたのは胸ポケットにいつの間にか入っていた。
赤組で最初に朝比奈が見せてくれた薄紫色に輝く手鏡。
あの朝比奈が見せた時のような濁りはいない。赤黒い汚れもない。
しかし何か普通の手鏡とは違う気がする。
これは大事にしないといけないような、そんな予感に襲われる。星空じゃないというのに何故そう感じられるのかすら分からない。
「……ねえ鏡夜、それについて何か知っているみたいだけれど……誰にどう説明されたの?」
「朝比奈からだ。これは命綱のようなもので、ゲームではセーブポイントのようなものだと言っていた」
「そっか」
「……違うのか?」
「いいや、違わないよ。
やけに意味深な言葉を吐く。
それを説明する気はあるのだろうか。
だいたい、いつもそうだ。
こいつもそうだし、他の連中だってそうだ。何かしらの事情を抱えていて、それを説明する気もねえ。
まあ信用されてないのは分かるし、俺も他を信じる気持ちは失せてるがな!
それにしてはもう少しだけ――――情報共有というものがあるだろうが! 報連相を大事にしろ!!
(ああくそ……苛立つな落ち着け……)
大きく深呼吸をして、気を紛らわす。
とにかく今は海里の情報が先だ。真実かどうかすら分からない状況だから、余計に感情に振り回されては駄目だ。
あの校庭で、海里が言った言葉が本当だとしたら情報の中に確実に嘘が入っているだろう。
でも今は――――今だからこそ、話せる内容がある。
「妖精は入学式のあの境界線の世界へ招いた後から頭を覗くのか? 今は何もないのか?」
「ああ……リセットをしたことはバレているから、あの世界へ招く、もしくはアップロードされなければまだ大丈夫だよ」
「アップロード……とはなんだ?」
「ふふ。質問ばかりだね? まあそうなるのは当然か」
「チッ……答えろ海里! もう入学式まで時間がないんだ!」
俺の怒声に海里は笑う。
しかし彼女は――――以前のような馬鹿にしたような顔でも、諦めきったような目をしているわけでもなかった。
「時間がないのはこっちも同じなんだよ鏡夜。それに私は現実で使える力は時を早める力しか残されていないんだ。もう戻ることは許されてない」
「なっ……」
「だから――――このぐらいだったら、あの向日葵桃子と同じで精神に作用させることは可能だ」
海里が俺に向かって近づく。
俺は彼女に警戒する気は起きなかった。
敵かもしれないと思う気持ちは、俺を助けてくれた時点でなくなっている。
味方かと思えば微妙だが、俺を殺すメリットはないと思っているはずだ。
そして海里の目は、生きるために必死に足掻こうとするものだった。
吐息が肌に感じられるぐらいまで近づく。まつ毛の一本一本が見えてしまうほどの近距離でも関係ない。
海里夏は、真剣な表情で言うのだ。
「私の目を見て――――そして思い出して。一部分だけでもいいから。アンタは二度、頭を弄られているはずだ」
その目を見ていると嫌な予感に陥る。
何か、暗闇を思い出すような――――。
これは――――夕青白が発売されてない頃。夕赤が発売したばかりのスレである。
【夕赤】新作クリア検証スレ
・・・
・・
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215 ホラゲの名無し
化け物を相手により有利な陣取りを行い、かつ陽葵の体力が続いているうちに敵を攻撃し、また怪我をしないよう回避しつつクリスタルを守るゲーム。いわゆる防衛ゲーム(物理)である。
夕青とは違って何でここまでアクションゲームなんだ??
いや、謎がないわけじゃないけどなんか裏がありそうで怖くないか???
216 ホラゲの名無し
あの鬼畜クソゲーの夕青に鍛えられたからな……。
マルチゲームであんなボリュームたっぷりなのって夕青ぐらいだろ。そこにゾンビ倒すアクションゲームっぽさが追加されただけだ。倒すのはゾンビじゃなくて化け物だけどな!!
217 ホラゲの名無し
朝比奈陽葵って何でここまで強者感出てるの……(困惑)
なんか女王様通り越して朝比奈様って呼びたい気分なんだが??
218 ホラゲの名無し
ふふん。俺はもうとっくに朝比奈様と呼んでいるがな!!!
というか夕青と違って赤組全体がなんか仲良しこよしっていうか、一体感があるよなー。
お助けキャラクター的な燕さんいるし!
219 ホラゲの名無し
燕なー。なんか微妙というかなんというか。いや前線に立つ朝比奈の補助をしてくれたり、敵を観察して弱点を見つけようとしてくれたりいろいろとサポートしてくれるキャラクターなのは分かるけどな?
「陽葵ぁー! この敵はどうやら目が見えてないみたいだから突っ込んでも大丈夫だ!」
「そうか」
「怪我をしても大丈夫だ。絆創膏持ってきた!!」
いや、腕を折るほどの怪我をどうやって絆創膏で治せと……。
しかもゲーム仕様の万能絆創膏かと思いきや切り傷擦り傷以外の重傷な怪我は治せねーし!!!!
220 ホラゲの名無し
そこはゲーム作った制作会社に言え。
あとおっちょこちょいな燕に言え。
小虎くんはマスコット。それは譲らねーがな!!!! あまりにも憶病すぎて良く逃げ出すし影の薄いマスコットだけどな!!!
221 ホラゲの名無し
喰われそうになっても「根性だ陽葵!! 一寸法師を思い出せ!!」とかいう無茶ぶりは勘弁してほしい。胃の中から剣で掻っ捌いてエイリアンのごとく這い出てきた朝比奈様はすげえと思いましたがね!!!
まあ二度目はさすがに体力なさ過ぎて狼牙と言う名の元ヤンに助けられましたがね!!!
222 ホラゲの名無し
狼牙は朝比奈様の下僕だから命をかけてでも助けるのは当然だろ見くびるなよ。
小虎はマスコット。燕はドジっ子だろ。
ヒロイン(♂)二人が化け物に喰われかけてたら助けるだろ、赤の主人公だぞ???
朝比奈様が助けるのは当然だし、周りが朝比奈様をサポートするのは当然なんだよ(怒)
223 ホラゲの名無し
とりあえず謎を検証しようぜ。朝比奈無双なのは分かってるから!!
それに赤組がやたらと運動神経が良くて朝比奈に従順というか忠犬と言うか……まあそういう感じなのは分かったから!!
224 ホラゲの名無し
検証と聞いて今なら質問できる流れだよな……!?
みんな、青組には行けたっけ?
というか他のクラスには行けたのか??
225 ホラゲの名無し
行けません
226 ホラゲの名無し
行けないです。見えない壁と言うか、青組の近くに行こうとしたらなんか燕が急に話しかけてきて授業が開始しちゃうというかなんというか……。
227 ホラゲの名無し
青組以外にも他のクラスってなんかあったか?
228 ホラゲの名無し
黄組はあるぞ。入学式で説明されてただろ??
夕青の時点でも赤組と黄組は説明があったんだ。赤組がメインの夕赤がゲームとして出たんだし、黄組も何かしらあるんじゃないかって俺は見てる
229 ホラゲの名無し
妖精って話しかけてみたか?
あいつ夕青の鏡夜に対してはあまりにも玩具みたく扱ってたというか、雑だったのに陽葵に対しては普通に友好的じゃねー??
230 ホラゲの名無し
友好的とは????
231 ホラゲの名無し
何言ってんだよ。妖精が友好的なわけ……
あったわ(遠い目)
232 ホラゲの名無し
夕赤の主人公に対しては夕青と同じく助言も何も一切ないわけだが、ある意味楽しそうではあるんだよなー。なんというか、主人が飼い犬に躾をして餌をあげるような感じ??
妖精が無茶ぶりしても乗り越えちゃう朝比奈様のポテンシャルがやばすぎるのが問題だと思うんだ、俺……!!
233 ホラゲの名無し
《こんなにも遠慮なく戦ってくれるの初めてですよー! 妖精ちゃんはもっと楽しみたいのでフルコースでやらせてもらいますねー!!》
とかなんとか言って化け物が増えたあの件は許さん。
夕青2の転校生以上に許さん。
それでも楽勝で勝てたのが凄いです流石朝比奈様!!!!
234 ホラゲの名無し
ぶっちゃけゲームでの陽葵の弱点はクラスメイトの喪失だからなー。それと発狂する速度が上がるというかなんというか……。
発狂した時の覚えてるか??
235 ホラゲの名無し
>>234 「私なんて生まれなければよかったんだ」
そのまま化け物に喰われるエンドだったか。もしくは自殺か妖精に殺されるエンドだよな?
妖精に殺されるというか、なんか急に腹に突っ込んでくる(物理)というか……。あそこだけグロイよな……。
236 ホラゲの名無し
夕赤の途中で自室に入った?
なんか両親のことあまり話さないのって何でだろうって思うんだけど……。
237 ホラゲの名無し
燕「大丈夫だよ陽葵。ボクは化け物の陽葵でもいいんだ。陽葵のために生きるって決めたんだから……君が生きている限り、ボクは死なないよ」
あいつヤンデレだと思う絶対。
238 ホラゲの名無し
朝比奈様って化け物に平然と立ち向かうというか、戦う力があるじゃんかー?
恐怖心とかないのかなって思ったら燕によるお話ですよ。過去のアレですよ……。
こりゃあ朝比奈様も何かしらの闇抱えてますね(白目)
239 ホラゲの名無し
ああ、確か発狂寸前でたまにある燕による精神回復だっけか?
「陽葵は心が欠けているからね……それは、本来あってはならないことなんだ……」
「心はすなわち理性。殺人などやってはならないと分かっている理性が外れれば、それはどんなに脅威になるのかわかるかい?」
「殺すことを厭わず、抱く感情もなく、ただその場で邪魔だと思えば潰しにかかる」
「君は理性のない獣だ。殺しを必要ないと断じない……でも、考える脳がある。知恵もある。それを止める術がないというだけだよ。――――いいや、それを君は人のために使おうとしてくれているんだ」
「化け物になりたくないっていうならさ……ほら、一緒に考えようか陽葵。大丈夫だよ。君だけが獣というわけはないからね。君が怪物になるのを止められないなら、ボクも一緒に怪物になるよ」
ここら辺は男らしいと思えました。
しかし通常時の助言にならない助言をどうにかしてほしいです(遠い目)
240 ホラゲの名無し
モンスターハウス内での助言↓
「大丈夫だ陽葵! 君なら突っ込んでもいける!!」
なんか怪我した時の助言↓
「大丈夫だ陽葵! 腕はまだ取れてない! ボクも戦うよ!」
重傷になった時の助言↓
「後ろに下がってくれ陽葵!! 逃げるから、しばらくは休んでいてくれ!!」
なんかこう……うん……。
241 ホラゲの名無し
助言ってか、助言じゃねーなこれ?????
242 ホラゲの名無し
とりあえず夕青3がそろそろ出るらしいので夕赤の謎を解きながらゆっくりやろうぜ
243 ホラゲの名無し
>>242 夕青3!? お前それ早く言えよ!!!??
よっしゃあ朝比奈様で無双しながら化け物退治じゃあああああ!!!