個性把握テスト。
中学校では使用不可だった個性をフルに使っても良い、まさに自分の個性で何ができるか把握するテストである。
────第一種目「50m走」
「……次、腑労」
「はい」
お茶子と梅雨は恋を見ながら話していた。
「両肩のカバン外さないのかな?」
「多分外さないと思うわ。私も外したところほとんど見たことないもの」
ピピッ 『5秒12』
「恋ちゃん、思ったより速い……」
「毎朝走ってるらしいわ」
「それ考慮しても速くない?」
「成長期だからって言われたわ」
「成長期」
「峰田?何見てんの?」
「ダブルπスラッシュ……いや?この場合
────第二種目「握力」
「すー、はー、すー、はー………
清潔ッッッ!!!!」
『300kg』
(((((………清潔?)))))
「なにあの掛け声」
「一時的に力が入るって聞いたわ」
「そっちじゃなくて内容の方、爆豪くんと大差ない気がする……」
「叫び声あと二パターンあるらしいわ」
「何の拘り?」
続く第三、第四種目も
────第五種目「ソフトボール投げ」
「殺菌ッッ!!」
ピピッ『200m』
「ねぇ」
「言いたいことはわかるわ」
「それでも言わせて。…………なんで斜め上じゃなくて水平に投げて200mも飛ぶの?本当に恋ちゃんの個性って治癒だけ?」
「本人も『身体能力が上がりすぎて訳がわからない。略してバカって感じ』ってぼやいてたわね」
「略してバカ……?」
その後、
「あ、ちなみに除籍処分はやる気を出させる為の合理的虚偽ね」
「「「はぁぁぁぁ!!!???」」」
恋は総合成績3位だった。
▽▽▽▽
昼。
「食堂でご飯食べましょ」
「いいね」
梅雨ちゃんとお昼を食べていると、横から声がした。
「ここ、いい?」
「良いですよ」
向かいに座ったのはイヤホンジャック少女だった。
「蛙吹 梅雨よ、梅雨ちゃんって呼んで」
「はじめまして、腑労 恋です」
「ウチは耳郎 響香。敬語じゃなくていいよ?」
「敬語が自然体なんです……慣れるまでしばらくお待ちください」
「いいよー。………まさかとは思うんだけどさ」
「?」
「それ、全部食べるの?」
耳郎が指差したのは、恋の前に並べられた定食のお盆達……実に三食分。
「私の個性、エネルギー使うんですよね」
「いや、それにしても……毎食こうなの?」
「ええ」
「よく食べるなぁ……はっ!」
余談だが、恋の体は見た目だけなら既にかなりナイチンゲールに近い。
耳郎は何かに気づいたように、自分と恋を、正確にはその胸元を見て、
「ちょっとご飯大盛りにしてくる」
と、席を立った。
「耳郎さんもエネルギー使う個性なのかな?」
「恋ちゃん、今ので気づかなかったのね……」
しばらくして、耳郎が戻ってきた。片手に山盛りの白米を持って。
「なんか厨房のコックさんがめちゃめちゃ白米推してきた結果こうなった」
「クックラッシュさんでしたっけ」
「だったかな……?ところでさ、試験の時私に包帯巻いてくれたじゃん?あれくらいの処置は自分でもできるようになりたいなって思って……教えてくれたりしない?時間あるときにでも」
「構いませんよ。では後で更衣室に行きましょうか」
「更衣室……?」
「ええ。まず耳郎さんを脱がせます」
「えっ」
「そこに私が部位別に包帯を巻いていきます。丁寧に。巻き方も固定方法も力加減まで肌で体感できる素晴らしい方法です」
「恋ちゃん、言い方」
「ゲホッ!ゴホッ」
「峰田?急にどうした?」
「ウチが脱ぐ以外の方法は?」
「うーん……あ。では、私の体を使いますか?」
「言い方ァ!」
「ガハッッ」
「峰田?おい峰田!?しっかりしろ!!おい!!クソ、なんて幸せそうな顔で逝ってやがる……!」
▽▽▽▽▽▽▽▽
午後はヒーロー基礎学の授業である。
「わーたーしーがー!!!」
「普通にドアから来た!!」
「オールマイトだ……!!すげえや、本当に先生やってるんだな……!!」
「画風違いすぎて鳥肌が……!」
「早速だが今日はコレ!『戦闘訓練』!! そしてそいつに伴って……こちら!!入学前に送ってもらった書類に基づいた……
「「「「はーい!!!!」」」」
「恋ちゃんはどんな服にしたの」
「それは後のお楽しみ」
▽▽▽▽
「さあ!!始めようか有精卵ども!!」
今日の戦闘訓練では屋内にて2対2の『敵組』と『ヒーロー組』に分かれて行われる。
『敵組』は核兵器を守りきるかヒーローを捕まえること、『ヒーロー組』は反対に核兵器を回収するか敵を捕まえることが勝利条件である。
「コンビおよび対戦相手はくじだ!」
「またすごい戦闘服を頼んだのね」
「すごいでしょ?」
「貴女のすごいと私のすごいは意味が違うってことがわかったわ」
恋が着ているのは真っ赤な軍服に黒いスカート、対照的に白いブーツ………見たまんま、FGOのナイチンゲールの服そのものである。
「腰のそれは?」
「リボルバー、ただし撃てるのはゴム弾のみ。許可されないかなって思ったけど、この銃のサイズでゴム弾だと殺傷能力はかなり低いみたい。せいぜい悶絶レベルじゃないかな」
「貴女が殺傷能力を語ると急に信用度が落ちるわね」
「酷くない?」
「そろそろ貴女がくじを引く番よ」
「なんて素早い話題転換」
▽▽▽▽▽▽▽
(私はCか……流石に誰だったかは覚えてないなぁ)
「C引いた方、いませんかー?」
「あ、私ですわ」
「八百万さんですか、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いしますね」
私たちの対戦は3回目だった。
「続いての対戦相手は……こちら!Cコンビが『ヒーロー』!Gコンビが『敵』だ!!!」
「耳郎さんと上鳴さんが相手ですか」
「げっ、丁寧語コンビ」
「それでは……屋内対人戦闘訓練……スタート!!!」
▽▽▽▽▽▽▽
恋・百チーム
「向こう側に耳郎さんがいらっしゃるので、こちらの足音などは筒抜けと考えていいと思いますわ」
「なるほど……私の個性は多分あまり戦闘で役に立たないんですよね……おそらく向こうは一人防衛で一人遊撃に出ると思うので、先に私が動いて引きつけるのはどうでしょう」
「その間に私が耳郎さんを無力化するか核を回収すればいいのですわね」
「多分八百万さんの個性……『創造』の方が核を扱うという設定の上ではいいと思うんです」
「わかりました。ではそのように行きましょう」
耳郎・上鳴チーム
「なぁ、あの辻医者いるじゃんか」
「恋ちゃんな」
「多分怪我してる人をほっとけないと思うのよ。そこでだ!まず俺が階段でこけて足首をひねったフリをする!」
「……それで?」
「近づいてきたところを電気で痺れさせる!」
「……………こいつよりいい案が思いつかないのが腹立つ……まぁいいや。成功したらすぐ戻ってよ?ウチのイヤホンジャックで場所は教えるけど、流石に八百万さんを一人で相手するのはキツい」
「任せとけって!」
▽▽▽▽▽▽▽▽
〔上鳴視点〕
『その階の西側の階段が恋ちゃんが近づいてるとこな」
「オッケー!」
階段の下で倒れる。
しばらくすると、カツ、カツとブーツの音が聞こえてきた。
「ぐっ……うぅっ……」
「……おや?上鳴さん?何をしているのですか?」
「あぁ、ちょっと階段から足滑らしちまってよ……敵にこういうのもアレだがよ、治してくれねーか?割と痛みがヤベェんだよ」
「なるほど」
………。
………………。
「あの……?腑労?」
反応がない。
…………………………………。
………………………………
腑労は、ニッコリと笑って言った。
「ええ、今治療します」
なんか目つきがキマってる感じもするが、これで感電させればミッション達成だ。
「助かるぜ、ありがとな─────」
ドグシャッッッッ!!!
頭の横に踵が降ってきた。
「────へ?」
腑労が、メッチャ低い声で言う。
「医療現場において最も許されざる事の一つに───虚偽の申告や確証のない情報、つまりは嘘やデマがあります。お分かりですね?故に、私が治療するのは貴方の健康な脚ではなく……その性根です」
「ヒェッ」
腑労が踵を振り上げた。
「先ほども言った通り、虚偽は許されません。ですので……
───俺の足の上に。えっちょっとまって
すぐに来るであろう痛みに思わず目を瞑った。
5秒。
10秒。
15秒。
「……あれ?いねぇ……」
目を開けると、既に腑労の姿はなかった。
「………あ!?捕縛テープ貼られた!!」
▽▽▽▽▽▽▽
結局恋のチームが勝った。と言うか、2対1で片方が治癒、もう片方が創造持ちは流石に厳しい、と耳郎本人もぼやいていた。
後に上鳴は語った。
「相澤先生の言葉が頭じゃなく心で理解できた………ッ!あれはマジで死ぬかと思った」
え?略してバカ?……いるじゃないですか。与ダメ1.5倍で被ダメ2倍のちょっとフォーリナーに弱い愛すべき彼らが。
ちなみに私の推しはフランケンシュタインです。私の名前でサポートのALLがフランちゃんならほぼ確実に私です。
主人公が梅雨ちゃん以外に敬語な理由?
………性癖さ。それ以外に何が言う必要はあるかい?
『突き刺さりし尊死の恋矢』!