その中に唯一混じった異物の神
これは、冒険譚でも英雄譚でもない
人の思いから生まれた神と、その眷族
それと彼らに関わった者達の、少し不思議な噺
世間では色々と大変ですが、如何お過ごしでしょうか
連載中の物を書いていましたが進捗があまり良くなく、箸休めとして書いてみました
嘗て、天上の世界に住む神々は、娯楽に飢えて地上に降り立った。
自らが持つ権能を封じ、地上に住む人々と同じ暮らしは神々にとって新鮮なものであった。
そんな神々は、人とともに一つの街を築き上げた。
迷宮都市オラリオ。
天高く聳え立つ塔の下に広大な地下迷宮を構えたその地に、神々と人々は集まった。
富、名声、未知…ありとあらゆる思いが、この街には犇めき合っている。
「はぁ…」
そんなオラリオの街道を、1人の少年が肩を落として歩く。
ベル・クラネル…それが、少年の名だ。
白い頭髪に紅い目と、何処か兎を彷彿とさせる少年もまた、ある思いを胸にオラリオにやってきた1人であった。
「また門前払いか…」
そう呟き、ベルは眼前に見えるバベルを眺め溜息を吐く。
世界に唯一と言われているオラリオのダンジョンに潜るには、ある条件がある。
その条件とは…ファミリアに入団し、冒険者として登録する事。
ファミリアに入団する事で人は神から「恩恵」を授かり、モンスターの跋扈するダンジョンで戦うための力を得る。
そして、ギルドにファミリアに所属していると証明しなければ、ダンジョンに潜れない。
故にベルは、数々のファミリアの門戸を叩いたのだが…結果は全て門前払いで終わった。
まともに入団テストを行なって貰うどころか、門番の団員に一笑され終わる事数知れず。
気づけば、入団拒否されたファミリアは二桁に登ろうとしていた。
生まれ育った故郷から旅立つ際に用意した資金も心許なく、今晩は野宿かも…そう思い、再び深い溜息を吐こうとした時。
「そこの少年、どうしたんだい?辛気臭い顔をして」
落ち着いた男性の声がベルの耳に届いた。
顔を上げた先に居たのは、1人の人物。
黒いローブを纏い、紅い髪を後ろで一つに纏めた青年が、街道にポツンと建つ露店からベルを見ていた。
「えっと…僕、ですか?」
「くたびれた表情をした白髪紅目の少年が周りに居るかい?」
青年の物言いに微かにムッとしつつも、他に特徴の該当する人が居ない事から、ベルは青年の居る露店に近づいていく。
青年の構える露店は、変わった物だらけだった。
金色の動物の置物や蜘蛛の巣を模した飾り、他には鉱石など…殆どの人が興味を示さない物のように見える。
「あの…此処は?」
「あぁ、俺はしがない占い師でね…コレらは俺の商品」
訝しげに店を見るベルを他所に、青年はジッとベルの顔を凝視するや、その手を取って掌をくまなく見つめ始めた。
「ふむ…冒険者になる為に来たは良いが、どのファミリアからも門前払い…と言った所か」
青年の行為にヤバい人に捕まった、と思い焦りを見せたベルだが、まるで見てきたかのようにこれ迄の出来事を言い当てられた事に目を見開く。
「なるほど…この先の裏路地に向かうと良い。君が入るファミリアがそこにある」
「っ、本当ですか?!」
更に、青年の言葉に耳を疑った。
藁にもすがる思いで、ベルは青年に問いかける。
「信じるか否かは少年次第さ…コレは、ちょっとした御守りだ」
不安と期待の篭った視線に柔らかく微笑むと、青年はベルの手首に目の色と同じ紅い糸で作られた組紐を結びつける。
「ぇ、でも僕お金…」
「勝手に捕まえて商売する程腐ってないさ…君にとって、良い縁が結ばれる事を祈ってるよ」
手首に巻かれた組紐に戸惑いを見せるも、青年の言葉に背中を押されるように、ベルは青年に礼をして街道を走って行く。
其れを微笑みながら見送ると、青年は席を立ち、ベルの走って行く方とは逆の道を歩いて行った。
この街には、様々な神が天から降りてきたが、俺は天上の世界を知らない。
気がついたら、俺は地上に居た。
昔の話では、神が人を作ったと言うが…俺は、その逆。
人が人を思い、行ってきた事とその結果
それを信じる気持ちと畏れが、俺という『
人によっては呼び方が違うし、字も違う。
だが…そうだな。
東にある島国では、俺を指す言葉は読みは違えど字は同じらしい。
名乗るのが遅くなったが…俺の名は
『呪い』だ
反響と筆の乗り次第では…更新するかもしれません
更新ペースは…申し訳ありません、お察し下さい