使徒ってそっちの使徒ですか!?   作:かます

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色々言ってたけど頑張ったら書けちゃった
次はこんなに早くは出ないです、もうちょっとかかります


第六話 戦い、新たな想いと共に

「───────を確認。覚醒者のログインを確認」

「………んぇ?」

 

 鳴り響く無機質な誰かの声。徐々に意識が覚醒しつつある雪華は、のろのろと頭を上げる。目を擦り辺りを見渡すが……ここは、どこだろうか。

 

「あれ……最後って、病院みたいな部屋に入って、それで……」

 

 そこは何もない、誰もいない空間だった。真っ白な地面と真っ白な空がどこまでも続いていて、光源もないのに暗さは感じられない。

 

 頭を振って眠気を無理やり振り払う。自分の状態は……先ほどまでと同じく、プラグスーツにサキエルの外骨格が展開されていた。

 身包み剥がされてここに放置された、という最悪の状態ではないことに、ひとまず雪華は胸を撫で下ろした。

 

「覚醒者のバイタル、正常。適合率向上プログラムを開始します」

「はっ???」

 

 しかし安堵するのも束の間、ブーッとブザーが鳴り響くのと同時に地面から大量のビルが生えてくる。

 そう。第3新東京市、兵装ビル群だ。見間違えるはずがない。地球にいた時、テレビの中に何度も見たあの光景が、目の前で再現されていく。

 

「戦闘フィールド構築完了。続いて、エネミーの構築を開始します」

「ちょ、ちょま、えっ!?」

 

 どこからともなく現れた光り輝く粒子の奔流。それが一箇所に集まったかと思うと、そこに現れたのは……()()()()使()()

 

 サキエルが、雪華の目の前に顕現した。

 

「えと、何、こ、これと戦えってこと……?ボクが……!?」

「プログラム専用エネミーNo.04の構築完了。続いて、プログラム専用エネミーNo.05の構築を開始します」

「はぇ、増え、るの?」

 

 彼女の前に立ちはだかる壁は、無情なことにもその強さを更に増していく。サキエルの隣にもまた同じように、眩しく輝く粒子が集まっていき……。

 真っ赤な古代水棲生物を思わせる身体に剥き出しの胸骨、二本の光る鞭が特徴的な使徒、シャムシエルが出現した。

 

"プログラム開始を確認"

"第四使徒シャムシエル、第五の使徒の能力がアンロックされました"

 

「5秒後に第一回のプログラムを開始します。被験者は戦闘準備をしてください」

「って言われてもこんな唐突な……!!」

「4、3、2、1……プログラム開始」

 

 突然放り込まれた異常な空間。ビル、使徒の出現という現実とは思えない出来事。唐突な新たな能力に、問答無用と言わんばかりに始まる戦闘。

 情報の濁流が彼女の思考を鈍らせ、邪魔し、冷静な判断力を奪い去っていく。

 

 さて。突然の状況により冷静さを保てていない脳では、人間に出来ることは限られる。ぐるぐると脳みそを回すも、雪華は足がすくみ、その場から動くことができない。

 しかしプログラムが開始したとあって、雪華の目の前の巨体は被験者である彼女をまっすぐと見据え、それぞれの持つ能力での攻撃を開始する。生まれた隙を使徒である彼らが逃すはずもない。

 

 不可視の光線。放たれる鞭。

 理不尽が彼女へと飛来する。

 

 雪華がそれに対して為せたことと言えば……なけなしのA.T.フィールドを展開することのみ。稼げた時間はせいぜい0.2秒。

 

 痛みを感じる間も無く、雪華の身体は吹き飛んだ。

 

「第1回のプログラムを終了。被験者訓練用素体死亡。蘇生措置後、15秒のインターバルを挟み、第2回のプログラムを開始します」

 

 

※※※※※

 

 

「はぁっ……勝てない、全く……!!」

 

 息を荒げながら、雪華は膝に手をたて呼吸を整えている。ちょうど誰かの声が49回目のプログラムの終了と、インターバル後に50回目のプログラムが開始されることを告げたところだ。

 僅かに与えられた休憩時間に無理やり息を整えては、即座に次の戦闘に入るその繰り返しに、やっと彼女の頭が追いついてきた。

 間も無く、次の戦闘が開始する。

 

「4、3、2、1……プログラム開始」

 

 無尽蔵の体力(S2機関)を前提にした、無理やりの訓練が終わりを告げる気配はない。しかし腐ることなく、雪華は己をなんとか奮い立たせた。

 

 ギュオン、という音のみを立てながらノーモーションで迫り来る不可視の光線に、甲高い風切り音を立てて叩きつけられる鞭を左手へのステップで無理やりかわす。11回目に覚えたコト。

 

 たとえ初撃をかわしても、それが地面に叩き込まれた衝撃波は消えることはない。隙を生まないよう、受け身を取ってからその動きをバネに立ち上がる。23回目に覚えたコト。

 

 右前にはサキエル。左前にはシャムシエル。彼らも同士討ちは避けたいのだろう、お互いに命中するような攻撃はしてこない。

 鞭という自由度の高い攻撃を持っているシャムシエルがやはり脅威なので、今一番良くないのは彼を放置すること。逆にサキエルは細やかな攻撃手段を持っていないので、まずはシャムシエルの懐に飛び込む。今の身体なら、ジャンプするだけで使徒の懐くらいの高さなら容易に到達できる。41回目に覚えたコト。

 

「あああああ!!!!!」

 

 絶叫と共にコアへとパイルバンカー(サキエルの能力)を叩き込む。ごく、ごく僅かなヒビ。攻撃の反動を利用して、その場を離脱。49回目に、覚えたコト……。

 

 違うのはそこから先だ。離脱時に大きく上に飛び上がる。真後ろに飛んだら、さっきはサキエルによって的確に狙撃された。

 

「このまま、もういっかあああああい!!!!!」

 

 しかし彼女の全力の一撃は、A.T.フィールドによって弾かれた。

 シャムシエルのしなやかな鞭が、雪華の腹に突き刺さる。

 

「が、っは……」

 

 激痛により意識を失った雪華は、そのままシャムシエルの頭に墜落した。

 

「第50回のプログラムを終了。被験者訓練用素体死亡。蘇生措置後、300秒のインターバルを挟み、第51回のプログラムを開始します」

 

スタート地点に戻された雪華は、その場で仰向けに地面へと倒れ込む。全身に力が入らない。

 

「…………勝てない。ちょっとでも隙ができたら負けるし、こっちの攻撃も有効打とは呼べないほどに、弱い……」

 

 彼女はこれまでの50回に渡る戦いを回想した。彼我の戦闘能力の差は大きく、このまま闇雲に戦い続けても勝ちの目がないのは分かりきっている。

 

「サキエルの能力じゃ勝てない?でも変化するのもノータイムじゃないし、何よりシャムシエルの能力はまだ試してない……」

 

 避け方、当て方、逃げ方。一つひとつ試すだけでも時間がかかるのに、不確定要素までそこに持ち込めば、この戦いが終わるのはいつになるのだろう?

 

「火力も、機動力も、耐久力も、戦闘経験も、何もかもが足りない……」

 

 ぽろりと、一筋の涙が雪華の頬を伝った。一度流れ始めてしまったそれを即座に止める手段を、今の彼女は持ち合わせていない。

 

「ぐっ、うっ、ぐすっ、うぅ…………」

 

 ただの女子高生として過ごしていた日々から、突然戦いの日々へと放り込まれた。大人に守られる生活から、自分で自分の命を繋いでいかないといけない生活へと切り替わった。

 そのために、心から大切に思っていた友とさえ、別れることを決めた……。

 

 空元気でなんとか保たれていた雪華の精神。

 眠るだけでは癒せない。どこかで、誰かに吐き出さないと耐えられない。そんな深いところにあった心の澱みを吐き出そうと、雪華は涙を流し続ける。

 

 しかしそれは彼女の都合だ。何者かによって構築されたシステムによって動かされているこの空間に、涙を流す少女をわざわざ待ってやる道理もない。

 

「4、3、2、1……プログラム開始」

 

 51回目の理不尽が、()()()()()()()()()、動き始める。

 

 

※※※※※

 

 

「第2000回のプログラムを終了。被験者訓練用素体死亡。蘇生措置後、900秒のインターバルを挟み、第2001回のプログラムを開始します」

 

 1000度に1度の大休止。与えられた15分の中で、雪華は思索に耽っていた。床に倒れ込むことで、この空間の空がよく見える。空と言っても何もない。白一色の無機質な世界は、ひどく不気味に感じる。

 

「ボクは、何のために戦っていたんだっけ……」

 

 それは疑問。果てしない回数の争いを経て、最初は荒れていた彼女の心はとうに凪いでいる。

 

「そうだ、生き残るため。良いように使われないため。そして……得た強さで、自分の大事な人たちを守るため」

 

 思い起こされるのは友への手紙。『強くなったら帰る』と豪語したは良いものの、今の彼女はこの体たらく。命の懸かっていない強化プログラムに幾度となく敗北し続けている。

 何が『思ったより早く帰れるかも』だ。雪華の強さは、目の前の乗り越えるべき壁に全く通用していない。

 

「……ボクは」

 

 思い起こされるのは親友との約束。【オルクス大迷宮】入口の町ホルアドに赴く前の晩。王城のバルコニーで彼と交わした会話。

 

『ハジメ。ボク、どこかのタイミングでクラスメイトから離れようと思ってるんだ』

『えっ、どうしたの突然……いや、なんとなくわかるかも』

『やっぱり?』

 

 普通に考えたら突拍子もないような提案を、ハジメは一瞬で理解してみせた。親友の考え、ましてや彼女に迫る危険にすら関わるような内容だ。一番長く隣にいた彼がその思いを汲み取るなど造作も無いことだ。

 

『ボクの力は確実にこの世界じゃあ異端でしょう?司教たちの目を見て、思ったんだ……。ボクにはあいつらを助ける気も、利用される気も、さらさら無いんだって』

『僕も同意だ。セツが教会の傀儡にされるだなんて……到底受け入れられないよ』

 

 風向きが変わったのは、この直後。

 

『だからボクは、一人で旅に出るよ。誰にも負けないくらい、誰にも使われないくらいになれたらみんなのところに帰ってくる。だからハジメ……()()()()()()()()()

『…………うん、わかった』

『…………ありがと。絶対、強くなって帰ってくるから』

 

 雪華は間違えていた。彼の言葉が出るまでの間を、都合の良いように解釈していた。

 

「ハジメを、見下してた」

 

 雪華は彼を頼らなかった。親友の気持ちをを考えずに、それが最善だと思い込んで、彼を()()()()として見ていた。

 

「ああ……ボクって甘ちゃんで、考えなしで、自信過剰で……最低、だな。光輝のこと、笑えないじゃん」

 

 彼女の頬をまた、一筋の涙が伝う。死亡判定が下るたびに再構築される身体には、傷跡や涙の跡は残らない。しかし同じところを幾度となく流れる彼女の涙は、先ほどのそれと同じようにも見えた。

 

 だが、その涙に込められた意味は全くもって違う。さっきの涙は、苦しみの涙。今流しているのは……後悔と、決意の涙。

 

「強くなろう。ここを抜け出すのには何回かかってもいい。強くなろう。戦いを蓄積して、糧として、そして自分を最適化しよう」

 

 今後立ちはだかる敵が全員サキエルとシャムシエルな訳が無い。パターン暗記の最短ルートで勝っても、その勝利に意義は存在しない。

 

「強くならないと……変わらないと。このままじゃあ、ハジメに向けられる顔がない」

 

 熱く、赤く輝いていた彼女の瞳に、暖かく、蒼い炎が宿った。

 

 

※※※※※

 

 

「第86417回のプログラムを終了。被験者訓練用素体死亡。蘇生措置後、15秒のインターバルを挟み、第86418回のプログラムを開始します」

 

 15秒の休憩は、精神統一の時間。

 戦闘により激しく回転していた脳みそを冷やし、次なる戦いに備える時間。

 

 雪華は両の手を開いては閉じる。イメージするのは、先ほどの自分。余裕を持って()()()()()下したのは良いものの、それまでの消耗のせいかシャムシエルの鞭に捉えられ、握りつぶされた戦いの一部始終。

 

「……………」

 

 『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そう考え、実行し始めたのは何回目の試行だっただろうか。最初こそ苦戦を強いられたが、身体の扱い方に習熟し、出力も上がった今では時折サキエルを沈めるにまで至っている。

 

「……………勝てる」

 

 インターバルで口を開いたのは……本当に、いつぶりだろうか?

 途中までは、決断こそしたとて彼女もまだ年若い少女。泣き言や諦めの文句も飛び出すことがあった。だがいつしかそれらも鳴りを潜め、そこにあるのは彼女の鼓動の音のみであった。

 今から始まるのは最後の一戦か、はたまた長い道のりの道中なのか。未だ誰にも結末は見えていないが、無機質な音声はやはり同じように鳴り響く。

 

「4、3、2、1……プログラム開始」

「A.T.フィールド、展開」

 

 86418回目の戦いの火蓋が切って落とされる。どう動いても初撃は結局不可視の光線、それに鞭。避けねば大ダメージを受けるであろうその二つを……雪華は一枚のみのA.T.フィールドで受け流した。

 

 今度は、割れなかった。

 

 衝撃波が走り、兵装ビルがぐらぐらと揺れる。しかし衝撃の中心にいた彼女はそれを意に介することもなく、次の行動を開始した。

 

「シッ!!!!!」

 

 サキエルの上空に、雪華は瞬間的に移動した。厳密に言えばそれは瞬間の出来事ではない。あまりの速度に、それが一瞬のことに見えただけだ。

 彼女の移動に、2体の使徒が対応する前に。雪華は紫色に輝く腕(サキエルの能力)を、サキエルの頭部に叩き込んだ。

 

 血が噴き出す。傷口のすぐそばにいた雪華はその返り血を直接受けることとなった。が、そんなことはどうでもいい。次の行動に移るだけだ。

 背後まで迫っていたシャムシエルの鞭を最低限の動作でかわし、そのままサキエルのコアへと突撃する。が、その攻撃は命中しない。弱点を守るA.T.フィールドが致命の一撃を許さない。

 

「中和ァ!!!」

 

 堅牢なはずのその壁は、瞬く間に浸食された。シャムシエルの次の一撃が来る前に雪華はそれを破り切り、コアへと重たい一撃を叩き込んだ。

 パキ、と石やガラスが割れるかのような音が響く。自らの中心に甚大なダメージを受けたサキエルは、活動停止までは至らずともその動きを一度止めた。

 

「コード05、シャムシエル!!!」

 

 サキエルが動きを止め、シャムシエルが次の一撃の準備をしているその時間。

 一瞬生まれた隙に繰り出す彼女の次の一手。それはシャムシエルに最適化された形態への変化。

 閃光に包まれ、彼女の様相が変化していく。

 

 プラグスーツの上、腕や足に展開されていた黒い外骨格はどこかへと消える。代わりに彼女が身につけていたのは、赤いパーカー。フードに付いた目玉を思わせる模様は、かわいらしさすら覚える。

 しかしコアを取り囲むように胸の周りに展開された白い骨と、手から伸びて上下に揺れる光の鞭はこの形態もまた戦闘に最適化された姿なのだということを教えてくれた。

 

 形態変化。その隙を使徒が見逃してくれるはずはない。落ち着く暇すら与えずに、雪華に鞭が殺到した。

 彼女はさっと上に上昇することで攻撃を避け、そして伸び切った鞭、その付け根に自らもまた光の鞭を叩き込んだ。

 

「ギャアアアアアア!!!!!」

 

 人のものとは思えない悲鳴が上がった。シャムシエルのものだ。攻撃に使ったはずの鞭を叩き切られ、その痛みに彼は大きな隙を晒すこととなる。

 

「吹っ飛べぇ!!!!!」

 

 その隙を逃す雪華ではない。シャムシエルの身体に振り下ろした勢いのまま鞭を絡みつけると、その巨体を遥か遠くへと投げ飛ばした。

 激しい崩壊音を立てながら道中の兵装ビル群が壊されていくが、それを意に介するものはこの空間にはいない。どうせ次の回には生え直している。次の回があるのならば、だが。

 

「仕上げだよ」

 

 一時的にでも厄介な敵を追い払ったならば、今は彼女を邪魔する者は誰一人いない。すぐさま地面に倒れるサキエルの元へと向かうと、その壊れ掛けのコアに輝く鞭を刺突した。

 なけなしのA.T.フィールドがなんとか攻撃を阻もうとし、激突時に大きな音を立てるもそれも長くは持たない。1秒ほどの鍔迫り合いののちに壁は破壊され、コアを完全に潰されたサキエルはその場で沈黙した。

 

「…………」

 

 さて、残るは遠くへと飛ばしたシャムシエルのみだ。なんとか起き上がり、のそのそと戻ってこようとしているがそれを待ってやる道理もない。彼女は倒れ伏す巨体へとすぐさま近寄った。

 2本の鞭が、シャムシエルの身体へと襲いかかる。だが彼はすんでのところでそれを受け止めることに成功した。

 

 だが、それが何になる?

 一本一本の出力こそ、純粋な使徒ではない雪華ではなく本物の使徒として構築されたシャムシエルに軍配が上がる。

 ただ彼は、すでにその一本を失っていて、雪華は全力の鞭を2本同時に繰り出している。

 

 受け止め切れるはずがない。一瞬の拮抗ののち、彼の残っていたもう一本の鞭は中央から切断された。

 そうなってしまえば、コアへと迫る脅威を止めるものはない。2本の鞭が、的確に彼の中心を抉り取る。

 

 シャムシエルはこの瞬間、完全に停止した。

 

 

※※※※※

 

 

「ピーッ───────プログラムにおける討伐対象2体の行動停止を確認。被験者の適合率、98.73%まで上昇。以上で適合率上昇プログラムを終了します」

「…………はっ…………はっ……」

 

 死体とビルが何かの音とともにその場から消失し、代わりに無機質な音声が響き渡る。

 

「はっ…………はぁ〜………」

 

 奥底から吐き出すかのような深い呼吸と共に雪華はその場に尻餅をついた。

 勝ったのだ、あれらに。幾度かの挫折と決意を経て、この戦いを終わらせたのだ。

 

「120秒後に被験者をログアウトします。お疲れ様でした。繰り返します───────」

 

 いまいち実感が湧かないが……自分は、強くなれたのだろうか?

 雪華はその場で自問自答する。

 

 戦闘時の有効なA.T.フィールドの使い方。各攻撃手段の適切な扱いとその火力。

 得られた知識はたくさんある。そして。

 

"適合率上昇プログラムの完了を確認"

"A.T.フィールド強度の40%到達を確認"

"第五使徒ラミエル、第六の使徒の能力がアンロックされました"

 

 新たな、力……。

 雪華は何故か手元にあったステータスプレートを改めて見直す。

 

 

 

==========================

 

柚希雪華 16歳 女 適合率:98.73%

 

天職:使徒

 

状態:シャムシエル

 

強度:43.26%

 

因子:覚醒

 

技能:学習能力・変幻自在[+]・言語理解

 

==========================

 

 

 これが実戦でどう役立つのかは、この真っ白な空間での戦いしか経験していない雪華には分からない。ただ一つだけ言えるのは。

 

 彼女の目指すところが、少しだけ明確になったということ。

 

 120秒が経過し、彼女はほんのちょっぴりだけ満足感を抱きながらその場から掻き消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───────頑張ってたなぁ」

 

 彼女が消え、代わりにそこに立つは神の一柱。彼女とよく似た顔立ちと、髪から服まで真っ白なその装いは()()()()()()()()()()()よく目立っている。

 

「そうか、まだ気づいてないのか、あれには」

 

 くすくすと笑うそれからは、うまく感情が読み取れない。

 

「でも気づかなくてよかったかもね?」

 

 それは、その神は。

 彼女に力を、与えるモノ。

 

「今気づいてもきっと、メンタルプログラム(こころ)が壊れちゃってただろうし」

 

 やはりそれは、その場で笑い続けていた。誰もその言葉なぞ聞く者がいない、その空間で、いつまでも。




雪華の瞳の色について
①元々はスカイブルー
②使徒の能力に覚醒後、各使徒の形態に変化していた際はまだ適合率が低く、使徒の能力に振り回されていたためコアに近い赤色に
③適合率が徐々に上がり、制御する術を得たので元の色になった
って感じです



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