クスリ、ダメ絶対。(ライオットブラッドは合法です)
ライオットブラッドって何…?にんじんセリ科だからよく分からない…。

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合法堕ちした友人の話

突然だが皆さんはライオットブラッドというエナジードリンクを知っているだろうか?

これと比べれば他のエナジードリンクはただのジュースだとかカフェインは規定量なはずなのにキマりにキマるだとかライオットブラッドには暴徒の魂が入っているだとか幹部がカルト宗教のごとき白覆面だとか。

そんな有象無象の噂に彩られたライオットブラッドだが一番よく言われている噂と言えばやはりこれだろう。

「合法堕ち」

一日に本場のアメリカ産だと3本、少し効果の落ちる日本産だと4本飲むと合法堕ちといってライオットブラッド無しではいられなくなってしまうらしい。それを聞いた時私は鼻で笑った。いやエナドリでそんなオカルト、もしくは麻薬みたいな事あるわけないでしょうと。しかしそれを信じざるを得ない事が起こった。私の友人が合法堕ちしたのだ。

その友人を仮にHくんとしよう。彼は私の中学からの友人で少し後ろ向きな所はあるものの至って普通の青年だった。しかし1年前に彼は成績を上げるように親から言われ徹夜で頑張ろうとライオットブラッドを飲むようになってから少しずつ変わってしまった。

最初は前より明るくなったかな?というくらいだったのだ。聞けば最近新しいエナドリを飲むようになったおかげで徹夜が辛くなくなって勉強がはかどるようになったという。確かに彼の成績は上がっていたので明るくなったのはそれが理由だと思っていたしエナドリが彼を変えてるなんて思ってもみなかった。

しかし彼と遊んだり勉強会をするたびにライオットブラッドを飲む率が増えだして私は違和感を覚えた。ライオットブラッドを飲むまでは彼はどちらかというとお茶などの甘くない飲み物を好んでいたからだ。ましてやエナドリを清涼飲料のようになど飲んではいない。

驚いた私が注意してみたが彼は聞く耳を持ってくれなかった。

「Hくん、あまりカフェインの摂りすぎはよくないよ?」

「大丈夫だよ、コーヒーよりカフェイン少ないらしいし。」

しばらくすると彼は奇妙な飲み方をするようになった。違う種類のライオットブラッドを混ぜてみたりスポーツドリンクと一緒に飲んでみたり…そうすると効果が上がるのだと彼は言っていたが私には意味が分からなかった。何か変てこな儀式のようにすら思えた。

ライオットブラッドを飲む事を続けている内に彼の後ろ向きな所はすっかり消え去っていた。むしろ無謀な事を好むようになってまるで別人になったみたいに思えた。

そして、あの日が訪れる。

あの日私と彼は定期試験が終わったお祝いにファミレスに来ていた。おもいおもいの物を頼むうちによく確認していなかったのか彼の苦手なエビの入ったグラタンが彼の所に運ばれてきた。

「あっエビ入ってるなら私が…」

「いや食べれるからいいよ」

彼は私の言葉を遮ってエビを食べた。

「えっ、Hくんエビ食べられるようになったの?」

「うん、このライオットブラッドクォンタムのおかげでね。やっぱりライオットブラッドはすご…」

彼が青い缶を鞄から取り出したのを見て私は思わず机を叩いた。

「なんなのライオットブラッド、ライオットブラッドって!!おかしいよHくん!!もう嫌!!」

そのまま私は勢いのままにファミレスを飛び出してしまった。家に戻っても布団に閉じこもって彼に謝る事は無かった。

次の日、彼に謝ろうと目の前に立った時既に彼は完全に変わってしまっていた。

「気にしないで!僕は気にしてないから!」

そう言いながら彼は一言ごとにライオットブラッドを飲んでいた。それだけではない。持ってきた弁当の米はライオットブラッドで炊いたもの、水筒の中にもライオットブラッド。他の人がいくら注意しても変えようとはしなかった。きっと彼はあのあとライオットブラッドを飲んだんだろう。それで合法堕ちしてしまったのだ。

あの時すぐ謝りに行っていたら彼は合法堕ちはしなかったのか、それともいずれああなっていたのかは分からない。それでもあの時に謝っておけばよかったなと思う私の隣で彼はいつも通りライオットブラッドを飲んでいる。


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