平和の象徴オールマイト、彼の到着により雄英高校への襲撃という事態は収束に向かった。教師二人が重傷を負うものの後遺症もなく復帰できるとの診断が出たが、生徒二人。特に一人に関しては脳無と呼ばれたヴィランに足を掴まれ叩きつけられた事で掴まれた足や叩きつけられた際に肋骨や腕の骨が折れるという重傷を負ったものの、こちらも命に別状はなく後遺症もないだろうとの診断が出た。
その事を聞いたクラスメイト達は安堵した、彼と付き合いのある者達は特にと言っていいだろう。診断では彼の筋肉の密度と骨の密度に助けられたとのこと、もしそれが無ければ後遺症を患う事になるか最悪命が無かったという。しかしその事を警察である
だが親に関してはそうはいかない、彼の親に連絡を取り事情を説明、その日のうちに両親共に雄英高校に招き根津校長と共に頭を下げるが息子が無事ならそれでいいと。母親がヒーロー免許を持っているために遅かれ早かれこういった事態になるとは予測していたと言う。そしてこういった事態で生き残れたのなら強くなる。と若干のスパルタ教育を見せつけられるが、それでも何か謝罪として受け取ってくれと根津校長が言えば。
「ふっ、こういった時は貸しにしておく。あの時と同じようにね」
「HAHAHAHA!参ったよ、降参だ。僕に出来る範囲ならやらせてもらうと誓おう」
根津校長の発言に塚内警部は驚く。彼は個性が発現した動物というとても珍しいケースでありそのせいで過去に人間たちに酷い目に合わせられたという。そんな彼がライオンの様な見た目をしているが人間に弱みを握らせると言っているのだ。その事を心配し聞いてみるが。
「あぁ、問題ないよ。獣王くんのところには被服控除や色々な面で便宜を図ってもらっているし、彼ら
「根津殿、動獣家は私の旧姓です。今は回精ですよ」
「細かい事は気にしない!それに、その動獣家の血を引いているからこそ獣狼君はヒーローを目指したのだろう?」
「失礼、すみませんが動獣家とは・・・?」
「そうか、もう知らない警察官が居ても不思議ではないね。話しても問題ないかい?」
「えぇ、問題ありません。寧ろ忘れ去られない為にも語り継がなければならない。そう、私もあの時は───」
「さて!獣王くんがこうなったら長い!僕が伝えてあげよう!!」
そして語られるのは個性によって作られた超人社会の未だ浅い歴史の闇。個性婚、個性は基本的に両親から引き継がれる。つまり両親が強力な個性ならば産まれてくる子供はより強力な個性を持った者になる、という倫理的に欠如されたモノ。そこには所謂弱い個性の持ち主たちには今でいう無個性並みに当たりが酷かった時代。だからと言って強力であれば酷くなかったかと言われればそれも否である。
何故なら社会は個性持ちが増えたとしても倫理観は
そして彼ら動獣家はその偏見と個性婚の犠牲者だ。彼ら一家は第一世代が動物系の異形型であり基本的に家系内の者は動物系の異形型の個性を引きついだ。その為に街中では動物や害獣に家畜等と蔑まれ、その優れた身体能力を目当てに個性婚の縁談が多数やってくる。中には動獣家を犯罪者に仕立て上げ、社会的地位を失わせた後個性婚に持ち込もうとする者や動物だからと人権を無視した行為が行われようとした。しかし当時の警察では何の力にもならない。
その為、彼らは悪意に敏感であり全員が人間を大きく上回る身体能力と動物としての能力で様々な悪意に立ち向かった。その影響か彼らは全員が誰かを助ける、悪意を見過ごせない心を持っており、「動獣家の人間を疑うよりも動獣家の人間が疑う者を疑え」と一部で言われるほどに功績を上げて行った。
「これが動獣家さ、正直僕も聞いた時には信じていなかったよ。でも調べれば当時の逸話がどんどん出てくる始末、そっくりだろう?人間に振り回されて、でも正義の為に動いている」
「・・・よく、悪に染まりませんでしたね・・・」
「当然です、動獣家は悪意に敏感と言いましたが、正確には悪意が嫌いなのです。嫌いな方に行きたくはないでしょう?それに動物故に仲間意識も強く、しかしだからと言って人間を辞めているわけでもない。故に悪意に晒される者達には動獣家は個人差で程度は変わるものの手を差し伸べる」
「・・・なるほど、確かに忘れてはいけない事のようだ」
「警察の方にも動獣家の家系の者がいたはずだったのだがなぁ。確か・・・猫に犬、ゴリラもいたか?」
その言葉に塚内警部は部下の一人を思い出す、確かに彼は人の悪意を見逃さない優秀な警察官だ。そして犬となれば保須警察署の署長が該当する、前に見たときに
「そろそろ獣狼ちゃんが気になってきたし、会いに行ってもいいかしら~?」
「あぁ!構わないのさ!獣狼くんが寝ている保健室に案内しよう!」
「では私もそろそろ今回の件で纏めるべき事がありますのでこの辺りで失礼させていただきます」
「うむ!では私も「あなた、お仕事大丈夫なの?」はい戻ります・・・」
先ほどまでに凛々しかった百獣の王が一瞬でよく躾けられた家猫に成り下がったのには流石の根津校長も塚内警部も驚きを隠せなかった。
─────
根津校長に案内してもらい、帰りには呼ぶという事で一旦戻ってもらい保健室のリカバリーガールは金髪のガリガリと一緒に退出。丁度いいとベッドで寝ている獣狼の中に居る者達に呼び掛ける。
「出て来なさい、あなた達は起きているんでしょう?」
<ばれたー><獣狼のお母さん凄いー><なんでわかったのー?>
「当り前じゃない、あなた達精霊は眠らない。活動を休止することはあってもね」
<知ってたのかー><なら仕方ないねー><それでご用件はー?>
「あなた達、獣狼ちゃんの中で
<何とはー?><てんで分からぬー><無罪を主張するー>
「・・・そう、しらを切るのね。でも覚えておきなさい、あなた達は物理的に殺せなくても、同一存在からなら消せるってことを」
<きゃー怖いー><我らは獣狼の味方ー><損になる事はしておりませぬー>
「・・・わかったわ、今はその回答で勘弁してあげる」
感情の高ぶりを感知したのか私の精霊───
獣狼ちゃんの精霊、彼らは
前に獣狼ちゃんに聞いたがエネルギーの備蓄の為、と言っていた。なるほど、確かに対価を求める事も出来なくはない。だがそれにしても多すぎるのだ。結局のところ本人が得るはずのエネルギーを精霊に渡してそれを精霊が返す、これだけならそこまで高頻度に対価を受け取る必要もない。自分たちの維持のため?精霊は私たちに宿っている間は宿り主のエネルギーを貰い維持をするためのエネルギーを補充する。
つまり、彼らは獣狼ちゃんの中で何かを行い失ったエネルギーを補充するために対価と称して補給しているのだ。
(獣狼ちゃんの身に何も起きなければいいのだけれど)
<だいじょうぶー?><かんしするー?><おまかせー?>
(大丈夫よ、あなた達がいなくなったら寂しいわ)
<えへへー><ぼくたちもー><はなれるのさみしー>
私たち回精家にとって精霊とは言わばもう一つの家族、獣狼ちゃんの精霊も宿主の事を家族と思っているだろう。しかしそれでも不安は拭えない中、夕暮れを眺めつつ家へと帰るのであった。
その日の夜、獣狼ちゃんが目を覚ましたけど遅い時間なので教員が送ってくれるそう。しかしその教員がうるさかったのか獣狼ちゃんがぐったりしていた為に、たまにはお風呂に入れてあげようとしたところ元気よく動き出したので良しとする。
えぇ、私はもう止まりません。止まった覚えがあんまりないですが。
という事で独自設定祭りです。個性婚って第二世代から第三世代でありましたが、第二世代から第三世代だとまだ異形型の偏見も残っているのでは?という事でこうしました。ちなみに動獣家の扱いはヴィジランテです、当時は警察がほぼ機能していなかったので丁度いいという事で見逃されてた。そういう感じですね。