第二十一話:束の間の休息と学校行事
USJ襲撃から次の日、怪我は精霊たちの持っていたエネルギーで足りた為に完治した。・・・流石に、老婆───リカバリーガール、保険医で珍しい回復系の個性持ち───に怪我の部位をキスされるとは思わなかったけど。完治したことをチャットアプリでクラスのみんなに知らせれば叩きつけられた現場を見たのだろう、梅雨ちゃんに峰田くん、緑谷くんがすぐさま反応してくれて他にもクラスメイト達がみんな心配するメッセージが届いた。予想通り爆豪くんは無かったが、轟くんからも来たのには驚いた。
そして現在、今の俺はスイーツバイキングに快心さんと共に来ていた。USJ襲撃で怪我をした事がクラスメイト経由で伝わったらしい、妖目は通話で済んだが快心さんは心配だからと付いてきてしまった。・・・俺の方が戦闘力あるんだけどなぁ・・・。
「それにしても意外だな、獣狼くんがスイーツバイキングだなんて」
「そう?割と、子供、舌、だよ?」
「ううん、どっちかっていうと焼肉とかの食べ放題に行きそうだったから」
「あぁ、そう、言えば、話して、無かった、ね」
思い出して個性の話をする。獣人ではあるがお母さんの精霊の個性も混じっており普通じゃ見えないが精霊たちの為に甘いものを食べに来た。するとあんまりにも突拍子もない事だったので快心さんがポカンととぼけた顔をしている。なので。
「ほら、胸の、ところ。赤い、模様。あるでしょ?」
「わわわ!獣狼くん人前で胸を見せちゃダメだって!」
「・・・俺、男、だけど・・・」
「あっ・・・ごめんなさい・・・」
快心さんは俺をなんだと思っているのだろうか・・・。とりあえず胸の丸まったキツネの様な模様を見せる。
「へぇー、可愛い模様だね」
「うん、それで、出てきて、いいよ」
「わっ、消えた・・・」
〈久々の外出だー〉〈中もいいけど外もいいー〉〈でも触れないのは少し寂しいー〉
精霊たちが現れて騒ぎ出す、しかし快心さんはそれに気づかない。
「さっきの、模様が、精霊、の居る、証」
「ほぇー・・・、こうも見せられたら信じるしかないかも・・・」
〈あ、快心だー〉〈獣狼にあーんさせたー〉〈お姉ちゃん呼びもさせてたー〉
「・・・快心、さん。精霊、たちが、俺に、あーん、させた、って。お姉、ちゃん、呼びも、させた、って」
「・・・誤解なんです。獣狼くんが疲れてるから食べさせてあげようとしただけなんです」
「・・・お姉、ちゃん、と、呼ばせた、のは?」
「・・・ごめんさない・・・」
顔が引きつる、まさか同級生にそんな事をさせられて居たなんて・・・!
「・・・もう、次は、無いから、ね?」
「はい・・・ごめんなさい・・・」
「とり、あえず、食べよう?」
「うん・・・そうだね」
そして俺は精霊たちの赴くままにお菓子を集め、快心さんは控えめにお皿に盛る。・・・え?こっちも盛るの?ちょっと無秩序じゃ・・・?
(多すぎじゃない?お皿山盛りだよ?)
〈沢山食べるのー〉〈沢山味わいたいのー〉〈幸せなのー〉
(全く・・・また来るからちゃんと味わわないと)
〈また来れるのー?〉〈流石獣狼やでー〉〈太っちゃうよー〉
(君たちは太らないでしょ・・・)
「わぁ・・・獣狼くんいっぱいだねぇ・・・」
「うん、精霊、たちが、味わう、から」
「そうなんだ、ところで気になったんだけどさ」
「ん、なに?」
「精霊さんに名前とか付けてあげないの?」
「あ、」
忘れてた。しまったなぁ・・・。殆どみんなとしか聞かないから流してしまっていた・・・。
(みんな、忘れてて本当に申し訳ないんだけど名前とか決めよ?)
〈名前かー〉〈うーん〉〈どうしよー〉
(・・・こっちで決めよっか?)
〈いいかなー〉〈今まで困らなかったしー〉〈このままでもいいでしょー〉
(・・・そう?ならそうするけど)
「名前、いいって」
「え?そうなの?多分だけど個性が知性を持ってるのよね?なら名前があると嬉しいと思ったんだけど」
「本人、たちは、困ら、ない、から、いいって」
「へぇー・・・まぁ獣狼くんにしか聞けないなら困らないかもね」
「お母さん、も、見えるし、話せる、けどね。でも、お母さん、も、名前、無かった」
「じゃあ精霊さんって名前に無頓着なのかもね」
快心さんの言葉にそっか、と返し
そうして時間いっぱいまで精霊たちはお菓子を楽しんだ。・・・この時に脂質や糖質、カロリーなどと言った栄養素の全てが精霊たちに行くと快心さんにばれ、帰りの電車は好きに遊ばれた。女子にこの手の話題がバレると本格的に不味いと思い知り、バレない様にしなければと決心するものの、これがフラグだったのだろう。
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次の日、教室に着くと。
「回精ちゃん、もう動いて平気なのかしら?」
「そうだぞ回精!お前あのでっかいヴィランに叩きつけられたろ!大丈夫なのかよぉ!」
「何度もお世話になってる僕が言うのもなんだけど骨折一つでかなり体力が持ってかれるんだよ?無理をしないで一日くらい・・・」
「うん、大丈、夫。異形、型で、丈夫な、個性、だからね」
あの時水難エリアに居た3人組に心配されるものの個性のお陰で大丈夫で通す、実際大丈夫だから仕方がない。他のクラスメイトも気にはしていたが本人が問題ないという事で次第にあの事件についての話になる。そんな事があったんだーと適当に聞いていると時間になったのか、飯田くんが態々立ち上がり席に着くように教壇で言うが。
「いや席についてないのお前だけだろ」
という正確な一撃にまた空回りしたんだと思っていると、扉が開く音と共に口元と目元以外包帯ぐるぐる巻きの相澤先生がやってきた。クラスが驚愕で声を上げている中相澤先生は教壇に立つ。
「俺の安否はどうでもいい、が。回精、幾ら頑丈とは言え勢いで行動をするな、警告したお前が無策で突っ込むんじゃない。だがお前の行動で救われた者もいる、次は考えて行動しろ、そうすれば無駄な怪我は減る」
「っ!はいっ」
「よろしい、そしてまだ戦いが終わっていねぇ・・・」
相澤先生の言う通りだ、あの時は誰かが死ぬかもしれないという状況で頭が一杯で動くだけだったから。もっと考える力をつけなければ・・・。しかし相澤先生の続けた言葉でクラスに緊張が走る、中にはまたもヴィランがと心配するものもいたが。
「雄英高校体育祭が始まる」
「「「「クソ学校っぽいのきたぁあああああああ!!」」」」
あまりの声量に耳を塞ぐ。・・・ちょっとキーンとしてる。ヴィランの襲撃があった為に中止した方が良いのではないかという質問に、相澤先生が逆に開催することで守りは万全だと言うアピールと今日本で屈指のイベントを中止にするわけにはいかない。そしてこれはプロヒーローにアピールするチャンスである、ヒーローになる気があるなら準備は怠るな。とホームルームを締めくくった。
昼休み、麗日さんのキャラと顔付きが凄いことになっていたが、昨日スイーツバイキングでエネルギーを補充したものの足りなかったために既に食堂に来てカレーライス大盛りと付け合わせにステーキを注文し席に着く。食べ終わった頃には麗日さんと飯田くんも来ていたが運悪く近くの席が空いてなかったために軽く挨拶を交わしそのまま教室へ戻る。そして放課後に事件が発生した。
「・・・すっごい、来てるね」
「そうだね・・・回精って放課後時間とか平気な感じか?」
「大丈、夫、だけど、どうして?」
「いやな、同じ尻尾を持つ者同士で訓練すればお互いに見直せるものもあるんじゃないかって」
「いいね、俺も、組手の、相手が、欲し、かった」
「・・・骨、折らないでくれよ?」
「・・・うん、多分・・・きっと」
「そこは断言して欲しかったなぁ・・・」
そうして俺と尾白くんはペアを組み市街地の屋根などの足場が悪い場所での移動を俺が、対人戦などの練習は尾白くんが。お互いにいいところとダメなところを指摘しあい何とか体育祭までに俺は手加減を、尾白くんは足場が悪い場所や空中での体の動かし方を覚えて行った。・・・ゴメン、ちょっと間違えたりして青あざ作っちゃった・・・。でも格闘技をやっていればよくある事と流してくれて嬉しかった。
書いていて思ったけど、獣狼ってキツネってより何かこう、犬っぽい様な・・・。懐いた相手にちょくちょく絡みに行く感じが。
そろそろ設定辺り更新しようと思います。でも体育祭書くの楽しみだったりするのでモヤモヤ。