控室にて尾白くんと出来る範囲でお互いの体を解す。・・・尾白くんは尻尾が、俺は体重的に一部の体を解す運動が出来ない。芦戸さんが体操服に不満を漏らすものの、尾白くんはストレッチをしつつ公平にするためと説得。飯田くんが出入り口から入ってくる、そろそろ入場らしい。先ほどまで落ち着きのなかった人たちが緊張に包まれていく。
しかしそのタイミングで轟くんが緑谷くんに挑発も兼ねた宣戦布告をする。場が緊張に包まれ切島くんが轟くんを止めようとするも「仲良しごっこじゃない」と一蹴、しかし緑谷くんも自分は劣っているがヒーロー科だけじゃない他の科も本気で挑んでいる、全力で勝ちに行くと返した。・・・全力、か。場合によっては俺は血壊を使わなければならない。しかし流石に尾白くんを巻き込むわけにはいかず、相澤先生に聞いて何とか増強系用のサンドバックが耐えられる程度には収まった。でも行えたのは片手で足りるくらいの回数、それに練習の為にエネルギーを使いすぎた。気をつけなきゃと考えていると。
「大丈夫か?回精」
「!大丈夫、うん、だいじょぶ」
「あんな宣戦布告を目の当たりにしたのだ、飲まれるのも仕方なし。だがお前も体の内に獣を宿すもの、全力で食らいつくぞ」
鉄扇のお陰、と言えばいいのかある程度付き合いのある常闇くんに励まされる。そうだ、みんな全力なんだ。出し惜しみなんてしてらんない、それに久々の体育祭に参加できるんだ。
周りも移動を始めていたので俺も移動を始める。
『どうせお前らの注目はこいつらだろぉ!?敵の襲撃を鋼の精神で乗り越えた!1-A組の登場だぁぁぁぁぁ!!』
プレゼントマイク先生の会場を煽る声と共に入場する。・・・流石にA組の後の説明緩すぎない?あ、快心さんだ。向こうも気づいたのか手を振っているので手を振り返す。妖目も気づけば快心さんの近くに居て笑いながらこちらを指さす。後ろ?
「獣狼ゥ・・・テメェ・・・」
「女子に手ェ振って仲良しアピールですかァ・・・?」
うわぁ、なんかやばいのが居る。そそくさと飯田くんの近くに退避、分が悪いと判断したのか上鳴くんに峰田くんは舌打ちと共に諦める。・・・そういう態度が見られて女子にマイナス評価食らうのでは・・・?
「うわぁ、回精くん人気だね!」
「葉隠、さん。下手な、慰め、なら、いらない、よ」
「あのバカ二人に人気になったってしょーもないでしょ」
「でもよぉ、流石に羨ましいってところは理解できるから何とも言えねぇんだよなぁ」
「・・・砂藤、くん。女子の、人形、に、されれば、人気、モノだよ」
「・・・悪かった」
「・・・いいよ」
流石に人気の為にプライドを捨てきれないようだ。中央に集まり、18禁ヒーローのミッドナイト先生が現れる。そのお陰で例の二人の視線が離れた。・・・わかりやすいなぁ・・・。
「選手宣誓!1-A!爆豪 勝己!!」
「・・・せんせー、俺が一位になる」
一斉に1年生徒からブーイングの嵐が始まる。飯田くんも爆豪くんに抗議するが。
「せいぜい跳ねの良い踏み台になってくれ」
親指だけを立て、そのまま下に向ける。その行為に余計ヒートアップする生徒たち。・・・うん、多分1-Aは全員予想出来てたからなのか呆れややっぱりと言ったところが多い、他は快心さんと妖目と言った爆豪くんの性格を知っている人くらいか?
収まった辺りでミッドナイト先生は第一種目を発表する。内容は障害物競争、コースはこのスタジアムから出て外周を周りスタジアムに戻ってくるルート、しかしコースを守れば何をしてもいいという危ない競争。
そして時間が惜しいとばかりに位置につけと言う。・・・狭いな、こういうところはなぁ・・・。嫌な予感がしこっそり後ろに下がる。
『スタートォ!!』
『さぁて実況していくぜぇ!!っと早速A組轟!個性使って入口ごと他のリスナーたちを凍らせていくゥ!!』
『早いな、もう少し時間をかけていくと思っていたが』
実況を聴いてやっぱりかぁ、と予測通りだったと実感しつつ凍っている壁を蹴って飛びながらで凍っている前方集団を跳び越す。
『だがそこから抜け出すは同じくA組連中だ!!』
『まぁあの狭さだ。誰が何するかは予想もつく』
『同じ組のライバルだから何するかもわかるってかぁ!?激アツゥ!!』
『おい、良いから実況しろよ。先頭はもう第一障害に到着したぞ』
『おぉっとわりぃ!最初の障害物は入試のロボインフェルノォ!!』
実況の声を聴きつつ前方から冷気と共に誰かが個性を使う感覚がする。恐らく轟くんだ。どうやらもう突破したらしい、実況が生徒たちを煽るがぶっちゃけ相手するだけ無駄なんだよね。という事で巨大ロボが殴りかかってくる腕を避け登る。
『おぉう!A組爆豪!下がダメなら上ッてかぁ!?クレバー!!』
「悪いな回精!お前のルート使わせてもらうぞ!!」
「流石、尾白、くん!」
『おうおう!A組連中どんどん上を通過していくぞォ!?これ殆ど無視されてね!?』
『当たり前だ、障害物なんだから無視するに決まってるだろ』
尾白くんにルートを残さない様にあえて険しい道を行き巨大ロボを越えていくが。
「甘いぞ!回精!!」
飛ぶと同時に尻尾を
『おいおい!回精とA組尾白がロボインフェルノの上で追いかけっこしてんぜ?クレイジィー!!』
『ほう、尻尾を振り回した力で飛距離を伸ばしてやがる。大きな尻尾が空中移動の妨げになりやすかったが、それを逆に利用してやがる』
『見た目普通だがやってる事は達人じゃねぇか!!』
そして第一障害を突破したものの、尾白くんは大きく引き離す事は出来なかった。だがこのままいけば上位入りは確実、一気に進もう。
『先頭集団はえぇなマジで!!そんじゃまぁこれならどうよ!?ザ・フォォォォォルゥ!!』
「ここで、引き、離す!!」
「そう簡単に離されるか!!」
ロープに着地し飛び跳ねる中、後ろをちらりと見る。ロボインフェルノの場所ではそこそこ近くにはいたが、流石にここでは尾白くんが不利だ。
尾白くんはまだロープ自体に着地出来る程の経験がない、だから尻尾をロープに巻き付けロープが伸び切った状態から戻る反動を利用して跳んでいる。しかしロープに直接着地するよりも時間がかかってしまう為に徐々に引き離していく。
『綱渡りだってのにこいつらロープをトランポリンみてぇに飛び跳ねてるぞ!尾白に関してはなんだかもう、スゴ技だな!!』
『そこ実況しろよ、ロープに着地した際に大きく揺れる、特に尾白はまだロープに着地する技量が無いようだが大きな尻尾を器用に使っているな。一歩間違えればすぐさま谷底だが日頃から体を鍛え体軸と尻尾の精密さが十分にある尾白にしか出来ない芸当だ』
『うっは!マジかよストイックゥ!!って先頭の轟がもう抜けたァ!!続いて爆豪が空飛んで追いかけるゥ!!こう見ると爆豪ずっこいな!!』
『知るか、個性次第だ』
爆豪くんは予想していたが轟くんも早い!更にロープからロープへ、時には島に着地し次のロープへ跳ぶ。最短距離をつき進めたお陰で結構早く次に進めそうだ。
『早くも最終関門、その実態はぁぁ・・・、一面地雷原んん!!地雷の位置はよく見りゃ分かるから目と足酷使しろぉぉぉ!!!』
地雷原ってマジか、どうやってそんなもの用意したんだよ・・・。・・・あ、教師のセメントス先生とパワーローダー先生か。だが人工物を埋めた時点で俺に
『オイオイオイ!!回精ガンガン突っ走ってんぞぉ!?でも爆発してねぇ!!どうなってんだこりゃぁ!?』
『アイツの個性は見た目通り動物の力があるからな、キツネだって鼻は利く。恐らく地雷の臭いで判断してんだろ』
『ハウンドドッグと同じかよぉ!!だが回精が追い上げた影響で轟が地雷原を凍らせ、爆豪が速度を上げていくゥ!』
「おい、ついた!!」
「俺の前にィ!何時までも居るんじゃねェ!!」
「クッソ!」
『喜べマスメディア!!お前ら好みの良い展開だァ!!!さあさあさあ!後続もどんどん追い上げてきたぞォ!!』
『轟もなりふり構ってられないな、爆豪もだが回精も速い。一々地雷なんて確認してる余裕はないぞ』
『轟と爆豪!お互い妨害しながらも一位を譲らないィ!!そしてそのすぐ後を回精が虎視眈々と狙ってんぞォ!!キツネなのに虎かよォ!!』
『そこ関係ないだろ、まぁ有利なステージではあるが同時に不利でもあるからな。回精は』
『おん?ミイラマンどういう事だ?』
『少しは自分で考えろよ』
放送からこっちの弱点が露呈しそうになっている事に冷汗を流しつつも前の二人を追跡する。ここを抜けたらこっちの番だ。しかしそう考えている間に後ろから先ほどから聞こえていた爆発音より数段上の爆発音と衝撃、振り返れば巨大な煙が上がっておりその中から誰かが飛んでくる。アレは・・・!
『ヒュゥーッ!!A組緑谷ァ!ロボの装甲と地雷の爆発を利用して一気に猛追ィィ!!つぅーか抜いたァァ!!!』
「俺の前に出るんじゃねぇクソデクゥゥ!!」
『元先頭二人が争いをやめて一気に走り出したァ!!敵の敵は味方ァ!だが争いは終わらないィィィ!!』
『何言ってんだお前』
状況が変わる。後ろで諦観している場合じゃない、このままでは追い抜くことが出来る距離を越してしまう。
『おぉっと!争いをやめてすぐさま回精が先頭に向けて突っ走るゥ!!新たな火種が産まれる瞬間だァ!!』
『だから何言ってんだお前』
二人が緑谷くんを追い越す瞬間、緑谷くんが装甲のケーブルを両手で握るのが見えた。ヤバい、両耳を咄嗟に塞ぐ。そして緑谷くんが装甲を地面に叩きつけ、複数の地雷を起爆。その勢いで更に前に進みすぐ近くにいた二人は妨害され、俺は。
「ぐぉぉぉ、耳がぁ・・・」
『緑谷ァ!装甲を地面に叩きつけ妨害と同時に前に吹っ飛んでいくゥ!!ってか回精が耳抑えてんだけど大丈夫かァ!?』
『あれが不利の原因だ。耳が良いから爆発が近くで起きれば多少なりとも怯む』
『マジかよドンマイだな!緑谷が更に前に進み轟、爆豪両名がそれを猛追!!回精も今復帰したのか慌てて追いかけるゥ!!』
かなり離された!!急いで追いかけるがもう前方の三人はステージの入口に入って行った。
『雄英体育祭1年の部!序盤の展開から誰がこの大番狂わせを予想できたァ!?今、一番最初にステージに帰還した男、緑谷 出久の存在をォォォォォォォ!!!』
『続いて轟、爆豪、そして回精もゴォォォォォォォルゥゥッ!!』
クッソぉ・・・!一位を狙えたのに緑谷くんの妨害で出遅れてしまった・・・。・・・久々の一位以外、嬉しい、楽しい、面白い。そんな感情で一杯になり口角が吊り上がる、次は勝つぞ緑谷くん。
「ッ!!??」
「ヤッバ獣狼くんの獲物を前にした時の様な凄惨な笑みだよ中々無いレア表情」
「あははは・・・快心さん、少し落ち着こ?」
・・・緑谷くんが何か震えあがったが気のせいだろう。何も聞こえない何も聞こえない・・・。そして他の生徒たちが次々とゴールしていく中、割と早い段階で遠くに尾白くんを見つける。やっぱり上位入賞してきたか・・・。こちらに気づいた尾白くんが俺に向けて拳を突き出す、それに笑顔で返しこちらも拳を突き出す事で返す。あぁ、わかっている。お互いに悔いのないよう戦おう。
なお、その光景をミッドナイト先生に見られ。
轟は原作よりも早めに凍らせました。何気にこの手の競技では獣狼が有利なので警戒してます。
尾白は獣狼との付き合いで尻尾を使って飛び跳ねたりする次の段階、つまり尻尾を使って空中で勢いをつけ飛距離を伸ばす、空中の姿勢制御と言った具合に強化されましたね。・・・タグに原作キャラ強化付けとかなきゃ・・・。
回精が入った為青山くんは43位ですが、話の流れなのでご容赦ください。