『さァ次の試合も行くぜェ!リスナーたちィ!!』
『一回戦目では一方的に殴られながらも立ち続け、不利な状況を覆したクリムゾンビーストォ!』
『ヒーロー科ァ!回精 獣狼!!』
『対するは!一回戦目ではギリギリの接戦をし、お互い称えあうというスポーツマンシップを見せてくれたブラックビーストォ!』
『ヒーロー科ァ!常闇 踏影!!』
「全力、で行く、よ」
「あぁ、もとよりこちらもそのつもりだ」
『レディィィィ、ファァァァァァァイ!!』
「待ち構えろ!ダークシャドウ!!」
〈アイヨ!!〉
スタートと同時に常闇くんを中心に円を描くように回り込む、しかし相手は完全に待ちの姿勢。当然だ、こっちは圧倒的パワーにスピード、下手に懐に潜り込まれたら勝ち目が一切ない。
『回精早速動き出したァ!!しかしそれに対し常闇はダークシャドウを盾にその場から動かない!!』
『回精はダークシャドウをどう攻略するかが肝心な場面だな』
『おぉっと回精!突然真っ直ぐに常闇に突っ込んでくゥ!!』
「迎撃しろ!ダークシャドウ!!」
〈行カセネェ!〉
真正面からダークシャドウが両腕を広げ捕まえに来る。その光景に予想通りと笑い、そしてそのままダークシャドウの頭に跳び込み閉脚跳びの要領で頭を跳び越え、両足でダークシャドウの後頭部を蹴って常闇くんに一気に近づく。
『回精がダークシャドウの頭を跳び越えたァ!!ダークシャドウは腕を大きく空振りして更に後頭部を足場にされて一気に常闇に近づかれたぞォ!!』
「ちょっと、飛んで、もらう!」
「グっ!?ぉぉぉぉおお!!?」
『おぉっと回精、常闇の両腕を掴んだと思ったら思いっきり場外に向けて山なりに投げたァ!!』
「止め、ろ!ダークシャドウ!!」
〈止マレェ!〉
『しかし何とかダークシャドウがステージに爪を立てギリギリで持ちこたえたァ!!って回精はっぇえな!?もう追撃に来てんぞ!!』
血壊を使わなくたって移動速度は速い、そして山なりに投げればある程度の時間は稼げるしダークシャドウを対処に回さなくちゃいけなくなる。そして狙いは一番大事などうあがいても気が散漫になる瞬間。
『常闇が着地する瞬間に回精が追撃を仕掛けたァ!!ダークシャドウ間に合わない!!』
「ぐぁぁっ!!」
『回精の蹴りが常闇にヒットォ!!』
「常闇くん場外!勝者、回精くん!!」
「ごめん、最後、少し、力、入り、過ぎた」
「ぐぅ・・・問題ない、だがまさかああしてダークシャドウを越えられるとはな」
「うん、ダーク、シャドウ、は、強い。けど、攻撃、ワン、パターン」
「・・・なるほど、確かにその辺りは抜かっていた。感謝する、回精」
『回精!倒れた常闇の手を掴み起き上がらせながらの握手ゥ!!』
『常闇は懐に入られてからの動きがダメだったな、個性を鍛えるのも大事だが自身も鍛えておけよ』
「御意」
そして控室に戻りA組の席に戻る途中で常闇くんに声をかける。言っておかなければいけないと思ったからだ。
「常闇、くん」
「なんだ、回精」
「先に、謝る、ごめん」
「・・・どうしたんだ?」
俺は語る、緑谷くんの戦いで気付かされた覚悟の足りなさを。周りがヒーローになるために頑張っていたのに俺だけは体育祭を楽しむことを半分考えてしまっていた事。だから俺は怒られ殴られる事も覚悟している事を伝えた。それを聞いた常闇くんは腕を組み考える、そして。
「では、一発殴らせろ」
「うん、あでっ・・・?」
「このデコピンがお前に対する手打ちだ、良いか回精。確かに俺たちはヒーローになるために、ヒーローに見てもらう為にこの体育祭を行ってはいた。だがな、それでもこれは体育祭、学校行事だ。それを楽しむことを悪だとは俺は思わん」
「だがもしそれでも納得がいかないのならそうだな、お前の精霊について詳しく聞かせてくれ。俺以外のその手の個性は気になっていたんだ」
「・・・うん、なら、仕方、ないね。大会、終わって、からでも、いい?」
「あぁ、構わない」
『二回戦最終試合!飯田対爆豪、スタァァァァトォ!!』
「急ぐぞ、回精。もう試合が始まってしまった」
「うん!」
そしてA組の席に着き、お互い思い思いの場所に座る。飯田くんと爆豪くんがお互い高速で動きあって一瞬の交差でお互いに攻撃を加えている様だ。
「あ、お帰り回精くん。遅かったね」
「うん、ちょっと、話し、込んじゃ、って」
「そうなんだ、試合は今みたいに凄いスピードでお互いけん制しあってる感じだよ。それにしても凄い飯田くんの速度に追いつけるかっちゃんもだけど飯田くんも全然負けていない───」
「ありがと」
緑谷くんがぶつぶつ言い始めたので簡潔に感謝を述べて試合に集中する。でも緑谷くんの言う通り飯田くんが想像よりも速度を出しつつ曲がっている、かなり訓練したのだろう。でもさっきから徐々に爆豪くんの爆発音が大きくなっている、このままでは飯田くんがいずれ追いつかれるだろう。
「レシプロ、バーストォ!!」
『ここで飯田!超加速したァ!やけになったのかァ!?』
『よく見ろバカ』
『純粋にひでェ!・・・あァ!?爆豪が何時の間にか角に追い詰められてるゥ!?』
『幾ら飛べても今の飯田の速度は対処を間違えれば場外もありうるぞ』
「んなのォわかってるわァ!!」
爆豪くんは叫びながらも飯田くんの超スピードの蹴りを回避していく、だが。
「そ、こ、だぁぁぁぁぁぁ!!」
『飯田の蹴りが入ったぁぁぁぁ!』
『・・・違うな、爆豪め逆に誘い込んだな』
「やっと捕まえたぜェ、クソ眼鏡ェ!!」
「んな!?くっ!!」
『飯田の蹴りを爆豪が片腕で抱えて止めてるゥ!?飯田も負けじとエンジンの勢いで振りほどこうとするも爆豪は反対側の手で爆発を起こして力を相殺しているのかァ!?よく出来るなそんなこと!!』
『純粋に爆豪のセンスが良いからだな、一瞬でも力加減を間違えれば吹っ飛ばされるぞ』
「くっ、エンジンが・・・」
「てめェ、その使い方負担をかけてんだろ。だからそれが終わった今、しばらく走れねェ違うかァ?」
「・・・俺の負けだ・・・」
『飯田くんの棄権!爆豪くんの勝利です!!』
『爆豪その圧倒的センスと観察眼で相手を攻略しきったぞォ!!なんかもうスゲェな!!』
次の俺の相手は爆豪くん、一切油断の出来ない相手だ。寧ろ最初から全力の方が良いかもしれない。
(みんな、どのくらい時間は持ちそう?)
〈1分か2分かなぁー〉〈我らの事は気にせずにー〉〈獣狼のしたいようにー〉
(・・・ダメ、みんなが眠る事を引き換えにしたくはないかな。そうなると大体どのくらい?)
〈獣狼・・・アンタってやつはー〉〈・・・うん、よくて30秒ー〉〈悪ければ20秒くらいー?〉
(もしそれを越えたら?)
〈予想だとー〉〈獣狼がぶっ倒れるー〉〈でもそこまで酷くはないー?〉
(決まりだね、その辺りで行こう)
幾ら全力と言ってもみんなを犠牲にするほどではない、これが今の全力と言えば爆豪くんも分かってくれるだろう。マイク先生の二回戦目終了の知らせを聞きながら準備をする。流石にもう何かを飲んで戦えるほど相手は優しくはないし時間もないだろう、今できる事は十全に動けるように少しでも休むことだけだ。
さぁそろそろ準々決勝ですね。頑張って書いていきたいです。
物間くんの煽りで何か色々言われる覚悟をしていましたが、特に来ないという事は大体あっていた、と思っていいんですかね・・・?