前話で言い忘れていましたが、職場体験を5日間にしたのは上鳴がこの一週間、と言っていたので休み込みで考え平日の5日、そこから休みを2日と考えました。
二日目の夜、他のクラスメイトから連絡が来ていた。内容は職場体験で自分たちが何を教わったかについて、麗日さんや梅雨ちゃんと言った荒事の多い戦闘系は基本訓練が多くパトロールの時間は少なめ。逆に八百万さんや口田くんと言ったヒーローがメインだが、副業を行っているところはその副業を手伝いつつやはりパトロールの時間は少なめ。他にも災害救助がメインのところでは応急処置や災害時に役立つ知識と言った事を実践方式で教わっているそうだ。
こちらも依頼人に対しての接客や電話対応、パトロールと言ったヒーローとしての基礎が多い事を書き込むと、意外にも切島くんが反応。あちらもどうやら接客の為のお茶出しや普段の言葉使い等と言った接客に大事なところを教わりつつ、ヒーローとして地味でも大事な仕事を教わっているみたいで少しイメージと違って驚いた、でも任侠って事だしそういう事なのか?
飯田くんも何やらスマホを弄っている様なので今クラスのチャットに書き込みが無い緑谷くんと会話しているのかな。気が付くとクラスのチャットでは麗日さんがガンヘッドの言動が可愛いや、切島くんがフォースカインドが男気溢れてカッコいい、等々。なんやかんやみんな元気にしているようでホッとした辺りで緑谷くんから連絡が来た、なんでも壁を蹴って移動するコツを教えてくれとの事。何故そんな事を?と聞いてみるとやっと個性の制御が上手く行きそうと言う事でお祝いの意味もかねて壁を蹴る際の向きや力の加え方、まずは三角飛びで練習すると良いなどを教えた。
そういえば今保須に居る事を伝えていなかったと年末の集まりに時々現れるあの人に少し事務的だが今保須市に来てヒーローの職場体験に来ている事、もし会えたらその時また挨拶しますとメールを送る。運よくメールを見てくれたのか忙しいはずなのにすぐさまメールが来る、・・・メールでもその特徴的な語尾は変わらないんですね・・・。微妙な気持ちになりながらもメールで挨拶ありがとう、職業柄会わない事の方が良い事だ。と言う内容が送られてきて内心ゴメンナサイ、関わりそうです。と謝りつつも二日目を終えた。
三日目、今日は午前中を午後のパトロールに影響が出ない程度に訓練を行う。しかし訓練と言っても残っていたサイドキックのヒーローたちと市街地を想定した本格的な物、敷地内に空き地があるのでそこで人質を取られた場合。狭い場所での戦闘方法。と言った今ヒーロー基礎学で学んでいる一歩先、恐らくは二年で行われるであろう内容。しかも実際のヒーローが苦戦したり苦労した話も交えてなのでとても有意義な時間を過ごせた。
午後ではパトロールを、三日目も違うルートで行われているけれど重要で気の抜けない事とは言え少し退屈であると感じてしまう。恐らくあまり動けていないからストレスになっているのかもしれない、後で相談したほうがいいかな・・・。そう思っているとマニュアルさんから声をかけられた。
「二人とも少し休憩にしよう、午前中に動いちゃったのもあるしお昼を取ったとはいえ完全に休めたとは言えないからね。回精くん、お金は出すからそこのコンビニまで買いに行ってもらってもいいかな?飯田くんは何にする?」
「俺は・・・お茶で」
「じゃあ俺はミネラルウォーターで、はいこれで足りると思うよ」
「わかり、ました。行って、きます」
「頼んだよ」
コンビニでお茶とミネラルウォーターとフルーツ100%の飲料を手に取る。ちらりと外を見ればマニュアルさんと飯田くんが話しているようだ、まだ少し時間がかかりそうなので自分のお金でから揚げを買い足そう。そこから少し並びマニュアルさんからもらったお金で飲料を買った後会計を別にしたから揚げも自分のお金で買う。流石にこの服装で買いに来る人は珍しかったらしく困惑されたが外にマニュアルさんが居た事に気づいたからか怪しまれずに済んだ、外に出れば少し前に話は終わったのかこちらを待っていたようだ。
「ありがとう、回精くん。そのから揚げはどうしたんだい?」
「すい、ません。少し、小腹が・・・」
「そういえば君は見かけによらず沢山食べるからね・・・。ごめんね?あんまりお昼出せなくて」
「だいじょぶ、です。材料、は、買います、ので、場所を、借り、られれば。後、おつり、です」
「一日目も作ってたね・・・。おつりありがとう」
「いえ、飯田、くんも、これで、だいじょぶ?」
「あぁ、ありがとう回精くん」
「・・・マニュアル、さんと、何か、あったの?」
「・・・いや、なんでもない」
飯田くんがあまりいい感情ではない・・・恐らく復讐心に囚われている感じがする。マニュアルさんが止めようと話を切り出したのだろう、しかし飯田くんはまだ割り切れていないようだ。そして反応からするとマニュアルさんは俺が飯田くんが心配でついてきた事は言っていないようだ、多分だけど何かあった際のストッパーを期待しているのかもしれない。
そうしてまたパトロールに戻る、マニュアルさんが今回はパトロールの注意点について所々語ってくれる。会話やパトロールをしていく中で徐々にではあるが飯田くんの復讐心も抑えられてきているようで安心した。しかし夕方ごろに途中で再び休憩をしている最中にスマホを確認していたので俺も少し気になりスマホを確認すると緑谷くんから保須を通る事と飯田くんについて聞かれた。なので正直に飯田くんの近況を個人チャットで簡潔に教えたところで再びパトロールが始まった。
空が暗くなり、街灯が辺りを照らしている中で特に問題と言った事は発生せず今日も何もなく終わりそうだなと思っていると突然の爆発音。音の方角では火災が起きたのだろう空が赤く染まっておりマニュアルさんがヘルメットに内蔵された無線機で事務所と連絡を取っている。
「二人とも!ヴィランが出現したとの連絡があった!走るぞ!!」
「「はいっ!!」」
マニュアルさんが走る後を追っていると唐突に飯田くんの足が止まり別の方向に走り出す。咄嗟に振り返ると路地裏に走っていく姿が見えた、どうしてこのタイミングでと思ったがすぐに気づいた、ヒーロー殺しは路地裏で犯罪を行う。飯田くんがそっちに走っていったという事は何かを見つけてしまったという事だ、マニュアルさんに既に下書きで保存されていた飯田くんが動き出したとメールを送る。すると気づいてくれたのだろう、すぐさまメールの返信が来て個性使用許可と飯田くんを頼むという一文も来た。そして飯田くんの後を追い路地裏に入っていく。
路地裏では何回も曲がっていったのだろう、匂いで追う為に一々立ち止まらなければならず時間がかかっていると鉄の様な───血だ。一気に臭いのする方向へ走り出すと飯田くんの肩に刃を突き刺す一人の男性、その姿を見てテロ事件で気絶する前に見た姿が思い出される。やっぱりあの人がヒーロー殺し・・・!
持ってる獲物は恐らく刀、俺の戦闘距離じゃ分が悪いのですぐさま両手に鉄扇を持ち親骨と連結させ奇襲をしかけるがヒーロー殺しは連結する際の音に気付いて余裕を持って跳んで避ける。だが今は距離を取らせる方が大事だ、横眼で壁にもたれかかっているヒーローらしき人物を確認しているとヒーロー殺しが喋りだした。
「様子を見るからにそこのスーツを着た子供を助けに来たというところ、職場体験か・・・ハァ・・・今立ち去るなら見逃してやるぞ」
「出来、ない。殺す、つもり、でしょ?二人を、見捨て、られない」
「そうか、ならお前もここでこいつらと一緒に淘汰されるか?」
「ぐぁっ!?体が・・・!?」
刀に付いた飯田くんの血を舐めたと思ったら後ろで倒れる音と前方から今まで体験したことのない寒い気配、震えそうになる足を意地で踏みしめ止まりそうになる思考を無理やり動かしてヒーロー殺しに走り出し相手の跳躍力と自分の体格から横なぎでは跳んで後ろを取られる可能性が高いと下からの振り上げを行うが。
「ほぉ、あの中で動きかつ跳び越えられることを予想して振り上げるか・・・ハァ・・・中々いい着眼点だが、甘い」
「うぐぅっ!!」
「鉄扇とは珍しい物を選ぶ・・・」
振り抜いた腕の方向に一瞬で避けられ背中から切りつけられるのを目で追えギリギリ反対側の鉄扇を背中に回してから広げる。金属がぶつかりあう音と共に後ろからの衝撃で前に受け身も取れずに転がるがすぐさま立ち上がる。だがヒーロー殺しは飯田くんとヒーローの方に行ってしまった、何かされる前に動くしかないと構えるが。
「何故そこまで躍起になる?・・・ハァ・・・ここで殺されてしまえば何の意味もなくなってしまうぞ?」
「そうだ、回精くん!君には関係のない事だ!早く逃げろ!!」
「何故、か。さっき、言った、通り、見捨て、られない。それに、関係、なら、ある。2年、前。ショッピング、モールで」
「2年前・・・?っ!そうか、お前あの時の子供か・・・ハァ・・・クククッ」
「そう、お前に、助け、られた。礼は、言いたい、けど、今は、お前を、止める。殺させ、ない、ために」
「あの時の判断は間違っていなかったという事か・・・ハァ・・・だがお前に俺を止められるか?」
「そう、だね。一人じゃ、無理だ」
一人でヒーロー殺しを止める事は出来ない、いずれ二人の内どちらかが殺されるか俺が行動不能にされて全員殺されるかもしれない。だが今なら違う。
「スマァァァァァァッシュ!!」
「ぐぅぅぅぅぅ!!ちぃっ!!」
「今の、避ける、か!」
緑谷くんの壁蹴りの音に反応したが避けきれず拳を受け、こちらに吹き飛んでくるのを追撃しようとするが殴り飛ばされた勢いのまま跳躍し横なぎを避けられてしまう。そのまま倒れたヒーローに近づき動かせるように待機する。
「緑谷・・・くん・・・」
「助けに来たよ、飯田くん!回精くん!」
「ナイス、緑谷、くん」
不器用ながらも笑顔を浮かべる緑谷くんは、助けに来たと言う姿は現状では正しくヒーローであった。
これを含めるともう36話なんですね、気分的には20話くらいです。
タイトルを出したりはしませんが、他の僕アカ二次を読むのも中々いい刺激になって面白いですね。体育祭こうするのか!とか。