緑谷くんの介入によって状況はこちらにとっていい流れになりつつあるけど、未だヒーロー殺し相手に油断の出来る余裕なんて一つもない。
「緑谷くん・・・!何故・・・!」
「ワイドショーでやってた、ヒーロー殺しの被害者の6割が街の人目に付かない場所で見つかってるって。だから騒ぎの場所からマニュアル事務所までの間をしらみつぶしに探したら当たった!飯田くん、動ける?プロの応援が必要だ」
「・・・ダメだ、ヒーロー殺しに斬られてから動けなくなった・・・!恐らく奴の個性・・・!」
「これもワイドショーで推測していた通りだ・・・!斬るのが個性の発動条件って事か・・・?」
「違う、恐らく、血を、舐める、事。だから、刃物を、使って、る」
「そうか・・・!血を舐めるのなら刃物の方が効率がいい・・・!回精くん、しばらくヒーロー殺しをお願いしても・・・っ!もう一人!?」
緑谷くんが俺の武器ならヒーロー殺しにしばらく渡り合えると思ってくれたのだろう、だが俺のそばにもう一人ヒーローらしき人物が倒れているのを見て緑谷くんの言葉が途中で止まった。多分緑谷くんが飯田くんを担いで逃げる算段をしていたのだろう、しかし間違いを正すために俺も口を開く。
「無理、ヒーロー、殺しに、時間は、稼げ、ない。相手の、方が、経験、と、技術、が、上手」
「・・・!こうなると二人を抱えて逃げるのも無理か・・・!無理言ってでもプロを連れてくれば」
「手を、出すなッ!君にも、回精くんにだって関係のない事だッ!!」
いつもの飯田くんなら言わない事を口に出した事に、復讐心とはここまで人を変えるのかと驚くと緑谷くんも訳が分からないと言った声を出していた。
「仲間が助けに、それも二人も来た。良い友人を持ったじゃないか、しかし俺はソイツを殺さねばならない。ぶつかり合えば当然弱い方が淘汰されるわけだが・・・さぁ、どうする?」
「っ!!」
「っ・・・!」
先ほど感じた寒い気配、しかし二度目だからこそしっかりと目を見る事が出来た。アレはこちらを見極める目、何かの思想を持っている者の目だと。後ろで電子音がする、この状況でもしっかり動ける緑谷くんに尊敬の念を抱きつつも緑谷くんに提案する。
「あいつは、技術、と、反応、が凄い。だから、大きな、力で、連続、攻撃、するのが、良いと、思う。フォロー、頼める?」
「かなり無謀だけど・・・今はもうやるしかない・・・!」
「やめろ!逃げろ!!言っただろう!?君たちには関係ない!!」
「そんな事・・・そんな事言ったらっ!ヒーローは何も出来ないじゃないか!!」
飯田くんの言葉に緑谷くんが反論する、こうなると俺も言いたい事が出来てしまう。
「オールマイトが言っていた、余計なお世話はヒーローの本質なんだって!!」
「悪い、が、もう、見捨て、ない、助ける、と、決めた。後は、その、ために、進む。それ、だけだ」
言葉と共に両手の鉄扇を地紙と接続、そして最後の機能である鉄扇同士の要側を突き刺すように
「ハハァ!イイっ!!」
ヒーロー殺しの刀による横の大振り、それを叩き壊すべく両手を使い鉄扇を回し勢いをつけて真正面から片手での振り下ろしで打ち合わせる。それにより火花が散るが金属が壊れた様な音がない為に受け流されたと推測し、時間差で反対側からくるナイフに対応するべく鉄扇をスナップを効かせつつ反対側の手に持ち替え、体の前で回転させることでナイフを打ち上げで迎撃する。
このタイミングで迎撃されるのは想定外だったのかナイフから甲高い音と共に割られ、壁を蹴り上を取っていた緑谷くんが奇襲を仕掛ける。
「5%・・・!デトロイト、スマァァァァシュ!!」
その掛け声と共にヒーロー殺しが頭を殴られ、緑谷くんはヒーロー殺しの後ろに着地する。しかし一瞬だがアイツは笑っていた、その事を気がかりに思っているとヒーロー殺しは半分に折れたナイフに
「パワーが足りない、だがほぼ即席だろうコンビで大振りの一人を目くらましにし視界から外れ、確実に仕留められるように画策した。そしてお前は相方を信じ俺の前で攻撃を行う、一歩間違えば死ぬ一番危険な位置でだ」
回転を使った連撃をまるでそよ風の様に右に左に上にと受け流し続ける、技術に差があるのは知っていたがここまで・・・!ヒーロー殺しが
「だが経験が足りなかったな、独学故の規則性の無さは良いがこうやって回転の軸を攻撃しずらしてしまえば訳ない」
「ぐっ!!」
<我らも止まるー><不味いかもー><結構ピンチー>
「口先だけの人間は幾らでも居る、だがお前たちは生かしておく価値がある。こいつらと違ってな」
回転の軸を蹴りでずらされ鉄扇が地面とぶつかり合う事で大きな隙を晒す、それを見逃すヒーロー殺しではなく腕を深くない程度に刀で斬りつけられ血を舐められると同時に全身が硬直する、精霊たちにも何か悪影響が起きているようだ。相手はそれを目で確認する訳でもなく飯田くんに近寄っていく、それを止める為に力を籠めるが全然動く気配がない。緑谷くんが叫ぶがヒーロー殺しは折れたナイフを鞘に戻し新たなナイフを取り出す、そして倒れている飯田くんに刀を向け命を絶とうとするが、寸前で炎が飛んでくる事でヒーロー殺しは大きく後ろに下がる。
「チッ、今日は何度も邪魔が入る・・・!」
「緑谷、こういうのはちゃんと要件も書いておけ、到着するのが遅れちまったろ・・・!」
炎を纏った轟くんの登場に飯田くんも緑谷くんも驚いている、気付かなかったがクラス全員に位置情報を送信したのか?緑谷くんの機転の良さに感心していると氷が地面からせり上がって俺の体を持ち上げる。
「ピンチだから応援呼べって事だろ?大丈夫だ、後数分もすればプロヒーローも現着する!」
そして続いた炎で氷が溶かされて鉄扇と一緒に氷の上を滑り轟くんの近くに避難させられた、俺以外にもヒーロー殺しに動けなくされた三人もいる。
「情報通りのなりだな、こいつらは殺させねぇぞ。ヒーロー殺し」
緑谷くんからヒーロー殺しの個性に関する情報を得る轟くん、だが一瞬目を離した隙に投げられたナイフで頬を切られヒーロー殺しが突撃してくる。
「いい友人を持ったじゃないか、インゲニウム!!」
その言葉と共にナイフの大振り、しかし氷で防ぐもヒーロー殺しの目線に釣られ上を見るとナイフを振るう前に投げた刀。だがそれすらも囮で本命は傷つけた頬に流れる血を舐める事、一瞬で炎を出すことで舐められずには済んだもののその後に壁として出した氷は空中で取った刀で一気に破壊される。
「三人とも・・・やめてくれ・・・インゲニウムの名を受け継いだ俺がやらねば・・・!」
「受け継いだのか?おかしいな、俺が見たインゲニウムの顔はそんなんじゃなかったんだがな。お前ん家も裏じゃ色々あるんだな」
「くそっ、轟くん・・・!」
視界の端で緑谷くんが徐々に動こうとしている、この面子では中間辺りで動きを止められた緑谷くんがだ。何故と思っていると轟くんの方で砕ける音とヒーロー殺しの声、轟くんが炎を出そうとするもナイフが腕に刺さり動きを止められる。
「お前も、イイっ!!」
「上ッ!!」
空中で刀の刃を下に向けている、刃の先は動けないでいるヒーローに向かっていた。だが刃が刺さる前に緑谷くんがヒーロー殺しを空中で捕まえ壁に押し付けながら離れていく。轟くんが時間制限かと考えるも気が付いたのかヒーローがそれを否定、緑谷くんがヒーロー殺しに反撃を食らい地面に転がるも轟くんの氷でヒーロー殺しを更に遠ざけ、緑谷くんがこちらに戻ってくる。
「血を取り入れて動きを止める、僕だけ先に動けたという事は考えられるのは2パターン」
「血の摂取量で効果時間が変化するか、血液型で効果に差異が生じるか!」
「血液型・・・俺はBだ・・・」
「僕は・・・A・・・」
「AB、だよ・・・」
「血液型・・・ハァ、正解だ」
「血、の、個性、なら・・・!血壊!!うぐぅっ!!」
<動けたー><獣狼無理してるー><これ以上はダメだよー>
「回精くん!?無茶しちゃだめだよ!!」
血壊を使い無理やり体を動かそうとする、血壊は体内の精霊を暴走させ血液循環を速くさせる事で身体能力を強化している。なのでこれなら動けるようになると使ったが体の負荷が凄まじくすぐさま精霊たちによって血壊が解かれる、鼻血も出てきて気持ち悪いが、
「これで、動け、る」
「お前も無茶をする、だが今は一人でも多く動ける奴が必要だ。これで他二人を抱えながら逃げられるか?」
「多分だけど無理だ。移動速度はあっちの方が上で二人を抱えるとなると戦える人は一人になる。一人じゃヒーロー殺しは抑えられない、何時か抜かれて抱えている人も含めて四人が危ない」
「俺も、そう、思う。なら、三人、で、防衛、した、方が、いい」
「確かにな・・・、それに人が多い場所にヒーロー殺しを引き連れていくのは不味すぎる」
作戦が決まる。三人でプロヒーローが現着するまで耐える、これが一番最善であろう方法だ。
「轟くんは血を流し過ぎている・・・後方支援を!」
「轟、くん。俺に、構わず、氷や、炎を、使って。勝手に、避ける、から」
「・・・相当あぶねぇ橋になるが、やるしかねぇ、二人を守り切るぞ・・・!」
「三対一、しかも一人は俺の個性を無茶な方法とは言え突破してきた。厳しいな」
厳しい、そう言いつつも構えを解かずに寧ろやる気になっているヒーロー殺し。鉄扇を持ち直し突撃する、後ろで緑谷くんが壁を蹴って移動し奇襲のタイミングを伺い、俺の言葉通りに氷でヒーロー殺しごと攻撃する轟くん。氷を避ける為に移動しなくてはならないものの、ヒーロー殺しの前で攻撃を行い続ける。
「ハァ!仲間が増えたとは言え先ほどと同じでは意味がないぞ!!」
「策は、ある!」
ヒーロー殺しが一歩踏み出す、ここだ。ここであえて俺も
そしてこの隙があれば緑谷くんがヒーロー殺しを死角から襲う、ヒーロー殺しの気配が遠ざかるのを確認し鉄扇をたたむ事で視界を確保し後ろから迫ってくる氷を避け緑谷くんの攻撃を避けたヒーロー殺しが氷を避けるために飛ぶ、今度は範囲の広い炎が追撃を行う。こちらも地面に降りてきたヒーロー殺しを追撃、先ほどの事態を考慮しているのか動きが少し悪い。その隙をついて刀をへし折ろうと攻撃するも刀の重要性を理解しているのか、受け流すか回避に徹して攻めきれない。
再び死角を突いた緑谷くんだが先ほどよりも速く動き足を斬りつけようとしたところで介入し鉄扇で防御し衝撃に耐えるも後ろから短い叫び、刃先の方で斬られたのか少し血が付着しているという事は鉄扇にぶつかるまではそのままの軌道で斬りつけ、ぶつかる寸前で手首の力を緩めて最小限に抑えた?技量の違いに驚いていると轟くんの声と明かりで炎が来るとわかり、緑谷くんと共に轟くんの方へ移動するもこの戦闘でしばらくは壁を蹴って奇襲する事は出来ないだろう。
「やめて欲しけりゃ立てぇ!!」
その言葉と同時に緑谷くんが倒れる、血を舐められたのだろう。倒れた緑谷くんの為に氷の棘でヒーロー殺しをけん制するも刀で棘を斬り砕き接近するがそれを阻止すべく後ろから接近する。
「なりてぇもんちゃんと見ろぉ!!」
炎が飛んでくるのを横に飛ぶことで避け飛び上がったヒーロー殺しを壁を蹴って追撃する。しかし棒形態の一振りでは刀で受け流され蹴りを入れられ地面に落とされる、炎によって発生した水蒸気で視界が悪くなる中、緑谷くんの声で轟くんはヒーロー殺しを迎撃し距離を離したのを立ち上がりそれを追う。
轟くんの氷が棘の様に乱立していく中ヒーロー殺しはこちらに、正確には轟くんに走ってくる。なんとしても迎撃しようと連結を解除、二刀流で挑むが。
「こちらも我流、才能に恵まれているな。しかしやはり経験が追い付いていない!」
「チィッ!!」
飛び出した氷の棘を斬りつけ破片を此方に飛ばす事で目くらましとし、破片を避けると棘から棘へと飛んで抜かれてしまった。急いで後を追うが。
「言われた事が無いか?個性にかまけて攻撃が大雑把だと!そしてただ後を追うだけなら対処は簡単だぞ!!」
「っ!?」
氷の棘を無視し一直線で追いかけるも振り向きざまに顔をめがけて投げられたナイフで動きが止まり、後ろに倒れる事でギリギリ避けられた。すぐさま起き上がるもヒーロー殺しは轟くんをすれ違いざまに刀で斬りつけようとしていた。
はい、流石にこのままだと一万字近くなるので少し変なところですが区切る事にしました。続きは明日投稿する予定です。