位階序列十四位のヒーローアカデミア   作:生活常備薬第3類

38 / 70
 前話からヒーロー殺しさんならこれくらい出来る!と言う謎の信頼を発揮しています。

 ステインの凝血ですが、ブラドキングの操血や獣狼の血壊など血液を自分の意思で動かせる相手には相性が悪いと考えました。しかし獣狼の血壊は強引なので体にダメージが入ります。


第三十六話:決意、彼らに追いつくために

 轟くんに迫る刃、全ての動きがゆっくりと進んでいく中すぐさま血壊を発動し刀を叩き折ろうとするが。

 

 <無理ー><変な事になってるー><発動出来ないー>

 (でも早くしないと!!)

 <出来ないのー><さっきの無理が祟ったー><ごめんー>

 

 精霊たちの声に間に合わないのかと諦めかけるが、それでもと足を動かそうとしていると轟くんの後ろから排気音がし。

 

 「飯田くん!!」

 「解けたか、案外大した事ねぇ個性だな」

 

 ヒーロー殺しの個性が解けた飯田くんが体育祭で見せた大技で一気に加速、そして脚の勢いに任せるまま一回転し刀を折り着地と同時にヒーロー殺しに回し蹴りを行い壁際に飛ばす。級友が動けるようになったことで轟くんと緑谷くんは声を上げる。

 しかし俺は見極めなければならない、マニュアルさんに「殺させない」と言った。それには飯田くんもそうだがヒーロー殺しも含まれる、飯田くんに殺しをさせては結局意味がないからだ。

 

 「轟くんも緑谷くん、回精くんにも関係ない事で申し訳ない。だからもう!みんなに血を流させる訳にはいかない!!」

 「・・・感化され取り繕うとも無駄だ、人間の本質はそう易々とは変わらない。お前は私欲を優先させる偽物にしかならない、ヒーローを歪ませる社会のガンだ」

 「そう、本質、は、簡単、には、変わら、ない」

 「回精くん!?」

 

 俺の言葉に緑谷くんが声を上げ、ヒーロー殺しも興味があるのかこちらの話を聞く姿勢を取る。だが俺がお前の、ヒーロー殺しのその考えを聞いて()()()()()()()()()()()

 

 「しかし、私欲を、優先、させて、何が、いけない?本質、が、間違って、いる?それが、どうした。それでも、人は、前に、進める。善行、を、行え、るぞ」

 「・・・その言葉をお前が言うか、見捨てられないと、助けると言ったお前が。私欲ではなく誰かのために今も動いているお前が」

 「あぁ、何故なら、俺は、見たから、だ。間違って、歪んで、いても、誰かの、ために、前に、進む、人を」

 「だから、俺は、飯田、くんを、信じる。例え、本質、が、間違って、いても、ヒーロー、になると」

 

 ヒーロー殺しの言葉に何も言わなければ俺は親友(妖目)の事も否定してしまう事になる。例え動機が罪滅ぼしだとしても、その今までの行いは間違いなく善行なのだから。そして飯田くんも今までの嫌な感じがしない、ならばもう大丈夫だろう。

 

 「回精くん、ありがとう。でも奴の言う通り僕にヒーローを名乗る資格はない。それでも折れる訳にはいかない、俺が折れれば・・・インゲニウムが死んでしまうから・・・!」

 「・・・論外!それでもお前は信じるというのか!?」

 「インゲ、ニウム、は、規律を、守り、人を、導く、ヒーロー。ならば、飯田、くんは、それを、目指して、進むと、信じる」

 「そうか・・・だがこいつらは殺す!!」

 

 ヒーロー殺しが再び動き出す前に飯田くんを後ろに下がらせた轟くんの炎がヒーロー殺しを後ろの壁ごと焼く、その間に壁を蹴って上の壁に刀を突き刺し逃げ延びているヒーロー殺しを追いかけるが、すぐさま壁を蹴る事で刀を抜き別の方向に逃げるも轟くんが作った氷を足場に更に加速、氷を迎撃するために振りかぶった瞬間を狙い右手の鉄扇を大きく振り下ろすがナイフで鉄扇を滑らせ更に力も利用しヒーロー殺しが大きく左にずれる。俺に刀で攻撃しようとするも轟くんの氷が来たことで中断、氷の迎撃に刀を振るう。

 

 ヒーロー殺しが更に轟くんたちの方へ向かうのを確認し少し遅れるものの壁を蹴ってそれを追う、轟くんの炎も飛んでくるが構わず攻撃してと言ったのはこちらなので鉄扇を広げ逸らす事で一直線に近づいて行く。ヒーロー殺しの目は完全に飯田くんと倒れているヒーローに向いているが、こちらを捉えているだろうと想定し奇策で挑むために鉄扇の地紙のパーツの接続を()()()()()()、そしてそのまま大きく振るう事で地紙のパーツがヒーロー殺しに向かって飛んでいく。

 

 流石に一つしか命中しないものの、いきなり巨大な物が自分の横から飛んできては無視するわけにはいかずナイフと刀で迎撃するもバランスを崩した。その間に飯田くんは轟くんに策があるのか相談している、その時間を稼ぐために親骨を伸ばした状態の鉄扇でヒーロー殺しに振り下ろしを加えるが、バランスを崩した状態で刀を盾にしナイフを轟くんたちの方に投げる。二人が心配だが刀一本ならばと鉄扇でつばぜり合いをしてる中で殴り壊そうともう一本を振りかぶるも壁に足を付けたヒーロー殺しに受け流されそのまま炎を避ける足場として地面に踏み落とされ、追撃にナイフ投げられ帯の上から腹に刺さる。コスチュームと筋肉で阻止出来たのだろうが痛い。

 

 「回精!無事か!?」

 「なん、とか!」

 

 しかし時間稼ぎの甲斐あってか飯田くんが物凄い勢いで上に逃げたヒーロー殺しを追う、ヒーロー殺しも目標がそのまま来てくれるなら殺しやすいと判断したのか迎撃の姿勢を取っていたが、突如横から現れた緑谷くんに目を奪われ顔を殴られ胴体に蹴りが入った。このまま倒れるかと思いきやすぐさま意識を取り戻し空中で手放した刀を取り飯田くんを斬りつけようとするもギリギリで外れる。

 

 「お前を倒そう!今度は犯罪者として!!」

 「ここで決める!畳みかけろ!!」

 「みんなが信じてくれたヒーローとして!!

 

 飯田くんの蹴りが入り、轟くんの炎が顔を焼く。着地の事は考えていなかったのだろう二人を轟くんが氷の滑り台で落下の衝撃を抑えつつも二人に声をかける。

 

 「立て!まだ奴は・・・?」

 「流石に気絶してる・・・っぽい?」

 「じゃあ拘束して通りに出よう、何か縛れるものは?」

 「念の為武器も外しておこう」

 「流石に、この、状態、スルーは、きつい」

 「「あ」」

 

 ヒーロー殺しを倒したという興奮はわかるが腹にナイフが刺さったままなので下手に動けない。さっさと抜いて移動しなければいけないから。

 

 「ナイフ、抜いて」

 「でも抜いたら血が・・・!」

 「平気、帯で、圧迫、止血、する」

 「・・・わかった、少しいてぇぞ」

 

 ナイフが抜けやすいように力を抜く、ナイフの刺さってる長さ的に内臓は無事だろうが痛いものは痛い。帯をずらし結び目を前に持って来て一回解きキツく結びなおす。その間に腕にナイフが刺さったのか血が流れている飯田くんがヒーロー殺しを呆然と見て、腕を動かせる緑谷くんがヒーロー殺しの武装を解除し、轟くんが縛るのに使えそうなものを探す。

 

 その間に倒れていたヒーロー───ネイティブさんが動けるようになり、足を怪我しているからと緑谷くんを背負ってくれる。最後の跳躍で無理をさせたようで歩きづらそうにしていたから気を使ってくれたのだろう。轟くんがヒーロー殺しを縄で縛っている中地紙パーツを回収し鉄扇と組み合わせ棒状にした後に杖の様に歩く、流石にこの状態で歩くのは少し厳しいからだ。刃物をそのまま放置するのも不味いと思い全て鞘に入れ回収し、みんなが歩いて路地裏から会話をしつつ通りに出ると男性の声がする。

 

 「グラントリノ!」

 「新幹線で待っとれと言っただろう!!」

 「緑谷、くん。まさか、新幹、線から、直で?」

 「・・・あははは・・・」

 「誰この人」

 

 緑谷くんの説明で彼が唯一緑谷くんを指名したグラントリノさんだという事を知る。しかし緑谷くんが何故ここに?と質問するとグラントリノさんはいきなりここに行けと言われてここに来たら俺たちに遭遇したようだ。他にも言われて来たのかヒーローが続々とやってくる。

 

 「ちょ、君なんでそんなにごちゃごちゃしてるのよ」

 「この人、の、持ち物」

 「え?・・・まさかこいつヒーロー殺し!?」

 「何!?救急車の他にもすぐに警察に連絡するんだ!!」

 

 ヒーロー殺しの名にプロヒーローたちが慌ただしく動きだす、ヒーロー殺しもプロに預け手持ち無沙汰にしていると。

 

 「三人とも・・・僕のせいで傷を負わせた!!本当にすまなかった!!」

 「僕もごめんね、君があそこまで思い詰めていたのに回精くんに任せたから大丈夫って思ってた。友達なのに」

 「しっかりしてくれよ、委員長だろ」

 「なら、今度、甘いの、食べに、行こ?」

 「・・・うん!!」

 

 飯田くんが涙を流す、もう復讐心に囚われてはおらず何時もの飯田くんの様だ。慌ただしさが静かになったからだろう、何かの羽ばたく音がこちらに接近するのを捉えた。

 

 「みんな、何か、来る!!」

 「!?伏せろォ!!」

 「ヴィラン!?」

 

 その言葉と共に急降下した勢いで緑谷くんを掴み飛んでいく、その突風で動けないでいるとすぐ近くで()()()がし唐突に羽の生えたヴィランの動きが悪くなり降下していく、そして縄をまだ隠し持っていたナイフで切り裂き走るヒーロー殺し。

 

 「偽物が蔓延るこの社会もォ!!」

 「悪戯に力を振りまく犯罪者もォ!!」

 「ハァ・・・ハァ・・・粛清、対象だァ・・・!!」

 「ハァ・・・全てはァ・・・正しき社会の為にィ・・・!!」

 

 降りてきたヴィランをナイフで刺し、緑谷くんを片手で掴み上げヴィランを着地のクッションにしナイフを深く差し込む事で止めを刺しナイフを抜く。ヒーロー殺しは緑谷くんを捕まえ地面に押さえつけたまま動きが止まっている。

 

 「おい!一塊になって動くな!こちらにヴィランが飛んできたはずだ」

 「っ!もうあちらは終わったので?」

 「あぁ、して・・・あの男はまさか」

 

 一人の大男が走ってきたが見覚えのある姿、恐らくはエンデヴァーさんだろう。男性はヒーロー殺しを見て炎を纏った腕を振りかぶるもグラントリノさんに制止される。

 

 「ァア・・・偽物ォ・・・!」

 「正さねばァ・・・!誰かがァ、血に染まらねばァ・・・!!ヒーローを、取り戻さねばァ!!!

 「来い、来てみろ偽物どもォ!!俺を殺して良いのは本物のヒーローォ・・・オールマイトだけだァ!!!

 

 路地裏で感じた寒い気配よりもっとおぞましいナニか、その気配に動けずにヒーロー殺しから目が離せなくなる。しかしその硬直は金属音で解かれた、ヒーロー殺しがナイフを落とした音で。

 

 「なっ・・・気絶・・・してる・・・?」

 

 ヒーロー殺しが気絶している事に力が抜けたのか膝から崩れ落ちる者、尻餅をつく者と居たが俺も支えが無ければ倒れていただろう。それほどに鮮烈で強大な気配だった、今まで感じたどれとも違う執念とも言うべき気配。

 しかし遠くから聞こえるサイレンの音が事態が終わったことを、ヒーロー殺しの最後を告げていた。




 ステインとしては、自分が良いと思ったヒーローが何を思おうと関係ないと考えました。偽物を淘汰するのは自分の役割(誰かが汚れなければいけないなら自分でやる)で最後に自分も終われば社会の歪みを正せる。と言う考えだと思い今回の会話にしました。

 何気に自分が良いと思った相手に原作でもパワーが足りない、個性に任せっきりとアドバイスしている犯罪者なのに良い人ステイン。

 Q.みんなが信じてくれたって?
 A.轟くんがなりたい物をちゃんと見ろ(復讐に囚われずヒーローを目指せ)と言い、獣狼が信じたと言ったので
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。