ちなみに途中から第三十八話の冒頭で行った獣狼の語りが始まります、獣狼が説明しなければいけないところなので許してください。
制服も夏服に切り替わった事で
「・・・はぁ・・・」
「珍しいな、お前がすぐに帰らずにスマホとにらめっことは」
「常闇、くん」
「あまりとやかく言うべきではないだろうが、お前は変に考えすぎる。悩み事ならば誰かに相談するのが一番だぞ」
「あはは、バレた?」
「・・・バレるも何も、お前は耳や尻尾に感情が出ているぞ・・・。お陰で気になっている者もいるようだからな」
えっ、耳を触ろうとすれば何時もよりも垂れさがっていたのかすぐに触れてしまった。そして常闇くんの視線をたどれば少し離れた場所に俺が気になって残ってくれたであろう、緑谷くんに麗日さんと飯田くんの三人が一斉に首を逸らす。その様子に苦笑しつつもそうなると常闇くんが残っている事が気になった。
「そう、言えば、常闇、くんは、なんで、残って?」
「お前がまた悩んでるのかと気になった事と、そろそろ精霊について聞きたくなってな」
「あっ、ごめん、忘れ、てた。・・・ねぇ、一つ、提案、良い?」
「なんだ?言ってみろ」
「この後、あそこの、三人、と、何処か、寄らない?」
「ふむ・・・何か俺たちに関わる事か?」
「うん、返答、次第、では」
「・・・いいだろう、では三人も誘ってくるとしよう」
荷物を持って立ち上がり時々ちらりとこちらの様子を伺う三人に常闇くんと一緒に向かう、別にそこまで気を使わなくてもいいんだけどなぁ。俺たちが近づいてくる事に三人で小声で話し合っている、そして意見がまとまったのか飯田くんが何を思ったのか。
「すまない!回精くんが何か悩んでいるようで「ねぇ」っ・・・」
「三人、とも、ちょっと、寄り道、しない?」
「えっ・・・?寄り道?僕は大丈夫だけど麗日さんは?」
「えっと・・・そんなに時間がかからへんなら大丈夫だと思う」
「飯田、くんは、どう?」
「あ・・・あぁ、俺も連絡を入れれば問題ないだろう。どこに行くつもりか聞いても?」
「ちょっと、お茶しに。気に、なってた、でしょ?そこで、話すよ」
飯田くんの言葉に被せる事で無理やり止めて言われた言葉がお茶へお誘いの言葉、想定外の言葉だったのかお互い視線を見合わせた後苦笑しながらも付いて来てくれる三人と常闇くん、何気に放課後にクラスメイトと寄り道するのって初めてなのでは?と思いつつもスマホで最寄りの喫茶店を探す。雄英の最寄駅付近に何件かある様なのでみんなに聞いてみると任せるとの事、なら一番駅に近いここにするか。
「回精くん、一つ良いだろうか」
「なに?飯田、くん」
「その、回精くんが何かに悩んでいたのは聞いてしまっていたのだが・・・、離れていたせいか全部が聞き取れたわけではないんだ。もしよかったら道すがら教えてもらえないだろうか」
「あー・・・、その、辺り、言って、無かった、ね。でも、他の、人、特に、雄英、生徒に、聞か、れると、不味い、かも、だから、着いたら、言うね」
「・・・何か問題でも起きたのか?」
「問題、と、言えば、問題。お父さん、の、職場、関係」
「回精くんのお父さんの職場・・・。あっ、何となく悩みの方向が分かったかも」
「流石。聞かれ、ない、方が、良い、よね?」
「うん、多分だけど中には良い風に思わない人も出るかも」
その言葉についていけない三人が気になるという顔をしているが喫茶店で語ると思ったのか深くは聞いてこなかった。歩く事十数分で駅近くの喫茶店に到着し入店すると、人気はまばらで雄英生徒はほぼ居ないと見ていいだろう。思わぬ好条件に心の中で喜んでいるとボックス席が空いているのでそこに座り、全員分の飲料と軽食を注文し待っている間に話すことにした。
「じゃあ、まずは、お父さん、の、職場に、ついて、話すね」
軽く緑谷くんの知っている情報と同じことをみんなに伝える。勿論有名どころの名前が出たことで驚く三人、麗日さんのお坊ちゃま二人目発言は否定させていただく。残念ながら話に聞く飯田くんや轟くん程良い場所に住んではいない。
そしてここからが本題だ。先ほど来ていたメール、内容を簡単に言ってしまえば「遅れちゃったけど雄英入学おめでとう!最近来てなかったしそろそろ遊びに来ない?土日ならクラスのお友達も少数なら連れてきていいからさ!」と言うもの。
「え!?めっちゃ凄いやん!!もしかしてうちらに関係するって」
「そ、この事」
「行く行く!そんな凄いところに行けるなんて滅多にないやん!」
「あぁ、俺も行かせてもらうぞ。丁度土日は自主練と宿題だけで終わる予定だったからな」
「凄い!僕も言っていいかな?」
「俺も行かせてもらうが、何故こんな朗報を悩んだりしていたんだ?」
「・・・ここから、が、問題、なんだよ、ね」
─それでみんなに言った通りお父さんの会社はプロ御用達の複合会社、そこへ遊びって名目だけど職場を間近で見る機会だよね。みんなも行きたがる様に他の雄英生徒に聞かれれば関係が無かったとしてもついて来ようとする人もいる、これがあまり人に聞かれたくない悩み事一つ目。そして本命が会社からメールが来るという事は「そろそろバカ共が抑えられなくなってきたから助けて、お詫びにお友達も呼んでいいから」と言うSOSなんだよね。
「え?バカ共?」
「うん、バカ共」
「・・・SOSと言うのは?」
「会社、の、方針、みたいな?順番、に、説明、するね」
─まずはバカ共のところから。有名だから知ってる前提で話すね、お父さんが所属している個性研究の人たちは比較的にまともな人たちなんだけど、アイテム作成とコスチューム作成の人たちは一言で言うならかなり個性的な人たちで芸術家か職人気質の人たちが揃っているんだよね。会社も普通じゃあまり採用されないような“腕は良いけれど
「もしかしてバカ共って・・・」
「そ、癖の、ある人。勝手に、変な、事を、始める、人達」
「・・・それ社員としてどうなのだ?」
「あっ、だから昔は評判が酷かったんだ」
「緑谷くん、知っているのか?」
「うん、注文を勝手に変えられたとか納品直前になって一からやり直したりとか」
「それ会社として一番やっちゃいかん奴じゃ・・・」
「そうだね、でも、それが、寧ろ、ヒーロー、に、ぴったり、だった」
「・・・あっ!そうか!芸術家って事はデザイン関係に妥協を許さない、つまりその人に一番合ったものを作ってくれる!」
「なるほど・・・、では職人とは妥協を許さず良い物を仕上げるという事だな?」
「うん、オシャレで、信頼、出来る。人気の、秘訣、だって」
「だがそれならば何故そんなところからSOSが来るのだ?」
「・・・癖が、ある人、だから・・・かな?」
─俺って自分で言うのもあれだけど、その・・・かなり珍しいでしょ?小さい体に異形型によくある筋力。芸術家の人からは滅多に居ないそのキャラ性を、職人からは筋力と鉄扇を扱えるだけの技量から試作アイテムのテスト係として気に入られちゃったんだ・・・。
─会社も癖のある人たちのガス抜きは結構重要な案件で、もしも失敗するとシャレにならない事態が起きたりするから仕事に影響が出ない程度に本人たちのタイミングで自由に息抜きをさせているんだけど、やっぱり職業柄閃きとか発想が大事だから本人たちが気に入ったもの・・・、この場合俺・・・だね。そういった気に入った物や人を用意することでガス抜きにしてるんだ。
─俺に試作品を提供したり役職に就いている人の血縁とは言え無関係な子供を会社に自由に出入りしたりと色々黙認してくれたのも、癖のある人たちのガス抜きになるっていう所もあるんだよね。つまり、会社としては色々黙認するからガス抜きに手伝ってほしい。って事なんだ。
「回精くんも大変なんやねぇ・・・」
「まぁ、ね。でも、リーチ、とか、弱点、を、カバー、出来てる、し」
「なぁ回精、もしや俺達にもそのガス抜きを手伝えと言う事か?」
「多分、違う、よ。会社も、俺達、が、大変、な事は、知ってる、から、その中、で、呼び出す、お詫び、だと、思う」
「そうか、先に聞いておくが三つの部門の内何処に行く予定だ?」
「みんなが、好きな、ところ、かな?でも、結局、全部、周り、そう」
「それはまた大盤振る舞いだな・・・。いや、それだけ重要と言う事か」
「そそ、他に、質問、は?ちなみに、土日の、どちらか、一日、開けて、貰う、よ」
俺の言葉に特に質問が無いのかみんなは次の進行を待つ、なので次の日を休めるように土曜日に行くことにしたが一つ言い忘れていたことを伝える。
「もちろん、だけど、この、話は、ここだけ、の、秘密。クラス、でも、内緒、で」
「え?なんでなん?」
「恐らくだが、人数指定があるのではないか?それに今回の件は会社のご厚意だ、何度もある訳じゃないだろう」
「うん、傍から、見れば、親の、コネ、使ってる、ズルい、事、だから」
「なるほど、余計な敵意を煽らない為でもあるか。A組はそうではないだろうが何処から話が漏れるかわからない、そう言う事だろう?」
「だね、みんな、には、申し、訳、無いけど、運が、無かった、と言う、事で」
そういったところでタイミングよく店員さんが注文の品を運んできてくれる、丁度話も終わった事だし後は談笑して終わりかな。
「それじゃ、相談、も、終わった、し、談笑、する?」
「では回精、そろそろ精霊の事で話を聞いてもいいか?」
「いいよ、と、言っても、ほんとに、教え、られる、事は、少ない、けどね」
「構わない、あの時も言ったが俺以外の意思を持つ個性と言うのが気になっただけだ」
「うん、それ、じゃあね───」
常闇くんと精霊の事について話していると気になったのか話に入ってくる三人、時々緑谷くんの考察を交えながら話すもやはり情報が少ない為に多くを語れずに居たが、常闇くんとしては話を聞けただけでも満足だったらしい。少し話し込んでしまったが飲料一杯の範疇には入るだろう、俺が誘ったからと全員分のお会計を支払い駅で解散となった。
駅のホームで一人、電車を待つ間で会社に送るメールを作成する。今回の訪問は俺と友達四人の計五人になりそうです。前なら妖目や快心さんを呼ぶんだろうな、と思い高校生になってから友達も随分増えたなと笑いながらもメールを送信した。
一日かけなかった事と、考える事が多すぎてあんまり進みませんでしたが。簡単に言えば会社見学の様な感じです。厳密には違うかもしれませんが。
オリジナルな為に一人一人の話し方とか思考を考えつつ、書いていくのは大変ですね・・・、特に常闇くんの話し方は難しいですハイ。でも次は癖のある人の名前を考えなければいけません、そっちの方がキツイです。