お昼ご飯を終えて食休みを取っていると、お父さんはもう時間ないそうでみんなに軽くお別れをしてから移動に使った車はそのままなのでそこで待っていれば次の案内人が来てくれると言い残し、立ち去ったのが数分前で。
「新しい案内人さんって誰なんやろ」
「うーん、時間的にもそろそろだと思うんだけど・・・」
「・・・あ、来た、みたい」
駐車場で待っていると慌ただしく走ってくる足音が食堂の方から聞こえてくる、足音はどんどんこちらに向かってきており車の陰からその姿を現した。作業着を着て髪の毛を後ろに纏めた瓶底眼鏡の人がこちらに・・・って。
「ニック、さん?」
「ごめんッス!ちょっと遅れちゃったッスよ!」
「ニック、さんが、次の、案内、人、なの?」
「そうッスよ!みんなは初めましてッスね、自分の事はニックと呼んでくださいッス」
如何にもTHE作業員と言う見た目の人物にみんなは驚いていたが自己紹介が始まった事で自分たちも名乗り始める、全員が名乗ったところで車のカギを開け急げと言わんばかりに。
「申し訳ないッスけど、質問とかは移動の最中にお願いするッスよ。乗って乗って」
その言葉に時間が押している事を思い出したのかすぐさま車に乗り込む、全員が乗り込んだ事でニックさんの運転により車はアイテム作成所に向かった。
「ニックさん、質問良いですか?」
「おっ、良いッスよ。自分に答えられる事なら何でも答えるッス」
「ニックさんってその・・・、アイテム作成所の方なんですか?」
「正解ッスよ。主に筋力が高い人向けのアイテムを作ってるッス、獣狼くんの万能扇子って言ったらわかりやすいッスか?」
「え!?アレ作ったのニックさんなんですか!?」
「そうッスよー、なんかこう・・・閃いたッ!っと思いついたッス」
「ど、独特・・・ですね・・・」
「気に、しないで、何時もの、事」
「にしししし、自分で驚いてたらコスチューム製作所は大変ッスよ~」
ニックさんの言葉で全員が黙ってしまう、しかしニックさんの言う通りコスチューム製作所は基本癖が強い人が多いので出来る限りそういった人たちに会わない事を祈るしかない。
「おっ、見えてきたッスね。ここがアイテム作成所ッスよー」
「なんか・・・、個性研究所と似てますね・・・」
「あぁ、そりゃ元個性研究所ッスからね。丈夫だったんで改装して使い回しッス」
「ニックさん、ここでは何を体験させてもらえるのですか?獣王さんはアイテムを使ってみたりオモチャで遊べると言っていましたが」
「アイテムッスかぁ・・・、うーん・・・。今だとアレくらいッスかね・・・。オモチャに関しては準備オッケーッスよ、食後の運動がてら楽しんでくださいッス」
アイテム製作所の前で車が止まる、ニックさんが自分たちでも使えるアイテムを取りに行くので今回使うアイテムの試験場の場所を聞いた他に着替えてくれと言われみんなを案内する。目的の場所に到着し扉を開ければ体育館程の広さと床には何かのエリアを示す緑色のライン、ライン内には大小様々な障害物がありアスレチックを彷彿とさせる。ラインの外にある壁沿いにある扉を指さし。
「あそこ、が、更衣、室で、中に、ある、ものに、着替えて、くれ、だって」
「えっ?着替えって何するの?」
「多分、オモチャ、関係、だと、思う。自分に、合う、サイズを、選んで、って」
「ニックさんが食後の運動とも言っていたしな、運動着を用意してくれてるのではないか?」
女子と男子で別れ更衣室に入る、中にはサイズ別にいくつもの黒い体操服が並んでおりここから自分の体形に合ったものを選べと言う事だろう。
着替えが終わり更衣室から出るとニックさんが落ち込んでいた。何があったのかと考えたところで隣から麗日さんも出てくる、丁度いいとみんなで話を聞くとアイテムの貸し出し許可が下りず落ち込んでいたとか。なんでも万が一でも危ない事はさせられないからオモチャだけで我慢してもらえ、と言う理由だった。
「うぅ・・・、申し訳ないッス。折角楽しみにしてもらえてたのに・・・」
「いえ!こうやって体験させてもらうだけでも楽しみですよ!」
「それにプロヒーローを支える人たちの話も聞けています、それだけでも十分な価値があります」
「そう言ってもらえると嬉しいッスね・・・、よし!あんま気にしても仕方ないッス!お遊びと洒落込むッスよ!」
お遊びの説明が始まる、強化ガラスのゴーグルをつけこのエリアに放たれたドローンから一人で五分間個逃げ続けるという単純な物。しかし捕捉されるとBB弾でちょっと痛い程度に撃たれるので上手く避ける事、ただ遊ぶだけではつまらないので捕捉された時間が少ない人が一位と競技性まで出てきた。
「あ、ちなみにッスけど獣狼くんは難易度上げるんでよろしくッス」
「素の、力が、違う、から?」
「それもあるし前に一回テストしたじゃないッスか、ちなみに今回のコレは大型遊戯場にも設置される予定ッスから気に入ったらそっちを利用してくれると嬉しいッス。手始めに獣狼くん、お手本の為にやるッスよ」
「難易度、は?」
「みんなに試してもらう難易度よりちょっと低いッスね、お手本なんでかるーくやって欲しいッス」
「はーい」
ゴーグルを装着しラインの中に入る、このゲームは開始地点は決まってないのでみんなから見えやすい位置で止まるとスピーカー越しにニックさんのカウントダウンが始まる。
『3、2、1、スタート!!』
『システム、キドウ、サクテキ、カイシ』
スタートと共にドローンが一機、天井付近にある格納スペースから発進しエリア内に降下してくる。このままではすぐさま見つかってしまうので素早くドローンが降りてくる場所から離れるか、ドローンの死角に入りやり過ごすかを選択しなければならない。今回は近いわけではないので素早く離れる事にする、ドローンは一定の高さにまで降りてくるとそこからランダムに移動を始める。
『獣狼くん、しばらくは普通に逃げて欲しいッス』
「大体、普通の、人、くらい?」
『そういう事ッスね』
障害物から顔を出しドローンの位置を確認しつつこちらに向いていない間に死角から死角へ移動し逃げ回る。それをしばらくやっていると。
『んじゃ獣狼くん、一回見つかっちゃって逃げてくださいッス』
「しばらく、引きつけ、て?」
『にしししし、物分かりの良い人は好きッスよ。後でランダム飴ちゃんを上げるッス』
ランダム飴かぁ・・・、変な味に当たらなきゃいいけど。そんな事を思いつつもドローンにわざと見つかりに行く、するとドローンが高度を落とし赤いライトでこちらを照らしながら今回の難易度では個性未使用の高校生が走るくらいの速さで追跡を始める。
『モクヒョウ、ホソク、シャゲキ、カイシ』
モーター音と共にライトが段々と早く明滅していき、明滅がピークに達した時に低速でBB弾が発射されるので右に左に時には障害物を駆使しつつBB弾を避ける。しばらく避けてもう平気かなとドローンよりちょっと速度を出して障害物を使い二回三回と曲がって行きドローンの追跡をまく。
ドローンはしばらく辺り一帯を探すので手早く移動するが一回探しているドローンがこちらを向いている間に移動する。すると素早くこちらを確認しに来るのでまた死角へと隠れる。
『にししし、察しの良い人も自分は好きッスね。ランダム飴ちゃんから好きな味の飴ちゃんに昇格ッスよ。これで説明は終わったんで終了ッス、戻ってきていいッスよ』
「じゃあ、りんご、味の、飴で」
『了解ッス、みんなも飴ちゃんいるッスか?』
『システム、シュウリョウ』
ドローンが戻っていくのでみんなのところに向かう、みんなも飴を貰ったようだが表情からしてハズレは引いていないらしい。ニックさんからりんご味の飴を受け取り包装紙をはがし口に入れる、この飴はニックさんの手作りなので市販の飴とは違い甘味料の味も少ない。
「んじゃ、やり方も分かったところで早速遊んでみるッスよ。誰からやりたいッスか?」
「まずは俺からやってみてもいいだろうか?」
「飯田くん?うちは大丈夫やけど」
「僕ももうちょっと見てみたいから良いよ」
「俺も問題ない、一番手はお前に譲ろう」
「いいよ、俺は、寧ろ、最後に、やる、つもり、だし」
「んじゃあ決まったッスね、ゴーグル付けて中に入るッスよ」
そうして飯田くんから始まったゲーム大会、飯田くんは堅実な動きでドローンから逃げるも壁から覗いた瞬間にドローンに何度か見つかったが素の脚力もよくすぐさま逃げ切り時間としては中々いいタイムではないだろうか。
次の緑谷くんはなんとドローンの動きを予想し逃げ続けていた、見つかった回数は飯田くんよりも少なかったもののBB弾が当たり逃げ切るのに時間がかかり、飯田くんよりタイムが多くなってしまっていた。
麗日さんは飯田くんと同じく堅実に動くが体格の違いが出たのだろう、こちらはBB弾を避けられたが逃げ切るのに時間がかかってしまい緑谷くんよりタイムが多い
常闇くんは緑谷くんと飯田くんの両方を採用したようで、冷静に追い詰められないように立ち回り見つかっても見事に逃げ切っていた、現在タイムは一番少ない。
そして俺の番だが、現在進行形でドローンに
『にしししし!!過去に獣狼くんにアッサリと
「さっきと、説明、が、違う!!」
『そうッスね!上にはそう言ってるだけで本命はこっちッスよ!!』
「また、そんな、事を!!」
ライトの明滅が無くなり連続で発射されるBB弾、障害物を曲がり避けつつも更に速度を上げて一歩を進みまた曲がる。静穏性が高められているが僅かなモーター音からまだ追いかけてくると判断、距離を取りつつジグザグに曲がり移動。やっと逃げ切れたと開始十数秒で安堵する事になるが。
『モクヒョウ、ロスト、サーマルスキャン、カイシ』
「大人げ、ねぇ!!」
『あーはっはっはっは!勝てば官軍ッス!!』
その後も熱探知から音探知に振動探知も行われては見つかり、BB弾は当たらなかったものの見つかっていなかった時間がドローンから逃げて移動している間だけとなり、タイムとしては一番多い結果になった。とりあえずニックさんと言えどドヤ顔が腹立つのでこの会社の中でも良心的な偉い人に
鉄扇の製作者のニックです、ちなみにニックはあだ名で本名はちゃんとありますが、面倒なのであだ名で良いやと言う人です。
サポートアイテムを最初は体験してもらおうかな、と思っていたのですがぶっちゃけサポートアイテムってどれもこれも使い方間違えれば危ないものじゃない?と思ったら貸し出すかな?と言う疑問になってしまい・・・。