なるほど・・・、これが水着回になると唐突に描写が増えるという現象・・・!あ、はい遅れてごめんなさい。
今回雄英高校の経営科について、独自設定が入ります。と言うのも、こういう事を本職としてる人もいそう。と思いこうしました。
第四十九話:夏の始まりでプールにて
始めて全校生徒が集まる終業式も無事に終え、夏休みが始まっていた。打ち上げの後、夜のニュースが気になって買い物に行ったみんなに連絡すると遭遇したのは緑谷くんだけの様で、チャットアプリでも無事を確認はしていたのだが学校で会った時にもまた確認をしてしまったが、それだけヴィラン連合の、USJ事件や保須事件の影響が大きいからだろう。
夏休みでは林間合宿に行く前にしばらくの猶予がある、ただその間は休みを消化するなんて雄英生徒の、特にヒーロー科は居ないだろう。普通の人より
しかし雄英側も夏休み前にヴィラン連合を危険視し長期の外出を自粛するように、という指示があったのだが家ではお父さんしか運転出来ないのと、そのお父さんが忙しい立場になったのに加え俺の林間合宿で実質長期の外出をすること自体、今年は無いだろう。それにお母さん夏はインドア派だしね。
そんな中、今日は力を少し控えつつもサイクリングでもしようかなー、と体を動かす方法を考えていると緑谷くんからメールが届く。なんでも上鳴くんと峰田くんの二人が雄英のプールを使って体力強化を行うとの事、事前に申請もしているらしく用意周到だ。現地集合と書いてあったのでもちろん行くとメールを返し、気分でプールに行くので目のつく範囲に用意してあった学校指定の水着とまだ使える定期、財布にスマホを外出用のカバンに入れていると。
〈プールは楽しみー〉〈水の中をスイスイー〉〈泳いでないけどねー〉
(みんなは干渉できないからね・・・、それでも俺よりいいんじゃない?)
〈獣狼のはー〉〈特例過ぎてー〉〈なんともいえぬー〉
(こればっかりは、しょうがないし・・・)
水の中と言う、陸の上とは違う光景が楽しめる行事に精霊たちは喜んでいるが、流石に俺のは特例だとわかる様で。しかしだからと言って俺がプールを嫌いと言う訳でもなく、水の中で行動するには中々力がいるので少し全力を出せたりして楽しかったりもする。
まぁとりあえず、緑谷くんのお陰でタダでプールを使えるというのは喜ばしい事で、お母さんに雄英でプールに行ってくると伝えれば鍵を持ったか確認をされ、玄関まで見送ってもらい雄英高校に向かう為に駅に向かって歩き出した。
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雄英高校に到着後、上鳴くんと峰田くんが事前に申請しているとはいえ学校施設を使うので職員室に顔を出せば、相澤先生が対応してくれて簡潔に利用する場所などの説明された後、退出しプールへと向かった。
水着に着替えて更衣室を出て、転ぶと危ないので歩いて行けばスイムキャップとスイムゴーグルを付けた恐らくは声からして飯田くんだろう人物に脇の下に腕を回されて捕縛されている上鳴くんと峰田くん、しかし真面目な水泳スタイルと高い身長、筋肉質な体の影響でちょっと不審者に見えてしまったのは内緒。
「あ、回精くんも来てくれたんだね」
「うん、同伴、させて、貰った、よ」
「回精・・・何度か見えていたからわかっちゃいたが、お前なんでそんなに筋肉ついてないんだ・・・?」
「峰田と同じくらい・・・いや少し上か?」
「・・・体質、としか・・・」
「いやだってよぉ、言っちゃ悪いが近接戦をしない常闇ですら筋肉は付いてるんだぜ?バリバリの近接戦のお前が筋肉ついてないって不思議過ぎるわ」
「・・・ふんっ!・・・だめかぁ・・・」
「いや、お前がそんな力こぶ作る動作したって出ないだろ・・・」
こればっかりはしょうがない、鍛えても筋肉がつかないのだもの。そう考えると割と不思議な体してるよな、こんな子供っぽい体なのに力だけに関しては恐らくここにに居る全員より上なのだから。話し込んでいたら何時の間にか捕まえた二人を開放し、真面目な行事だからか飯田くんが委員長モードになってA組男子を主導していた。
「では諸君!水泳の前に準備運動は必要だ!準備運動も一通り覚えているので俺に合わせてみんなも体操をしてくれ!!」
「「「「覚えているのかよッ!?」」」」
「安心したまえ!何かあった時の為にラジオ体操も全て暗記している!!」
((((そこじゃねぇ!!))))
微妙に何かが噛み合っていない会話があったものの、飯田くんの掛け声とともに準備運動を開始する。実際こういったお手本があるとやり易く、自己流でやるよりも効率が良いものだった。そして男子よりも前に集まっていた女子は準備運動を終えていたらしく、プールに入りボールで遊んでいたが・・・。まぁ上鳴くんと峰田くんの二名の名前が上がった段階で察せたのでスルーする、他の男子たちも何となくそんな予感がしていたからか誰もその話題を口に出さない。
しかし意外だったのが快心さんもそこに混じっているのだ、A組では無いのに何故・・・。と思ったが何だかんだクラスが別なのに昼休みや放課後やらで何度も会っている仲だった、こういった事に誘わない訳が無いか。
「よし!無事に準備運動も終わったところで何名かに分かれて泳ごう!女子と協議しプールの半分を使う事になった!これならばローテーションも出来るだろう!」
「あ、飯田、くん。良い?」
「ん?どうしたんだ回精くん、何か質問でも?」
「ううん、俺、泳げ、無いから、分かれ、られない」
俺の発言が相当驚きに溢れたものだったのか、男子以外にもボール遊びをしていた女子もこちらを見て固まっている。快心さんは事情を知っているために苦笑していたが。
「え?嘘だろお前THE・身体能力マンじゃねぇか」
「体質、がね・・・。ちょっと、水中、と、合わなく、て」
「動物の中には水に濡れるのを嫌う種類もいるが、そう言うのか?」
「ううん、そう言う、のじゃ、無いけど・・・」
「もしや純粋に泳げないのか!?なら俺が泳げるよう手伝おう!!」
「うーん、見せた、方が、早いね」
論より証拠、泳げない事を証明するためにプールの縁に腰掛けた。
─────
「ねぇ、快心って回精とは中学からの友達なんでしょ?なんか知ってる?」
響香ちゃんの声で獣狼くんから目を離せばA組女子達の気になると言った顔がこちらを見ていた、良くも悪くも獣狼くんが泳げないって、ギャップが凄いからねぇ・・・。
「そうだね・・・、とりあえず獣狼くんが実践してくれるみたいだし、説明はその後かなー」
視線を戻せば獣狼くんがプールの縁に座り、足から徐々にゆっくりとプールに入っていた。そういえば獣狼くん濡れた後のブラシ忘れてないかな・・・?百ちゃんに頼めばブラシ作ってくれるかなー。なんて思っていれば獣狼くんがプールの中に入って、
「・・・ねぇ快心ちゃん、回精ちゃんのアレは大丈夫なの?」
「大丈夫だよ?だってアレが何時もの獣狼くんだもん」
「え?何時ものって・・・」
男子たちが獣狼くんの居たプールサイドに集まって慌てた様子で水中を覗き込んでいる。まぁ私も最初見たときにはビックリしちゃったけど、今じゃもう慣れっこだ。
「うん、獣狼くんって見た目に反して体がすっごーく重いの。だから水に浮けないんだよね」
「え!?それってやばくない!?」
「大丈夫だよ、獣狼くんは頭ならそこまで重くないし直接膝の上とかに乗せなきゃ平気だよ。それに膝の間に座らせてあげれば耳と尻尾が───」
「いやそこちゃうし!ってか何やっとるん!?」
説明しているとお茶子ちゃんのツッコミで中断させられ、その間にプール底を歩いたのか入った場所とは離れた位置から獣狼くんが跳び出してくる。少し勢いがあった為か軽い波が発生したけど、みんな平気だったのはヒーロー科は伊達じゃないという事かな。
「え?出てきた場所が違いますわ・・・」
「プール底を歩いて来たんだね。多分男子が集まるってわかってたから移動したんだと思うよ」
「・・・ねぇ、もしかして回精が泳げないって言ったのって・・・」
「うん、水に浮けないからそもそも泳げないし、歩いちゃえるからって意味だよ」
二つの意味でね?
─────
「なるほど・・・、身体能力が高い分それを支える筋肉や骨の密度も高い事で体重が重いのか・・・」
「そういう、事。だから、ごめんね?こっちで、勝手に、鍛え、ちゃうね」
「別に構わねぇって、言っちゃ悪りぃが十三人で人数的にちょっとアレだなーって思ってたしよ」
「そう、言って、貰える、と、助かる、よ」
「そういう事ならば仕方がないな・・・、では回精くんを抜いて四人三チームで別れよう!別れ方は出席番号でいいだろうか?」
「「「異議なし!」」」
飯田くんの提案に男子全員が返事を返す、この辺りは流石と言うべきスピードで決まって行き早速最初の四人とその後ろに二人ずつ並ぶ。俺は邪魔しない様に遠回りで女子達に端っこでいいから使わせてもらえないか聞いてみると、快心さんから俺が泳げない事を聞いたのか、すんなりと端っこを借りる事が出来た。
さて、端っこも無事借りることも出来たがあくまで借りているだけ、あんまり強く動いて女子達に迷惑をかけるのは良くないと思い何度か息継ぎの為に縁に上がりつつも水によって抵抗が強い中、水底を走りプールの壁に向かってジャンプ、壁を蹴って三角飛びの要領で向きを変え、体全体を使って方向転換しまた壁に向かう。
全部同じではつまらなかったので手を変え品を変えと動いて何度目かになる息継ぎでプールから上がれば、飯田くんがジュースを差し入れに持って来てくれたらしいので有難くいただく事に。流石に結構な時間を泳いだからかA組水泳チームはそれなりに疲弊しているようだ。
「しっかしよぉ回精、お前泳げねぇってもしも水に落ちたらどうすんだよ?」
「歩ける、よ?」
「いや川なら大丈夫だろうが、海だと深すぎて歩くも何もないだろ?」
「あー・・・ちょっと、実践、するね?」
丁度女子も飯田くんのジュースを受け取って休憩にしていたのでプールには誰もいない、横断すればそこまで被害は無いかな?
「じゃ、行くよー。せーのっ」
掛け声と共にプールに向かって走り水面を
「ね?歩ける」
「もしかして・・・足が沈む前に次の足で水面を踏めばいいとかそういうか・・・?」
「そそ、これなら、海も、平気」
「・・・脳筋過ぎんだろよぉ・・・」
「でも、多分、緑谷、くん、も、出来る、よ?」
「えっ!?僕も!?」
「出力、上がれば、恐らく、は?」
尾白くんの今やった事の解説と峰田くんの脳筋発言、だがこれに関しては個性で脚力とかを強化すれば出来る様な代物なので緑谷くんにバトンタッチ、俺の発言に緑谷くんが少しワクワクしながら全身に力を入れて水面を歩こうとするが。
「うわっぷ!?」
「力、足りない、みたい、だね」
「・・・力が足りないって事は、後は個性を制御するだけで水面歩き出来るのか・・・」
「恐らく、ね?多分、今の、倍とか?」
尾白くんが俺の呟きに反応し、それに答えていると緑谷くんがプールから上がる。流石に一回で成功するとは思っていなかったもののやはり何度も泳いでいた疲れか、ぐったりしていると緑谷くんを気にかけた飯田くんがジュースを渡し二人で話し始めた。内容的に入っていくのは不味そうだなとプールサイドの適当な場所に座り、空を眺めつつちびちびとジュースを飲んでいるとひたひたと歩く音が聞こえた為に視線を向ければ快心さんがジュース片手に歩いて来ていた。
「獣狼くん、隣いい?」
「いいけど、どうし、たの?」
「クラスに馴染めてるかと思ったら一人で空を見てて気になっちゃって」
「・・・流石に、まだ、みんなで、会話、してる、ところへ、行くの、には、慣れて、無い、から」
「ふふふっ」
「・・・笑う、のは、失礼、だと、思う、よ?」
どうやら一人でいる事を気にしたようで、その事で答えれば今度は笑われてしまう。流石に失礼なので苦言を呈せば快心さんは謝りつつも人の頬をぐにぐにと遊び始める。
「ごめんね?ほら、笑顔笑顔」
「
「だって、口を尖らせてるんだもん。可愛くってついね?」
「うー・・・」
「拗ねないで、でも獣狼くんって雄英に入ってから色々あって変わっちゃったなぁーって思ってたんだよ?でも案外変わってなくてつい嬉しくて」
「人は、変わる、よ?」
「でもほら、弟が知らず知らずの内に変わってたら少し寂しいじゃない?」
「・・・それ、実の、弟、の、話?」
「獣狼くんが良いならお姉ちゃんになってあげるよ?」
「遠慮、しておく」
「気が変わったら何時でも言ってね?」
まるで人を弟の様に扱ってくるので僅かな可能性を持って
爆豪くんの負けず嫌いな発言から飯田くんの提案でプールの訓練からA組男子の中で誰が一番早く泳げるかの競争が始まる。ルールは個性使用アリの自由形、人や物に危害を加えないで行うという事で。
「・・・飯田、せんせー、危害を、加える、ので、審判、しまーす・・・」
「泳げないんだったな、確かに水面を歩かれては他の泳ぐメンバーが危険か・・・。ならばお願いする」
「はーい、じゃ、ゴールで、誰が、最初か、ジャッジ、するよ」
獣人種の動体視力があれば判断もしやすいだろう、スタートの合図は八百万さんが受け持ってくれるようなので途中で交代と言う心配もない。プールの角で見逃さない様意識を集中するが。
「どォーだクソモブども!!」
「泳いでねぇじゃねぇか!!」
「自由形っつっただろうがァ!!」
「・・・」
「だから泳げって!!」
以上、個性を使って
何かを思い出している表情で、しかし決意のこもった目線で轟くんを見た後にこちらも見る飯田くん。誰も言葉にしない、否、出来ない中でも伝わる意思。「自分の目指した最高のヒーローになる」、その決意のこもった目線はくすぐったくも嬉しいものでつい口元が緩む。だがこれで俺の意思が伝わったのか三人も笑顔で返してくれた。
そして最後の爆豪くん、緑谷くん、轟くんの対決、一瞬も見逃せないと集中を始める、飯田くんの合図が始まり各々が個性を使う体制を整えスタートの合図が出され全員が一斉に跳び出す、が。
「17時、プールの使用時間はたった今終わった。とっとと家に帰れ」
「そんな!せっかく良い所なのに!」
「なんか言ったか?」
「「「「なんでもありません!!」」」」
「ねぇ、これがA組の何時ものなの?」
「うん、面白、い、でしょ?」
相澤先生が個性を封じ、プール使用終了を伝えに来たために誰が一番早いかは決めそこなってしまう。この光景を始めてみた快心さんは小声で聞いてきたので、答えると少し苦笑していた。
ほぼ全員と校門で別れ、この時間だと歩いた方が早いという事でブラシをもって俺の髪を手入れする快心さん。と言うか歩きながら器用だなーって思っていると唐突に。
「A組のみんなは良い人達ばっかりだね」
「どうした、の?突然」
「だってそうでしょ?他クラスの私も仲がいいからって誘ってくれたんだよ?」
「・・・そういう、ものじゃ、ないの?」
「ただの仲の良い友達ならね。でもみんなヒーロー科だよ?科の違う私も誘ってくれるって中々出来ないと思うんだ」
「まぁ、みんな、優しい、し」
「だから獣狼くんも変わっちゃったり?」
「・・・まぁ、ね」
俺自身の変化は良い事なのだろう、だがそうやって指摘されると、その、少し恥ずかしい。その後は言葉少なく歩いていたがまたも唐突に。
「ねぇ、獣狼くん。私ヒーロー科の林間合宿に参加する事にしたんだ」
「・・・快心、さんが?」
「うん、経営科って別に事務仕事とかヒーローをどうやって目立たせるだけじゃないんだよ?私みたいにヒーローをケアするって人も少なからずいるんだ。だからその予行演習で参加するの」
「そっか、個性、凄い、もんね」
「・・・私の中で一番凄い獣狼くんに褒めてもらえるのは嬉しいなぁ」
声に隠し切れない嬉しさを感じながらも俺もまた快心さんの中で評価が予想以上に高かった事に嬉しく思っている。A組のみんなですら耳と尻尾の動きである程度、感情がバレて居たりするのだからすぐ後ろにいる付き合いの短いようで長い快心さんにはバレバレなのだろう。
「ふふふっ、林間合宿でも獣狼くんのお世話をしてあげよっかなぁー?」
「むぅ・・・、あんまり、変な、事は、しない、でね?」
「・・・ホント、変わったね獣狼くん、勿論良い意味でだよ?」
〈どんなに変わってもー〉〈獣狼は獣狼ー〉〈そこに何の違いもありゃしないー〉
「・・・・・・ありがと」
快心さんの言葉の後、精霊たちが気を使ってくれたのか慰めてくれる。その心遣いが嬉しいからこそ、みんなに聞こえるように口に出して感謝の言葉を伝えればみんなは笑顔で返してくれる。嬉し恥しな気持ちの中、快心さんのブラシで髪を僅かに引っ張られながらも帰路を歩んで行った。
何やってんだコイツ、と思ったでしょうがこれが快心さんなんです。これで平常運転なんです。
水面走りはノゲノラ外伝でやってそれで魚を捕まえていますが、獣狼は流石に魚を捕まえる程の余裕はありません。