ワイプシの案内で到着した肝試しのスタート地点、一部生徒の上がり切ったテンションが担任の
しかしそんな事は関係ねぇとばかりに今回の肝試しルールが説明されているのだが、こういった状況で珍しく精霊たちに話しかけられた。
〈ねぇ獣狼ー〉〈肝試しってー〉〈なんぞやー?〉
(そういえば初めてだっけ?脅かしてくる人たちがいるから精神を強く保って決められたルートを進む・・・。遊びかな?)
〈変な遊びー〉〈森の中で肝試しー?〉〈獣狼に脅かしが通用するのー?〉
(うーん・・・、そればっかりは風向きとか隠れてる人の技量かなぁ・・・)
〈まぁいいやー〉〈ありがとね獣狼ー〉〈また何か気になったら聞くよー〉
(うん、答えられるものなら答えるよ)
〈〈〈ばいばーい〉〉〉
肝試しについて知らなかった精霊たちに説明すると、そこまで楽しそうな物じゃないと判断したのかアッサリと興味を失い、会話を切られてしまう。これに関してはお母さん曰く、ただ悪気が無く子供っぽいだけ、らしい。
実際久々ではあったが、精霊たちが目覚めてからはアレは何?コレは何?と質問攻めにされて大変だったことがある。だがしばらくしたら満足したらしく、それ以降興味を持たなければ外だと向こうからはほぼ話かけられなくなった。
ただ精霊たちが気を使ってくれているのか、家に帰って周りに気にしなくてもいい環境になると気になった事で質問攻めが始まる。しかし正直なところ、外で説明するのも大変だったしで助かったのは否定できなかったり。
そうこうしている間に肝試しの説明も終わり、くじ引きでパートナーを選ぶ事に。・・・あれ?でもA組って五人が補習でしょ?快心さんもこの場にはいるから22人から奇数が引かれれば一人、余るんじゃ・・・。
「はい、ピクシー、ボブ、さん」
「ん、どうしたのかなー?もしかしてもう怖いとかー?」
「奇数、で、一人、あまり、そう、なんです、けど」
「あぁ、それなら一人で行かせるわよ?流石に三人だと安心感が出ちゃうからね」
マジか・・・、俺一人だと多分脅かす側が上手くなければ凄くつまらない結果になりそうなんだけど・・・。クジを確認すれば数字の7が書かれており、ペアは九組出来るので一人の人を探していると緑谷くんが一人佇んでいる。もしかしてと思い近づこうとするが後ろから呼び止められてしまった。
「獣狼くん、ペアは決まった?」
「ううん、まだ、快心、さんは?」
「私は7のペアなんだけど、獣狼くんは?」
「7、なの?じゃあ、緑谷、くんは・・・」
周りを見渡す、もう既に他の人たちがペア同士近くにいる中、たった一人で佇む緑谷くん。嫌な予感が的中してしまい、緑谷くんもその残酷な事実に気づいてしまったのか、虚空を見つめつつブツブツと呟いていた。その異常な姿に気づいた尾白くんがフォローするも彼には届いていない。
「獣狼くん、どうしたの・・・?」
「ううん、残酷、だな、って・・・」
「あっ、獣狼くんも7なんだ!やったー!」
〈快心がペアーだー〉〈二人組作ってー?〉〈緑谷ぼっちー?〉
「やめよう?やめろ」
「え?どうしたの?」
「ううん、なんでも、無い」
〈怒られたー〉〈でも二人組はー〉〈うっ頭がー〉
「回精ィィィィィ!!オイラぁ、オイラとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「・・・闇の饗宴」
「あぁぁぁもう!ペア変更禁止!!さっさと一組目行きなさい!!!」
ピクシーボブさんの鶴の一声により闇の饗宴は一部揉め事もあったが、無事開始された。
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五組目の梅雨ちゃん&麗日さんペアが出発する、先ほどから女子の甲高い叫び声が聞こえるので雰囲気バッチリだ。快心さんも雰囲気につられたのか、何時もよりも落ち着きが無くなってしまっている。
「大丈夫だよ、獣狼くん。私がついてるからね!」
「・・・肝、試し、平気、だよ?俺」
「えっ?でも妖目くんが獣狼くんはビビりだって・・・」
「・・・色々、あるん、だよ?」
「えぇー・・・、せっかく可愛い獣狼くんが見れると思ったのに・・・」
快心さんは一体俺をなんだと思っているのだろうか・・・、ペットか弟?・・・反応的に弟だろうなぁ・・・。
そんな事を思っていると焦げ臭さを感じるが、周りは気づいていないので小規模、と言う事は爆豪くんか轟くんだろうか?一応ピクシーボブさんにも伝えたものの、俺の考えと一緒で個性的にあの二人が何かしただろうが、轟くんがすぐさま消火出来るだろうし問題ないでしょと流される。
しばらくすると他の人も焦げ臭さを感じ、ピクシーボブさんも流石に異常と感じたのか警戒を始める。森の方を確認していた人が黒煙が立ち上っているのを確認し、山火事が発生しているのではと場が一気に緊張感に包まれる。その為にピクシーボブさんの叫びに反応が遅れ、視界に入れたときは猛スピードで森の方へ飛んでいく姿。
全員がそちらに視線を向けると、白い布に包まれた大きな棒状の何かを持った男に頭を殴られ、地面と大きな棒に頭を挟まれ身動きが取れないピクシーボブさん。明らかなヴィランの襲撃、山火事とは別の緊張感に包まれるもマンダレイがすぐさまテレパスで状況を伝える。お互いに相手の一挙一動を見逃さない様に警戒していると、緑色の鱗を持ったトカゲの様なヴィランが大声で話し始めた。
「ご機嫌よろしゅう雄英高校!我らヴィラン連合開闢行動隊!!」
「ヴィラン連合!?なんでここに・・・!」
「ねぇねぇ、この子の頭、このまま砕いちゃってもいいかしらぁ?ねぇ、どう思う?」
「させぬわこのっ「待て待て、早まるなマグネ。虎もだ、落ち着け」・・・」
まさかのトカゲのヴィランがヒーローとヴィランを抑えるという、あまりにも奇妙な光景に虎さんも構えを解いて話を聞く姿勢になると、トカゲのヴィランが語りだす。生殺与奪は全てステインの主張に沿うか否か、と。典型的なステインの信奉者に飯田くんが反応する、トカゲのヴィラン───スピナーはどうやら飯田くんをステインの終焉を招いたとして殺しに来たようで数多の刀剣を束ねた不格好な両手剣を構えながら自らを彼の夢を紡ぐものと自己紹介をする。
場は最早戦闘は免れぬ状況になり、マンダレイさんの指示で飯田くんの引率の元、施設へ逃げ込むよう指示を出す。突然のヴィランの襲撃に動けないでいる快心さんの手を引いて走り出すが、緑谷くんが来ていない。
「飯田くんたちは先に行ってて!マンダレイ、僕知っています。洸汰くんの居場所を!!」
「・・・飯田、くん。快心、さんを、お願い」
「回精くん!?何をするつもりだ!?」
「緑谷、くん、俺も、行くよ。一人、より、二人、でしょ?」
「・・・ごめん、お願い出来る?」
「待って!獣狼くん!!」
俺の提案に緑谷くんが頷いてくれたところで快心さんの叫ぶような声が聞こえた、快心さんの方へ向けばあの時の様な表情で、俺の身を案じる快心さん。なので心配ないと伝える為にあの時の様に笑顔で伝える。
「だいじょぶ、必ず、戻るよ」
「獣狼、くん・・・」
「回精くん、行こう」
「うん、案内、よろしく」
「ッ~~~!良い!?洸汰の救出を任せるだけで、ヴィランとの戦闘は絶対しちゃだめだからね!!」
「「はいっ!!」」
時間は止まってはくれない、緑谷くんは洸汰くんが心配の様で多少なりとも焦っていた、なので手短に案内を伝えれば全身強化で走り出すのを追って俺も走り出す。その後ろからマンダレイさんに釘を刺されたが、緑谷くんも最初から逃げるつもりの様で一緒に返事をする。そうして俺たちは一気に森の中を走り抜けていった。
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「行こう、微睡くん。二人はクラスの実力者で移動力もある、子供を救出してヴィランから逃げるだけなら心配はない」
「・・・うん・・・」
残った生徒たちは飯田の後を追い走り出す、少なくともバラバラで移動するよりは固まって移動した方が襲撃されても対処がしやすい分、都合が良いからだ。走り出す飯田、尾白、峰田、口田に少し遅れてついていく微睡、あくまで彼女はヒーローのサポートでヒーローとして特訓はしていない、四人についてこれるだけでも十分体力がある方だ。四人もヴィランの襲撃と言う事で何時自分たちが襲撃されないか気を取られていた、だからだろう。
「先生、今のは!?」
「あれ?微睡さんは?」
「何ッ!?はぐれてしまったのか!?先生!微睡くんが居ません!!」
「なんだと!?途中までは一緒だったのか!!」
「はいッ!ですが今は影も形も見当たりません!!」
「チッ・・・わかった、お前たちは中で待機しろ!」
一人、居なくなってしまったのに気づけなかったのは純粋に彼らの経験が足りないという、こればかりは仕方のない出来事だった。
ハッピーエンドを略すとハピエンですが、バットエンドを略すとバトエンですかね?主に五角形と六角形が使われそうですね、削り過ぎて効果が分からなくなったり、キャップで装備して・・・。
え?知らない?あっ・・・。