実はタイトル変えるーって言っておきながら、獣狼くんの強化に関しては書く直前までずっと悩んで、それで今の形に決まったので案外変えなくてもよかったりー、なんて思ったりしてます。
早朝、その日にどんな予定が入っていても、早く起きて何時ものコレをやらないと気が済まない体になってしまった。何時も一緒に起きる夜桜もこの散歩の様な物に参加しており、前までは公園で遊具やらベンチやらを障害物に見立てたパルクール擬きで遊んでいたが、今では夜桜との鬼ごっこに変わっていた。
最初は鬼ばっかりだった夜桜も、段々と体の動かし方をわかって来たのか四足歩行を生かした戦法を取るようになった。今では鬼決めのコイントスの後、俺が鬼なら夜桜の小回りにどうやって追いつくか、夜桜なら俺の速度にどうやって追いつくか。そして鬼が切り替わったら先ほどとは逆の戦いが始まる。即ち鬼の小回りにどうやって逃げ切るか、鬼の速度からどうやって逃げるかの戦い。
そうして、何度か鬼を交代し追って逃げてを繰り返した後、スマホにセットしていたアラームが終了を告げる。それと同時に夜桜の悔しそうな鳴き声、特に勝敗で何かするとか決めている訳ではないが、夜桜は結構負けず嫌いだ。
「ほら、お家、帰ろう?」
「〈キュゥー・・・〉」
「毛に、砂とか、入って、嫌でしょ?洗って、あげる、から、ね?」
「〈キャーゥ・・・〉」
どうやら今回負けたのがよっぽど悔しいらしい、確かに最近は夜桜が俺に触れられる頻度も上がってきたし、今回も危うく触れられる場面もあった。だけど最近体の動かし方をわかってきた夜桜にまだまだ負けてあげられない。
家に帰れば夜桜を抱っこしたままお風呂場に向かい、一緒に汗と砂を落とす為にシャワーで軽く流す。お風呂から上がれば髪の毛を乾かす為にドライヤーを使う、髪の毛は前髪をある程度整えただけで実は長いままだったりする。理由が若干女々しいかもしれないが、みんなとの約束通り頑張るという願掛けの様な物だ。
髪を乾かし終えれば、次はタオルにくるまって巻き寿司かロールケーキかに成り果てた夜桜を転がしながらタオルをはぎ取り、ドライヤーで毛を乾かす。夜桜はドライヤーが気に入ったのか、はたまた濡れた毛が嫌なのか凄く大人しい。あ、両方なんだね・・・。
リビングでは既に朝食が出来上がっており、珍しくお父さんもお母さんもそろっているので俺達で最後だ。
「良いか獣狼、共同生活というのはちゃんとルールを守らなければ大変な目に合うんだぞ」
「はいはい、獣狼ちゃんなら大丈夫ってあなた昨晩言ったばかりじゃない」
「むぅ・・・だが、やはり心配で・・・」
「なんで向かう人より不安になってるのかしらねぇ・・・」
「一番、生活、能力、ないから、かな?」
「いや生活能力が無いわけではないぞ!?ただちょっと大雑把にだな・・・」
「それが生活能力が無いというのよ、諦めなさい」
「それより、食べて、良い?夜桜、食べたい、って」
「良いわよー、それにあんまり長いと遅れちゃうかもね」
「・・・獣狼もドンドン扱いが悪くなってきた・・・これが成長か・・・。この少し人に刺さる言葉、昔のお母さんグホォ!?」
お母さんの精霊によって物理的に口止めされたお父さんを無視し、何時もよりちょっと豪華な朝食を取る。ちょっと豪華と言っても俺の好きな品が一つ二つ増えたり、量が増えたりとしているだけだが十分嬉しい。
「〈キュー!キャァーウ!!〉」
「夜桜、も、豪華、だね」
「〈キャーウ〉」
嬉しさのあまり俺に自慢したかったらしい、満足しておすわりの姿勢でお皿に盛られた
朝食が終わり、制服に着替えて事前に準備していた荷物を肩に下げる。出る前に自分の部屋を見渡せば、一部の物以外は寮に送られており、若干寂しさを感じてしまう。でも休日とかに帰ってこれると自分に言い聞かせ、部屋を後にした。玄関では夜桜が準備万端で待っており、やっぱり見送りをしてくれるのかお父さんとお母さんも居る。
「ではな、獣狼。寮生活も楽しんで来い」
「寂しくなったら何時でも帰ってきて良いのよ?でもー、快心ちゃんがいるから大丈夫かしら?」
「うん、頑張る。そこは、ノー、コメント、で」
「〈キャァウ、キュー〉」
「うん、それじゃ、いってき、ます」
「元気でな、獣狼」
「行ってらっしゃい、獣狼ちゃん」
お父さんとお母さんの見送りを背に、二人の待つ駅へと向かう。この姿になって友達や親友に見せるのは初めてだ、それに夜桜も・・・まぁ快心さんだから平気か、寧ろ夜桜の方が大丈夫か?思いが伝わってしまったのか、隣を歩く夜桜から抗議がやってくるものの、俺と同じ道を歩むんだと諦めて欲しい。
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駅で二人と合流した際、妖目と快心さんは夜桜に驚き、パニックになったのか快心さんは。
「獣狼くん、その子・・・誰との子?」
「ブホォ!?」
「待って、話、変な、方へ、飛躍、し過ぎ。後、妖目、覚え、てろ」
事情説明もかねて、夜桜が俺の胸へと跳び込みそのまま入っていく。流石にこの光景で正気に戻ったのか、快心さんは話を聞いて誤解も解けたようだが。子供ってどうしてそんな風に勘違いしたんだ・・・。しかしそうなるとやっぱり目の事が気になるようで、しかし夜桜と融合しているから、と答えれば珍しそうに見てくるものの、すんなりと納得してくれたようだ。
とりあえず夜桜はこのまま待機、雄英高校へ向かう電車に乗り今まで何をしていたのかや、取り留めのない会話を楽しむ。あっという間に降りる駅に到着し、駅から出た辺りで夜桜も出てきた。俺の中は居心地が良いが、自分で動けないので出てきて良い時は出来る限り出ておきたいらしい。
そうしてバス停にて雄英高校前に止まるバス待ちをするのだが、この待ち時間は快心さんが好きに撫でてくる時間でもある。決して悪いという訳ではないが、俺がまだ合宿の事を引きずって恥ずかしい。
だが今回は夜桜が居る、快心さんも直接動物に触れ合える方が喜ぶはずだ。それに夜桜は言ってしまえば個性、快心さんの懸念もなく楽しめるだろう。と思っていると、後ろから抱きしめられる。
「・・・あの、快心、さん。夜桜、は、いい、ので?」
「えっと、ダメかな・・・?」
「・・・お好きに、ドウゾ・・・」
「えへへー、獣狼くーん・・・」
「・・・解せぬ」
「ひっー、ひっー、諦めなよ獣狼。もう快心さんは獣狼にメロメロだよ?」
夜桜も俺と同じ道を歩むと思っていた時期が俺にもありました、でも蓋を開ければ快心さんは夜桜よりも俺と言う始末。妖目も腹を抱えながらも笑って乱れた息を整え、訳知り顔で告げてくるので睨むが。
「獣狼ってば、そんな赤くなった顔で睨まれても怖くないよー?」
「・・・どう、やって、知った」
「うーん、まぁ色々と相談される立場って事さ。個人的には“頑張れ”としか言いようがないけどねぇ?」
「この、性悪、め」
「その顔で言われても可愛いキツネの遠吠えにしか聞こえないなぁ?」
畜生コイツ、合宿で
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校門前で二人と分かれ、1-Aの教室へ走って向かう。正直バスの中でも離してくれないとは思わなかった、お陰で顔は赤いまま、妖目はずっとその様子を見て楽しんでいたので容赦しない、絶対に。
体を動かす事で、顔の赤さを少しでも誤魔化せないかと浅知恵を働かせるが、校舎内を走るのは不味いのではという考えもあったので若干早歩きに変えた。
玄関辺りで出てきた夜桜を連れ、1-Aの教室の前まで到着すれば中から何名かの賑やかな声が聞こえる。検査から次の日、誘拐された生徒を救い出したと朝のニュースで見て心配になり、みんなに安否確認をしたら逆に心配されてしまった。三日間も音信不通だったのだから無理もない、原因をぼかしながらも無事と報告すれば、耳郎さんと葉隠さんが未だ意識が戻らない以外は全員無事との事。
その耳郎さんと葉隠さんも、家庭訪問前には目を覚まして無事と連絡を貰ったので1-A全員無事と言っても過言ではない。しかし長く考え込み過ぎていたのか、誰かが歩いてくる音と共に声を掛けられる。
「おい回精」
「あ、おはよう、ござい、ます。相澤、先生」
「はいおはよう。お前に渡す物がある」
そういうと紙の束を取り出して渡してくる一番上の紙には“意思を持った個性について”の文字。
「お前の個性についてはこちらでも把握している、その紙は今後お前の個性を校舎内で出歩かせるのに必要な事が書かれているから、しっかりと目を通すように。後で知らなかったは通じんぞ」
「とりあえず今日はしまっとけ、読む前に知らず知らずで違反するのも馬鹿らしい」
「はい、おいで、夜桜」
「〈・・・キャーゥ〉」
大人しくいう事を聞いて胸の中へ入ってくる夜桜、時間にはまだ早いものの、相澤先生が来たという事は寮への案内が始まるのだろう。教室に入れば相澤先生の声が聞こえたのか、みんなが静かに着席していた。しかし入ってきたのが俺と分かり、一部のクラスメイトが相澤先生ではない事に気が抜けた次の瞬間。
「おはよう諸君、早速だが寮へ案内する。しっかりついてくるように」
「「「「はい!!」」」」
相澤先生が来た時点で薄々感づいていたが、クラスのみんなと話す事になるのはまだ先の事になりそうだった。
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相澤先生の案内で、校舎からすぐの場所に見えていた新しい建物の一つに案内される。1-Aと建物の正面にでかでかと書かれ、看板にはALLIANCEの文字。配られた資料にはハイツアライアンスと書いてあったが、学生寮で通じるだろう。ここって他クラスの人が出入りできるのかな・・・?
「とりあえず1年A組、無事に全員集まれて何よりだ」
相澤先生の言葉にクラスみんながお互い集まれたことに加え、先生も集まれた事を喜び合う。特に最近まで意識不明だった耳郎さんに葉隠さんはその筆頭だ、直接的な原因で無いとは言え、自分の子供がヴィランによって重体の危機にあったのだ、説得にはかなり苦労しただろう。俺の両親は・・・まぁ、お父さんの発言によって色々と台無しだったな、とだけ。
「回精も無事に集まれてよかった、連絡が取れなかった時はひやひやしたぞ」
「ごめん、ね。スマホ、近くに、なくて」
「みんなでお見舞いに行こうにも、受付の人に聞いても分からないって言われちまったしよ」
「おい、そろそろ説明をはじめっぞ」
これ以上は長くなると判断したのか、相澤先生が手を叩いて注目を集める。正直これ以上、俺の事を話していいかわからなかった為に助かった。入院していた時、A組だけでクラスメイト二人が意識不明に一人が誘拐、その中で更にヴィランに禁止薬物を撃ち込まれた、という情報は不安に思っている生徒たちに余計な心配をさせてしまう。
でも今はみんな無事だからその辺りどうなんだろう?相澤先生がちょっと強引に話を切ってくれたが、その辺りも聞く必要がありそう。
相澤先生が寮の説明をする・・・前に、ヴィランの襲撃で台無しになった仮免取得に向けて動くそうだ。色々あって忘れてた、と口に出す人もいたが正直俺も個性やらなんやらで忘れてた。
しかしそこで唐突に、相澤先生の雰囲気が変わり五名のクラスメイトの名前を上げ。
「この五人はあの晩、あの場所へ爆豪の救出に向かったな?」
クラス全員の雰囲気が変わる。そんな話聞いていない、それに飯田くんに八百万さんまで?飯田くんは視線を相澤先生に向けたまま微動だにせず、八百万さんは不安そうな表情をしていた。つまり今相澤先生が言った事は、本当の事・・・。
「その様子だと、一部を除き行くそぶりはみんなも知っていたようだな」
「色々棚上げした上で言わせてもらうよ、オールマイト引退が無けりゃ俺は」
「爆豪、耳郎、葉隠、回精を除く全員、除籍処分にしている」
数にして17名、一気に除籍処分にすると口に出した相澤先生。前置きが無ければ、本当にA組を4名だけにするという意思を感じられた。俺の様に相手の感情に敏感でなくとも、それが伝わったこの場の全員に緊張が走る。
「行った五人は勿論、理由はどうあれ把握していながら止められなかった12人も俺たちの信頼を裏切った事に変わりはない」
「正規の手続きをふみ、正規の活躍をして信頼を取り戻してくれるとありがたい」
「以上、さぁ中に入るぞ。元気に行こー」
「「いや、待って、行けないです・・・」」
先ほどまでの緊張感は一気に霧散したものの、全員が多かれ少なかれ後悔で動けないでいる。当たり前だ、自分の行動でみんなを、自分が止められなかったからみんなを退学にしかけたのだから。しかしそんな中で、ある意味空気を読まない者もいる。爆豪くんは上鳴くんをみんなから死角へ連れ込み、放電させて頭を
「切島ァ」
「んぉ?えっ怖何!?カツアゲッ!?」
「ちげぇ!!俺が下した金だ、小遣いはたいたんだろ」
どうやら、救出の際に大金を使った様で爆豪くんはそれを返すつもりらしい。上鳴くんが騒ぐ中、しかしそれよりも、思い詰めた雰囲気で
「梅雨、ちゃん、だいじょぶ・・・?」
「・・・回精ちゃん、大丈夫。今、少し気分が良くないの・・・」
「・・・何時でも、相談、に、乗るよ?」
「・・・ありがとう、でも、ごめんなさい・・・」
みんなが上鳴くんや、切島くんの言葉で盛り上がり寮へと向かう中、何時もなら誰かとよくいるのに、一人で寮へと向かう梅雨ちゃんが心配で不安だった。
獣狼くんの部屋どうしよっか・・・。まぁ・・・うん、とりあえず獣狼くんっぽさを頑張って出そう・・・だします。