位階序列十四位のヒーローアカデミア   作:生活常備薬第3類

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 話が思い浮かばないのではなく、思い浮かび過ぎて困る悩み。全部採用したら絶対大変な文字数か、4話くらい学生寮の初日になりそうという恐怖。・・・だけどアニメだと1話で済む話を3話に伸ばしてる時点でもう、って感じはあります。

 最後にアンケートがあります、良かったら投票していってください。


第六十話:まだ、ふれてほしくなくて

 あの後、みんなを説得しお部屋訪問を続けさせ、逃げられないように1階の共有スペースで相澤先生からもらった紙の束を読み進め、男子部屋から女子部屋へみんなが移動するのを横目で確認し、そして今やっと読み終わったところだった。

 

 詳しい所は省くとして、大体が「良識をもってキチンとしてれば問題ないよ!」と言ったものだ。何気に食堂とかも入れる事には驚いたが、もし規制でもしようものなら根津校長が黙って居ないだろう。夜桜と違って根津校長は普通に動物だからね。

 ただ、やっぱり制限もある訳で、一番気を付けるべき制限と言えば「一部状況を除く5m以上離れちゃだめだよ!」だろうか?その一部状況も、寮内や体育館などの運動施設では問題ないみたいだが。

 

 ・・・所々、デフォルメされた根津校長が描かれているのは執筆者が根津校長だからかな?何気に言い回しも根津校長っぽいし、少なくとも寮の家庭訪問とかで先生は忙しそうだったし、根津校長がこれを作成しててもおかしくない。

 

 読み終えた紙束を机に置き、ソファーに伏せている夜桜を枕にしようと寝っ転がる。向こうも俺が枕にしようと思った時点で、お腹側が頭にくるように横になってくれている。

 

 「〈キャゥー〉」

 「あ、ゴメン、聞き、そびれた」

 「〈キューゥ、キャーゥン〉」

 「ごめん、って、今日が、ダメでも、明日、甘いの、用意、するから、ね?」

 「〈キュー・・・キャゥ〉」

 「くくっ、欲張り、さんめ」

 「〈キューゥ・・・〉」

 

 寝転がった姿勢のまま、顎をかいてあげれば気持ちよさそうに、いや、本当に気持ちいいのだろう。目を細め顎を指に押し付けてくるのでちょっと強めにかいてあげれば、次はこっちと言わんばかりにうなじ辺りを押し付けてくる。

 

 そうして夜桜の顎から始まり、うなじ、耳の付け根、背中、お腹とかいていると、女子側のエレベーターが降りてくる音、つまりはみんなに説明する時が来た。

 

 

─────

 

 

 「まぁ、特に、隠す、訳で、なく、個性が、変質、した、だけ、だよ」

 

 夜桜と呼ばれた狐とソファーに座ったまま正面から抱き合い、背中をゆっくりと撫でている。各々が話を聞ける位置で、どんな秘密があるのだろうかと期待していたが、回精がアッサリと答えてしまうのである意味拍子抜け、と言った雰囲気になってしまったが。

 

 「変質?それがその狐と関係しているのか?」

 「・・・流石に、全部、答え、られる、訳じゃ、ないよ?」

 「えー!?もっとしーりーたーいー!」

 「あたしも知りたいかもー!特にその子の触り心地とか!!」

 

 轟の質問に回精は答えられないと返せば、すっかり回精の個性に好奇心を刺激された芦戸と、滅多に見れない大きさの狐にテンションの上がる葉隠。他の人たちも口では言わないが、視線や表情から二人と同じ気持ちなのだろう。───回精の言葉によって、考え込んでいる轟を除いて。

 

 「・・・轟さん?」

 「なぁ、回精。二つ良いか?」

 「んー、内容、に、よる、かな」

 「一つ目だ、お前は個性の変質を把握しているのか?」

 「うん、してる、よ」

 「なら二つ目だ。お前、()()()()のか?それとも()()()()()()のか?」

 

 轟の言葉に回精は無言で夜桜を再び胸に入れる、突然の事だが気にする者はいない。先ほども見ているし、何より男性とも女性ともとれる回精の中性的で整った顔、口は笑っているのに目が一欠けらも笑っていない。そんな整った顔で行われる冷酷と言える表情は暴力的であり、全員が突然の事に息を呑んでいるからだ。

 

 「はは、流石、轟、くん。そうだよ、答え、られない。口止め、されて、いるし、何より、そこまで、踏み、込ませる、気は、ないよ?」

 

 突然の変貌、何時もニコニコは言い過ぎかもしれないが、滅多に怒らない級友の答えられないし、答えないという明確な拒絶。全員がこの級友の心の広さに甘え、無遠慮に踏み込み過ぎたと後悔や反省をしていた時。

 

 「それで、今の、表情、どう、だった?」

 「へ?」

 「まさか・・・回精、お前今の演技だってのか?」

 「うん、ちょっと、した、仕返し」

 

 舌をちろりと出し、ウィンクも決めて一気に場の雰囲気をぶち壊したキツネモドキ(回精)。あまりの落差に何名かが一気に力が抜けたと言わんばかりに脱力、ソファーに座っている者も背もたれに体を預けていた。

 

 「お前よぉぉぉ!?顔が良い奴がその表情するとマジで威圧感とかあるからやめろよなぁ!?」

 「うぅー・・・ホンマに悪い事してしもたと思うて冷汗かいちゃった・・・」

 「しかし意外だ、回精がそうやって演技をする奴だとは思わなかったぞ」

 「まぁね、でも、その分、ビックリ、した、でしょ?」

 「あぁ、中々に真に迫ったいい演技だった。お陰でこちらも本当にやり過ぎたと思ってしまったぞ」

 

 障子の称賛に満足そうに体を揺らす回精、しかし何か思い出したかのように声を上げる。

 

 「あ、でも、峰田、くん、芦戸、さん、瀬呂、くん、後で、奢って、貰うね?」

 「「「え゛」」」

 「他人の、秘密を、暴いた、罪は、重い、よ?特に、峰田、くん?」

 

 にっこりと、しかし確実に逃さないという雰囲気で三人を見る回精。三人は回精の大食いを知っている、その回精に奢るというのは確実に財布の危機だ。どうにかして回避しようとする三人、しかし八百万が逃げ道を塞ぐ。

 

 「・・・確かに今回は回精さんが相手でしたので、本当に嫌なら力づくで阻止すると思い傍観に徹しましたが、もしこれが他の方で本当に見られたくない物だと、人間関係に致命的なヒビが入る事態でしたからね・・・」

 「安心、して?妖目、は、もう、両手の、指、以上、やってる、伝統、ある、罰、ゲーム、だよ?」

 「・・・ちなみにだが、お幾らくらいで・・・?」

 「うーん・・・、今回、は、事が、事だし、手加減、で、瀬呂、くんと、芦戸、さんの、二人で、パフェ、一つ、で、良いよ」

 

 手加減、という発言の通り二人でパフェ一つならば、一人辺り500円くらいで済むだろう。それを聞いた二人はホッと胸をなでおろしたが。

 

 「ふ、二人で?お、オイラは?」

 「お昼、一品、奢って、貰う、よ?」

 「Nooooooooooooo!?」

 「自業自得だろ」

 「あははは・・・」

 

 お昼の一品、回精の食べる量ならば一品だけでも1000円で済めば良い方だ、色々付随した場合は二倍三倍と膨れ上がるだろう。雄英生とは言え高校生、この出費は痛い。・・・峰田の場合、かなり特別(エロ方面)な出費が予想されるためにこの面子の中でも特に痛いだろう。

 

 「ま、待てよ!轟だって回精の秘密を暴く原因になってんじゃねぇか!?オイラだけってのは納得いかねぇよ!!」

 「轟、くんは、遠因、だし、もしも、気にする、なら、菓子パン、でも、奢って、貰うよ」

 「納得いかねぇ・・・納得いかねぇよぉ・・・!」

 「いやアンタが止まってればよかった話じゃん」

 

 峰田は轟も巻き込もうとするが、轟は部屋で気になった事を聞いただけで実際に秘密を暴く原因となったのは、峰田とそれを止めようとした回精を面白がって妨害した芦戸と瀬呂だけである。本人も分かって口にしたのだろうが、耳郎の無慈悲な一言で膝をついて項垂れてしまった。

 

 「あ、そうだ、砂藤、くん、甘いの、もって、ない?」

 「あ、甘いの?いやぁ・・・今はねぇかなぁ・・・」

 「〈キューン・・・〉」

 「約束、通り、明日、ね?」

 「〈キャゥ〉」

 

 甘いものが無いと聞いて落ち込んだ声と共に現れる夜桜、しかし回精の約束という言葉に機嫌を持ち直したのか、鳴き声と表情で自らの嬉しさを表現する。

 

 「くぁぁ・・・、んー・・・」

 「おー、犬歯尖ってるねー」

 「・・・あんまり、見ないで、ほしい」

 「なんだ回精、もしかしてもう眠かったりとかか?」

 「何時も、大体、この、時間、だよ」

 「あれ?でも合宿じゃ消灯まで起きてたよね?」

 「物音、で、眠れ、ない、からね」

 

 口を手で隠しながら欠伸をしていたが、それでも隙間から見えてしまったのだろう。葉隠にジトっとした目で苦情を一言伝え、クラスメイトとの会話を続けるも目に見えて集中しきれていない。瞼に至っては半分閉じられ、夜桜の頭に顎を乗せて居なければ舟をこいでいただろう。

 

 「あー・・・、ゴメン、部屋に、戻る」

 「まー、ねみぃならしょーがねぇか」

 「うん、また、明日」

 「おやすみー」

 「おや、すみー・・・」

 

 若干足取りが覚束なく、不安に思うが隣を歩く夜桜を支えにしてからはある程度安定し始めたので問題は無いだろう。そのままエレベーターに向かう途中、何かを思い出したかのように声を上げ、クラスメイトの方へ振り返り。

 

 「明日、誰の、部屋が、よかった、か、教えて、ね?」

 「あ!誰が部屋王なのか決めてなかった!!」

 

 部屋王、その一言で一気に騒がしくなる。どうやって決めるか、大まかなルールと言った事を相談する声に紛れるかのように、回精はエレベーターの中へと姿を消した。

 

 

─────

 

 

 夜桜とエレベーターで二人きりになり、演技の必要もなくなり楽にしていると。

 

 「〈キャゥ〉」

 「だね、結構、練習、したのに」

 

 撮影のために練習した演技、それを少なく見積もって二人、多くても四人に気づかれたと思った方が良いだろう。出来る限り自然な流れで話題を切り、そこから更に別の話題を上げる事で、こちらから意識を逸らしたつもりだけど、逆にそれが違和感に繋がったのだろう。

 

 経験か、観察力か、それとも勘か。しかしあの場で追及が無かった、という事は少なくとも、こちらに気を使ってくれているという事だ。

 

 「〈キュー・・・〉」

 「ずっと、じゃない、よ。機会が、あれば、話す、つもり」

 「〈キャゥ?〉」

 「多分、だけど、何時か、授業で、関わる、だろうし、それに」

 「〈キュウ?〉」

 「・・・んーん、なんでも、ない」

 

 それに、その時は相澤先生が話すんじゃないかな。その言葉は言わないでおく、ただの予想だし、相澤先生ならタイミングを間違えたりはしないだろう。エレベーターから出て、自分の部屋へと戻る、使い慣れた家具だが部屋のニオイが違うので若干新鮮だ。

 

 「〈キャゥ、キュゥー〉」

 「そう、だね、実は、そこは、半分、演技、でも、なかった、り」

 「〈キューン〉」

 「じゃ、一緒に、寝よっか」

 「〈キャゥ!〉」

 

 明かりを全て消し窓を開ける、ベッドに入れば後に続くように夜桜も器用にベッドに入ってくる。何気に自分のベッドがあるのにも関わらず、結構俺のベッドに侵入してくるんだよね。思いが伝わったのか、鼻先をペロリと舐める事で誤魔化そうとしてくる。

 

 「別に、悪い、とは、言って、ないよ?」

 「〈キュゥ・・・?〉」

 「ほんと、だよ。・・・それじゃ、寝よ、っか」

 「〈キャァゥゥ〉」

 「うん、おやすみ」

 

 明日からは仮免取得の為に本格的に忙しくなるだろう、それに俺も練習内容を考えた方が良いかもしれない。・・・そんな事を考えるのも明日で良いかと瞼を閉じれば、しばらくして眠りについた。

 

 

~~後日談~~

 

 

 「ちょっといいか?」

 「ん、どしたの?」

 「これ、詫びだ」

 「詫び・・・、あぁ!隠し、事の?」

 「あぁ、家でよく贔屓にしてるとこの菓子パンだ」

 「・・・箱・・・結構、大きい、ね・・・?」

 「欲張りセットだってよ、沢山食うだろ?」

 「・・・・・・ねぇ、この、菓子パン、幾ら?」

 「?3000幾らとかだったか?悪い、細かい数字は覚えてねぇ」

 「「「「高すぎだよ(高すぎ、だよ)!!!!」」」」

 

 かるーい気持ちで俺は菓子パンと言った、しかし轟くんにとっては菓子パンとはこの箱の中身の様で、とりあえずこの場にいる全員で俺たちにとっての菓子パンを教える事になった。・・・後から、お嬢様な八百万さんにも教える事となったのは蛇足だろう。

 

 更に蛇足、菓子パンはとっても美味しかった。サクサクのクロワッサン、フワフワの蒸しパン、サクフワのデニッシュ、予想外に甘口なカレーパンにetc...全てが全て、初めて感じる美味しさと一口でわかる上質さに驚きと感動で一杯だった。刺激物が苦手な俺や夜桜でも楽しめる逸品には感謝と満足感しかない。

 

 みんなにもこの気持ちを分かち合いたいと味見を提案したけど、全員優しそうな顔で全部食べて良いって言ってくれる。今この瞬間程、クラス全員の優しさが身に染みる出来事は無いと言い切れる程、とても幸せな出来事だった。




 ちょっとくらい、轟くんと八百万さんのセレブっぷり、というかそういったネタを仕込みたかった。反省はしない。

 今回のアンケートは最近多くしている三人称について、です。基本獣狼の一人称、時々誰かの一人称で進めてましたが、三人称も演出的に良いのでは?という事でこのまま一人称と三人称を行ったり来たりするのはアリかナシかのアンケートです。

三人称をこんな感じに交えるのは良いと思います?

  • 良いんじゃないかな?
  • まぁまぁかな?
  • 普通だね
  • 良くないね
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