遅くなって申し訳ありません、この調子で梅雨が続くとまた更新が遅れると思いますが、遅れているときは他の面白い二次創作とかを読みつつ、この二次創作が更新されたら見ていただけると幸いです。
体育館
「・・・セメントス、先生、次、お願い、します」
「あぁ、しかしそこまでしなくとも良いのではないか・・・?」
「いいえ、、脆い、のは、いらない、ので」
「そ、そうか・・・。無理のない様にな・・・」
そうして、セメントスの手によって新たな壁が生みだされる。そしてその壁を獣狼は両手で持った大きな棍棒で思い切り殴りつけ、しかし耐えきれなくなったのか、棍棒の芯が曲がってしまったのだろう。廃棄と書かれた箱に投げ捨てると、新たな武器を手に取り素振りを始めた。
何故獣狼はこんな事をしているのか、説明の為にも時は特訓の初日に戻る。
今回の特訓を包み隠さずに言うならば獣狼には合っていない、何故なら彼の個性は身体能力を強化するタイプ、純粋に必殺技が作り辛い。そういう意味では、砂藤のシュガードープも同じことが言えるが、彼には個性の効果時間とパワーの増幅率を上げると言う課題があるが獣狼にはない。
それならばとエクトプラズムと模擬戦をするも、一体分では複数でかかっていっても獣狼のパワーに押し負け、それを補う為に余った分身を一つにしたがそれでもパワーは互角、今度は速度で負けてしまった。
これには流石の教師陣も頭を悩ませた、ミッドナイトは相手を無力化する個性なので特訓に向いておらず、イレイザーも正面からの格闘戦はあまり得意ではない、セメントスは他にも見るべき生徒がいるので候補から外された。
そんな時、タイミング良く雄英と提携しているトライスターから、獣狼宛てに体育館γへと荷物が届いた。雄英の荷物運搬用ロボットが運んできた黒い金属光沢を放つ箱の中には、武器と思われる物の数々。棘のついた鉄球に鎖のついた物から、大太刀だが先端の部分が分厚く重りになっている物まで多種多様。
雄英の荷物検査を抜けて来たとしても、あまりにも中身が物騒過ぎる。中身を確認していた教師陣もそうだが、荷物に付属されていた手紙を確認した獣狼の、何時もよりも細められた目は酷く冷たい視線を荷物に注いでいた。
「・・・回精、なんて書いてあった?」
「・・・読んだ、方が、早い、かと」
相澤は回精から手紙を受け取り、速読の要領で瞬く間に読み終わると、酷く疲れた様な表情で眉間を揉んでいる。
「その・・・、手紙の内容は・・・?」
「・・・簡潔に申しますと、仮免取得の為に試作品送るから気に入ったらそのまま使って良い、ついでに全部使って感想も送ってくれ。他の生徒も使えるなら使って良いよ。ですね・・・」
「・・・それは・・・」
「本文はもっと優しく書いてありますが、内容を抽出したならこうなるかと」
あまりにもあんまりな内容に、フォローしようとして何のフォローも出来ないミッドナイト、近くでその話を聞いていたエクトプラズムも思案しているのか、唸るような声を出していた。
そんな状況を進展させたのは、荷物の受取人である獣狼だった。徐に箱に近づき、無造作に手を突っ込んだと思えば、
しかしこの湾刀は刀身が厚く、刃が潰されているので相手を切り裂く事は無いだろうが、その分一点に力が集中するので見た目とは裏腹に高い破壊力を秘めているだろう。更にその厚く曲がった刀身は、重厚な見た目通り守りにも活躍するだろう。
そんな湾刀を獣狼は両手で持ち、そしてそのまま床に
唐突の出来事に教師一同唖然とし、あの相澤先生までもが目を見開き驚きを露わにした。幸い他の生徒は自分たちの事で精いっぱいだったのか、こちらを気にしていた一部の者以外は問題はなさそうだ。
「か、回精くん?突然どうしたのかしら?」
「お試し、です。でも、ダメ、みたい、ですが」
獣狼の手には湾刀の柄しか残っておらず、柄から先の厚い刀身が地面から生えていた。恐らくは獣狼の力に耐えきれずに、比較的に脆い柄の部分から壊れてしまったのだろう。
よく見れば刀身にもヒビが入っている、試作品と言えば聞こえはいいが、実際は形作っただけのモノ、玉石混交だが石の割合が多いだろう、そう考えると玉である鉄扇を一発で引けたのは運がよかった。
「手早く、済ませる、ので、他のも、使って、良いです、か?」
「・・・正直、こちらとしてはお前が新しい戦闘方法を身に着ける、と言うのはアリだと思っている。だがこの数を見るとなると、付け焼刃になる可能性の方が高い、出来るか?」
「そこは、だいじょぶ、です」
箱の中から飛び出ている三日月型の斧を掴み、力任せに引っぱればどうやら柄の部分が長かったらしく、そのまま抜き取るとこちらからも三日月型の斧頭が顔を出した。形状からして一番近いのはバルディッシュと呼ばれるポールウェポンだろうか?
そんな武器を、曲芸の様にくるくると回し始め、バトンの様に右に左に、時に腕や首で回し、回転の勢いが最大に達したところで持ち手を真ん中から端に流れる様に切り替え、更に足腰の捻りも加え凄まじい風切り音と共に横薙ぎを放った。
今の動作だけでも、初めて握った武器と言う事を考慮すれば十二分と言えた。しかし武器は十分とは言えなかったようで、最後の横薙ぎの後、全体が若干ではあるが歪んでいた。
「大体、は、使え、ますので、使う、道具の、選別、が、メイン、です」
「良いだろう、今回に限ってはお前の個性にあった訓練が無いからな。だが時間をかけるな、今日を含め四日で終わらせろ。ついでに廃棄用の箱も用意する、ぶっ壊したのはそれに詰めとけ」
「はいっ」
こうして、獣狼の持つ鉄扇と同じように、獣狼が全力で扱っても壊れない武器を探すこととなった。そして四日目の今日、なんとか午前中に全てを使い切り、一つのアイテムに決まった。
しかし、予定より早く来てしまったB組がいた出入り口の方へ、本人曰く「
─────
相澤先生の判断で午後から休みとなり、お昼を食堂で取る人と寮で自炊する人に分かれていた。俺に関しては出来る限り自炊などして節約しなければ、お小遣いが足りなくなってしまうので自炊側だ。
そうして、飯田くん、麗日さんの何時もの三人から一人が抜け、梅雨ちゃん、口田くんに砂藤くんの自分を含め六人で雑談交じりに寮へと歩いていると。
「おーい!獣狼くーん!」
「あれ?快心、さん?」
寮の方向から聞き覚えのある声がしたのでそちらを向けば、遠くから手を振りながらこちらにやってくる快心さん、こちらは大きな声を出すのが苦手なので、手を振って返事をしていた。
勿論、そんな目立つ事をすれば一緒に歩いていた五人も快心さんに気づき、同じく大声で返事をする者、俺と同じく手を振ったりする者で別れた。
「快心、さん。どうした、の?」
「えへへ、獣狼くんが見えたからつい・・・あっと、それよりみんなはこれからお昼?」
「えぇ、私たちは寮でこれからお昼よ。今はみんなでお昼の献立を考えていたの」
「あ、なら私も手伝うよ。最近料理も練習して出来るようになってきたんだから」
その言葉に俺も、周りの表情が固まったのが分かる。何せ快心さんは林間合宿で包丁の両手持ちと言う、滅多に見れないスタイルを披露していたのだから。
「い、いや待って!ちゃんと練習したから!この四日間で友達に教わったから!!」
「・・・どの、くらい、教わ、ったの?」
「・・・包丁の握り方に、野菜の皮をピーラーでむくところまでは教わったよ?」
「あー・・・、なら昨日の晩飯残ってたよな?それに加えてなんか用意すりゃ大丈夫じゃねぇか?」
「ならご飯を炊いて、スープとサラダを用意すればいいんじゃないかしら?これならそこまで時間もかからないわ」
「うーん、肉が、足りない、気がする、から、俺の、備蓄を、少し、提供、するよ」
「あら、ありがとう回精ちゃん。なら───」
「・・・なぁ、飯田くん。うちら口挟めんね・・・」
「あぁ・・・。これが日頃から料理をする者との差だろう・・・」
「うちも料理するんやけど・・・、流石にここまではやらんからなぁ・・・」
「だが、ここまでスラスラと献立が出るというのは、彼らが常に料理を行ってきたという事でもある、俺も精進せねば!」
「うぅ・・・獣狼くんに家庭力で負けてる・・・」
そんなこんなで、歩きながらお昼の献立を決める。しかし途中で砂藤くんと梅雨ちゃんと俺だけで決めてしまった事に気づき、他の四人に謝罪と確認を取るも、寧ろそれで良いと許してくれた。
~~~~~
「「「「ごちそうさまでした」」」」「〈キューン〉」
快心さんが友達から料理を習ったというのは本当だったようで、前回と比べると一目見た時点でわかるほど、包丁を扱えていた。
・・・そう、包丁は。どうやら包丁以外はまだ習っていない様だった、しかし友達の教育方針が一つ一つしっかりやる方向らしく、快心さんの手助けは素直にありがたいものではあった。
「獣狼くん?どうしたの?」
「快心、さんが、ここまで、包丁、を、上手く、使える、とは、思って、なくて」
「ふふっ、お陰でこの四日間は時間が空いたら包丁の使い方や、材料の切り方を教わってばっかりだったから。これで上達して無きゃ申し訳ないよ」
何時もより食べる速度が遅くなっていたのに気づいた快心さんに尋ねられる。若干ぼーっとしていた事もあって今思っていた事を素直に話せば、褒められた事が嬉しいのか、にこやかに答えてくれた。
うん、今日までずっと変な道具を使っていたし、最後の最後でアレだったから、若干気疲れしているんだろう。俺がもう食べないと思ったのか、夜桜が食べると伝えてくるが、君はもう十分食べたでしょ。と言葉でなく行動で、具体的には全部食べ切る事にした。足元からキューキューと抗議と哀愁漂う声が聞こえるが、これは元々俺の分だ。
「なんかさ、夜桜ちゃんって個性っていうより、回精くんの弟か妹みたいだね」
「間違って、無いかも?接し方、が、麗日、さん、の、言う、通り、だし」
「〈キューッ!キャァーウ!〉」
「・・・回精くん、夜桜くんはなんと言ってんだ?」
「弟、か、妹、と、思って、るなら、もっと、頂戴。って」
「なんだか、家の弟と妹を思い出すわ。育ち盛りの時は良くおかずをあげたわね」
「兄弟かぁ・・・、俺ん家は妹がいるからそんな事は無かったなぁ。ただ甘いのをよく強請られたりしたなぁ・・・」
「うむ!兄弟は良いぞ!俺には自分の目標となる兄がいるからな!」
そこからは兄、弟、妹談義の始まりだった。しかし、一人っ子の数が俺も含め四人と多く、飯田くん、梅雨ちゃん、快心さんの話をメインとなっていた。俺に関しては兄歴が数日と短いので、なんの参考にもならなかったが。
「〈キュー、キュゥー・・・〉」
「夜桜ちゃん、どうしたの?
「寂しい、って。ちょっと、ソファーに、行って、くる」
「うちらも移動しよっか?」
「だいじょぶ、ちょっと、話、疲れて、きた、ところ、だし、続けて、平気、だよ」
「そうなのか?ならちょっと待ってろ、確かまだはちみつが部屋に残ってたはずだ。ジュースもあったし溶かせば喉に良いだろ」
「ありがと、砂藤、くん。夜桜、行こう?」
みんなと話をするのは楽しいが、疲れてきたのも事実だったので、夜桜の提案に乗る形で会話から脱け出す事にした。
ソファーに座ると、夜桜もソファーの上に乗ってきて伏せの姿勢で膝の上に顎を乗せてくる。そのまま手を下せば、丁度良く夜桜の首元に手を置くことになり、フワフワの毛を指でかいてあげれば、時々夜桜自身が動いて別のところに指を押し付けてくるので、それに逆らわずに指を動かした。
夜桜の気持ちよさげな感情と、砂藤くんの用意してくれたはちみつ入りのアップルティーの心地いい香り、既に別の話題になったみんなの会話が、段々と意味をなさない雑音になっていき───。
~~~~~
安心する匂い、落ち着く、でも耳がくすぐったい。今はやめて、体の向きを変える、ふわふわ、ふにふに、夜桜?違う?まぁいいや、気持ちいい、自然と顔を擦り付ける、撫でられてる?もっと、次はこっちがいい。
「獣狼くん、ここが良いの?」
「うん、次は、そこ───」
金縛りにあったかのように、ビクリと体の動きが固まる。あっ手が離れ───じゃなくて、待って、俺は今
恐る恐る、目を開ければ寝起き特有の視界がぼやけているが、しっかりと情報を脳に送ってくれる。が、意思と本能で天秤を揺らしていた時から感じていた、嫌な予感が段々と大きくなるばかり。
こんなところで使うとは思わなかったが、勇気をもって横から上に視界を移せば、普通の姿勢だと
「おはよ、獣狼くん」
「・・・オハヨウ、ゴザイ、マス・・・」
「どうする?まだ寝てたいならこのまま寝ててもいいよ?」
「いえ、起きます」
何か、このまま寝てしまうと戻れなくなりそうだったので、前回と同じく頭を引き抜くよう起き上がれば、俺の反対側で快心さんの手でスピスピと眠っている夜桜。しかしそれよりも、今は情報を整理する方が大切だ。
寝起きで頭の回転が鈍い中、必死に今の状況を整理した結果、何時の間にか快心さんの膝枕で眠っていて、夜桜と思って俺は快心さんのお腹に顔を擦り付けていたという事だ。
・・・めっっっちゃ恥ずかしい!!何してるんだ俺は!?いやそれよりも快心さんに謝るのが先だ、普通に考えて女子にやっていい事じゃない・・・!
「えっと、その、ごめん、快心、さん」
「え?どうしたの?」
「だって、お腹に、その・・・」
「そんな気にしなくていいよ?それに嫌だったら止めてるし」
「でも・・・」
「あっ!なら今度のお休みの日に買い物に付き合ってくれる?それを罰にするって事で」
「・・・別に、罰、じゃなく、ても、一緒に、行くよ?」
「女の子の買い物は長いんだよ?それに獣狼くんに荷物を持って欲しいから、離れずにずっと一緒だから獣狼くんに自由はありません」
「・・・わかった、なら、荷物、持ち、頑張る」
「うん、それじゃ寝起きでまだぼーっとしてるでしょ?はい、獣狼くんのだよ」
そう言って、快心さんはテーブルの上で冷えてしまったものの、未だ甘い匂いを出すはちみつ入りのアップルティーを渡してくれる。それを受け取り、口に含めばりんごの酸味のきいた甘さと、はちみつのスッと消える甘さ・・・これってみかん?凄く美味しい。砂藤くんには感謝しないと、と思い視線を先ほど食事をしていた方へ向けると、
「おっ、回精また顔が赤くなってるじゃん」
「そりゃぁ、みんなに見られてたら赤くもなると思うよ・・・」
「悪いな回精、盗み見する様な真似になってしまったが、1階の共有スペースでは嫌でも目に入る」
「ち、な、み、にぃ、僕は獣狼がお昼寝してるって事でお呼ばれされちゃいましたぁ~!」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーーーーッ!!!!」
「けろ、峰田ちゃんがまた脱け出そうとしているわ、瀬呂ちゃん、お願い」
「個人的には、峰田の怒りは最もだし俺も回精が恨めしい、だが俺が止めなきゃ女子にもっと酷い目にあうだろうしなぁ。と言う事で諦めてくれ、峰田」
「いいよぉ~回精!なんか初々しくてすっごくイイ!!」
その後の事はあんまり覚えてない、だって恥ずかしさのあまりソファーに突っ伏して耳を塞いでいたから。唯一、快心さんが頭を撫でてくれることだけが救いと言えよう。
ちなみに砂藤くんの妹居る発言はオリジナル要素です、自分の為でもあるけど、食べてくれる妹の為にお菓子作りが上手くなった。とかだと、何か素敵な気がして。
初々しい恋愛描写は今はガンには効かないが、そのうち効くようになる。ちゃんとそういう描写になっているか、不安ですが。