とりあえず、遅れて申し訳ありませんでした。
後、一万字超えるのって中々つらいので5000~7000目安で書きます。個人的に読むならこのくらいが一番丁度いい気がするので押し付けます。(暴論)
合図も無くほぼ同時に動き出す、俺が後ろに跳び再理がそれを追いかける形になったが、目に見えて距離が縮まってきている。俺が後ろ向きに跳んでいるので何時もより遅い事と、再理の脚力が俺より上と言うのもあるだろう。
再理が追い付くまで時間が無い、防御の為にも左の鉄扇を前に構え両足を地に付けた時点で後二、いや一歩の距離、再理がもう拳を振りかぶっている。一歩を踏み込む勢いも加えた右ストレートを鉄扇で何とか防ぐが勢いを殺しきれず、後ろへとたたらを踏む。そして下がった分だけ再理が数歩分の距離を詰め、再び拳を鉄扇で防ぎその勢いで再びたたらを踏み、後ろへと下がる。
防いで下がり、それを再理が追いかけ殴り、また防ぐ事を繰り返す。でも、さっきまでは両腕で交互に防いでいた攻撃を片腕だけで防ぐ。左腕への負担よりも攻撃を防ぐことに集中しているから防げてはいる、だが一瞬でも気を抜けば再理の攻撃が鉄扇の防御を越えてくるだろう。
けれど、再理の殴りを連続で防いだ影響か、徐々に左腕、特に手が痺れて来た。このままだと最悪押し切られて、……弱気になるな、右腕の痛みは確実に治まってきている。このままいけば今より安定した立ち回りが出来る、さっきのアナウンスから残りの制限時間は短いと見ていいはずだ、再理達が諦めるか、隙を見て再理の足をまたへし折って逃げればいい。
バランスを崩さぬようにひび割れた地面を踏みしめ、再理の次の攻撃を防ぐために意識を集中し。
───右、頭、直撃。
全ての行動を中断、左の鉄扇を音の位置に向かって振るう。どうして、なんて考える必要はない。攻撃に今まで参加していなかった一人の投擲された球の風切り音だとわかっているから、そんなことより見た目に反した高威力の攻撃を利用する事に集中しろ。
そして、鉄扇を上から叩きつける為に右足を軸に円の軌道で鉄扇に勢いをつけ、視線を投擲物に向けて、その時になってやっと
─────
再理の従弟である回精獣狼はかなり警戒心が強い。それが再理と合流し戦っているところを観察し、時に手を出して僕が感じたことだ。優れた身体能力、優れた個性、おまけに再理からの話じゃ品行方正で非の打ちどころが無いときた。
……再理は、「身体能力は俺より弱い」なんて言っていたけど、僕たちの様な体を強化しない個性からしてみればどっちも“優れた身体能力”なんだよね。
まぁともかく、なにが言いたいかと言えば、驕りや慢心と言った相手の隙ともなる油断が一切ない。
会場前で出会った雄英生の中には試験よりも自分たちが何故有名なのか気にしない者や、自信があるのか試験で奇襲した際に数名が居なくなっている事から少数に分かれたと思われる者達もいた。
この者達に共通するのは油断。自らの個性が強力だからと言う過信か、大きな事件を潜り抜けた慢心か、はたまた自分や自分たちなら大丈夫と言う楽観か。どうであれ、相手がそうやって油断してくれる分には構わない。その分こちらが有利になるからね。
でも、回精くんには1年にありがちな油断が無い。一切ないわけではないが、これに関しては1年と2年の戦闘経験の差だろう。そして、その戦闘経験の差で再理を前に大きな隙を晒す事になった。
勿論これは誘導した事、硬質ゴムボールだけを使って攻撃し、常に四つで攻撃する事で相手は自然と僕の攻撃はボールで四つが限界と認識するが、事実は少し違う。一度に複雑な軌道の物を投げられるのは四つまで、が正解だ。……ボールだと回収しなきゃいけないから連続で投げられないデメリットも存在するけど……。
だけどこれが無くしていい物なら?例えば今、回精くんが鉄扇で叩き割った
僕の個性って投げた物の形が大きく崩れたら効果が切れてしまう他にも、投げる軌道に気を付けなきゃ当てたくない者、仲間や人質にだって当たる。故に僕が物を投げるには色々な条件があったりする。
その条件の中には仲間や人質が居ても心置きなく投げる条件が二つある。一つは今みたいに直撃しても問題ないか回避できる仲間がいる事。けどこれに関しては人質が居たら使えない欠点もあるが、同じ学校のクラスメイト以外全員が競争相手で、人質なんて非道な手段を使う人は居ないはずなので今は関係ない。ただ、回精くんの警戒心と回避能力が高いから今回はもう一つの手段に頼る事にする。再理には事前に伝えてあるから、後は僕がそのタイミングを逃さない様に集中するのみ。
「ふぅー……」
視線の先では再理が隙を晒した回精くんの左腕を掴み、反撃の蹴りを反対の手で掴んで止めて───うっわ、スパァンって。
そんな音で顎を蹴り上げられたら普通は一発で脳が揺らされて戦闘不能どころか普通に危ないのに、鼻血出しながら笑ってる再理も大概だけど、そんな勢いで蹴る回精くんも再理と従兄弟って実感出来るね……。
っと、そろそろかな。再理の向きと今までの癖から凡その方向を割り出し、目標に届かせる道筋を思い描き、ボールを三つ手に取り全身を使って投げる。力を入れ過ぎず、かといって弱すぎる訳でもない、必要になる力を必要なだけ。そうして、個性で飛ばしたボールは全て思い描いた通り綺麗に飛んでいくから、つい目で追いそうになるのをぐっと堪える。
再びボールの道筋を思い描き、今度は一つのボールを手にさっき投げた三つよりもスピードを出す為に力を込めて投げる。手から離れたボールはさっきの三つよりも速く、綺麗と言うよりも鋭いという印象を与える、けどそれも悪くないなんて思う。
賽は投げられた、ゴムボールは合計八つ持っているからまだ投げられる、でも変に投げて再理の攻撃を邪魔する事になりかねないから、僕の役目はボールが戻ってくるまで見届ける事と周りの攻撃を気にするくらい。それでもまぁ、早めに回精くんが倒せる事を願う事くらいは出来るだろう。
─────
再理の手で上に向かって投げられた。姿勢が悪くて力が入らなかったとは言え、常人なら首の骨をダメにする力で顎を蹴ったのに平然と投げてくるとかどういう鍛え方しているのか。
投げられてすぐにビルの六階くらいの高さに来る、このままだと倍くらいの高さは覚悟した方が良いなと考えていた時、天地がひっくり返った視界に射手次郎さんが投げたボールが三つ、一直線に飛んでくる。その狙いは正確のようで、このままだと数秒もしない内に当たると判断し、左の鉄扇を盾にする為に開き、突如開いた鉄扇に引っ張られる。
それが空気抵抗が増えた影響だと気づいた時にはボールが鉄扇に衝突し押し出される、引っ張られた勢いが加わった俺に向かって一気に鉄扇が迫り。
「がっ───」
最初に胸を鉄扇に強打し肺から空気が押し出され、次に頭をぶつけた事で意識が少し飛び、その間に足もぶつけたようだが痛みもそこまでじゃないから問題ないと無視。右手の鉄扇は手放していないから上出来と思おう。
しかし左の鉄扇はそのまま弾き飛ばされ、俺もその鉄扇にぶつかった影響で空を一望しつつ自由落下の真っ最中。痛む頭と太陽の眩しさで視界が良いとは言えない、けれど首と目を動かしてやっと弾き飛ばされた鉄扇と、個性の影響を失ったのか俺よりも上の方で落下しているボールを近くに二つと遠くに一つ見つけた。
開いたままの鉄扇はくるくると俺から離れていく、遠近法と形状も相まってアレが金属の塊で重いものなんて思えない。ボールを投擲用に持っていこうかと思ったけど、これは射手次郎さんが使うから真価を発揮するもので、俺が投げてもあまり意味が無い気がする。そしてそんな事を考えている時間ももうない、そろそろ地面に着くころだから。
体を大きく動かしてせめて足から地面に落ちる、足の裏で着地とは行かずに四つん這いの着地だが、寧ろこっちの方がよかったかもしれない。頭を打った反動で少しクラクラするし失った酸素を取り込もうと少し息が荒い。
早く移動しなきゃと思っても少し体が重い、でもこんなところで立ち止まっている訳にもいかない。右手の鉄扇を支えにして無理やりにでも立ち上がる、周囲からは足音と言った誰かが近づいてくる情報は入ってこないが、ここで再理たちが攻撃の手を緩めるとは思わない。何かしらの攻撃をしてくると信じている。
背負っている杖を左手に持ち、周囲を警戒しながらも再理たちの次の手段を考えていた。
再理は最初の攻撃以降、ずっと連撃と隙を見ての重い一撃だが本来の戦闘スタイルは自分へのダメージ無視で相手を殴るノーガード戦法だ。だから今までの戦闘スタイルから考えるより、今の戦闘スタイルに変えた人の事も考慮しなきゃいけない。
つまり今回で言えばそれは射手次郎さんで、彼のサポートを視野に入れた動きをしていた事から見て半分以上は射手次郎さんが再理の戦闘スタイルを今のものに変えたと見て間違いない。
では、今の状況で射手次郎さんが出来る事は?ボールによる俺への妨害や直接攻撃は無理と考えていいと思う。もし出来るんだったら最初から姿を見せずにやった方が良い、射手が自ら姿を見せるという事は罠か、その範囲じゃないと攻撃が当たらないという事なのだから。
だったら俺以外で誰か影響を与えるのは?そこまで考え付いて、右腕の痛みの原因となった攻撃と空中で三つしか来なかったボールを思い出し、空を見上げる。
そこには落下していると
その速度は俺に何もさせないと言わんばかりの速度で、下手に避けても着地時の余波は爆豪くんの爆発並みと想定していいだろう、そこから切り替えしで押し込まれたら時間切れまで動けなくなる確率が高い。
……いいよ、これで最後と言うのなら終わらせてやる。ただし、
杖の連結解除、支柱に複数の隙間が開き仕込まれた三本のワイヤーが姿を見せ杖から鞭へと形状を変える。“腕”を纏わせるようにイメージすれば一度跳ね上がり、鞭全体がまるで蛇の様にジャラジャラと金属同士が擦れる音を立てながら蠢き始める。それを見た再理はまた投げ飛ばされるのではないかと警戒度を上げ、何らかの対処法を考えているはずだ。
その証拠にさっきから視線が若干ではあるものの、俺よりも俺と鞭の間辺りに固定されている。そしてもう一押しでゆらゆらと蠢いている鞭を一気に伸ばせば、ついに来るかと視線は鞭へと定まった。
と同時に地紙パーツの固定を解除するが、再理はそれに気づかない。何せ鉄扇は再理に対して最初の一回以外は有効打になり得ていない、そしてその一回もすぐ治るという構わないレベルのもの。
そして再理は打撃による攻撃よりも斬撃や投げ、関節技と言った物を嫌う。何故なら断たれた部位は治るとは言え一時的に動かなくなり、投げや関節技は純粋に筋力などで対処し辛いから。だからこそ、鞭に対して警戒度を上げたことで更に鉄扇に対して警戒心どころか注目すらしなくなる。
故に、右腕の鉄扇を思いっきり振るって地紙を再理に向かって飛ばしてやれば、意識外からの飛来物に目を丸くする。そういえば再理の前でコレが外れるところ見せてなかったよね?だから余計に驚いてくれる。そして振るった勢いを殺さずに一回転し───。
「小賢しい真似を───んなっ」
格上が相手なんだ、小賢しくもなるだろう?再理が飛んできた地紙に気を取られている間に親骨付きの鉄扇を投げた事で、地紙を反らしたら金属の棒ともいえる鉄扇が姿を見せる。
そうしている間に、地紙を反らした時点で無理をしていた再理は鉄扇を弾いた事でバランスを崩して落下している。
「血壊」
掛け声と共に意識を切り替えて血の流れを上げていく、それに伴い一気に広がっていく感覚と視界の隅に映る髪の毛が真紅に染まっていく。
何かに気づいたのか、再理が目を見開いてこちらを見るが遅い。地面に放射状のひび割れを残して跳び上がり、すれ違いと言うには離れすぎている距離で視線が合う。何か言いたそうだけど、嬉しそうな顔の再理が口を開く前に左の鞭を振るって足首を掴まえる。
さて、ここで問題です。下に向かって動いている
まぁ、実際は重さや速度の差で結果が違うのかもしれないけど、お互いの中間を中心にして円運動するよね。
でもそれは、両方の点が何もしなかった場合。だから俺は空気を蹴ってその場で静止、更に腕の力で再理を加速させる。……うわー、ドップラー効果ぁ。
再理が円運動の上半分を終わらせ、再び空気を蹴って疑似的な足場として下半分に入り、真下に来る直前で鞭を離す。
そうすれば再理は地面に向かって結構な速度で一直線に……あれ?ちょっと角度が深い。……まいっか!再理だし平気だよ、多分!頭をバスケットボールみたく地面に連続で叩きつけられてないし!
ともかく、地面を転がりながら離れていく再理に目を逸らし、手早く地紙と鉄扇を回収して血壊を解除、空中で弾かれた鉄扇は見つからなかったけど、再理がまた来たら嫌なのでさっさとその場を離れる。かなり時間を使った気がするけど、残り一人だし何とかなるでしょ。
─────
「うっわ、盛大にやられちゃってまぁ……。手助けいる?」
従弟に返り討ちにあい、地面に上半身を埋めて下半身を日の下に晒している情けない姿の相棒に声をかける。最初は反応がなかったものの、しばらくすると埋まっている地面から僅かな振動が伝わってくるので、巻き込まれたらかなわないとその場から離れる。
そして、離れて間もなく噴出したかの様な砂埃が舞いそれと共に石ころがパラパラと周囲に降り注ぐ、その元凶は両手を上げて背を伸ばす様な姿で。
「うがぁぁぁぁぁぁぁ!?あんの腹黒ぉぉ!あのタイミングなら正々堂々の勝負だろぉ!!」
「第一声がそれって、自分がまず正々堂々を無視した癖に何言ってんだか」
流石に何も言い返せなかったのだろう、ピクリと動きが止まり逆立てていた尻尾や耳が一気に力が抜けたかのように下がっていく。女性が見たら心に響く光景なんだろうけど、男性の僕からすればため息しか出てこない。
「だってよぉ、そう言う作戦なら仕方ねぇだろ」
「まぁ確かに、僕たちの作戦で不本意な事をやらせたことに関しては謝るしかないよ。でも向こうがそれを汲み取ってくれるとは限らないよ?」
「うぐぅ……」
言い負かされ意気消沈し項垂れる再理、しかし次の瞬間良い事を思いついたと言わんばかりに顔を上げるが、こういう場合って大抵ろくでもない事を言いだすからなぁ……。
「そうだ!まだ追いかけられるし今から仕留めに行けば」
「残り時間を考えなよ、再理たちが戦ってる間もアナウンスしてたよ?『えぇー、また一人、突破者が表れましたぁ。これで───』ほらね?もう残りの枠も少ないし、さっさとみんなと合流するべきだよ。再理はともかく、付き合わされた僕は一人も倒して無いんだからね?」
「……あい」
今度こそ反論の余地が無いと感じたのだろう、大人しくトボトボと歩き始める。その方向から聞こえるだろう音を頼りに。
「ま、あれ以上やっても意味なかったしね」
「ん?どういう事だよ?」
「なんでもないよ、一人追うのに二人じゃ釣り合わないなって話」
独り言に反応され、咄嗟に出まかせを言ったけど再理は特に気にせずに歩き出す。
思い出すは回精くんのターゲット、ずっと相対していたから再理は気づかなかっただろうけど、彼のターゲットは
ま、分からない事をずっと悩んでいるより目の前の事を気にしなくちゃ。とりあえずは試験を突破して仮免許を貰わないとね。
意識を切り替え再理の後を付いていく。どうやら結構近かったらしく、見覚えのある顔が全員揃っている。これなら後は真堂の悪辣な作戦でこの試験は突破できると、良いのか悪いのかわからない信頼と共に。
なんで身体能力高いのに関節技とか覚えないの?と言う意見がありそうなので先に応えます。簡単に言えば人と言う規格で作られた技を規格から外れた者が使っても技として機能しないから、です。
Q.獣人族だけじゃなく精霊種と森精種も入ってませんか?
A.(私の首の骨が折れる音)一応設定とか考えては居るんです、でも披露する機会が無いだけで。
Q.物間の個性
A.体育祭の騎馬戦で切島と爆豪の個性を交互に使ってませんでしたっけ……?短時間ならある程度ストック出来ると思ってそうしてましたね、後で確認しなきゃ……。