でもリメイク側のネタがポンポン浮きあがって、今に集中出来ないジレンマが発生してます。
こんな時どうすればいいのか、夕暮れに迎えてくれた海鳥たちは答えてくれない……。
じゅーろーにお願いされてニオイをたどっていると、お願いされたものをやっと見つけた。あとはこれをもって行けばじゅーろーにほめてもらえるってワクワクしてたのに、すっごく重くってすっごく大きいからあごが疲れてきちゃった。
じゅーろーのお手伝いしたいのに、その前に“しけん”だって言われて来たのは良いけど、手を出しちゃダメってじゅーろーに言われたし、たてものに入ってからはじゅーろーはいそがしそうだし、やっとかまってくれたと思ったらお使いだし……。
「わぅ」
決めた、じゅーろーにあったらもーこーぎしてやる!ぼーぎゃく……じゃないけど、じゃち……でもないけど、ほっとかれていきなり大変なお使いはおんこーな夜桜でもおこっちゃうんだからね!
え?ゴハンあるの?しかもお肉にお野菜?わーい!じゅーろーだーいすき!!
─────
再理たちとの戦闘から逃げ切り、しばらく走っていると他校の生徒に待ち伏せされていたらしく襲撃を受けた。が、視線から隠れると言った事しかしていないので小声のやり取りがバレバレ、そして戦っても数で押せば何とかなると思っていたらしくアッサリ撃退。
二人以上だけど、最初の通過者も多く倒してたみたいだし、このまま他の人へのプレゼントにするのは何か違う気がしたので全員漏れなくターゲットにボールを当てて、無事通過した。
その後、ANTEROOMと書かれた看板の矢印に従って歩いていると、その途中で鉄扇が一つ足りない事に気づき、通過者がウロウロするのもどうかと思って丁度近い場所にいる夜桜にお願いして持って来てもらう事に。
そして今、目の前に置かれた四枚のお皿と水の入ったコップ。平な皿には山盛りのローストチキンと少し底の深い皿には色とりどりのサラダ、残り二枚には抜き取られた骨とお肉のみとなったローストチキン。控室は自動ドアなので夜桜が入れないという事は無いと思う、でも態々お使いをさせて何もなし、なんて事はしたくなかったからありがとうと言う意味と俺の間食用で用意している。
先に来ていた轟くんの話では自由に食べて良いらしいので、半分に分けるとしてもそこそこな量を椅子を机代わりにして分けている。……だって、あの机は身長的に高さが合わないし。
一応、近くに座っている轟くんには許可は貰っている。まぁ、流石にこんな事を見知らぬ人の近くでやるのは気が引けるっていうのもあるし、事情を知ってる人なら説明も手短に済むという算段もあったけど。
「なぁ、夜桜はキツネなんだし骨は付いたままでいいんじゃねぇのか?」
「本人、からは、食べ、難い、って。骨の、周りが、美味しい、って、人も、いるけど、夜桜は、味の、付いてる、皮、付近が、良いって」
「案外、人間っぽい事を言うんだな」
「好き嫌い、の、無い、素直な、いい子、だよ」
「まるで親みたいだな」
「くくっ、俺は、夜桜の、お兄さん、だよ」
その後も、轟くんの気になった夜桜の事についての話が続いた。好き嫌いが無いと言っても好みの差や、どれくらい食べさせて平気なのか。そんな話をしていると、控室のドアが開き周囲が騒めく。
恐らくは誰が入って来たのか、もしくは自分の仲間が入って来たのかを確認するためにドアが開けば視線を向けていたんだろう。しかし、扉の前に居たのは大きな黒いキツネが一匹。
「……なぁ、回精」
「ん、多分、予想が、付くけど、なに?」
「夜桜の咥えてるのお前の鉄扇だよな?扉に引っかかって入れないんじゃねぇか?」
「そう、だね。ちょっと、助けて、来る」
「おう」
扉では頑張って鉄扇を斜めにして入ろうとしているけれど、角度が足らずに引っかかってしまっている。その様子に木の棒を咥えた犬が扉に引っかかっている動画を思い出したが、見かねた他校の生徒が手助けに来る前に夜桜の下へと駆け寄る。
「おかえり」
「〈キュゥー!〉」
「うん、ありがと」
鉄扇を夜桜から受け取り、腰に差す。やっぱり両方あるとしっくりくるというか、バランスが良いというか、ともかく轟くんの……正確には食べ物の方へと急ぐ夜桜を止める。
「先に、お腹の、外そう?」
「〈キャゥ!〉」
やっぱり、ターゲットが付いているのは違和感があったようで大人しく後を付いてくる。夜桜が控室に入れなかったら不味いと思って俺のターゲットも外さなかったけど、その辺りどういう判定なのかな。
やっぱり二人で一人扱い?そもそも個性だから関係ないとか?失格とか言われてないから、恐らくはルール違反ではないと思う。ただまぁ、ターゲットの付いている夜桜をずっと体に入れたりとかしたら問答無用で失格だろうけど。
色々と考えていたが、無事にターゲットも外せてボールもケースと一緒に返却出来た。しかし、夜桜からは「早く早く!」と言わんばかりに俺と轟くんの方へと視線が行ったり来たりしている。
流石にちょっと正直過ぎるけど、夜桜からは大変なお使いの後のご褒美が早く欲しいという感情も伝わってくるから仕方ない、で済まそうとする俺も甘いのかな?なんて思ったり。
「お待たせ、それじゃ、行こっか」
夜桜へと一声かけ歩き出す。俺の隣を付かず離れずの距離で夜桜はついて来てはいるが、待ちきれないのかさっきから少し落ち着きがない。
それでも外歩きの約束を守ってくれているのを見ると、なんだか他の人に夜桜は良い子なんだぞ!って自慢したくなるけど我慢しよう。その分帰ったら遊んであげないと。
「……顔が緩んでるがなんかあったか?」
「えっ、ううん、だいじょぶ、だいじょぶ」
「〈キュー、キュゥー!〉」
「あぁ、うん、いいよ。それじゃ、座って」
夜桜のささやかなおねだりの為に、椅子に座り膝の上に野菜の乗った皿を置き左手に骨を取り除いたお肉が乗った皿を持つ。夜桜は近くにお座りの姿勢で待機し、ワクワクとした視線でこちらを見ている。
まずはお肉を一つまみし、夜桜の口元へと持っていけば口を開けて受け取り、美味しそうに食べる。
お肉の次は野菜、キュウリのスライスを一枚と言わずに数枚重ねて摘まむ、丁度何もついていなかったからドレッシングを少量付けて夜桜の口元へ持っていけば、こちらもシャクシャクと美味しそうに食べる。
夜桜が食べている間にお肉に目についた人参とレタスを挟んで自分の口へ入れる。……うん、美味しいけどこれならドレッシングがかかってない方が良いかな?
「〈キュゥ、キュー〉」
「うん、いいよ」
俺の食べる姿を見ていたからか、夜桜も同じようにお肉で野菜を挟んで食べたいとねだる。片手で肉を挟むのは難しい物もあって中には野菜でお肉を巻いたものになってしまったけど、そっちもそっちで美味しいらしい。
夜桜のおススメなら、と俺も野菜でお肉を巻いて口に入れる。……うん、こっちもお肉の味より野菜の味が引き立って美味しい。
そうして、食事をしている間も控室の入口は何度も開いていた。そして、その度に俺につられて隣の轟くんも入口へと目を向け、夜桜も俺達につられて入口へと顔を向けるもあまり意味が分かっていないのか、俺に顔を向けて首をかしげている。
「みんな、こないね」
「あぁ……ってか、先に分かれた俺よりお前の方が知ってるんじゃないか?」
「俺も、初めの、方で、地割れ、と、従兄に、襲われ、分断、された、から。もし、かして、と、聞いて、みた」
「じゃあもしもこの後に誰か来ても、他の連中の情報は手に入らないって訳か」
「不安、それとも、心配?」
「両方ないって言ったらウソになるが、それでも同じクラスメイトなんだ。気にはなる」
「……そっか」
轟くんとの会話が終わっても、夜桜に食べさせる手は止まらずに動いて、お皿のお肉が目に見えて減った辺りでまた入口が開く。そこにはさっきから俺達が気にしていた内の四人が立っていた。お皿を椅子に置き手を振ればこっちに気づいた四人が歩いてくる。
「轟さんに回精さんも通過していたんですね!他の方は居ませんの?」
「ここに来たのは今んところ俺達だけだ、その様子だと八百万たちも他の連中の事はわからないのか」
「えぇ、と言う事は回精さんも?」
「地割れの、後、従兄に、分断、されて、ね……」
「残り三十人、みんな通過できると良いのだけれど……」
予想していたとはいえ、あの地割れの後どうなったのか情報が一切手に入らないというのは中々不安になってしまう。勿論クラスのみんなが大丈夫だとは思いたい、けど周りが二年三年ばかりで幾ら天下の雄英と言っても一年から二年の差は大きい。
知識と経験、その二つがあって初めて大きく前に進める。そういう意味では俺たちのクラスは戦闘に関しては二年と遜色ない程だと思っている。
でも今さっき来たばかりの八百万さんたちは、個人の差はあってもかなり体力を消費してしまっている印象がある。1-Aの中で個人的にだけど、どんな状況でも対応できる人たちの集まりなのに消耗してしまっている。
つまり、それほど厄介な相手に目を付けられたという事。……さて、これは純粋に一年だから狙いやすいという意図か、雄英だから狙われていると考えるべきか。
まぁ後者だと思う、だって雄英体育祭と言うヒーロー科の個性をテレビで大々的に映す機会があったから。手の内が分からない相手よりも、手の内が分かっている相手の方が対策しやすいし。
みんなが話している間に向けられている良い感情とは言えないモノ、どんな理由であれヒーロー志望が多い中でこういった感情を向けられれば、俺じゃなくても勘の鋭い人なら気づけると思う。
ちらりとその方向へと目を向ければ、雄英の推薦トップを蹴り士傑へと入った夜嵐くんの姿が。俺が見ている事にも気づいていない、恐らくは今入ってきた人に釣られてその人が目に入りそのまま凝視している、とかかな。そうなると彼の見ている人物は自然と隣に座る轟くんだろう。
「はぁ……」
「どうしたの?回精がため息なんて珍しいじゃん」
「いや、みんな、厄介、な人に、目を、付けられた、なって」
「唐突にどしたのさ?」
「四人、とも、体力、を、かなり、消耗、してる、でしょ?それだけ、厄介な、相手、だった、のかな、って」
「あー、そうだね。ウチらのところって如何にもお嬢様とその使用人!って人たちが来てさ、こっちの個性に対策しまくりで全然ウチら三人が手も足も出なくって、しかもヤオモモとの頭脳合戦みたいな事になってたみたいだし」
「正直、行動全てを事前に潰されて行くのはやり辛くって仕方なかったよ。まぁヤオモモのお陰で助かったんだけどね」
「大変、だったん、だね」
どうやら相当厄介な人に目を付けられたらしい、その疲れた顔から想像するのは難しくない。そんな耳郎さんを見ていると再理が猪武者で良かったと本当に思う。そんな事を考えていると、耳郎さんの好奇心に満ちた目で見てくる。
「そーいう回精もさ、よく見ると服とかボロボロだよね。なんかあったんじゃないの?」
「あー……、こっちは、ほぼ、上位、互換、相手に、逃亡、困難、な、ガチ、バトル」
そういうと耳郎さんの表情が硬まる、うん、わかるよ。
「ガチバトルと頭脳戦、どっちがマシなんだろうね……」
「どっちも、ロクでも、ない、よ?」
「「……はぁ」」
片や頭脳戦に参加できずに空回りし、片やスペック上位互換相手に不利なガチバトル。両方とも内容は違えど、相手に振り回されたという点では一緒みたいで。
「正直、倒して、無いから、次も、戦闘、あると、キツイ……」
「うわぁ……、でも戦闘はもうやってるし、流石に二連続は無いと思いたいけど」
「戦闘、か、それ、以外、か。どちらに、しても、もう、二度と、やりたく、無い」
ゴールの無いマラソンを続ける様な気概はヒーローになる為に必要だと思う、だからと言って実際にゴールの無いマラソンをやれって言われて「はいわかりました」と二つ返事でやる人は居ない。俺にとって、再理との戦闘は正にそれなのだから。
お互いの話が丁度いい区切りを迎えたところで、耳郎さんにまだターゲットの青いランプが灯っている事に気づく。八百万さんは轟くんとまだ話しているようだけど、軽い世間話程度みたいだし、障子くんや梅雨ちゃんが放置気味だ。いけない、ついつい話し込んじゃった。
「ごめん、ターゲット、と、ボール、の、返却、しなきゃ、いけない、のに、足を、止めさせ、てた」
「あー、マジ?ついつい話し込んじゃったね。回精が気にすることじゃないよ、ちょっと一次試験通過したって事で気が抜けてたみたいだし」
「ありがと、あっちに、返却、する、ところ、あるよ」
「サンキュー」
耳郎さんが動き出したのを見て、八百万さんたちも自然に耳郎さんへと合流し返却口へと歩いて行く。……障子くんと梅雨ちゃんにはちょっと悪い事しちゃったな。
あんまり気にしてもしょうがないし、逆に二人の性格なら気にされても気にするなって言うだろうし、気持ちを切り替えていくしかない。
「んじゃ、俺も、お肉を、よそって、来るね」
「ん?さっき皿に山盛りにして……、かなり減ったな」
かなり減ったと轟くんは言うけど、さっきまで山を作ってたお肉がほぼ無くなっている。更に言えば骨置き場にしてあるお皿に骨が増えている程と言えば、これはもう空と言っても過言ではないと思う。
「うん、みんなが、会話、してる、間に、夜桜、が」
「〈キュー、キュキュー〉」
「別に、悪い、訳じゃ、ないよ?ただ、もう、ちょっと、お皿を、綺麗に、食べない、と」
「〈……キュー〉」
「それは、俺が、やったら、で、夜桜、は、気に、しなくて、良いよ?」
「夜桜はなんて言ってるんだ?」
「前に、お皿、舐めたの、轟、くんに、行儀、悪い、って、言われた、って」
あの時はみんな夜桜の事を知らなかったし、そしたら必然俺がお皿を綺麗に舐めたと思われるわけで、みんなも夜桜ならお皿を舐めるくらい咎めることは無いはず。
「……悪い、気にしてたんだな」
「〈キュゥー……キャゥ〉」
「うぉっ……」
轟くんの膝の上に飛び乗った衝撃で驚いた声が出たみたいだけど、まぁヒーロー科の人だしこの程度は問題にもならないはず。被害と言える被害はなく、強いて言えば轟くんの隣に座ってる俺の膝が夜桜の後ろ脚と尻尾で抑えられたくらいかな?
それでも、夜桜がそういった大胆な事をするとは今までの共同生活で思っていなかったらしく、轟くんは何とも言えない表情でどうすればいいのか、両手を空中に彷徨わせている。
「回精、どうすればいいんだ?」
「撫でて、あげて。甘えてる、だけ、だから」
俺がそういうと、おっかなびっくりな手つきで夜桜の背中を撫で初める。ゆっくり撫でている為か、夜桜も心地よさそうで、これならこのまま任せても平気だろう。
夜桜の下半身を持ち上げ、すぐさま椅子から離れてそのまま椅子の上に夜桜を下す。一連の行動に首をかしげる夜桜。
「さっき、お肉、おかわり、するって、言った、でしょ?轟、くん、夜桜、お願い、ね」
「あぁ……」
あまり動物と触れ合ってこなかったのか、きょとんとした顔で夜桜を触る轟くんの姿は中々面白く、しばらく見て居られそうだけど俺も小腹が空いてしまった。この小休憩も後どのくらい続くのかはわからない、食べられるときに食べておかないと。
ちなみにこの後、戻って来た時にある程度慣れたのか、夜桜の背中を撫でる轟くんの姿が様になり過ぎててちょっと笑ってしまったが、後から来た耳郎さんも笑っていたのでその辺りは共通認識だと思う。
前は約二か月!今回は一か月以内!半減!半減です!……調子乗りましたスイマセン。段々と感覚を取り戻してきている感じがします、なので次はもっと早く……なると良いなぁ……。
冒頭の視点は夜桜ですね、ただただ何となく頭パぁ、にして書きたくなりました。
誤字脱字報告ありがとうございます、ほぼ最初のお話から短期間で一気に五十話辺りまで読み進めてもらってとっても嬉しいです。……それを知れたのが誤字脱字っていうのが喜んで良いのか、悪いのか判断が難しいですね。