仮面の男と仮想世界   作:オンドゥル暇人

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お待たせしました。第88話です。



第88話 果てしなき跋扈(ばっこ)の終わり

 

『試算完了、プレゼントだ』

 

 

【敗者】(ルーサー)の頭上に複数の氷柱が出現し、その先端が私達へと向けられる。

 

 

「攻撃がくるぞ!」

 

 

ゼノが全員に向かって叫ぶと同時に、氷柱が私達目掛けて降り注ぐ。私は迫る氷柱を避けながら、地面に突き刺さった氷柱を足場に跳びあがり、ルーサー目掛けて大きく振りかぶった一撃を放つも、ルーサーは自身の手に光と氷を掛け合わせた刃を形成し、私の攻撃を防いだ。

 

 

「スイッチ!」

 

 

『甘い!』

 

 

私と入れ替わってキリトが二刀流スキルを発動させてルーサーに斬りかかる。だが、ルーサーはもう片方の手にも刃を出現させ、キリトの斬撃を全て捌き、最後に両手を合わせた巨大な刃をキリトへと振り下ろす。

 

 

「させねぇよ!」

 

 

ルーサーの攻撃がキリトに当たる直前、ゼノの銃撃によって光と氷の刃が砕け散る。

 

 

「今だぜお嬢ちゃんがた!」

 

 

「「ええ! / はい!」」

 

 

隙ができたルーサーにクーナのマイによる斬撃と、マトイのテクニックが炸裂し、ルーサーのHPゲージがついに半分を切った。

 

 

『アークス如きが、抵抗をするなぁぁあああ‼』

 

 

怒り狂ったルーサーはその威圧で衝撃波を放ち、更に奴の周囲にタリスが出現する。

 

 

『僕は原初、僕は終末、万事は此処より始まりて、是にて終わる』

 

 

ルーサーの周囲を回転するタリスからダーカー因子の塊が連続で飛び出し、私達はその攻撃の対処に動きが止まる。そんな私達をルーサーが見逃す筈もなく、ルーサーは私達の足下にタリスを投擲し、今度は足下のタリスを中心に展開した魔法陣から(ゾンデ)系テクニックが放たれる。

 

 

「くっ!」

 

 

流石に避ける余裕はなく、雷撃を真面に喰らってしまった私はその場に膝を付く。無論、奴がその隙を見逃す筈もなく、ショートワープで迫ってきたかと思えば、炎を纏った裏手で私を叩き、再びショートワープで私が飛ばされる方に先回りすると、今度は人間態の時にも使用していた浮遊剣をこちらに向けている。

 

 

『死ねぇ‼』

 

 

「やらせません!」

 

 

ルーサーが浮遊剣を発射しようとした直前、姿を消していたクーナが奴の前に現れ、浮遊剣を破壊し、続けて俊敏な動きでルーサーの背後に回ると、奴の翼を1枚斬り落とした。

 

 

『ぐぅっ⁉実験体風情が、僕に逆らうか!』

 

 

「あなたなんかに、これ以上わたしの大切なものを奪わせたりしない!今ここであの子の、弟の無念を晴らさせてもらいます!」

 

 

『ああ、不愉快だ!貴様も、貴様の弟も、そしてソイツも!僕がいなければ生まれてくる事も無かった存在の癖に!この恩知らずどもが‼』

 

 

奴はクーナを払い飛ばすと、両手剣と双剣を携え翼を生やした人型ダーカーを2体ずつ出現させ、キリト達にけしかける。

 

 

「キリト!そいつ等は一定時間経過すると自爆する!その前に倒せ!」

 

 

「分かった!」

 

 

私の忠告を受け、キリトは自身に迫っていた双剣を持つダーカー――ドゥエ・ソルダ――の剣をソードスキルで弾き飛ばし、続けざまにスキルコネクトで発動した刺突攻撃で胴体の核を貫いた。

 

 

それに続くように、ゼノがもう一種のダーカー――グル・ソルダ――の大剣を狙撃し、無防備になった所をマトイがテクニックで吹き飛ばした。

 

 

残りは2体。私はルーサーを抑えているため、必然的にクーナが1人で対処している。

 

 

『よくやった、用済みだ』

 

 

そんな中、ルーサーは突然指を鳴らし、私の前から消える。それと同時にクーナが相手をしていた2体のダーカーが自爆し、よろけるクーナの背後……フィールド全体を見渡せる場所にルーサーが姿を現す。

 

 

『ビッグクランチ・プロジェクト』

 

 

そんな言葉と共に、水平に展開されたタリスから、複数のレーザーが掃射される。

 

 

剣やバリアで防御したり、身を翻したり、各々が迫るレーザーを避ける中、先程のダーカー2体による自爆と背後を取られた事で対応が遅れたクーナがレーザーの直撃を受けてしまう。

 

 

「きゃっ!」

 

 

彼女は悲痛な叫びをあげるが、ルーサーの手は緩まない。再び姿を消しては、今度は展開していたタリスを回転させ、高密度のダーカー因子をチャージしている状態でクーナの前に姿を現す。

 

 

『終わりは、かく示された』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「クーナ‼」」

 

 

先程よりも高密度に収束されたレーザーがクーナへと発射され、私とキリトは思わず彼女の名前を叫んだ。レーザーが止み、そこにクーナの姿は無かった。

 

 

――クーナが、死んだ?

 

 

ありえない。いや、あってはならない。ルーサーとの戦闘は避けられない事象だが、誰かがルーサーに殺されるという事は今まで無かった。ならばこの展開は、

 

 

「間一髪!危ない所だったね!」

 

 

クーナが死んだかもしれない。そんな思考に至った瞬間、私達の頭上から声がし、声の方を見上げると、ルーサーの更に上、そこには驚くクーナを抱えて優雅に宙を舞う紫の妖精の姿があった。

 

 

「ユウキ!」

 

 

『イレギュラーめ!堕ちろ、(ごみ)が!』

 

 

「おっと!キミ、しっかり掴まっててね!」

 

 

ユウキはクーナを抱えた状態で常軌を逸した動きでルーサーの放つ弾幕を避ける。

 

 

「今だよ!」

 

 

弾幕を回避しながら、ユウキが合図をすると、2つの何かが私の横を高速で通り過ぎて、ルーサーの方へと向かう。

 

 

一つは渦巻いた銀河のような光を放ちながら、ルーサーの翼の1枚を斬り落とし、もう1つは遅れて聞こえてきた轟音と共に、ルーサーの体を抉り、翼を2枚撃ち落とした。

 

 

『式に(ごみ)が……!』

 

 

「お久しぶりですねルーサー。その首、貰いに来ましたよ」

 

 

『カスラ!貴様、この僕に逆らって、どうなるか分かってるのか!』

 

 

「勿論。折角あなたに一太刀浴びせられるまたとない機会です。この機にあなたには、今日この場で死んでもらいます。それはそうとシノンさん、その銃の発砲音ですが、もう少し抑える事は出来ませんか?私の鼓膜が破れるところでしたよ」

 

 

「無茶言わないで。アンタがわたしの隣にいるのが悪いんでしょ」

 

 

私が振り向いた先にはヘカートを構えたシノンと、その隣でカスラが長い耳を抑えながらかシノンに向かって軽口を叩いている。

 

 

「シノン!それにカスラさんも!」

 

 

「あら、わたし達だけじゃないわよ」

 

 

驚くマトイにそう返すシノンの更に後ろから、一筋の閃光が飛び出し、残った2枚の翼を斬り落とした。

 

 

「お待たせ、キリト君!」

 

 

「アスナ!」

 

 

「後はわたし達に任せて!ラン!みんな‼」

 

 

「全ステータス最大強化完了です!皆さん、思いっきりお願いします!」

 

 

「おっしゃー!出番だぜ!」

 

 

「みんな行くわよ!」

 

 

「「「 おうよ! / はい! 」」」

 

 

アスナに続いて、ランの支援魔法によりステータス強化されたクラインとエギル、リズベッドとシリカ、そしてリーファが一斉にソードスキルを叩き込み、ルーサーを落とす。

 

 

「まだまだぁ‼」

 

 

落下するルーサーを追い立てるように、今度はヒューイが燃えさかる拳で殴り、ルーサーはその身を燃やしながら地面へと激突した。

 

 

「おいおい情けないねゼノ坊。このアタシが直々に鍛えてやったってのに、こんな奴相手に、もうへばってんのかい?」

 

 

「冗談キツイぜ姐さん。まさか初陣がカスラさん。連戦でダークファルス相手にするなんて聞いてなかったんだぜ、こっちはよ!」

 

 

「それだけ無駄口を叩ける体力が残ってるなら結構。行くよゼノ坊!」

 

 

「はいはい、全く相変わらず人使いが荒いな姐さんは!」

 

 

マリアはゼノに喝を入れ、ゼノと連携して包囲網を突破しようとするルーサーを叩き落とす。

 

 

フィールドの床に叩き付けられたルーサーは体力が限界を迎えたのか、人間態に戻っていた。

 

 

この機を逃す訳には行かないと私が武器を握り直していると、その隣を1人の(キャスト)が悠々と歩いてルーサーを見下ろすように奴の前に立ち塞がった。

 

 

――そうだな……最後は貴様に譲るとしよう。

 

 

「レギアス……!」

 

 

「ルーサー。よもや、アークスの長たる貴様が、自らダークファルスに身を落とすとはな」

 

 

「なんだ?今更驚いたように。君だって薄々感づいていた筈だ。その上で従っていたのだろう?」

 

 

「そうだ。感づいていながらも仮初めの平和を何もすることが出来なかった愚か者。とうに失われた過去の幻影にしがみついていた愚者。それが私だ」

 

 

「ふふふ……そうだ。そうだなレギアス」

 

 

懺悔のようなレギアスの独白を聞いたルーサーは、不意に笑みを浮かべると、自身の前にとある人物のパーソナルデータを出現させる。そこに映っている女性の顔写真を見た瞬間、レギアスとマリアが驚くような仕草を見せた。

 

 

「覚えているだろうレギアス。40年前に死んだ初代クラリスクレイスのアルマだ。貴様はこの女に執着していたな?交換条件だ、彼女を蘇らせてやろう!だから僕に力を貸せ!全知のために!」

 

 

「馬鹿が。レギアスを本気で怒らせたね」

 

 

呆れるアルマの呟きが聞こえない程、ルーサーは自分の世界に入り込んでいるようで、レギアスが自分に味方をしてくれると本気で考えている奴の言葉を遮るように、レギアスは脚がめり込むくらい力強く地面を蹴る。

 

 

「口を閉じろルーサー……!その汚らわしい口でアルマの名を呼ぶことは許さん‼」

 

 

レギアスの威圧感に、ルーサーはおろか、キリトや私ですら戦慄し、言葉が出なかった。

 

 

「アルマは、アークスを信じ、その未来を私に託して逝った。彼女の生きた時間は、貴様の言う全知とやらに勝る価値がある!貴様は、全てを知って何を為す!全知にどれほどの価値がある‼」

 

 

「科学者に学の価値を問うなッ!万事を()ることこそが、我が存在意義!我が存在の価値そのものだ!もういい!貴様らの相手をしていると、バカがうつる!」

 

 

ルーサーは大量の魔法陣を出現させ、その全てからダーカー因子を収束させた怪光線をレギアス目掛けて放射した。

 

 

――やらせるものか!

 

 

私は咄嗟にレギアスの前に立ち、ルーサーが放った怪光線をコートエッジで受け止める。

 

 

「ペルソナ!」

 

 

「キリト⁉」

 

 

押し負けそうになる私の元に駆け寄ったキリトが、コートエッジの持ち手を掴む。

 

 

「俺も手伝う!俺と君の力を合わせれば、これくらい、何てことないだろ?」

 

 

「全く、貴様という奴は……合わせろキリト!」

 

 

「ああ!」

 

 

私とキリトは同時に浄化能力を発動させ、攻撃に含まれるダーカー因子を全て浄化した。

 

 

「な、なんだそれは……!そんな力……貴様を、そんな風に作った覚えはない……!」

 

 

私達2人がやってのけた行為が余りにも予想外だったのだろう。酷く狼狽するルーサーの表情に、思わず零れそうになる笑みを抑え、レギアスへと振り返る。

 

 

――さあ、お膳立ては充分にしてやったぞ。

 

 

「今だ、レギアス!」

 

 

「感謝する。若き戦士達よ!」

 

 

「れ、レギアス……何を、する気だ……」

 

 

「いつか貴様は言ったな。我が刃はダーカーを滅する為にあると。ならば、今がその時だ!」

 

 

レギアスは創世器《世果(ヨノハテ)》を抜刀するように構える。

 

 

「……(つい)えよ、世果(ヨノハテ)

 

 

レギアスの持つ世果の封印が解け、真紅の美しい曲刀が姿を現した。

 

 

レギアスが持つあらん限りのフォトンが集中し、放たれた一太刀は、ルーサーの体をマザーシップ中枢の空間ごと横一線に切り裂いた。

 

 

「アルマ……これでアークスは、お前の望んだ形へと戻る」

 

 

次の瞬間、世果(ヨノハテ)は役目を終えたように真紅の輝きを失い、刀身の半分が砕け散った。

 

 

――ようやく、終わったか……。

 

 

「ペルソナー!」

 

 

全ての力を使い果たし、キリトと共に腰を下ろす私の元にユウキが飛び込んできた。

 

 

「もう、ペルソナってば!何であんな無茶したの‼」

 

 

「……すまない」

 

 

「本当に心配したんですよ。ペルソナさんが死ぬかもしれないって聞かされた時、わたし、どうしたらいいか分からなくなって……」

 

 

「ラン……本当に、すまなかった。心配かけたな」

 

 

今にも泣き出しそうになるランとユウキを抱きしめ、私は2人に今できる限りの謝罪をする。

 

 

「キリト君もだよ。帰ったら、今まで2人がコソコソと何をしてたのか、教えて貰うからね」

 

 

「う、わ、分かったよ」

 

 

笑顔のアスナに詰め寄られ、情けない返事をしたキリトは、バツの悪そうに私に視線を向けた。

 

 

――仕方ない。どの道、これ以上隠し通すのは難しかったろうし、いい機会か。

 

 

ルーサーが死んだ今、皆に真実を伝えても問題は無いだろうと考えていた矢先、マザーシップ全体が大きく振動し始めた。

 

 

「皆さん大変です!」

 

 

同時に、戦闘アシストのため後方で待機していたユイちゃんが慌てた様子で声を荒げた。

 

 

「たった今シャオさんから連絡が入ったのですが、現在、マザーシップの縮退空間が崩壊を始めていて、間もなくこの船は爆発します!」

 

 

「何だって⁉」

 

 

「マザーシップのエネルギー量を基に計算した結果、爆発の威力は超新星爆発に匹敵します!」

 

 

「そんなの一体どうすれば良いのよー!」

 

 

『ペルソナ!みんな!聞こえる⁉』

 

 

マザーシップが爆発するという知らせに、皆が慌てていると、丁度いいタイミングでシャオからの連絡が入ってきた。

 

 

『今から僕がマザーシップを安全な宙域に転送する!だからみんな、すぐにそこから退避して!』

 

 

「分かった」

 

 

シャオとの通話が切れると同時に、カスラがテレパイプを起動させる。

 

 

「皆さん早く!」

 

 

次々と仲間たちがカスラが起動させたテレパイプを使って転移していく中、私はふとレギアスの方に目を向けた。レギアスは暫くの間、文字通り真っ二つになっているルーサーを見つめた後、ゆっくりとこちらに振り向く。

 

 

「ふうん……あれだけ言っておいて、この程度でやられちゃうんだ。ぼくたちの真似までしてたくせに」

 

 

「所詮は猿真似の【敗者】(ルーサー)だね。だらしないなあ。つまらないなあ」

 

 

さっきまでそこに居なかった筈の男女の双子がルーサーの亡骸を面白がりながら蹴っていた。

 

 

「な、何だ、あいつ等……いつからあそこに……!」

 

 

「ダークファルス……【双子】(ダブル)⁉」

 

 

「馬鹿な!この10年、活動は無かった!」

 

 

突然の双子の登場に、驚くキリトとレギアス、そしてマリア。【双子】(ダブル)はそんな彼等を気にも留めず、その見た目通り子供らしい悪い笑みを浮かべ、互いに顔を合わせている。

 

 

「そうだ。真似っこしてあげようよ!」

 

 

「そうだね。真似っこしてあげよう!増やして遊んであげよう!」

 

 

そう互いに言い合う彼らはその腕を巨大な口に変化させ、ルーサーの亡骸を喰らい始めた。

 

 

「嘘……ルーサーを、食べてる……!」

 

 

あまりの光景に戦慄するマトイ。ランとユウキが先に帰還してたお陰で、この光景を見なくて本当に良かった。

 

 

双子がルーサーを食べた腕を天に掲げると、複数のルーサーの模倣体が私達の前に召喚される。

 

 

「何て奴等だ……ダークファルスをコピーしたって言うのかい⁉」

 

 

「さあ、みんな!」

 

 

「あそこに良いおもちゃがあるよ!」

 

 

「キリト、マトイ。ここは逃げるぞ」

 

 

「でも!」

 

 

「アンタ達、早く退きな!」

 

 

模倣体とはいえ、相手はダークファルス。私達は全員、これまでの戦いで疲弊している。こいつ等をこの場で見逃す事を渋っていたキリトだが、マリアがいつもより焦った様子で退却指示を出してきたのを見て、キリトはマトイを連れてテレパイプに急ぐ。

 

 

無論、奴らが私達を簡単に見逃してくれる訳もなく、背を向けた私達へルーサーの模倣体が迫る。

 

 

「チッ」

 

 

キリトとマトイだけでも先に行かせようと、私は応戦するためと立ち止まるが、割り込んできたマリアが、一瞬で模倣体を制圧した。

 

 

「グズグズするんじゃないよ!」

 

 

「助かった。キリト、マトイ!早く行け!」

 

 

私は2人が転移したのを確認し、自分もテレパイプに飛び込み、キャンプシップへ退却する。

 

 

そして残るマリア、レギアスの2人が乗り込んだと同時に、ユイちゃんがキャンプシップを発進させ、急いでマザーシップから離れた。

 

 

――どうにか逃げれた……いや、見逃されたか。

 

 

そんな事を考えながら、私はキャンプシップの窓からマザーシップを見つめている。マザーシップは今まさにシャオの手によって、遥か遠くの銀河の果て、何もない宙域へと繋がるゲートに吸い込まれている。最後、眩い光が一瞬だけ輝いたと思えば、シャオが開いていたゲートは消え、そこは何の変哲もない見慣れた宇宙(そら)に戻っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペルソナ達が退却した直後のマザーシップ中枢――

 

 

「あーあ、逃げちゃった。きみ、情けないぞ」

 

 

「あーあ、逃げられちゃった。あなた、だらしないぞ」

 

 

倒れる模倣体ルーサーに冷徹な言葉を掛けながら、模倣体ルーサーを吸収する双子。その後、男の方が興味深そうに周囲を見渡す。

 

 

「でも、ここはおもしろそうだね」

 

 

「うん、10年前の"あの子"を思い出す。透明で、ぎらぎらと輝いていて……とってもきれい」

 

 

「透明なら、汚してあげないと。みんながもとめてケンカしちゃう」

 

 

「綺麗なら、穢してあげないと。みんな欲しがってケンカしちゃう」

 

 

「ぜんぶ、ぜーんぶ、汚そうね」

 

 

「みんな、みーんな、穢そうね」

 

 

「ぜんぶ汚れて1つになれば、」

 

 

「みんな穢れて1つになれば、」

 

 

「「 争わなくて、すむもんね 」」

 

 

まるで示し合わせたかのように双子の声が重なり、それが余程面白かったのか、2人は互いに顔を見合わせる。

 

 

「たのしみながら、汚そうね?」

 

 

「たわむれながら、穢そうね?」

 

 

双子の年相応の子供のように無邪気な、それでいてどこか狂気じみたものを孕んだその笑い声は、マザーシップが爆発する寸前まで響いていた。

 

 

 

 





今回はここまで。
戦闘シーンの構想を練り直してたらGW終わってた……。
本当は、ダークファルスルーサーのレイド戦やりたかったんですけど、それ入れると今回で終わらないんですよね。(あと純粋に自分の文章力が足りない)
それでは、また次回もよろしくお願いします。
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